リアライズ
| シナリオ | 絵 | 音楽 | 演出 | システム | 総合評価 | オススメ度 |
| 7 | 8 | 8 | 8 | 8 | 78 | ★★★ |
様々な疑問に彩られた、ある意味すごい問題作。
第一の疑問は、「これって純粋に完結してる作品?」
率直に申し上げて、かつての名ライター高橋氏も「とうとうやっちまった」感が強い。
「俺たちの戦いは始まったばかりだ!」
とまるでジャ○プで10週打ち切りを喰らった連載作品のように唐突に訪れるエンド。残りまくる謎と伏線。
当然首をかしげるプレイヤー。
聞くところによると、実はあれは、
主人公を通して八重の視点から見た物語であり、彼女が破滅した時点で物語は終わる
から、ああいう展開になったのだとか。
(電撃姫インタビューより)
確かに、業界で一、二を争う文章巧者である高橋氏なのに、作中よく一人称と三人称が乱れてはいたが、これを意図的なものとして捉えると納得いく点もある。
が、そういう手法を取っている、ということは本来作中で気付かせるべきであり、しかもその後に未解決の伏線を残してしまうのはどう考えても下策。
途中の物語の盛り上がりぶりを考えると、尻すぼみをする以前にぶっつりと途切れてしまうこの展開は、とてもプレイヤーの納得に足るものではない。
個々に考えさせる余地のあるラスト、というよりは時間切れにつき丸投げした、という消化不良の感が否めない。
事情を知る春秋に後日談を語らせるなどして、物語に一応の決着を見せてほしかった。
また、言ってることが「世の中すべてを幸せで満たしたい」とかなりグローバルなわりに、実際に出る行動は、自分の力が直接及ぶ範囲の1Km以内の花火客に対してのみ。
そういった、矛盾を通り越した誇大妄想が気になる。
他者を自由にできる力を持っているのなら、世論を左右する力を持っている人間を操り、その輪をじわじわと広げていって、長期的には「世の中すべて」を変えうることすら可能なはず。
東日本「最強の」力を持ち、思慮的で大人びた人間として描かれている八重が、そんなことにすら思い至らないほど浅はかで短慮な人間だったことに幻滅。
物語後半までずっと正体が見えず、なおかつ底知れぬ影響力を持つ人間として圧倒的な存在感を持っていたのに、実際はその姿を現したとたんに物語のテンションがガクッと下がってしまう。
どんなに綺麗事を述べても、結局は他者のエゴを自分のエゴで打ち倒すという醜悪な関係になるのだが、それに気付いていながらもその道を曲げようとはしない者、懊悩する者、利用する者と多種多様な人物像が織りなす関係は、とても興味深かった。
だからこそ、その先に待つのは破滅なのか祝福なのか、衰退なのか繁栄なのか、何の暗示も提示されずにぶっつりと途切れてしまったこの作品に対する無念の思いはかなり深い。
八重の破滅は自明の理。だが、他の能力者たちはどうなのだろう。彼女とは立場も思考もまるで違う。
そういった各々のキャラクター達に、納得に足る結末を与えてほしかった。
最悪、「世界は滅びましたさよならビッグバーン!!」でも私は気にしませんが。(それじゃ駄作だろう)
作品全体の雰囲気は決して悪くない。
バトルものでありながら不気味なほど静かに淡々と進む独特のテンポも印象的だし、深い謎に彩られ、次へ次へと前に進ませる力を持つテキストは相変わらず抜群の読みやすさ。
丁寧なCGや職人集団「草薙」の手による美しい背景も見事。
大物がゲスト参加したBGMも耳障りの良い、シーンにマッチしたものばかりだし、本当に惜しむらくはこのシナリオ。
そして、微妙に使いづらいシステム。
バックログや既読スキップ等、必要なものは普通に揃ってるのだが、そこへ至るまでは一度右クリックでシステム画面を介さないといけないというのはゲームの体感速度を大幅に削る行為だと思うので、こういうAVGではマイナス要因にしかならないと思う。
VA系のいつものシステムと言えばそれまでだが、足回りは常に快適にしておきたいもの。
特に、エロゲーマーは常に色んな作品に触れて、要求がどんどん進化する。
もう少し、研究を重ねた方がいいのではないだろうか。
そして第二の疑問だが。
これは、はっきり言って、今作中で最大の問題点でもある。
……あの。いつからこれってホモゲーになったんでしょうか。
パッケージには一切そんなこと書かれてませんが。
ってくらい、主人公と親友である修二の仲が怪しすぎ。
女性陣だって皆かわいいし、好感の持てるキャラ造形であるのに、修二の影に隠れてまったく精彩を欠いている有様。
全シナリオ中、この二人の会話シーンが大部分じゃないかと思われるくらい二人セットの印象が強く、あるエンディングでは、(ネタバレ危険→)精神を侵され眠り続ける修二の側にずっと付き添う主人公、という、いわば究極の「修二エンド」があり、
お前らそれは「親友」の範疇を超えてるんじゃー!!
と激しくツッコミ入れたい気分です。
その修二関連のエピソードにしても、なぜ彼が他のプレイヤーを狩る側に回ったのか、本来なら反目するような人物と手を組むようになったのか、肝心の謎の部分が放置されており、あらゆる面で中途半端な印象が強い。
とにかく、今作は意表を突こうと試みた趣向が、すべて裏目に出てしまっているという悲しい結果に。
新規ブランド第1作目だったのだから、もっと冒険を避けて、手堅くまとめた方がよかったのではないだろうか。
というわけで、これは心からのお願いです。
コンシューマーに移植する前に完全版発売して下さい。
このままだと、寝覚めが悪くて仕方ありません。(ぐーすか寝てますが)