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鬼畜眼鏡

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
68★★

注! このゲームはボーイズラブゲームです。ホモゲーに免疫ない方は近寄らないように!

鬼畜→わりと好きです。
眼鏡→死ぬほど好きです。
リーマン→鼻血吹くほど大好物です。

だから、主人公始め登場人物の半数以上がリーマン、おまけに鬼畜+眼鏡となればプレイ前からトキメキ度MAX、とばかりに張り切って挑んだ今作だったが。

あーえーっと、2007年発売作品の中で、多くの姐さん方が年間ベストに挙げているのを承知で申しますが。
まったく萌えない上にちっとも盛り上がりませんでした。あたいのトキメキを返せ! 返せよぅ!!
その理由は色々あるが、一番大きなものとしては、すべての面においてステレオタイプ、お約束に過ぎること。
つまり、安定はしているが特筆すべきところもない。未知の作品に触れたときの驚きや新鮮味がまったくないのだ。
安定ゆえの面白さに繋がる作品も確かにあるが、今作は安定ゆえの単調さを引き起こしてしまっている。
所々プラス面もあるにはあったのだが、それが全体的なマイナスを上回ることはとうとうなかった。

まず絵。原画はわりと好きなタイプの絵だが、塗りが安定していない箇所が散見される。
差分を除いてもかなりの枚数があるのでそれを仕上げるのは大変なのだろうが、その落差があまりにも激しい。
基本的には原画のトーンを生かした淡い色彩がマッチしているのに、一部ではベターっとしたアニメ塗り。
開発が長期に渡ってしまった弊害なのか、絵柄が安定していない箇所もあり、違和感を感じた所も多かった。
立ち絵とCGではキャラが別人に見えるという失態もあり、なまじ絵が好みなだけにそこが非常に残念。
あと、すごーく細かくて申し訳ないが、御堂が休日の自室でもジャケットを羽織っていたりとか、あれっ? と思うようなビジュアルがあるのが惜しい。
受け手にフィクションを楽しませるには、そういう違和感を感じさせてはいけないと思うのですよ。
差分も多いし、キスマーク付きの立ち絵もあったりと、開発期間にふさわしいボリュームはあるので、その点は良いのだが。

システムは可もなく不可もなく。必要なものはだいたい揃っているが、それ以上でも以下でもない。
ただ、セーブの際にコメントが書き入れられないのがマイナス。
全31種類ものエンドを持つ今作、必然的にセーブを活用する回数は多い。
だがその際、コメントを入れられないのでは何が何だか分からなくなってしまう。完全に個人の記憶に頼るしかない。
それに、今どきホイールでの文字送りができないのも大きなマイナス。
一画面に表示される文字数の多いノベルゲーならともかく、細かいセリフごとに文字送りが発生するウィンドウタイプのAVGでは、何度もクリックするのは煩雑で面倒。
(オートモードはどうしてもタイミングが合わないので使用しない)
そういう、必要充分なのだが細かいところにはまったく手が届いていない、奥歯に物が挟まったような気分にさせられるシステム。

ビジュアルアーツ傘下であるので、エンジンはお馴染みのRealLive。実は個人的にはいまいち評価が低い。
今作でも、スキップが遅かったり場面の切り替えがもたついたり、どうももっさりとした印象が否めない。
(推奨スペックは超余裕で凌駕しています。念のため)
ならば表現力が豊かかというとまったくそういうこともなく、正直、一時代前のエンジンという感じ。
エフェクトの派手さがない分、カメラワークやカットイン等で見せ方を工夫するといったフォローもなく、エンジンの力不足に疑問を感じないのだろうな、と寂しくなる。
ゲームのアドバンテージであるべきこういった点を工夫しないのでは、ドラマCDやマンガの方がよっぽど手っ取り早くて安上がりだとしか思えないのですが。

音楽はテーマ曲以外、まったくもって没個性の代物。作品の邪魔をしない代わりに、作品を盛り上げもしない。
当然、耳に残るような名曲もないし、鳴ってるか鳴ってないかすらも気にならないレベル。
代わりにテーマ曲のレベルはハンパなく、さすがVA系、I'veのC.G mix氏を起用。
ダークな世界観の楽曲が、出来の良いOPムービーと共に作品を盛り上げる。
どうせなら、作中のBGMもI'veに発注すれば良かったのに。
声優陣は皆キャスティングも演技もはまっており、特に主人公役の平井達矢氏は大奮闘。
一人二役を、これを本当に同一人物がやっているのかと思えるほどがらりと変えて演じ分けています。すごい。

さて、シナリオですが。
基本的にエロシチュエーションがメインなリーマン系BLコミック、定価600円(税込)という印象です。
正直、今作に税込定価8,190円払うなら、ドラマCD3枚買うかBLコミック10冊くらい買った方がまし。
悪くはない。決して悪くはないけど、別段面白いわけじゃない。おまけにちっとも萌えない。

第一、リーマン物であるはずなのに、仕事エピソードのリアリティがなさすぎる
細かいこと言うなよと言われてもいい。OL歴十数年の私はそこが気になって気になって(×10)しょうがない。
物売る会社にも、開発→製造のラインを持つ工場にも勤めたことがあるが、本作のエピソードに関しては、「そりゃねーだろ」の連続ですがな。
あ、もしや外資だからか? さすがに外資には勤めたことがないから分からないけどne!
ともあれ、このシナリオライター氏は一般的な会社勤めの経験がないと思われますが。
今作のコンセプトに仕事エピソードは不可欠であるはずなのに、ディテールがまるでなってなくてそこでまず失笑。
これでは最初っからハマれるわけがないのですよ。

ユーザーは最初からフィクションだって分かって作品を手に取るのです。
だったらせめて、そこで上手に嘘を付いてほしい。興ざめさせないでほしいのです。
これは他作品のレビューで何度も書いていることだが、フィクションにも最低限のリアリティは必要。特に現代が舞台なら。
それがプレイヤーをうまく世界観に乗せるコツなのでは。

今作ではかなりの数のエンド数が用意されているが、最悪のバッドエンドが全部刺されて終わるケースなのもいただけない。
殺され方・殺し方に一家言持つ殺し愛愛好家としては、痴話ゲンカの末か恨みを買ってブスッ→デッドエンド、では酒のつまみにすらなりゃしません。
他のエンド・エピソードにしてもそうだが、全体的にバリエーションがなさすぎ
31種類もエンドがあるというのに、どれもこれも似たようなシチュエーションで単調。
おまけにエロにも差分があるため、CG回収のためいちいち同じシチュエーションを繰り返さねばならず、飽きて死亡確定。

ただ、鬼畜度合いのバランスは良い。基本的には言葉攻めメインなのもうれしい。
私は肉体的に痛い系・あまりにハードすぎるものは好きではないので、これくらいがちょうどよかった。
鬼畜初心者にも抵抗感なくプレイできるレベルだと思う。

ところで、今作の一番の問題点は。

「鬼畜眼鏡」というタイトルでありながら、鬼畜でも眼鏡でもない主人公受ルートがあるということなのですが。
こんなアホなタイトル(から連想されるシチュエーション)を好んで買うようなユーザーが、そんなルートを喜ぶだろうかということくらい、ちょっと考えれば3分で答えが出ませんか、普通?
攻だろ? このタイトルから連想される内容って主人公攻だろ? リバが最高に苦手&自分が攻じゃないと許せない私が、何のために今作をやったと思ってるんじゃ、spray!!
だいたい、「眼鏡をかける」って選択肢自体が必要ないだろ。「鬼畜眼鏡」なんだから。
それをシナリオの都合で、「かける」「はずす」を選ばなきゃならないって何ですか?
タイトルに騙されたユーザーに対する嫌がらせですか?
おまけに眼鏡かけっぱなしだと、鬼畜ゲージが真っ赤に振り切れるってどういうことですか。
「鬼畜眼鏡」なんだから眼鏡かけるでしょ。かけるべきだ。かけなければならない。
眼鏡を外したらバッドエンドだってならともかく、付けっぱなしはバッドエンド、付けなきゃ受ルートってのはあんまりです。
私にとってはいずれもデッドエンドに等しい所業だったのですが。

そういう、「ユーザーの欲する空気読めてない感」が今作にはあちこちに漂っていて、いちいちやる気が削がれる。
せっかくの直属の上司は無能な上に乙女チックでものの役にも立たない愚鈍な男だし。(それが一番腹が立つ)
同僚は脳みそまで筋肉のアホタレだし。
主人公は主人公で、眼鏡をかけていないと単なるヘタレのグズで蹴飛ばしたくなる性格してるし。
まともかと思われた嫌味なエリートはいきなり肉体関係強要してくる真性ホモだし。

ホモじゃない奴が紆余曲折の末、ホモ道に堕ちるところにこそBLの醍醐味があるんだろうが!(あくまで持論です)
最初っからホモな奴らがお手々繋いでウフフアハハなBLには萌えないんだよボケが!(だからあくまで持論です)

……と、そんな(私にとっては)トンチキキャラが右往左往している様を見ても楽しめるはずがないのです。
システムパートで前述したけれど、特筆するべき演出があるわけでもないし。

正直言って凡百。そもそも、ゲームである必然性が皆無です。
受攻が選べるくらいがせめてもの利点なのか。個人的には受ルートはまったく無用の長物でしかないのだが。
動きもしない、ゲーム性もない、シナリオはテンプレ。音楽は空気。
いいのは声優陣の熱演とテーマ曲、一部CGくらい。
エロゲなら、どこのレビューサイトでも取り上げてすらもらえないレベルでしかない、空気な作品でした。
むしろ、事前のこれだけの話題性に対してこの内容だったら、地雷扱いされても文句は言えないぞ。

BL、特にリーマン物が(たとえ嘘八百でリアリティの欠片がなくとも)好きで好きでたまらない、ついでにちょっぴり鬼畜で眼鏡キャラならなお良し、といった人にならお勧め。
ある意味、キャラ萌えにしか頼っていない、作品としての総合力は二の次でしかない、非常にBLらしいBLと言えるかも。

長靴をはいたデコ

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
67パロディに寛容なら
★★★

「デジタライズド・ゲームブック」と銘打った処女作、「蠅声の王」で業界に特異な地位を築いたLost Script。
今作は同システムを継承した第二弾となる。
だが、公式サイトの作品概要では本来ゲームブックと相性が良いはずのファンタジー的世界観とはまったく方向を違えており、いったいどんな手法でくるのかとまるで予想もできない状態だったのだが。

ああ、なるほど。
あえてメジャー路線から一本路地裏に入っちゃう作品ばかり作っている(※褒めてます)大槻涼樹氏らしい作品だと。
前作だって相当ニッチな作品だと思ってたのに、よりにもよってそれのはるか上を行ってしまっている今作、何というか非常に評価が難しい。
あらかじめ言っておくと私は普通に楽しめた。途中で飽きることもなかったしちゃんと面白かった。
しかし決して他人には勧めない(それがどんなに私と趣味が合う人にでも)し、良作・力作と認定することはできない。
それどころか、これを定価で買っていたらおそらく許さなかっただろうと思う。
(ちなみにげっちゅ屋で30%オフで購入しました)
定価で買うにはあまりにも粗がありすぎ、危険も大きすぎる。

絵とシナリオはパートによって2人の原画家に振り分けられる。
デコパートは原画が前作でもお馴染みのVanilla氏、脚本がうつろあくた氏。
ホストパートは原画が吉澤友章氏、脚本が大槻涼樹氏。
二つの物語が並行して進む今作では、メリハリをつける意味でもそれぞれ書き手を分けたことは正解。
だが率直に言って、原画はそれぞれ逆を担当した方がいいと思った。
わざとらしいアニメっぽさ(要するに「聖闘○星矢」っぽさ)を出そうとしているのだろうが、吉澤氏のこのキャラデザではあまりに濃すぎて腐女子は萌えないような気がする。
前作で思わぬところ(腐女子層)から人気が出たもんだから狙いどころは悪くなかったのだが、むしろ女性キャラの方が魅力的に描ける原画家だと思うので、どうもミスキャスト感が否めない。
各CGは製作が押していたせいかイマイチな出来のものが多いし、背景の時間差分すらない。
わざわざフルスクリーン推奨にしてまでビジュアル面を押し出しているようだが、可変ウインドウなんぞ珍しくも何ともない。
縦長のCGだったら、PC98時代から搭載してるとこはしてたぞ。
それよりだったら、1枚でも多く気合いの入ったCG(or差分)を用意してもらえた方がうれしいと思うが。

音楽はまあまあ。曲数は少ないが、どれも作品に合っているし問題ない。
が、明らかにOP「陽だまりのつくり方」より「ホスト☆聖夜」と「ドンペリ・ロマンティック」が奮っている。
前作でボーカル曲に関する不満を漏らしたが、今回は作品の尺のわりにずいぶんと大盤振る舞いをしてきたな、と感心。
ところで上記2曲を歌ってる、「CHERRY PINK BOYS」って誰よ?

演出は地味め。派手であればいいというものではないが、ここまで何もないとさすがにいささか寂しくなる。
作品の構成自体が大がかりな演出になっているのではあるが、ユーザーの目につきやすいキャッチーな売りに乏しいのだ。
何度も前のシナリオを繰り返すことのできるデコ編に比べ、ホスト編はそれができない等、後で仕掛けが判明してから膝を打つタイプの、渋い(有り体に言えば分かりづらい)演出に光るものはあるのだが。
つまり、(超ネタバレ!→)前者は「螺線(スパイラル)」、後者は「螺旋(へリックス)」であることを示している。それにしたって、公式サイトの作品紹介ですでにこれを記載しちゃってるとは、何という度胸のあるネタバレ。
でもこんなの、気付く人じゃないと気付けないと思う。そういう意味でも非常にニッチ。
本来なら、明らかに力を入れているはずのホストパートにOPムービーを入れるとか、そういう分かりやすい演出が必要なはず。
そういった、どこもかしこも中途半端・ユーザーおいてきぼりな感が漂い、突き抜けた面白さに繋がらない。
ぶっちゃけ、プロモーションである公式HPの更新が一番面白かった。悲しいことに。

システムの足回りは前作とほぼ同様。だが、スキップ未搭載というのはありえない。今どきどんな作品なのかと。
同一のセーブデータでない限り、アイテム・辞典等の継承がされないのもマイナス。
これ、人によってはバグだと思うのでは。
1000近いパラグラフの管理だけで相当な手間であるというのは分かるが、どうもいまいち、ユーザーに快適にプレイしてほしいという気構えが見えてこない。
作品とは単に面白ければいいってもんじゃない。ユーザーにとっては決して安くない金と、二度と戻らない時間を消費してプレイしてるんだから。

さて、メインであるゲームブックのシステムだが。
本作最大の売りが、今作最大の問題点になってしまいました。猛省を促します。
デバッグ中、これはヤバイと思わなかったのか。だとしたら、制作者はユーザーと感覚が完全にズレてるぞ。

このシナリオではゲームブック方式は弊害でしかなく、かえって作品をダメにしている。

直接パラグラフを入力することでいつでもどのエピソードへも飛べる、「ルート制限・フラグ管理」の利かないこのシステムでは、シナリオがぶつ切りになってしまい物語の連続性が失われてしまう。
だが、このシナリオはその連続性と並行性にこそ意味がある仕掛け。それがシステムという高位の存在によってぶった切られてしまってはもうどうしようもないのですが。
だから、前作のようなダンジョン探索型・バトル重視の、ストーリーよりパズル性・臨場感を重視した作品ならいざ知らず、シナリオ自体に仕掛けを盛り込んでしまった物語重視型の今作にはゲームブック方式は向いていないのだ。
せっかく前作で耳目を集めたゲームシステムを搭載しているにも係わらず、今作のみならず前作のユーザーをも切り捨てる覚悟の作り。
何でおとなしく続編にしてくれなかったんだ。冒険するにもほどがある。

また、構造自体は非常に面白いシナリオであったものの、随所に溢れまくるパロディがそれを素直に評価させてくれない。
私は車田ネタもパロディも好きだし、大いに笑った箇所もあるのでまだいいが、正直言って度を超していると思う。
これと同じ構造のシナリオを、完全オリジナルの、笑いを極力排したネタでやられてたらかなりの好印象だっただろうに、遊び心が過ぎたせいで、単なるトンデモ展開としか思えなくなってしまったのが残念。
そして悪いことに一発ネタであるので、次からは二度と使えない。

「笑い」を武器にするということは、己が真剣な局面でさえも笑いとして捉えられてしまう危険性を秘めている。
そして笑いは、度が過ぎれば鼻についてうざいものでしかなくなってしまう。
その危うさを承知の上での冒険であるなら仕方がないが、今作に関しては、火遊びしていて家が全焼、というレベルな気がするのですが。

複数のシナリオライターで物語を構成すれば、各担当パートごとに齟齬が生じたり筆力の違いが気になったりするものだが、今作はどちらも均整が取れていてそこは非常にありがたかった。
ライターごとに落差がある作品というのは本当にトホホなので。
ただ、筆力は拮抗しているが、詰めの甘さも拮抗してるのは大問題。
最後があまりにも駆け足すぎ。細部の処理が適当すぎ。
デコ編は全体的に起伏に乏しく、事件が起こっても淡々としすぎる印象。(これは演出かもしれないが)
ホスト編は常に起伏に富んではいるが、文中で同じ表現を使いすぎているのが目につく。「とまれ」多用しすぎだよ。

以上、非常に手厳しいことばかり書いたが、二作目に期待していただけに落胆も大きかったというのが事実。
本来なら一発屋かどうかを見定められる重要な立ち位置であるはずの今作で、こんな体を張った暴挙に出た度胸は買おうとも思ったが。
ただ、1作ごとに存続がかかっているはずの体力に余地のないメーカーが、こんな危険を冒してはいけない。
確かに、このニッチな作風を好むユーザーしかついていかないタイプのメーカーではあろうが、一見さんお断りの雰囲気を出すのは10年早いと言わせてもらおう。
以降のユーザーを選別するという意味では正しいチョイスだと思うが、そんな余裕かましてる場合か? と余計な心配をしてしまう。
少なくとも公式サイトを見る限り、そんな余力はこれっぽっちも残されてなさそうな印象を受けるのだが。

悪ふざけとも言えるレベルのパロディに対して、笑いながらツッコミを入れられる寛容な心をお持ちの方向け。
あと、車田正美作品の知識がないとそもそも何がパロディなのかすら分からないと思うので、プレイ前に読破推奨
そういった面でも非常にプレイヤーを選ぶタイプの作品。

……最後に(ネタバレ危険→)坂を登ってる途中で終わるのはマジでやりすぎだと思うんだ。未完!

和み匣

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
67★★
※注! 当レビューには「カルタグラ」のネタバレが含まれます。未プレイの人はご注意。

さて、前二作の、実にアレな「スタイリッシュミステリィ」で、私を大いに笑わせたInnocent Greyの初ファンディスク。
(なぜかは各作品のレビュー参照)
こんなもん作ってる余裕があったら、次作に精を出した方がいいのでは、とも思ったが、「カルタグラ」のアフターストーリーが入る、ということだったので、一応購入してみた次第。

内容は、ミニシナリオ3本とミニゲーム2本。
ミニシナリオはカルタグラのアフターストーリーである、「サクラメント」。これが今作の(たぶん)メイン。
人気の高いヒロイン、凛を主人公にしたエロシナリオ「凛 雪に咲く花」。
各ヒロインが女子高生&教員となって展開するパラレルギャグシナリオの「いのぐれっ!」、この3本。
ミニゲームは、要するにドンジャラの「ポンジャン!」と、たこ焼きバトルの「真ロシアンスピリッツ」の2つ。

正直、どれもこれも大した出来ではないので、この価格は高すぎると思った。
ミニゲームをオールクリアし、シナリオを全部通してやっても、3~5時間もあれば終了してしまう。
これで7,140円はちょっといただけない。どんなに高くとも4~5千円が関の山なのでは。

シナリオはほとんど読むだけ、ゲームは惰性と慣れでクリックすれば終了、というのでは楽しみようがない。
特に、せっかく18禁なのに、ミニゲームの各ステージをクリアしても、エロ画像の1枚もないというのはどうか。
ストーリーの面白さで引っ張ろうとするほどの気合いも感じられないし、すべてが中途半端な印象。

また、シナリオでは場面転換の際にいちいちアイキャッチが入り、これが鬱陶しくて仕方がない。
かといって、コンフィグで場面転換の効果をオフにすると、日付や章といった必要情報まですっ飛んでしまう
アイキャッチを入れるなら入れるで我慢するので、せめてワンクリックかエンターで飛ぶように設定できんものか。
次作でもこの手を使うつもりなら、切に改良願いたい。

さて、肝心のメインシナリオだが。
今作からシナリオライターを変更し、どうなるかと思っていたら、至極まとも。
「カルタグラ」のイメージをなるべく損なわないよう、かなり気を遣っているのが分かるし、「PP」のような破滅的日本語もさほど見あたらない。
ただ、エピソードの扱いが少々ウェットに過ぎると思った。
和菜ルートと由良ルートの二つが用意されているのだが、特に由良エンドに納得がいかない。

「カルタグラ」は妄執の話。(ネタバレ危険!→)たった一人の男を手に入れるために幾人も殺害し、さらには血を分けた双子をもその手にかけようとして、結果、最愛の人間に撃たれ、いつ覚めるともしれない眠りについた話だ。
それほどまでに妄念に彩られた由良が、昏睡から目を覚ましただけで、妹のことなどそっちのけで男との逃避行など選ぶものか。
たとえ一人で逃げることになったとて、どこまでも和菜を追いかけ、その目的を果たそうとするに違いない。
それこそ、和菜ルートでそうしたように。
そういった意味では、もっと救いのないエンドを期待していた私としては、肩すかしを食らった気分だった。
由良ファンには待望のハッピーエンド(?)なんだろうが、「カルタグラ」としてはどうなのか、と思わざるをえない。
また、和菜ルートでも、最後の最後に結局逃げ出す主人公のヘタレっぷりに思わず失笑。
このメーカー、どこまでいっても主人公はヘタレじゃないといけないのですね。ここまで徹底してるとある意味すげえ。

これは前作を踏襲しなければいけなかったのだから、ライターの本領ではないとは思うが、この調子だと次作も不安。
特に、「いのぐれっ!」はくだらなすぎてツッコむ気も失せた。ギャグシナリオは書かない方がいいと思う。

最後に一つ。
「カルタグラ」の主人公はこんなに出張ってきてたのに、「PP」の主人公には、とうとう出番がありませんでした。
「PP」本作以上に空気になってて大爆笑。
「PP」での空気っぷりについては、レビューをご参照あれ)

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