1  |  2  | All pages

つくとり

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
56★★

たかだか10時間もあればクリアできそうな今作を、長々と1週間以上かけて半死半生でクリアした。
最初こそ興味深くプレイしていたのだが、あまりにもツッコむところが多すぎ、途中からメモを取るのも面倒に。
かと言って笑いに転化できるほどの突き抜け感もなく、ひたすら襲い来る睡魔と倦怠感とに立ち向かった1週間。
途中で何度、「もう、ゴールしてもいいよね」(C)AIR と諦めかけたことか。
今作を説明するなら、「Win98が全盛の頃に、ラノベの新人賞一次審査で落ちた小説を元に作ったエロゲー」。
無駄と稚拙がよくない相乗効果を生み出し、今どきこれはないだろう、という古くさいパターンのゲームを作り上げている。

今作は選択肢がなく、序章後、前後編に分けられたシナリオをすべて読み終えると最終編が発生する仕組み。
個人的には、どうせ選択肢をなくすのであればノベル形式にしてほしかった。
数行しか表示されないテキストを延々とクリックし続けるのは苦行でしかない。
それに、ゲーム最大の魅力であるインタラクティブ性を犠牲にするのであれば、それにふさわしいだけの盛り上がりを見せてくれなくては。
なまじ高い金を払って、「電脳紙芝居」形式の作品を買うからには、相応の満足感くらいほしいと願ってもバチは当たらないと思うが。
とにかく作品全体が非常に安っぽく、あらかじめワゴンセール用に作られた粗製品のような印象を受けた。

さて、まずは絵。
私は基本的に絵はさほど重視しないタイプなのだが、さすがにこれは破滅的にダメだ。
シナリオとキャラクターデザインがあまりにも合っていなさすぎる。
原画は、「ブギーポップは笑わない」の挿画で有名な緒方剛志氏だが、他作品の絵と今作との間には暗くて深い溝がある。
どのキャラ絵・一枚絵にもやる気がまったく感じられず、ボリューム的にもずいぶんと寂しいのだ。
本当にシナリオ読んだ? と尋ねたくなるほどミスマッチで死んでいるキャラたち。
当然、そんな原画に意気など感じられないだろう塗りも冴えないまま。
だから、大した枚数もないそれが表示されても、まったく心を動かされることなどない。むしろ悲しくなる。

おまけに立ち絵もほとんどない。今どき、ここまで立ち絵を簡略化する作品など見たことがない。
おかげで、シナリオと整合性のない、またはミスマッチなシーンが多発し、これだけでげんなりさせられる。
背景にも乏しく、しかも質もあまり高くないとあっては、原画と立ち絵のまずさをフォローしようもない。
結果として、ビジュアル面の不備のせいでシナリオに水を差すことが多かった。
決してこの点は重視していなかったはずなのに、まさか足を引っ張られることになるとは。
やはり作品とは総合力だ。

音楽は可もなく不可もなく。OPはさすがに多少は良かったが、他は有象無象のレベル。
無音の箇所が多いのが気になるが、そもそも、楽曲のレベル自体は大したことがないのでさほどマイナスにはならない。
むしろCVがまずい。これはかなり大きい減点要素。
ここ最近、こうまで外したキャストを繰り出してくる作品に当たったことがなかったので、全力で椅子からずり落ちた。
ルルが犯罪級にダメだ。棒読み丸出し。素人臭すぎる。
他のザコキャラにならともかく、キーパーソンにこんなキャスティングをしてしまったのは予算の都合ですか?
しかも、一部主要女性キャラのみがボイス有りという仕様になっていて、彼女らに引けを取らない他のキーパーソンにすら声がないのが残念。
いっそのこと、こんな失敗したキャストなら、中途半端にボイスなど付けなければよかったとさえ思える。

演出とシステムには突出したところはない。
淡々と提示されたルートを辿るだけの作品なので、高度なシステムなど必要ないのは確かなのだが。
だが、かゆいところにはまったく手が届かない、愚直なだけの作りであることは否めない。
読むだけのシステムであるのに、まさかホイールによるメッセージ送りができないとは思わなかった。
今どきホイール付いてないマウス使ってる人、ほとんどいないと思うよ?
エンジンは椎名里緒だし、同エンジンを搭載している他作品(cx.あやかしびと)では普通に機能しているのになぜ?
どうもこの作品、各ポイントのあらゆる難が、どれもこれもシナリオへの集中を妨げようとしているように思えてならないのですが。

さて、肝心のシナリオだが。
正直言って、非常に肩すかしでがっかりした。OHPやパッケージから連想される正統派の和風サスペンス、狂気と戦慄で彩られる陰惨な物語を楽しみにしていたのに、いざ蓋を開けてみたら、しくじったライトノベルとしか言えない出来。
しかも、ストーリーの合間合間に、決して少なくはない量のギャグが入ってくる。
それだって笑えるならまだいい。笑えないギャグなど、飲食店のゴキブリほどに始末に負えない。

シナリオがダメである理由は数多くあるのだが、何と言っても設定・展開に無理がありすぎること。
今作のような、常軌を逸した閉鎖空間を演出するには、どんなエピソードを用いても許されると勘違いしている節がある。
プレイヤーがフィクションであることを忘れるくらいゾッとしたり驚いたりするには、ある程度のリアリティが絶対に必要。
それがどんなに荒唐無稽なSFやファンタジーであろうとも。
その、物語を展開するにあたって最低限必要なはずのリアリティがなさすぎて、興ざめすることが多い。

たまたま電車で乗り合わせた氏素性も分からない人間を、警察官が公務に同行させるものか。おい、守秘義務は?
そういう設定の小説やマンガは確かに多いが、それらは少しでも受け手が納得に足る裏付けをしているからであって、いきなり冒頭からそんな立場(しかも理由などない)を押しつけられたプレイヤーは呆気にとられるしかない。
そもそも、そんな無理強いをしてくる上に、口を開けば初対面の相手にくだらないギャグばかり連発する刑事キャラを、主人公がきちんとした警官として認識し、信用する方がどうかしてる。
この時点で、主人公の知能ランクは低能であると認定。それに伴い、この先の苦痛もある程度予測できる羽目に。

また、会うキャラ会うキャラが次から次へと同じボケをかまし、もはやツッコむ気すら失せる。
この村には、ツッコミを要しない人間は住んでいないのですか。全員、何かしらギャグに走らないとダメですか。
思ったよりもずっと明るくて楽しげな村デスね。もっと陰惨な雰囲気を期待していましたよ。そりゃもう、横溝ばりの。

うわー、水の中でしゃべれるなんて人外決定ですね。さすがつくとり様は違うわぁ。
あれ? じゃあ主人公はどうしてしゃべれるの?
物語の終盤、本来なら最高に盛り上がるであろう箇所で、頭から冷水を浴びせるような真似しないでください。

そういった、笑うに笑えない「地に足のついてなさ」が先へ進めば進むほどにボロボロと出現し、脳内は、起きてしまった事象を無理矢理納得するので精一杯。
物語にのめり込むだの集中だのできるレベルじゃない。
それに、エピソード自体が風呂敷をあまりにも広げすぎたせいで、それを扱いきれずにもがいている様がみっともない。
畳みきれない風呂敷を隠すために、その上からさらに大きい風呂敷で包もうとするのだが……の連続。
当然、物語がインフレを起こし、閉鎖空間で濃密に展開するはずだった因習と連続殺人の物語は、国をも揺るがす大ドタバタ劇へと変貌。
山の民や謎の宗教集団など、いかにもサブカル好みの設定を持ってきたまではよかったが、説明力もない上に「取って付けた」感が漂い、その消化不良っぷりが無惨。
結局、ライター自身が的を絞りきれていなかったせいで、数撃った矢が全部外れるという最悪の現象に。
いっそのこと、この手の設定をばっさりカットし、純粋に町内でのみ展開する物語にしてくれれば、もう少し据わりがよくなったはずだ。
多くのクローズドサークル物がきれいに着地できるのは、そうやって、人と場所を絞るからこそ。
全員が全員とも関係者、誰しもに裏の事情があるなんて設定、扱いきれるほどこのライターは敏腕ではない。

もう一つ。物語の展開もまずいが、日本語がまずい。あの伝説のPPのライター並みだ。
誤字脱字が異常に多く、表現もズレている。「焦げ臭い」を「据えた匂い」と表現する人、初めてですよ。
「掘の深い顔」ってどんな顔ですか。「満身創意」ってすごいね。超クリエイティブ。のっぽさん?
「検討ハズレ」って言い得て妙ですね。主人公の推理に対するライター自身のツッコミなんですか?
「弱みに漬け込む」ってどんな味の糠床?
何より、死体に対して「可愛そう」はないだろ。そもそも、「可愛そう」は造語だ。なぜ普通にひらがなで書かぬ?
それくらい、文筆業を生業とする者なら常識として身に付いているはずのものだろうが。

無頓着。文章を書くということに対してとにかく無頓着。無自覚。無責任。
単なる変換ミスはデバッグが足りなかったで済むだろうが(それだって作品としてはダメだ)、ここまでくると、明らかに書いたものを推敲もせず垂れ流しているとしか思えない。
少なくとも、「こんばんは」を「こんばんわ」と書く誤用を平気で繰り出してくるライターを、私は認めない。
「てにをは」も満足に使えませんか。小学校からやり直せ。
金を取って文章を読ませてるんだから、ある程度のレベルを求めるのは当然だ。
それがエロゲであろうがラノベであろうが純文学であろうが。
媒体など関係ない。それが文筆業のプライドというものじゃないのか。

一般的にはそこそこの高評価を得ているようだったので、期待を持って臨んだ結果、あえなく玉砕する羽目に。
そもそも評点の各ポイント全部がイマイチな上、ダメな部分が絶妙に合わさり、実にトホホな合体事故が発生。
一言で表現するなら、「安っぽい」。これに尽きる。
制作者の熱量がまるで伝わってこない。絵もシナリオもその他も。
「この手のジャンルは必ず釣られるファンも多いし、とりあえず狙っとけー」みたいなやっつけ仕事臭がして、稚拙だけれども魂込めて作った! という気合いがまるで感じられなかった。
(よく比較対象にされる「ひぐらしのなく頃に」には、それがひしひしと感じられる)
OHPには、「大変な困難を経て完成した」とあったのだが、それが何なのかは我々一般ユーザーには知るべくもない。
ただ、失礼を承知で言わせてもらえば、「本当なの?」と疑いたくもなるのですよ。
水中で会話が成り立つ超人類が横行する、現代日本を舞台にしたはずの超物語を読まされた身としては。
こういうトンデモ作品が、ユーザーのジャンル離れを起こす一因になっているということに気付いてほしい。

ミステリが好きだから。サスペンスが好きだから。伝奇が好きだから。和風テイストが好きだから。
そう胸を張って言えるユーザーがまだいるのです。そういう人間から、これ以上、足場を削り取らないでください。
そしてそういうネタを扱いたいと思っているクリエイターの方々。
その手に持っているのは、足場を補強する釘か、ぶった切るノコギリかをちゃんと見極めて作品を出してください。
それだけが、私の望みです。

PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
59★★

いやあ、素晴らしい。
私はかなり気が短く、ストライクゾーンも狭い方なので、好みに合わない作品はこれまでも数限りなく存在したが、ダメさのあまり爆笑を誘った作品はこれが初めてだと思う。
もうね、笑うしかないのですよ。
プレイ中、レビュー用に気付いたことをメモしているのだが、まさか中盤にもならないうちに、ツッコミだけで丸々一ページ埋まってしまうなると。
侘び・寂びが昇華すると「軽み」となるわけだが、(゚Д゚)ポカーンと怒りが転じれば笑いになるということを発見しました。

そこそこの評価を得、コンシューマーにも移植された処女作、「カルタグラ」
その、とりあえずは順調な滑り出しを果たしたInnocent Greyの二作目である今作は、前作と同じく昭和初期を舞台にした「スタイリッシュミステリィAVG」。
前作の雰囲気は抜群に良かったし、何より杉菜水姫氏の原画は大好き、音楽もその道で定評のあるLittleWingが担当。
まあ、よっぽどのことがなければ安全牌かな? などとたわけた考えをしていた私はまだまだ甘ちゃんでした。
この業界、どこで何がどうなるか、なかなか読めないよね!(血涙)
まさか、前作で酷評したシナリオに輪をかけて凄まじいものが出てくるとは。
己の修行不足を痛感したよ。

とりあえず、シナリオ以外は安定の一言。
絵は相変わらず素晴らしいクオリティ。女の子はかわいいし、ボリュームも申し分ない。殺害シーンですら美しい
エロゲにありがちなけばけばしい毒々しさはなく、落ち着いた絵柄と色彩で、それが作品世界ととてもマッチしている。
立ち絵の数はさほどでもないが、表情はくるくると変わって物足りなさはあまりなかった。
当然、背景も大変美しく、細部に手抜きのない、きっちりとした仕事。

今作の売りの一つである音楽も、当然レベルが高い。
私はジャズに関しての造詣がまったくないので詳しいことは分からないのだが、どれも耳触りよく、特に挿入歌の出来は相当のもの。
こんな曲が、まだダメさ加減のさほど発露していないプロローグでかかっちゃうんだから、そりゃあ期待を持っちゃうってもんでしょう、お客さん?(そしてほどなく轟沈する羽目になったのだが)
キャストは主人公以外は問題なし。
主人公だけはどうもいまいち合っていない気がするのだが、これはセリフが陳腐すぎるからかもしれない。
ちなみに、一番合ってたのはたこ焼き屋のオヤジ。なぜこんなところに力を入れる、Innocent Grey。

システムは可もなく不可もなく。前作とまったく変わらない。
ただ、今作は描画や音声再生にもたつきがあったため、どうも鈍重な印象が拭えない。
スキップ自体は高速なのだが、共通パートが多すぎるため、結果的にずーっとスキップ状態という箇所が頻出し、あまり
速さを体感できなかったせいもある。
こういうシナリオにするのであれば、すでにいくつかのメーカーで取り入れられているシーンスキップ機能を実装すべき
ではないだろうか。
また、細かいがどうしても気になるのが、ルビがカタカナなこと。読みづらいことこの上ない。
日本語はひらがなが基本です。訓読みするものにまでカタカナを振るのは疑問。

前作では好印象だった演出も、今回はシナリオのダメさ加減のせいで、完全に空回りしてしまっている。
見せ方はとても好みなのだが、いかんせんウインドウに表示されるメッセージがあまりにも野暮ったく、作品が謳っている
「スタイリッシュ」とは大きく乖離しすぎていて、それだけでげんなりしてしまうのだ。
AVGの主体は何と言ってもテキストにあるのだから、お願いだからライターはもっと気を使ってほしい。

さて、この怒りっぽい私ですら怒りを通り越して、思わず爆笑してしまったトンデモシナリオ。
主人公の空気っぷりは、間抜けで腑抜けでヘタレだった前作をも軽く凌駕しました。
(詳しくは「カルタグラ」レビュー参照)

もうすっごいです。この主人公、何もしません。
事件に巻き込まれてからというもの、引きこもり→酒浸り→女と寝る→どん底→引きこもりの周回コース。
口を開けば、「チッ――」「フッ――」「五月蝿えよ」のどれか。
ちなみに、これほど顔をひっぱたかれる主人公も見たことありません。
幼なじみに殴られ、怪しい組織の女幹部に殴られ、数十分に一回は殴られる効果音を聞いた気がする。
いや、こんなヘタレ、ボコボコに殴られて当然なんだが。
挙げ句の果てに、シナリオ終盤で敵のボスに立ち向かおうとしたところ、脇キャラに「お前の敵う相手じゃない」と、あっさり役立たず宣言されてお役御免に。
肝心のおいしい役どころを脇キャラにとられた挙げ句、その立ち回りをヒロインとポカーンと眺める主人公。
前代未聞の空気っぷりです。むしろ存在意義ゼロ。ていうか、いないところで勝手に話が進むんですが、このシナリオ。
これ、主人公の一人称視点はない方が物語としてまとまりがいいんじゃないのか。

おまけに今回のヒロインときたら、「明るく前向きでちょっとドジっ娘、一生懸命で健気」……ってあれ?
お前、前作で私にメッタ切りにされたヒロインとまったく同造形やないけ!
しかも、こんな頭の悪いヒロインにいともたやすくコロリとまいってしまう主人公。頭の中身まで空気か。

ミステリとして? そもそも破綻しているものを論じることなどできませんよ。
誰が頭を悩ますでもなく、フーダニット・ハウダニット・ホワイダニットのすべてが、序盤から唐突に登場してきたキャラによって全部ぺらぺらと語られてしまうのだから。
これなら、重度の反則を犯していたとはいえ、前作の方がいくらかまともなミステリだった。少なくとも体裁上は。

凶器が常人の理解の範疇を超える代物であるのはいい。それがきちんと説明されるなら。
動機が余人の与り知らぬところによるものでもいい。それによって犯人の怪物性がより鮮やかになるであろうから。
だが、この二つをミックスして、危険な化学反応を起こすのだけはやめてください。ウフフアハハ、ミステリファンなめんなよ。
まるで、物語ど真ん中に差し掛かったところで、いきなり解答編が登場する乱丁本みたいだ。

とにかくシナリオ全体に行き当たりばったり感が漂い、素材の扱いも非常にお粗末。
昭和十一年、二・二六事件が起こった年の夏というのだから、翌年には日中戦争が始まろうかという時代設定だ。
そんな頃、酒(特に洋酒)はかなり高級品であるはずなのに、それをバカスカと惜しげもなくあおりまくる人物たち。
いくら馴染み客だろうと、考えられないだろうよ。
また、ライターの脳内でのみ既知情報となっている設定が、何の前触れもなく唐突に出てきて大した説明はなされない。
おまけに、あるルートクリア後に発生する真犯人の独白ルートでは、死んでいないはずの人間が死んでることになっている。
自分で書いたシナリオぐらい、自分で管理できんものか。ましてや、別に複雑に入り組んでいるわけではなく、ほとんど
一本道の、そこから派生するエピソードがちょこちょことあるだけの構造なのに。
どう考えても都合のいい部分だけをつなぎ合わせ、思いつきで書いているとしか思えない。
だから、いきなりあさっての方向から、「実は私は――」とか「実は凶器は――」という突飛で唐突な展開がやってきて、
プレイヤーはただただ呆然。
何とかこのトンデモを理解しようと頑張っても、そんなこちらの努力を嘲笑うかのようにどんどん物語は進む。
せめてもっとキャラの掘り下げをしておくとか、伏線を張っておくとかならともかく、そういったものは一切なし。
肝心のラストをかっさらっていくキャラにしたって説明が薄く(そしてまずく)、突然現れて大立ち回りを演じ、とっとと退場
するという怒涛の意味不明展開となるため、置いてけぼりの主人公=ユーザーはポカーン。
そして、本編と真犯人の独白ルートを経て、さらに現れた最終ルート。


超・蛇足。


実は私がこの作品のシナリオで唯一評価したのが、(ネタバレ危険→)心を通わせたばかりのヒロインが、翌朝自分の隣りで死体となっているという、いかにも残酷でけれん味に満ちたエピソードだったのだが。
最終ルートではそれさえなかったことにされました。ご臨終。チーン。
しかも、ヒロインのセリフの端々に、(ネタバレ危険→)(自身は登場人物であるのに)他ルートの存在を認識しており、そこでは自分が殺されていることまで気付いてる記述が。
トンデモも ここまでくると 超越者(一句できた)
アホかー! おこがましくも「ミステリ」を名乗るのなら、せめて最後までそのプライドぐらい貫いたれや。
ここまで無節操にどうしようもない作品、本気でありえません。ウフフアハハ、ミステリファン、本気でなめんなよ。
もう、私が笑うしかないと評した理由がお分かりいただけるだろうか。

が、これまでこうして挙げてきたすべての点に目をつぶっても、これさえ直してくれるならもうそれでいいと思えるほどの
最強最大の欠点がこの作品には存在するのです。


日本語の用法がめちゃくちゃです。小学校からやり直せ。


いやしくもシナリオライターという文筆業に類する人間が、こんな基礎すら無視した日本語表記を読ませるということは、プレイヤーに対する冒涜としか思えない。
それで特別な効果を上げているならともかく、上がっていくのは血圧と怒りゲージのみ。
すでに私のリミットゲージはとっくにブレイクして爆笑までいってしまったわけだが。

まず、何のヒネリも工夫もない、同じ表現の使い回し。酒場においては、「氷が爆ぜた」「氷が爆ぜた」「氷が爆ぜた」。
別に炭酸入りの酒を飲んでるわけでもないのに、氷爆ぜすぎだよ。ドンパッチか?
主人公のセリフは、「チッ――」「フッ――」「五月蝿えよ」。うるさいのはそれをわざわざ漢字表記で連発するお前だ。

やたらと多用されるダッシュと三点リーダ。しかもそのほとんどが、一つの文中で二つを併用している有様。
「――五月蝿えよ……」「……五月蝿えよ――」
この二つの違いを、誰か私に教えてください。国語は得意科目でしたが、作者の心情をまったく忖度できません。

そして、形式名詞、補助動詞をことごとく漢字表記としている誤用
「旨く行く」「という物は」「~して見た」「ぼった来る」等々、挙げればきりがない。
一、二箇所ならIMEの変換ミスや単なるチェック漏れで済むだろうが、すべてにおいてこの表記となると、ライターは単に無頓着というよりも、それが正しいと思って使用しているとしか考えられないのですが。

そんな表記ありえません。何で普通にひらがな使えんのだ。今どき、二次創作の書き手だってもっと気を遣ってるぞ。
今まで数々の作品をプレイしてきたが、ここまで壊滅的な日本語の使い手はいなかった。かの有名な「感感俺俺」だって、全体的にはこれよりもうちょっとマシだったよ。
もうこのライター、私の中では「キング・オブ・日本語の破壊者」決定。
ゲームも後半に入ると、次はどんな珍表記が現れるかと心待ちにしてしまうほどひどい狂いっぷりに、私が笑うしかないと
評した理由が以下略。

以上、二作目にして素晴らしいコケっぷりを披露してくれたわけだが、シナリオ以外の作品雰囲気は本当に良いので、あまり深いことを気にしない人なら特攻してもいいかもしれない。
要するに、このブランドに言いたいのは、「まともなシナリオライターを可及的速やかに登用すべし」ということだ。
せっかくの絵も音楽もこれでは台無し。この二つは業界でもトップクラスであると思うだけに、余計に惜しい。
この点を解決しないままでは、次作から確実に行き詰ることになると思うので、消えた有象無象ブランドとならぬよう、総力を
結して取り組んでください。
私はここの作品の雰囲気はかなり好みなので、できれば消えてほしくない。だからこれは真剣なお願い。
あと、あまりにも笑いすぎて心底悲しくなったので、もう笑える作品はいいです。……決して二度目があると思うなよ

マブラヴ

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
101055

もう知らない人はほとんどいないはずだから、最初から断言する。

このゲーム、完結してません
そして、発売日当日に続編とおぼしき「マブラヴ オルタネイティブ」が発表された、という問題作。

本来なら完結していない作品など評価対象外なのだが、よりにもよってメーカー自身が、

「マブラヴは単独で完結している作品であり、オルタネイティブは続編というわけではなく、別エンドや別ルートのような存在に当たる」

死刑執行書に自らサインをしたも同然の公式発表を出したので、当方もそのつもりで評価させていただきます。

「君が望む永遠」で一躍トップブランドに躍り出、多くのユーザーが心待ちにしていた今作。
「超王道学園恋愛AVG」と銘打ち、鳴り物入りで発売されたまではよかったが。

まず、学園パートの「エクストラ編」。
これが王道だとは片腹痛い。製作者は王道の意味を取り違えてるとしか思えない。
そもそも、王道の面白さというのは骨格がしっかりしてこそ生きてくるものだ。
その、肝心の骨格を形成するべきキャラ造形からして失敗している。

個性的にしようとしていじくり回した挙げ句、結局没個性になってしまった感が拭えないヒロイン達。
確かに一部キャラを除いて、登場人物のほとんどはハイテンション。突き抜けた行動も多く、それを笑いに消化させようとしている思惑も分かる。
が、分かるだけ。それで笑えるかと言えば全然笑えない。
おまけにキャラそれぞれがやたらと自分勝手で、しかも何だかんだと破綻した理屈を押し付けてくるもんだから、当然18歳以上の年齢と経験を兼ね備えている(はずの)プレイヤーとしては、「このガキムカつく」という思いが先に立ってしまい、どうにも乗りきれないのだ。

結果、王道と言うくらいだから、ある程度分かりきったギャグや展開なので笑うことができず、ヒロインが悩んでいても、「どうせ勝手な理屈こねて納得できない方向に行っちゃうんだろう」と半ば諦めつつプレイすることになり、全然世界観に入れ込めないままぼへーっと進行してしまう。
かように、王道物であるべき姿の、先が読めるがゆえの「くるぞ、くるぞ」といった期待感が薄い上に、その上を滑って行ってしまうのだから始末が悪い。

ストーリーはぶっちゃけ「ラブひな」。
今どき「落ち物」(ある日突然主人公と女の子が同居することになる設定の作品の総称)なんて珍しくも何ともないし、だからこその王道、というにはシナリオに力がなさすぎる。
5人もヒロインがいるのに、共通ルートが多すぎて再プレイが面倒だし、しかもヒロインごとの個別ルートにも特に印象深いエピソードが皆無。
学園物らしく主人公との掛け合いに多数のキャラが参加するが、これが賑やかというよりはだんだんうざくなってくる。
いつもガチャガチャゴチャゴチャと騒ぎ立てる芸人が面白くないのと同様に、緩急のテンポがないのだ。

こうした展開のせいで、勢いはあるものの空振りしている感が否めない。
各ヒロインのルートをクリアしても、達成感より徒労感の方がつきまとう。
盛り上がりのない、それなのに長丁場のゲームってのはかなり辛い。(ex.ハロワ

誤解なきように言っておくと、このゲーム、シナリオ以外の出来は本当に素晴らしい。
高スペックマシンに限定されるが、システムは考えられる必要な機能+αをすべて網羅し、かつ安定しているし、そこから繰り出される演出の数々は他に類を見ない出来映え。
システム・演出だけを評価するなら、現在業界トップレベルなんじゃなかろうか。
キャラは所狭しとくるくる動き回り、画面は拡大縮小自在に変化し、登場人物の吐く息まで白い。
見ていて飽きさせない画面効果は圧巻の一言。が、演出効果をオフにできないのは再プレイ時にちょっと困った。

音楽も一部流用があるようだが、ほぼすべてシーン各所にマッチしており、特に主題歌の力の入りようはすごい。
聞いていて耳触りの良い、それでいてゲーム本編の邪魔をしないきっちりした仕事だし、ボイスもはずしたキャスティングがなく、安心して聞いていられるレベル。
CGも、キャラデザインについては各自好みが別れるであろうが、基本的には万人向け。
塗りが雑だったり、手を抜かれていたりするところもなく、多少エロが薄い以外はすべてにおいて丁寧な作り。

だが、ここで当レビューの一番上を見ていただきたい。
絵8、音楽8、システム10、演出10、未だかつてこれほどまで高アベレージの評点を付けたゲームはない。
それでも総合評価が55ってどういうこと!? と疑問に思う諸氏も多いかと思う。
そのほとんどすべての元凶が、以下挙げていく「アンリミテッド編」に集約される。

「超学園恋愛AVG」だったはずの本作に、突如現れたパラレルワールドシナリオ「アンリミテッド編」。
そういう隠し球を持っていたことは別に構わない。そんなゲーム、他にいくらだってある。
問題は、それが、

完結していない&オリジナリティ皆無

だということだ。
多くのレビューサイトで語られていることなので本当に今更だが、はっきり言ってこのシナリオ、

まんま「ガンパレード・マーチ」

人死にも、戦争の生々しさも、まるで救いのない厳然たる現実も持ち合わせない、出来損ないのガンパレだけれども。

エクストラ編とはうって変わってシリアスに、熱く進もうとする本編。
だが、ガンパレが内包していたすべての破壊力をどこかに置いてきてしまったような、こんな気の抜けたシナリオでは、説得力などない、ただのお話に成り下がっている。
それでもいくつかはオリジナルの謎があるので、その解明を求めてラストへ辿り着いたプレイヤーを待つものは。

誰も予測しなかったであろう、まるで打ち切りかのような唐突なエンディング。
しかも、どのヒロインを選んでも、そのエンディングは変わるところなく全員まったく同じ。
もちろん、伏線の回収どころかまともに納得できる解決すら迎えていない。
例えて言うなら、推理小説で「犯人は貴方です」と指摘された場面で、次のページをめくらないと犯人がまだ分からない状態に酷似している。
そして、その次のページは破られていて新たに本を購入しなければ読めないのだ。

こんなバカらしいことってあるだろうか。
そもそもパラレルワールドを持ち出すからには、元の世界との整合性をどう取るかが謎の主軸となってくる。
その解決や何もかもを放ったらかしにしておいて、次作は「続編ではない」と言い切る鉄面皮ぶり。
ユーザーの大半が怒るのも無理はない。

続編でないならそれでもいい。それなら、このエンディングは納得できないので、この点数は変わらない。
いや、やはり続編だったというのなら、あまりユーザーをなめるな、という意味でこの点数は変えられない。

こんな中途半端なルートを作ってしまうのなら、いっそのことこれをばっさりカットし、その分の余力をエクストラ編のブラッシュアップに回した方がずっと良い作品ができたし、次作のためにもなったはずだ。
そうすれば、例え次作が発売日同時発表となっても、非難よりも期待値の方が高まったはずなのに。

すべてにおいて、中途半端と失敗という印象が拭えない、何とも無惨な大作。
未購入の人はもう少し待った方が無難。絶対、次作が出てから全部入った「完全版」とか出そうな気がするから。

 1  |  2  | All pages