機神飛翔デモンベイン

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
基本部分 8
ACT部分-2
82★★★

※この作品は非18禁ですが、「斬魔大聖デモンベイン」の続編にあたるため、こちらに分類しました。
ちなみに、前作のプレイは必須。最低でもアルトゥルーEDをクリアしていないと、内容が理解できません。

「斬魔大聖デモンベイン」=「機神咆吼デモンベイン」の続編にあたる今作。
前作のアルトゥルーED後の世界観を継承し、デモンベインをプレイヤーが実際に動かせるということで、鳴り物入りで登場したわけだが。
フルポリンゴンモデルをリアルタイムで動かす作品のため、当然、相当のマシンスペックを要される上、18禁ではなく、一般作品として発売、と判明した時点から、嫌な予感は拭い去れずにいた。
正直言って、ニトロ作品って、メーカー自身が思っているほどには、変わったシステムを搭載した作品の評価は高くないと思っていたので。

案の定、嫌な予感は大当たり。
シナリオに関してはさすがの出来栄え。燃えも萌えも笑いもふんだんに盛り込まれた、前作に恥じないレベルのものを出してきたのに対し、最大の売りであったはずの格闘パートはもうボロボロ。
はっきり言って、格闘要素は全部取り除いて、4~5千円台のファンディスクか外伝として売り出してほしかった。
それならば、手放しで良作と褒められたのに。
とにかく、操作性とレスポンスの悪さが、納得しがたい難易度の高さを引き起こしている。私は最初、ノーマルで始めたが、すぐに断念してイージーにチェンジした。
ノーマルではおそらく、いつまで経ってもクリアできない。

そもそも、基本的なACTとしてのバランスがまるでなっていない。デバッガー陣が異常にACTスキルが高いのか、それとも
一般レベルを誤解しているのかは定かではないが、このバランスでは、慣れる前に嫌になってしまう。
そりゃあ、私はACTはどちらかと言えば苦手分野だ。ただ、ゲーマーとして年季は入っているので、決して上手くはないが、
ド下手クソというわけでもない。
一般的に難易度が高いと言われる作品だって、それなりにクリアしてきている。
だが、そんな経験値などまるで役に立たない、極悪な操作性とバランス。
何より、3D格闘ゲームだというのに、相手との距離感がかなり掴みづらい
おかげで攻撃は当たらないし、回避できたつもりでも、そうでないこともしばしば。
キャラの動き自体は実になめらかで、処理落ちもなく、家庭用PCでこれだけ動かせれば合格というラインを大きく凌駕している。
しかし、肝心のキーレスポンスが鈍く、コマンドもやたらと細かく煩雑に分けられているため、ACTの醍醐味である爽快感を
まるで味わえない。
結果的に、戦闘に負ける→コンティニュー→シナリオが進まない、という、悪しきスパイラルに陥ってしまう。
ゲーム性以外の点では、どの要素もほとんど文句のつけようがないレベルに仕上がっているため、この点が惜しまれてならない。

これは、「ニトロウォーズ」や「戒厳聖都」を遊んでみて感じたのだが(いずれも「サバト鍋」収録)、ひょっとしてこのメーカー、
プレイヤーの忍耐力や能力を過信してるのではと思う。
手触りといい、難易度といい、どれもこれも決して一般向きとは言えないレベルなのに、それを改善するパッチなども出てこないし、これくらいなら普通にクリアできる、と思われているのではないだろうか。
この温度差が、今作にも如実に反映されてしまったため、実に残念な結果に終わってしまったのだが。
(※なお、現在公式サイトでバランス調整パッチ配布中)

先ほども少し書いたが、ゲーム性さえ除けば、他の要素はメーカーの名に恥じないさすがの仕上がり。
グラフィックは質量共に申し分なく、お得意の3DCGも、実に違和感なく溶け込んでいる。
所々挿入されるムービーも高いクオリティを維持しており、特に、格闘パートでの必殺技を決める際の演出は、ド派手で見ごたえも充分。
「デモンベイン」といえば多数のボーカル曲が存在するが、それを要所要所のシーンで惜しみなく投入し、さらにお馴染みの
BGMに加え、雰囲気バッチリの新曲ももちろん登場して、嫌が応にも盛り上がる。
基本的な足回りはいつも通りで、ゲームを進める上で、まったく支障がない。

シナリオは当然、前作に引き続き鋼屋ジン氏。
自ら生み出した作品世界を少しも損なうことなく、さらなる飛躍を感じさせるものであり、大変満足。
ルビを多用した、相変わらずの畳みかけ表記が、やはり人によっては好き嫌いが分かれるだろうが、それでも、ここまで王道的な構造をした物語を、ちっとも飽きさせずに一気呵成にエンディングへと持ち込む手腕はすごい。
また、前作でもそうだったが、広げた風呂敷の畳み方が実に鮮やかで、今作のEDも、「真・デモンベイントゥルーエンド」とでも言うべきものとなっており、前作プレイヤーは必見。
「荒唐無稽」や「ご都合主義」という批判を、物語自体のネタとして取り込んでしまうという力技を駆使し、さらには、メディア
ミックス展開された小説の内容をも包含し、相当無茶をしてるのに無理がない。
続編としての位置付けや展開に、有無を言わせず、疑問を抱かせないのだ。
また今作は、前作ほどの中だるみがなく、かといって性急過ぎることもなく、シナリオ自体は実に無駄のない、スマートで洗練されたものに仕上がっていると思う。

だから、本来なら中編ほどもないこの話を、単品で一作品にしてしまおうという企画自体が無理なのだ。
「デモンベイン」はニトロの代表作の一つであり、メーカーにとってもある程度のペイを見込める貴重な作品のはずだ。
それを、こういう売り方で評判を下げてしまうのは非常にもったいない。
もしコンシューマーに移植するのであれば、格闘パートは最初から見直しを図った方がいいと思う。

前作が非常に良作だったからこそ残念だったし、ここ最近のニトロの低迷ぶりを、「デモベ」なら何とかしてくれるんじゃないだろうかと思っていたから、そして、格闘パート以外は期待以上の出来だったから、余計に惜しいと思う。
「デモンベイン」の世界観がたまらなく好きな人、鋼屋ジン氏のファンにはお勧め。
本当ならこのシナリオ、前作プレイ者には問答無用でやってほしいのだが、格闘パートがそれを阻むため、「短い、高い、
めんどくさい」を克服する覚悟を決めた人のみ。