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好きなものは好きだからしょうがない!!

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

※注! この作品はボーイズラブ、しかも4部作です。従ってレビュー内容が4作全部にわたっており、未プレイ作品がある方はネタバレにくれぐれもご注意。

ボブゲ界のパイオニア的ソフト。BLを扱った作品では初の18禁であることもさることながら、その世界観やキャラに熱狂的なファンが多数おり、ボブゲ初心者としてはやはりプレイしておくべきだろう、と勇んで特攻したのはよかったが。

愛さえあれば、白いものすら黒と言い切れる腐女子のパワーを見くびっておりました。

何じゃあ、このまるでPC98時代のエロゲのように行き届いていないシステムは!!
製作にあたって、コンシューマーのAVGや最も近いフィールドであるエロゲのシステムを全然参考にしなかったのか!?
そもそも、ゲームを起ち上げると同時にいきなりフルスクリーンモードに切り替わる。
昨今のゲームはどうもフルスクリーンでやらせたいらしく、最初からそれがデフォルトになっている場合が多い。
ちなみに私は古参エロゲプレイヤーなので、どうもそれに馴染めず、未だにウインドウ派。
仕方がないので、さっそくコンフィグを開く。

……ない。
ウインドウモードへの変更がない。
(1作目のみ。2作目からはできます。が、表示位置の記憶ができません。タイトルコールのたびに画面中央に戻ります)

おまけに調整できるのはメッセージスピード(しかも3段階)とサウンドの有無のみ。
SFCのゲームだって、これよりカスタマイズできたと思うのだが如何。
「いじる必要がない」とチュンソフトのように究極のインターフェイスを追求しているならともかく、到底快適とは言いがたい手触り。
メッセージスキップはさすがに実装しているのだが、それもいちいち画面上部のコンパネを開かないと実行できないし、選択肢以降で解除になってしまうのも問題。
その選択肢がかなり多めで、多様なルートに分岐するのは評価に値するのだが、そのたびにこんな手間をかけていてはフルコンプへの気力がどんどん削がれていく。
おまけにセーブ数が10。とにかく選択肢が多く、CG回収にも手間取る作りなのに、何が何でも私に最初からやり直せと。
あんた鬼ですか!(血涙)

これはレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲー(以下10回繰り返し)

と無理矢理自己暗示をかけてゲームを進める羽目に。

とにかく全体的に質が甘すぎる
シナリオの伏線や展開、文章、背景、立ち絵、イベントCGに至るまで、ありとあらゆるところに粗が見受けられ、一度でもエロゲーのトップメーカーの作品をやったことがある人ならぶっ倒れること確実。
特に塗りに関しては叫びたくなるほどひどく、「外注の手を借りない」といえば聞こえはいいが、「おっと大変、明日提出の水彩画の宿題をやってなかったぜ」といわんばかりの突貫工事的な背景は目に余る。
私のような素人目にすら、ほとんど一発書きの下絵(もちろん鉛筆画)をスキャンして慌てて色をつけた、としか見えないのは、「作風です」と言い切れないレベルのものだと思うのだが、どうか。

キャラ絵にしても、いわゆる「アタリ」をとるためにいくつもの線が引かれている状態をそのまま取りこんでいるのだから、間違いなく下絵だと思うが、イベントCGですらこのありさま。
せめてこちらには力が入っているならば話はまだ分かるのだが、一枚丸々キャラのアップ、というものですら顔の輪郭線が複数ある状態。
最高に緊迫感のある場面でこれがドーンと出てきたときには、脱力を通り越して泣きたくなってしまった。

では、いったい何に力を注いでいるのかと問われると、これは萌え音痴の私でも容易に分かりました。
製作者自らが、並々ならぬ愛情と自キャラ萌えを持っていることに。
とにかくもう、腐女子のための萌え要素がてんこ盛り

  • 「女と見まごうかわいらしさ」(腐女子の好物その1)の幼なじみ(しかも生き別れ)

  • 全幅の信頼をおける「金髪碧眼の美形ハーフ」(腐女子の好物その2。しかし遺伝の法則を知らんのか)の親友

  • 面倒見が良くて頼りになる、でも「実は二重人格で鬼畜」(腐女子の好物その3)な兄貴分

  • 兄貴分の相棒で女房役の、家事の達人で甘やかし上手・実は暗い過去持ち(腐女子の好物その4)な癒し系存在

  • 誘い受の小悪魔系で好きな人に対しては一途(腐女子の好物その5)

  • エロテクは一流で自信家。皮肉屋だが実は優しい(腐女子の好物その6)←ちなみに私もこれにハマりやすい
  • その他にも、ちょっと変態入った医者(腐女子の好物その7)だの、キザが様になる弁護士(腐女子の好物その8)だの、冷酷眼鏡に白衣に元気系・ぷに系、と実に多彩なキャラが膨大なエピソードを携えてプレイヤーに襲いかかる。
    CD4枚に分けただけあって、その分量は途方もないもの。
    初作こそルートも少なくすぐに終わってしまうのだが、2作目以降は分岐の嵐。
    同じキャラのルートでもバッド・ハッピーと別れる他に、ノーマルやトゥルーにあたるエンドもあったり、
    直接本筋には関わらないまったく別のエピソードに分岐したり、とにかくボリューム(だけ)はたっぷり。

    あと、エロもかなり多め。
    激甘ラヴラヴなストロベリっぷりで砂を吐きそうなシチュエーションから、ほのぼの、鬼畜まで百貨店並みの品揃え。
    正直、パッケージから受ける印象で、「鬼畜ったって、そんなにすごいのはないだろうなぁ」と思ってたので、意外にも頑張っていたのには驚いた。
    最近の、エロが薄めのエロゲ業界よりはずっと頑張ってエロってます。ネクタイ拘束は基本です。

    イベント絵も非常に多く、絵や塗りが雑で安定していないのが気にはなるが、腐女子のやる気を促成するには充分。
    が、差分CGを回収するのに(エプロンの有無とか)かなり前からやり直さなければいけないというのはつらい。
    セーブスロットは10個しかなく、分岐は多いのにこれではあんまり。
    おまけに、ルート確定の選択肢も比較的早めに出てしまうので、必然的に共通部分が多くなり、再プレイが非常に面倒。

    そして、このキャラ造形。
    ……一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。

    この世界にはオカマホモと変態、子供しかおらぬのDEATHか?

    ロン毛禁止! 長髪が似合う男(特に日本人)なんて現実では砂粒の中のダイヤモンドほどしかいないんだよ。
    触覚も禁止! その不自然な髪の毛には絶対神経が通ってるに違いない。いくら何でも重力に逆らいすぎだ貴様ら。

    それなのに、受キャラは基本的にロン毛だし、骨格も女にしか見えない華奢さ。
    おまけにエロCGでは心なしか胸まであるし、ケツも丸くて肉付きよすぎ。
    実は私、こういう「やってることは少女マンガなんだけど、相手とりあえず男にしてみました」的なBLが一番苦手。
    そんなの、ホモの意味ないのでは。
    案の定、主人公と幼なじみがくっついちゃったことを知った親友は、ちょっとはびっくりするものの、あっさり「おめでとう」とか言ってるし。
    そこ! 「男同士だろ」とかツッコミはなしですか。自分の親友を非生産的な不毛な道に歩ませていいんですか。
    あまつさえ祝ってる場合ですか!
    同性同士だからこその苦悩とか迫害とか逡巡とかないんですか。
    そんなことを考えていてはむしろボブゲやる資格はないのですか。

    さらに、学校は男子校、教師も男、友人も男、周囲の関係者もみな男、とものの見事なメンズワールドが展開され、ストーリーにこれっぽっちもまったくカケラも女性が出てこない。
    そのため、もンのすンごく香ばしいファンタジー臭が漂う疑似世界が展開されてしまい、現代を舞台にした作品では、たとえ荒唐無稽であってもある程度のリアリティを重要視する私としては、「あは、あはははは……」と乾いた笑いしか浮かばなくなってきていたり。
    女がいなけりゃ、ホモのお前たちだって誰も生まれてこれないのに、そんなことお構いなしですか。
    敵の幹部、もしくは自分たちの協力者など、たった一人か二人でもいいから、ちょっと印象的な役にでも女性キャラを設定しておけば、この嘘くささだって相当緩和されたはずなのに。
    まぁ、腐女子ってのは、自分たちだって女性なのにストーリーに絡まれるのは嫌らしいですが。何で?

    そういったいびつな世界観を持っているため、最初はそれに馴染めずへこたれ気味でプレイすることになるのに、
    シナリオの日本語が壊滅的。顔文字((><)←こんなの)が普通に出てきたとき、私の心境はΣ( ̄△ ̄|||)でした。
    そんなAVGなんて、私のむやみに長いゲーマー人生の中でも初めてです。
    これだけでもまず萎えなのに、とにかく勢いで書きなぐった、といわんばかりのセンスの感じられない文章の数々。
    一人称なのはまぁしょうがない。本当は相当に巧い人がやらないとアイタタタな結果になってしまう手法だが、とりあえず、元気がよくてちょっとおバカ、かわいカッコイイ系な主人公の雰囲気はよく出ている。
    ……でも、バカすぎてときどき泣きたくなったんDEATHけどね。

    シナリオ自体はライトで明るい学園コメディを装っておきつつも、要所はきっちりシリアス。
    なのでこの文章が余計に痛いのだが、ありがち設定を駆使しつつも、感動的・または心に痛いエピソードを惜しげもなく投入し、飽きさせる、ということはない。
    展開自体はかなり先が読めるのだが、キャラに慣れてさえしまえば、「しょーがねーなー」と諦めもつき、苦笑して物語を楽しむか、という気になってくる。

    でも、悪の親玉の行動原理とか組織の資金源とか、バックグラウンドがとにかくいい加減で、設定自体に説得力が皆無。
    よって物語としては三流
    パッケージや宣伝資料に「学園なんでも屋」という単語が頻出するので、ひょっとして学園アクションコメディか? なんて期待してプレイすると、肩すかしを食らったうえに勢い余って一回転(ひねり入り)してしまうくらい、そんなのどうでもいい設定となってますので、皆様騙されませんよう。(私はちょっと騙された)

    逆に、人間関係のプロセスをすごく大事にしているので、恋愛物としては一流半。
    このボリュームを最大限に生かし、4枚分のエピソードを積み重ねていくにしたがって徐々に変化していく関係をじっくり丁寧に描写しているのには好感が持てた。伊達にボブゲのパイオニアではないということか。
    エロゲの純愛物にありがちな、「出会って恋に落ちた→大したエピソードもなくすぐエッチ」というアホウな恋愛模様よりはずっとやきもきできるし、葛藤や逡巡もきちんと描かれてます。
    なぜか、男同士ということに関しての葛藤はほとんどないのDEATHがね。

    1・2作目では物語がまったく動かず、半死半生でプレイする羽目になるのだが、3作目で急転直下、4作目で大団円とボリュームに相応しい展開を見せたのも評価。じゃないと、これを全作買ったユーザーが浮かばれない。
    逆に、1・2作目だけで止めてしまった人がいるのなら、ぜひ3・4作目はやってみてほしい。
    私も最初の2枚までは危うくクソゲーの評価を下しそうになりましたが、最後までやってみたら意外にも持ち直し。
    案外まともな作品だったんだ、と今なら思えます。

    女性皆無のBL的世界観に違和感のない人、ご都合展開や伏線なんて気にしないぜ、という漢気のある人、腐女子レベルが高く、キャラ萌えだけでご飯3杯はいける、という人にかなりオススメです。
    キャラ立ちだけはめちゃくちゃしっかりしてますので。萌え狂う腐女子の気持ちがちょっぴり分かりました。
    甘甘エンドは正直どうでもよかったのだが、鬼畜、もしくは壊れ系エンドにはなかなか良いものが多かったので、甘いだけのラヴでは満足できない大人な貴女にもオススメ。
    やはり、名の通った作品にはそれ相応の力があるもんなのだなぁと感心しました。

    ……でもやっぱり、自分は真性のエロゲーマーなのだと痛感。
    帰りたい、あのフィールドへ帰りたいよママン!!
    脱ぐのはやっぱ女じゃなきゃ嫌だい! 乳とケツが拝みたいんだい!
    というわけで、しばらくはボブゲはお腹一杯です。ゲフゥ。(4作もやったから当たり前だが)

    リアライズ

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    様々な疑問に彩られた、ある意味すごい問題作。
    第一の疑問は、「これって純粋に完結してる作品?」
    率直に申し上げて、かつての名ライター高橋氏も「とうとうやっちまった」感が強い。
    「俺たちの戦いは始まったばかりだ!」
    とまるでジャ○プで10週打ち切りを喰らった連載作品のように唐突に訪れるエンド。残りまくる謎と伏線。
    当然首をかしげるプレイヤー。

    聞くところによると、実はあれは、

    主人公を通して八重の視点から見た物語であり、彼女が破滅した時点で物語は終わる

    から、ああいう展開になったのだとか。
    (電撃姫インタビューより)

    確かに、業界で一、二を争う文章巧者である高橋氏なのに、作中よく一人称と三人称が乱れてはいたが、これを意図的なものとして捉えると納得いく点もある。
    が、そういう手法を取っている、ということは本来作中で気付かせるべきであり、しかもその後に未解決の伏線を残してしまうのはどう考えても下策。
    途中の物語の盛り上がりぶりを考えると、尻すぼみをする以前にぶっつりと途切れてしまうこの展開は、とてもプレイヤーの納得に足るものではない。
    個々に考えさせる余地のあるラスト、というよりは時間切れにつき丸投げした、という消化不良の感が否めない。
    事情を知る春秋に後日談を語らせるなどして、物語に一応の決着を見せてほしかった。

    また、言ってることが「世の中すべてを幸せで満たしたい」とかなりグローバルなわりに、実際に出る行動は、自分の力が直接及ぶ範囲の1Km以内の花火客に対してのみ。
    そういった、矛盾を通り越した誇大妄想が気になる。
    他者を自由にできる力を持っているのなら、世論を左右する力を持っている人間を操り、その輪をじわじわと広げていって、長期的には「世の中すべて」を変えうることすら可能なはず。
    東日本「最強の」力を持ち、思慮的で大人びた人間として描かれている八重が、そんなことにすら思い至らないほど浅はかで短慮な人間だったことに幻滅。
    物語後半までずっと正体が見えず、なおかつ底知れぬ影響力を持つ人間として圧倒的な存在感を持っていたのに、実際はその姿を現したとたんに物語のテンションがガクッと下がってしまう。

    どんなに綺麗事を述べても、結局は他者のエゴを自分のエゴで打ち倒すという醜悪な関係になるのだが、それに気付いていながらもその道を曲げようとはしない者、懊悩する者、利用する者と多種多様な人物像が織りなす関係は、とても興味深かった。
    だからこそ、その先に待つのは破滅なのか祝福なのか、衰退なのか繁栄なのか、何の暗示も提示されずにぶっつりと途切れてしまったこの作品に対する無念の思いはかなり深い。
    八重の破滅は自明の理。だが、他の能力者たちはどうなのだろう。彼女とは立場も思考もまるで違う。
    そういった各々のキャラクター達に、納得に足る結末を与えてほしかった。
    最悪、「世界は滅びましたさよならビッグバーン!!」でも私は気にしませんが。(それじゃ駄作だろう)

    作品全体の雰囲気は決して悪くない。
    バトルものでありながら不気味なほど静かに淡々と進む独特のテンポも印象的だし、深い謎に彩られ、次へ次へと前に進ませる力を持つテキストは相変わらず抜群の読みやすさ。
    丁寧なCGや職人集団「草薙」の手による美しい背景も見事。
    大物がゲスト参加したBGMも耳障りの良い、シーンにマッチしたものばかりだし、本当に惜しむらくはこのシナリオ。
    そして、微妙に使いづらいシステム。

    バックログや既読スキップ等、必要なものは普通に揃ってるのだが、そこへ至るまでは一度右クリックでシステム画面を介さないといけないというのはゲームの体感速度を大幅に削る行為だと思うので、こういうAVGではマイナス要因にしかならないと思う。
    VA系のいつものシステムと言えばそれまでだが、足回りは常に快適にしておきたいもの。
    特に、エロゲーマーは常に色んな作品に触れて、要求がどんどん進化する。
    もう少し、研究を重ねた方がいいのではないだろうか。

    そして第二の疑問だが。
    これは、はっきり言って、今作中で最大の問題点でもある。

    ……あの。いつからこれってホモゲーになったんでしょうか。
    パッケージには一切そんなこと書かれてませんが。

    ってくらい、主人公と親友である修二の仲が怪しすぎ

    女性陣だって皆かわいいし、好感の持てるキャラ造形であるのに、修二の影に隠れてまったく精彩を欠いている有様。
    全シナリオ中、この二人の会話シーンが大部分じゃないかと思われるくらい二人セットの印象が強く、あるエンディングでは、(ネタバレ危険→)精神を侵され眠り続ける修二の側にずっと付き添う主人公、という、いわば究極の「修二エンド」があり、

    お前らそれは「親友」の範疇を超えてるんじゃー!!

    と激しくツッコミ入れたい気分です。

    その修二関連のエピソードにしても、なぜ彼が他のプレイヤーを狩る側に回ったのか、本来なら反目するような人物と手を組むようになったのか、肝心の謎の部分が放置されており、あらゆる面で中途半端な印象が強い。

    とにかく、今作は意表を突こうと試みた趣向が、すべて裏目に出てしまっているという悲しい結果に。
    新規ブランド第1作目だったのだから、もっと冒険を避けて、手堅くまとめた方がよかったのではないだろうか。
    というわけで、これは心からのお願いです。

    コンシューマーに移植する前に完全版発売して下さい。
    このままだと、寝覚めが悪くて仕方ありません。(ぐーすか寝てますが)

    家族計画

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    70★★

    下で毒を吐くために、サクサクとシナリオ以外について論評してまいります。
    絵。かわいいけれど、可もなく不可もなく。少し塗りが荒い。
    物語の尺のわりにCGがかなり少なめなのと、重要なサブキャラに立ち絵がないのが残念。

    音楽。安定以外の何者でもないI'veサウンド。が、これも可もなく不可もなく。
    全編シーンにマッチはしてるけど、取り立てて「これが名曲!」と言うべき曲もなし。
    ボイス無いのがかなり助かった。この長さで声なんぞ出されたら死ぬ。(どうせ切るけどな)
    CD-DAなのは構わないのだが、曲が終わってループするときにもたつきがあるのが気になった。

    システム。オートクリック、既読スキップ、ホイールバックログ完備、セーブ数もそこそこ。
    AVGプレイする上では十分及第点。とりたてて手酷いバグもないようだが、CDレス起動できないのが難点。

    演出。平々凡々。ストーリーで魅せるタイプのゲームだし仕方がない。

    そしてやってまいりましたシナリオ。


    注! ここより以下、猛毒地帯となりますので、このゲームのファンの方はお願いですからお戻り下さい。 俺はマゾだぜ! って方なら臨死体験でイケるレベルで突っ走らせていただきます。

    あー、まあ何というか。

    期待しすぎた私がバカでした、と言わざるをえません。

    同メーカー・同ライターの「加奈~いもうと~」が力作であったのと、世評が相当に高かったのでものごっつー勇んでプレイしたのですが。
    開始後10分してすでに諦めムードが蔓延。

    とにかく無駄の多い冗長なテキスト。
    いちいち面白くもないギャグを挟んだテンポの悪い会話。
    「俺は○○をした(次ページへ)」「次に○○をした(次ページへ)」と、一文ごとに次へ送らねばならず、早々とオートクリックに登場いただく羽目に。
    どうして真面目な会話をしているときに、非常識なギャグで場を混ぜっ返す必要があるのか極めて謎。
    山田一氏ってこんなに文章下手だったっけ?

    それぞれ各ヒロイン+主人公に突きつけられる事実は重いものの、そこから展開する論理が稚拙すぎて、テーマに至極真面目に取り組んでいるのは分かるのだが、描き出そうとする人と人との軋轢に重みが感じられない。
    ある程度年齢のいった人なら、その青臭さにほほえましくなったり、懐かしさを覚えたりするよりも、このガキ、甘えてんじゃねぇ! とうっとうしさや苛立ちが先に立つ。

    現代物をやるときには、フィクションであることをどれだけ観客に意識させずにいられるかが鍵になるが、ものすごく都合のよいドリームで世界が構成されており、しょっぱなから興醒めしてしまう。
    現実は常に無慈悲で残酷、ゆえに世界に平等であるのに、この世界は中途半端に現実的で、あとはずいぶんとファンタジー。

    主人公の造形も鼻につく。被害者意識が強すぎてまるで共感できないし、同じ過ちを何度も犯す。
    自分の目が開いてないのを棚に上げて幼稚な主張を振りかざすし、挙げ句の果てにその過ちに気付いてからは一転、どうしようもない局面に立たされてまで独り相撲をとり続けるという成長のなさぶり。
    成人過ぎて、しかも普通よりもずっとハードな生き方を強いられてきているわりには意志も弱いし、人格の研ぎ澄まされ方が鈍いとしか言いようがない。

    おまけに登場人物が皆子供。姿形こそ年齢相応だけど、考え方が幼稚園児と同等のメンタリティしかないため、何かつらいことがあるたびにすぐにくじけるし逃げる。

    このアホンダラが! 逃げてカタつく現実などこの世にはありゃしないのじゃあ! 泣いて済むなら警察いらんわボケ!
    と張り倒したくなることたびたび。
    先に進むための回り道ならともかく、言動が堂々巡りすることばかりで、お前は山手線か! とツッコミたくなる。
    (乗ったことありませんが)

    やたらと他者に依存するキャラ、人の顔色ばかり伺うキャラ、社会性がなく傲慢以外の何物でもないキャラ等々、とにかく出てくる攻略対象キャラのほとんどが理由はあれども社会不適合者ばかりで、それを免罪符のごとく振りかざして、「私、不幸なの。だから面倒見てね」と不本意な状況を押しつけられるもんだから、個別ルートに入る前からげんなり。
    せっかくプレイヤーの同情に足る設定を持っていても、肝心のキャラの肉付けがこんなだから、「仕方ねーだろ。自業自得だよ」、という気分になってしまう。

    テメエのケツをテメエで拭けない奴には自己主張する権利などありません

    被害者ヅラしているのに、他者を傷つけることには(やむを得ない事情をもっていたとしても)無頓着なのも問題。
    突き放される、無視される悲しみを知っているはずなのに、自分もそれをやりますか?
    自己犠牲で一人悦に入って、同じドジ踏むのは許されますか?
    自分の事情のためには麻薬も売りますか? 相手の体を慮った言葉の一つも吐けば、犯罪行為は無に帰せますか?
    売春なら傷つくのも損するのも自分一人で済むが、薬を売るのは他者を傷つける行為なのでは?
    誰よりも痛みを知っているはずの各々のキャラたちがそれをやりますか? とツッコミどころ満載。

    スタートラインが他者と違うのは仕方がないこと。
    自分では選べないのだし、大なり小なりどんな人間だって違って当たり前。
    そこからいかに生きるかが重要なのであって、環境のせいにして自省を怠り、進歩しようとしない人間は大嫌いです。

    ついでにこの世の中、家族がすべてじゃありません。
    血の繋がりがナンボのもんですか。直系だって他人より薄い関係なんてその辺にゴロゴロしてます。

    人は所詮一人で立つしかない。

    それは間違いじゃないし私の持論でもあるけれど、そのために他者を排斥するのではなく、だからこそ良好な人間関係を築かなければならないのでは?
    そこに生まれた真に信頼に値する人間を大事にするべきなのでは?
    そして、自らも他者の信頼に足る人間として生きねばならないのでは?(性悪説みたいだな)

    そういった、至極当然の事実に物語のキャラたちが気付くのはゲームの後半。
    そこに至るまでに垂れ流された、暴力的なまでにどうしようもないグダグダ論理ですでにプレイヤーの我慢は沸点寸前。
    だから、いかに後半の展開で巻き返しを図ろうとも、一度はバラバラになった「家族」が、再び高屋敷家に集う大団円を迎えようとも、「ふーんあっそ。良かったね」で終わってしまい、何の感動も得られない。

    そもそも、再三「家族の絆」と訴えてはいるが、それらしい結束を見せたことなんてゲーム中、ほとんどないのでは?
    一緒に住んでメシ食って、それぞれ勝手に暮らしてるだけで、そこに暖かさも団結力も欠片も見出せなかった私の心が摩滅しているのですか?
    結局、各ルートを終了しても、メンバーのその後はさらりと触れられるだけで、「え? 家族になったんでしょ?」と拍子抜けさせられる。
    物語中でそこまで固執していたのに、一人とデキちまったら後は適当ですか? ずいぶんとクールですな。

    「家族愛」物としては説得力に欠けるし、恋愛ゲーとしてはさらに大味。
    各ヒロインの個別ルートが少なく、物語のほとんどは共通ルートで展開する。
    そのため、とにかく初回プレイが地獄だが、これを乗り切ってさえしまえばあとは既読スキップ併用で何とかなる。
    ただし、初回6~10時間、各ヒロイン2~3時間と計算し、人によっては数十時間になるであろう貴重な時間をこのゲームで浪費していいのか、という質問には残念ながらNOと言わざるをえない。

    人生は短く、読める本もプレイできるゲームも限られてるんです。
    悪いことは言わないから、超ピュアな感性でも持っていない限り、このゲームには近づかない方が無難。
    ……あ、ロリ属性のある人は結構いいかも。末莉なんてかなりソソる(だろうと思われる)キャラだったので。

    私? もちろん罵殺したくなりましたよ(スマイル全開)

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