1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  | All pages

塵骸魔京

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

かなり重度のニトロファンである私から見ても、凡作としか評価しようのない出来。
ABC段階ならBマイナスといったところか。

いつもながら、絵や音楽、演出なんかはかなりのハイレベル。
主人公がちと不気味(肌が土気色だし!)なのを除けば、原画も塗りも安定しているし、背景はもちろん、お得意の3DCGだってバッチリ。
画面のレイアウトやデザインなども、雰囲気を壊さない、統一感のある仕上がり。

ただ、OPは無理にアニメを入れなくてもよかったな、と思う。公式サイトで多用されているフラッシュや、作中の演出を見ても分かる通り、静止画でも充分にセンス良く、見ごたえのあるものを作っているのだから、何でもかんでも動かせばいいってもんじゃない。
原画の持ち味を生かすには、ベターッとしたアニメ塗りは不要。これでちょっと気が削がれました。
それに、ムービー部分はブロックノイズが多すぎ。どうせならもっと高画質で圧縮してくれ。

音楽には文句のつけようなどございません。さすがZIZZ。
いとうかなこ嬢のソウルフルなボーカルと、オリエンタルな楽曲とが非常に良くマッチしており、単品で聞いても、かなりのレベルを感じさせる。
むしろ、シナリオがいまいち盛り上がらないのを、音楽が奮闘してギリギリの線を支えている気すら。

システムはニトロのいつもの。設定は細かく変更でき、ショートカットも充実。
バックログの音声再生にも対応しており、過不足のない実直な作り。無問題。

このように、シナリオ以外は実によくまとまった、非常にハイレベルな出来なのだが、悲しいかな、私が評価の際に、一番重要視するのはシナリオなのですよ。

とにかくもう、決定的に説明不足。重要な伏線や、サブエピソードのほとんどが尻切れで終わってしまう。
ライターの脳内では既知の設定なのだろうが、それが本文中では説明されず、エンドロールを過ぎても、「……で? だからどうなったんだよォォ!」という状態になってしまう。
しかも、その伏線の方が、本筋よりもずっと面白そうなのだから始末が悪い。
結果的に、一つの作品を終えた、という達成感、爽快感に乏しい。それが第一の敗因。

第二の敗因は、主人公の設定ミス。
何でもない会話シーンにも、いちいち理屈っぽい論理展開がなされるもんだから、一度は面白くても、二度目以降は飽きるし、いい加減うんざりしてくる。
種々の薀蓄を含んだその理屈は、それぞれに興味深く、面白くもあるのだけれど、そっちに気を取られていると、「ところで、本編どうなってたっけ?」という弊害が起きる。
おかげでこのシナリオ、妙に間延びした印象を受けるのだが、展開は決して遅くなく、冗長なわけでもない。
ヒロインごとにストーリーも別れており、共通パートもさほど多くない、と、本来ならば長所になるべき数々の点が、まったく生かされていないのだ。

個々の設定やキャラは結構面白く、魅力的でもあるのだが、それが一つになったとたん、何だかうすらぼやけた味に。
まるで、出汁の入っていない湯にそのまま具材だけ突っ込んで、煮えすぎた鍋みたいだ。
決してつまらないわけじゃない。ただ、面白くはない。
確かに、盛り込まれている雑多な知識は相当のものだし、それを話に絡めてくる手腕も認めよう。
ただし、学者が文豪であるとは限らないように、知識だけでは面白い物語にはならない
このライター、そこのところを決定的に踏み誤ってしまったのでは。

同じ異界・人外のものを扱った同メーカーの作品に「斬魔大聖デモンベイン」があるが、あちらは、どうにかしてユーザーを楽しませてやろうという気概、異形のものを魅力的に書きたい、そういう作品が好きでたまらないというライターの魂を感じられた。
だが、今作にはそれがない。異界もある、異形もある、バトルもある、漢の友情も、エロも(一応)ある。
でも、そんないつものスタイルを盛っておきながら、結局何がしたかったのかがまるではっきりしない。
一番印象に残ったのと言えば、音楽の良さと、しつこいくらいに垂れ流された理屈ばかり。
メインディッシュよりも付け合せの方が美味な料理って、成功なの、失敗なの?

たぶん、別のライターがこの設定を使って書いたらば、ひょっとしたら、最近低迷気味のニトロにとって、起死回生の一発になったかもしれないことが非常に悔やまれる。
そろそろ本腰入れて建て直しをしないと、非常にまずいと思います。すでにユーザー離れは進んでいるぞ!

ニトロ作品コンプリーターを自認する人、積みゲーは一切なく、超ヒマで何でもいいからやりたい人はどうぞ。
でも、あえてプレイするほどの作品じゃありません。
発売したそばから忘れられていく、大量生産の一環でしかない、そんな作品でした。

SchoolDays

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
77★★★

途中からの展開のあまりの凄まじさに、「すごい鬱ゲー」として新聞沙汰(東スポですが)にまでなった問題作がとうとう当レビューにも登場。
はっきり言って、ぱっと見は全編フルアニメであるだけが売りの普通の学園物に見えたので、まったくのノーチェックだったのですが。
プレイした方たちの地獄絵図な叫びと、ネットでの大評判を聞きつけ、慌ててレビュー対象作品にした次第です。

このゲーム、一言で言うならまさにアレ。「寝取られる 殺る やるドラ」。
豊富な選択肢とED、極めて限定された舞台と関係を軸に、じっくりと濃密な展開が繰り広げられる。
30分アニメ70話分という驚異的なボリュームは、総インストール約8Gという他に類を見ないふざけた数字にも表れているが、せめてパッケージには書いといてくれや。
私は公式サイトで初めて知って、目が飛び出ましたよ。

そして、度重なるパッチの嵐。
確かに、これだけの分岐を管理し、かつあらゆる種類のPCに標準化させるのは骨の折れる作業だろうが、それにしたってもう少しテストを重ねるべきなんじゃないのか。
とにかくシステム周りが雑。高スペックを要求してくるわりに安定とはほど遠く、よく落ちる。
パッチを当てないことには攻略すら不可能だし、フラグ管理もかなり甘い。
そのルートでは起きてないイベントが、翌日には起こったものとして話が進められていたり、作中で齟齬が生じるケースが多すぎ。
フルアニメという性質上、やむをえない点もあるが、それでもこれだけボリュームある作品で、既読スキップがないのもいただけない。(4倍速再生はできる)
分岐条件がいまいちファジーで攻略が難しく、それなのに十数種類の多彩なEDを備え、再プレイ必至である今作では、シーンスキップ機能を実装するべきであるのに、プレイを重ねるたびに繰り返し同じシーンを見せられ、いい加減うんざりしてくる。
次にはいったいどんな鬱展開が待ち受けているのかだけが楽しみで、ひたすら我慢の一手でプレイしたが、それでもこれは大きなマイナス要因でした。

音楽やボイスはかなり豪華。この業界なら誰もが名前を知っている歌い手や声優が、もうインフレ気味なくらいにわんさか登場し、売りのわりにいまいちな出来のアニメに華を添えている。
各話ごとに挿入されるOP・ED、最終話でのEDテーマは内容に沿って少しずつ違っており、かなり手の込んだ作り。
だが、本当の売りであるはずのアニメ自体の出来は、実は大したものではなく、よくあるエロゲのOVA化作品レベル。
止め絵になることもままあるし、口パクのない箇所もザラ。
わざとロングカットにして動きの少なさをカバーしようとしている箇所もかなり多い。
正直、他作品で見られるような、要所要所で挿入される高品質なアニメのレベルには到底至らない。
おそらく確信犯として質より量を取ったのであろう、1ルートにつき1話30分×6話の構成は。
それをすべて動かすというのは並大抵の作業量ではないだろうし、そのボリュームから考えると全体的にはまずまずの出来。
アップ以外は最初から大した作画レベルじゃないので、崩れても大差ないという皮肉に満ちた結果ではありますが。
むしろ、肌つやが良すぎたり、髪の影が顔に落ちすぎなことの方が気になったよ。
いったいどんな分厚い髪の毛ですか。全員ナチュラルマープ?

声優陣はミスキャストはないのだが、妙に演技が間延びして聞こえるのは気のせいか。
これは、アニメに合わせて再生速度を落としただけか?
基本的に物語のペースが鈍重なので、私はほぼ2倍速でプレイしましたが、それでも普通にセリフ聞き取れました。
間を読めない奴ですいません。だってのろすぎるんだもん。

そんな感じで、基本的には普通の作品なのだが、この作品を異質たらしめているのは、何と言ってもそのシナリオ。
甘酸っぱい学園物でちょっと三角関係、最後は切ないけれどハッピーな純愛物語をくれぐれも期待してはいけません。
後々、きっと心の傷となって、夜毎うなされる羽目になるでしょう。
それぐらいインパクトのある各EDをご用意してございます。

主な登場人物は3名。プレイヤーである主人公と、クラスメートで密かに主人公に想いを寄せる世界(人名だよ)、主人公が電車の中でこっそり憧れているだけだった、隣のクラスの美少女、言葉(これも人名。「ことのは」です)。
なんだ、普通じゃん、と思ってはいけない。この3人のうち、2人がエロゲ史上類のないキャラ造詣なのだ。

まず主人公。こいつは、かのヘタレで名高い「君望」の主人公をも凌駕する、まさにエロゲ史上最低のヘタレ男。
最後の最後まで態度が煮えきらず、二人のヒロインの間で揺れ動き悩むふりをしながら、寄ってくる女は片っ端から食いまくり。(エロゲだから仕方ないが)
プレイヤーの意志とは裏腹に、下半身の状況に従って勝手に行動を決められるもんだから、おいおい、私が今までせっせと上げた好感度メーターって何だったの? と(゚Д゚)ポカーン状態になることもしばしば。
これじゃこのメーターシステムいらないじゃん。むしろ、チ○コメーターでも付けた方がよかったのでは。

そんな脳と下半身が直結している男が、なぜか校内ではモテ系。誰も彼もが奴に好意を持ってます。
この学校、よっぽど男のレベル低いですか? むしろ、世界の男性の半分は死滅してるような有様とか?
私が知らないだけで、ひょっとしてこれってSF作品だったりしますか?
主人公の友人も、主人公に輪を掛けた最低野郎なので、私にそう思われても仕方がありません。

そして言葉。こいつは、私が今までプレイしたエロゲの中で最凶のブチギレヒロイン認定。
ホラーでもサスペンスでも伝奇でもないのに、ここまで血しぶきを撒き散らし、刃物を持ち出すヒロインっていなかったよ。

よく考えてみりゃ、恋愛で刃傷沙汰になるケースってのは現実では溢れてるのに、エロゲでは少なかったな、と。
あてつけがましく自傷行為に走る奴もたくさんいるのに、そんな真似してみせるヒロインもいなかったな、と。
それが、結局は「従順でかわいい女の子」を心の底で欲しているメルヘン心理の現れなわけだが、このヒロイン、そんな兄さんたちの願いを、いとも簡単に蹴り飛ばしてくれちゃいます。

血と脳漿撒き散らして死んでみせるヒロインが初めてなら、
EDでヒロインの墓参りをさせられる恋愛物も初めてです。

しかも、パッケージにも宣伝材料にも、一言も「これは鬱ゲーです」なんて書いてないもんだから、何の情報もなく、無邪気にこの作品に足を踏み入れた人たちがパニックに陥るのも容易に想像できて気の毒になったり。
そりゃ、話題にもなるわな。

もう一人のヒロインも決して負けてはおらず、別の女とガキまで作ったヤリチンの主人公をブッ刺してみたり、こっそりと友達使ってライバルをいじめたり。

あのね。
これじゃ、あまりにリアルすぎて、現実に耐性のない真性のオタクはドン引きするから。

自分を傷つけない優しい世界で、無条件に慕ってくれる頭の弱いヒロインとひとときの夢を楽しみたいオタクが、こんな女のドロドロした部分がど真ん中直球にくる恋愛話、受け入れられるはずがなかろう。
「鬱だ」と言われる要因は、その辺にもあるのでは。

言っておくが、女はこれくらいのこと普通にやります。
そりゃ、刃物持ち出したり、飛び降りたりするのは最終手段だけど、そこまでの思考には簡単に行き着けちゃう生き物なのですよ。
友達使って裏工作? OKOK、そんなの今どき中学生でもやるわ。
カップル喧嘩中に付け込む? OKOK、付け込まれる隙を作る方が悪いんだよ。
「女の情念」と言うように、古来より、男が絡むと女は豹変する生き物なのだ。

それが分かってるから、私は「エロゲもとうとうここまで描くようになったか」とは思ったけれど、別段ひどいとは思わなかった。
ただ、何てことをするんだとは思ったが。メーカーが自ら「エロゲファンタジー」の掟を破っていいのか。
そういう点で、私はライターのしたたかな悪意を感じた。
「ほーら、これに耐えられるか、お前たち?」みたいな。
「どうせお約束の学園物だと思ってたんだろ? だが見事に騙してやったぜ、どうだ?」みたいな。
この叫びを聞きたかったのだろうなぁ、と思うと、その思惑は完全に成功したとしか言いようがないのですよ。

鬱展開を誇張するあまり、それを通り越して笑うしかない話になっちゃってたり、登場人物全員が学生のくせに、いとも簡単にガキを生む決心をしてたり、突っ込むべき点は正直ありすぎる。
一応のハッピーエンドはあるものの、むしろこのEDの2,3日後には、誰かが血を見る羽目になるだろそりゃ、というレベルのおざなりな解決しか見せない。確実にバッドEDの方が強烈だし、きちんとオチてる。
そういう点では全体的にまとまりがなく、結局何がしたかったの? と問われるような今作ですが。

ただ、この話をアニメでやったのは正解だとは思う。
ゲーム世界を俯瞰で見ることによって、臨場感がものすごく伝わってくる場面がいくつもある。
これは、リアルタイムで映像と音があるからこその演出。言葉が勝手に主人公の家に上がりこんでいるのに、それを知らない主人公と世界がHしちゃってる状況とかね。
表現方法を最大限に活用した点は大いに評価。世の中には「アニメ(やムービー)にする意味あんの?」と問いたくなる作品で溢れてますので。
業界に確実に一石を投じたことは確か。作品の全体的な質よりも、その作品性によって。
そういう意味では、怪作という表現がぴったりだと思います。

壊れるヒロインに耐性のある人、ドロドロなんてへっちゃらさ、という人、アニメが嫌じゃない人はどうぞ。
内気で繊細、現実の女性に夢を持っている、典型的なオタク像そのものな人はやっちゃだめよ。

……泣きたいなら、止めはしませんがね。

カルタグラ~ツキ狂イノ病~

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
78★★★

新ブランド、Innocent Grayの第一弾。
評点を見てもらえば分かるとおり、全部の水準がなかなかの高アベレージであり、安定感は抜群
猟奇サスペンスが平気な人になら、まず勧めてもいいと言えるレベルで仕上がっており、非常に手堅い作り。
だが、その分図抜けてここが素晴らしい、と言える特色もない。
そこそこ面白いのだが、想定範囲内に収まってしまっており、新ブランドが持つがむしゃらなパワーのようなものが感じられないのがやや残念。
とはいえ、シナリオが多少弱い以外は、押し並べて高クオリティを維持しており、早くも次作以降に期待できる。

システムは上々。必要な機能は充分に備えているし、CG・サウンドモードもシーン回想もある。
ホイールバックログでの音声再生も対応、エフェクトのオンオフも3段階で切り替えられて便利。
既選択肢の色が変わるのも分かりやすくて助かる。おかげで補完はかなり楽。

絵はものすごく丁寧。雰囲気も出ているし、何より、物語の尺のわりに差分なしで200枚というかなりの数のCGが用意されていることで視覚的な満足度も高い
背景も手を抜かず、彩度を抑え気味にして、陰鬱な猟奇殺人を扱う物語に相応しい舞台を作り上げている。

音楽も、殺害から立ち回り、哀切溢れるシーンやちょっと笑いの入った箇所まで、様々な場面を盛り上げる、しっかりとした作り。
ただ、一番印象深くあるはずのOP曲のインパクトが薄く、ボーカルの歌唱力にも難があるのが残念。
とか言ってたら、このボーカリスト結構人気ある人だったのね。すいません、無知で。
でもこの曲だけ聞いたら、歌あんまり上手くないと……思うよ?(←弱気)
ちなみに全編フルボイス。キャスティングはまぁまぁ。
が!!! 主人公の元上司で警視庁の辣腕刑事役の方、「嶋和成」氏となってますが、中田譲治氏(マイラヴ)に聞こえるのは私の幻聴ですか?
誰か真相教えて下さい。

良い絵・良い音楽が揃い、演出が問題となってくるが、今作はそれがかなり奮っている。
カットインが多用され、停滞しがちな物語に緩急をつけるのにも一役買っているし、幕間劇で殺人者や他者の視点になった際は、縦書きになるのもいい。
物語後半、犯人側にザッピングする箇所があり、倒叙物の雰囲気を味わえるのも良。
しかも、これらの挿入タイミングが絶妙で、シナリオのテンポの悪さをカバーしている。
また、少ないながらも戦闘シーンもあり、そこでの画面エフェクトもスピードと緊迫感のあるものに仕上がっており、演出に関してはかなり洗練されたものを感じた。
ただし、シーン切替時にかなりの頻度でアイキャッチが入り、これが少々うっとうしい。
エフェクトを切ればすっ飛ばせるが、この点はもう少し見せ方を工夫するべき。

そして、シナリオ。
残念ながら、当方重度のミステリ好きを自認しているため、おおよその事件のからくりが容易に見えてしまい、お手軽感が否めなかった。
それというのも、どれもこれもどこかで見たことのあるようなエピソードばかりで、ほとんどひねりがなく、特別新たなアイディアも盛りこまれていなかったから。

最後の大仕掛けであるはずの(ネタバレ→!!)生者と死者、さらに双子間の二重の入れ替わりは、大昔からそれこそ何度も取り沙汰されてきた手口だし、死体の背中に羽根を生やす・串刺しになって死ぬなんてのも、最近では「多重人格探偵サイコ」が記憶に新しい。
憑き物筋の家系に姉妹、財閥令嬢に全寮制のミッションスクールとくれば、あれあれ、それは京極夏彦では? と、そういったモチーフが透けて見えてしまって乗り切れない上に、事件自体がなかなか進展しないために途中で飽きてしまう。

おまけに、時代背景を昭和初期としているのに、それをまるで無視した台詞回しや行動が多すぎて、かなり鼻に付く。
昭和初期の人間は、普通エッチするとか言わないと思うぞ。女性が「~ッス」なんて言葉遣いもしないと思うぞ。
なのに、地の文にはふりがなを振らないと読めないような難解な言い回しが平気で使われており、そういった文章に対する無頓着さや、大雑把すぎる時代考証が気になって仕方がない。(そんなの私だけか?)
これだけでも、せっかくの舞台の雰囲気が台無しに。

また、主人公が警察を辞めることになった経緯や、過去に携わった事件の顛末等、ストーリーに密接に絡んでくるわりには
語られないことが多すぎて、どうにも消化不良気味。
事件の根幹に関わる由良との関係だって、描写が薄いせいで、「それでそんなに執着されてもなぁ」という気分を払拭できないし、事件を複雑にしすぎようとして失敗したという、中途半端な印象が否めない。

キャラ造形もちと痛い。
勘が鋭く、明敏な探偵であると言われている主人公は狂言回しでしかなく、しかも決定的に鈍臭くて頭も悪い。
肝心の探偵役すら妹(性格に相当難あり。かなり好き嫌いが分かれる。ちなみに実兄妹EDあり)に奪われてしまい、やってることはといえば、あっちの女にフラフラ、今度はこっちの女にフラフラと手を出してばかり。
(エロゲだから仕方ないが)
そのせいで、片っ端から被害者を増やしているという体たらく。はっきり言って、諸悪の根元はこいつだ。
こんなダメ主人公、久しぶりに見ました。「君望」のアホ之以来じゃないか?

このアホウぶりのせいでいっこうに事件が進まず、とにかくスピーディーに先に進みたい諸兄には不向き。
ミステリのスピード感ってものすごく重要なのですよ。
加速して、加速して、最高にスピードに乗り切ったところで崖から突き落とされるくらいの勢いがなければ、衝撃の謎解き、という感覚は得られないので。

ところがこのシナリオ、その最後の謎解きの部分ですら、自分はノータッチで次々と真実が語られていき、つくづく俺の役目っていったい何? と悲しくなる。
一方的に情報開示されるのをボケーっと聞くしかない様は、決定的にミステリの爽快感に欠ける。
その謎が、誰にも解けないような驚きに満ち溢れたものならよいのだが、最初に書いた通り、実にありがちな展開をたどるため、それもない。
せめて論理的に破綻がないようなものを。
事件の第一犯人として、それまで名前すら出てこなかったような人間を突如として挙げるのは反則です。

さらに、メインヒロインが私の「嫌いツボ」をしたたかに刺激する、
「明るく前向きでちょっとドジっ娘、一生懸命で健気」
という最悪の造形。(普通はたぶん好かれるんだと思う……独自偏見路線突っ走ってすんません)
当然、このキャラがトゥルーエンドの鍵を握るため、その脳天気で抜けた言動に辟易しながらプレイする羽目に。
物語が陰惨な展開であるだけに、このキャラの言動に救われるという向きもあるのだろうが、私には邪魔でしかなかった。

暗く、どこまでも暗く深くて光など差さない奈落の底に。
感動はいらん。希望もいらん。嘆きと妄執と呪詛に彩られ、最後には凄惨なカタストロフを。

それこそが猟奇サスペンスの醍醐味だと思うのだが、あっさりとこう救いを用意されてはかなりしょんぼり。
(↑言っておくが私は危ないヤツではない。念のため)
人の妄執をテーマにしているわりに、そういった細部の扱いがずさんなので、心底肝が冷えるということがない。
もっとぞくりとさせてもらいたかった。

例えばラスト。(以下、超ネタバレ。未プレイの人・トゥルーエンド未到達の人は見ちゃダメ!!)
和菜は結局人知れず殺されており、主人公は入れ替わりに気付かず(どうせバカだしな)、プレイヤーのみにだけ包帯の取れた由良のCGを提示して、入れ替わりの事実に気付かせるとか。
その際は憑き物筋らしく、獣目にするとか。瞳の色が違うくらいでは全然ビビれませんわ。
当然、いずれ真実にたどり着く危険性のある妹にはご退場(殺害)願いたい。
その計画を練りながら画面フェードアウト。スタッフロール。

……のような、「救いこれっぽっちもなしED」が見たかったのです。
(↑本当にやったら、たぶん各所レビューで袋叩きに遭うと思うが。私は支持しますよ?)

ちなみに、グロ表現はかなり頑張っている。目玉抉ったり、首手足ちょん切られたり。
もちろんばっちりCGもありますので、嫌いな方はお気を付けて。

全体的にシナリオはとにかくぬるめの印象。詰めが甘いと言ってもよい。
あれもこれもとやりたい気持ちは分かるのだが、一つ一つのエピソードが煮え切らないものが多すぎ、結果的に全部が生煮えという典型的な失敗料理になりかけている。
各ヒロインのEDも、メインヒロイン以外は事件が放ったらかしになってしまうのでラブラブどころじゃないし、ほとんどがバッドエンド。
おまけに、何で出てきたか分からないような必要性のないヒロインも用意されていて、余計に事件が進まない。
シナリオ以外の部分はかなり好印象であるので、作品レベルとしては平均以上なのだが、かえすがえすもこの点が惜しい。

自分の身近な人間も容赦なく死んでしまうので、そういった惨劇に耐えられない人は回れ右。
グロいの嫌い。血なんてもってのほか。切断面なんて見たら倒れちゃいますという人も回れ右。
超本格的なミステリ物を! 破綻なんて容赦しないぜ! という人は走って回れ右。
それ以外の、エログロ猟奇・サスペンスフルなギャルゲーがやりたいな、という人にはオススメ。
過大な期待すらしなければ、そこそこ楽しめると思います。(エロゲにしては)ちょっぴり値段も安めだしね。

好きなものは好きだからしょうがない!!

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

※注! この作品はボーイズラブ、しかも4部作です。従ってレビュー内容が4作全部にわたっており、未プレイ作品がある方はネタバレにくれぐれもご注意。

ボブゲ界のパイオニア的ソフト。BLを扱った作品では初の18禁であることもさることながら、その世界観やキャラに熱狂的なファンが多数おり、ボブゲ初心者としてはやはりプレイしておくべきだろう、と勇んで特攻したのはよかったが。

愛さえあれば、白いものすら黒と言い切れる腐女子のパワーを見くびっておりました。

何じゃあ、このまるでPC98時代のエロゲのように行き届いていないシステムは!!
製作にあたって、コンシューマーのAVGや最も近いフィールドであるエロゲのシステムを全然参考にしなかったのか!?
そもそも、ゲームを起ち上げると同時にいきなりフルスクリーンモードに切り替わる。
昨今のゲームはどうもフルスクリーンでやらせたいらしく、最初からそれがデフォルトになっている場合が多い。
ちなみに私は古参エロゲプレイヤーなので、どうもそれに馴染めず、未だにウインドウ派。
仕方がないので、さっそくコンフィグを開く。

……ない。
ウインドウモードへの変更がない。
(1作目のみ。2作目からはできます。が、表示位置の記憶ができません。タイトルコールのたびに画面中央に戻ります)

おまけに調整できるのはメッセージスピード(しかも3段階)とサウンドの有無のみ。
SFCのゲームだって、これよりカスタマイズできたと思うのだが如何。
「いじる必要がない」とチュンソフトのように究極のインターフェイスを追求しているならともかく、到底快適とは言いがたい手触り。
メッセージスキップはさすがに実装しているのだが、それもいちいち画面上部のコンパネを開かないと実行できないし、選択肢以降で解除になってしまうのも問題。
その選択肢がかなり多めで、多様なルートに分岐するのは評価に値するのだが、そのたびにこんな手間をかけていてはフルコンプへの気力がどんどん削がれていく。
おまけにセーブ数が10。とにかく選択肢が多く、CG回収にも手間取る作りなのに、何が何でも私に最初からやり直せと。
あんた鬼ですか!(血涙)

これはレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲー(以下10回繰り返し)

と無理矢理自己暗示をかけてゲームを進める羽目に。

とにかく全体的に質が甘すぎる
シナリオの伏線や展開、文章、背景、立ち絵、イベントCGに至るまで、ありとあらゆるところに粗が見受けられ、一度でもエロゲーのトップメーカーの作品をやったことがある人ならぶっ倒れること確実。
特に塗りに関しては叫びたくなるほどひどく、「外注の手を借りない」といえば聞こえはいいが、「おっと大変、明日提出の水彩画の宿題をやってなかったぜ」といわんばかりの突貫工事的な背景は目に余る。
私のような素人目にすら、ほとんど一発書きの下絵(もちろん鉛筆画)をスキャンして慌てて色をつけた、としか見えないのは、「作風です」と言い切れないレベルのものだと思うのだが、どうか。

キャラ絵にしても、いわゆる「アタリ」をとるためにいくつもの線が引かれている状態をそのまま取りこんでいるのだから、間違いなく下絵だと思うが、イベントCGですらこのありさま。
せめてこちらには力が入っているならば話はまだ分かるのだが、一枚丸々キャラのアップ、というものですら顔の輪郭線が複数ある状態。
最高に緊迫感のある場面でこれがドーンと出てきたときには、脱力を通り越して泣きたくなってしまった。

では、いったい何に力を注いでいるのかと問われると、これは萌え音痴の私でも容易に分かりました。
製作者自らが、並々ならぬ愛情と自キャラ萌えを持っていることに。
とにかくもう、腐女子のための萌え要素がてんこ盛り

  • 「女と見まごうかわいらしさ」(腐女子の好物その1)の幼なじみ(しかも生き別れ)

  • 全幅の信頼をおける「金髪碧眼の美形ハーフ」(腐女子の好物その2。しかし遺伝の法則を知らんのか)の親友

  • 面倒見が良くて頼りになる、でも「実は二重人格で鬼畜」(腐女子の好物その3)な兄貴分

  • 兄貴分の相棒で女房役の、家事の達人で甘やかし上手・実は暗い過去持ち(腐女子の好物その4)な癒し系存在

  • 誘い受の小悪魔系で好きな人に対しては一途(腐女子の好物その5)

  • エロテクは一流で自信家。皮肉屋だが実は優しい(腐女子の好物その6)←ちなみに私もこれにハマりやすい
  • その他にも、ちょっと変態入った医者(腐女子の好物その7)だの、キザが様になる弁護士(腐女子の好物その8)だの、冷酷眼鏡に白衣に元気系・ぷに系、と実に多彩なキャラが膨大なエピソードを携えてプレイヤーに襲いかかる。
    CD4枚に分けただけあって、その分量は途方もないもの。
    初作こそルートも少なくすぐに終わってしまうのだが、2作目以降は分岐の嵐。
    同じキャラのルートでもバッド・ハッピーと別れる他に、ノーマルやトゥルーにあたるエンドもあったり、
    直接本筋には関わらないまったく別のエピソードに分岐したり、とにかくボリューム(だけ)はたっぷり。

    あと、エロもかなり多め。
    激甘ラヴラヴなストロベリっぷりで砂を吐きそうなシチュエーションから、ほのぼの、鬼畜まで百貨店並みの品揃え。
    正直、パッケージから受ける印象で、「鬼畜ったって、そんなにすごいのはないだろうなぁ」と思ってたので、意外にも頑張っていたのには驚いた。
    最近の、エロが薄めのエロゲ業界よりはずっと頑張ってエロってます。ネクタイ拘束は基本です。

    イベント絵も非常に多く、絵や塗りが雑で安定していないのが気にはなるが、腐女子のやる気を促成するには充分。
    が、差分CGを回収するのに(エプロンの有無とか)かなり前からやり直さなければいけないというのはつらい。
    セーブスロットは10個しかなく、分岐は多いのにこれではあんまり。
    おまけに、ルート確定の選択肢も比較的早めに出てしまうので、必然的に共通部分が多くなり、再プレイが非常に面倒。

    そして、このキャラ造形。
    ……一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。

    この世界にはオカマホモと変態、子供しかおらぬのDEATHか?

    ロン毛禁止! 長髪が似合う男(特に日本人)なんて現実では砂粒の中のダイヤモンドほどしかいないんだよ。
    触覚も禁止! その不自然な髪の毛には絶対神経が通ってるに違いない。いくら何でも重力に逆らいすぎだ貴様ら。

    それなのに、受キャラは基本的にロン毛だし、骨格も女にしか見えない華奢さ。
    おまけにエロCGでは心なしか胸まであるし、ケツも丸くて肉付きよすぎ。
    実は私、こういう「やってることは少女マンガなんだけど、相手とりあえず男にしてみました」的なBLが一番苦手。
    そんなの、ホモの意味ないのでは。
    案の定、主人公と幼なじみがくっついちゃったことを知った親友は、ちょっとはびっくりするものの、あっさり「おめでとう」とか言ってるし。
    そこ! 「男同士だろ」とかツッコミはなしですか。自分の親友を非生産的な不毛な道に歩ませていいんですか。
    あまつさえ祝ってる場合ですか!
    同性同士だからこその苦悩とか迫害とか逡巡とかないんですか。
    そんなことを考えていてはむしろボブゲやる資格はないのですか。

    さらに、学校は男子校、教師も男、友人も男、周囲の関係者もみな男、とものの見事なメンズワールドが展開され、ストーリーにこれっぽっちもまったくカケラも女性が出てこない。
    そのため、もンのすンごく香ばしいファンタジー臭が漂う疑似世界が展開されてしまい、現代を舞台にした作品では、たとえ荒唐無稽であってもある程度のリアリティを重要視する私としては、「あは、あはははは……」と乾いた笑いしか浮かばなくなってきていたり。
    女がいなけりゃ、ホモのお前たちだって誰も生まれてこれないのに、そんなことお構いなしですか。
    敵の幹部、もしくは自分たちの協力者など、たった一人か二人でもいいから、ちょっと印象的な役にでも女性キャラを設定しておけば、この嘘くささだって相当緩和されたはずなのに。
    まぁ、腐女子ってのは、自分たちだって女性なのにストーリーに絡まれるのは嫌らしいですが。何で?

    そういったいびつな世界観を持っているため、最初はそれに馴染めずへこたれ気味でプレイすることになるのに、
    シナリオの日本語が壊滅的。顔文字((><)←こんなの)が普通に出てきたとき、私の心境はΣ( ̄△ ̄|||)でした。
    そんなAVGなんて、私のむやみに長いゲーマー人生の中でも初めてです。
    これだけでもまず萎えなのに、とにかく勢いで書きなぐった、といわんばかりのセンスの感じられない文章の数々。
    一人称なのはまぁしょうがない。本当は相当に巧い人がやらないとアイタタタな結果になってしまう手法だが、とりあえず、元気がよくてちょっとおバカ、かわいカッコイイ系な主人公の雰囲気はよく出ている。
    ……でも、バカすぎてときどき泣きたくなったんDEATHけどね。

    シナリオ自体はライトで明るい学園コメディを装っておきつつも、要所はきっちりシリアス。
    なのでこの文章が余計に痛いのだが、ありがち設定を駆使しつつも、感動的・または心に痛いエピソードを惜しげもなく投入し、飽きさせる、ということはない。
    展開自体はかなり先が読めるのだが、キャラに慣れてさえしまえば、「しょーがねーなー」と諦めもつき、苦笑して物語を楽しむか、という気になってくる。

    でも、悪の親玉の行動原理とか組織の資金源とか、バックグラウンドがとにかくいい加減で、設定自体に説得力が皆無。
    よって物語としては三流
    パッケージや宣伝資料に「学園なんでも屋」という単語が頻出するので、ひょっとして学園アクションコメディか? なんて期待してプレイすると、肩すかしを食らったうえに勢い余って一回転(ひねり入り)してしまうくらい、そんなのどうでもいい設定となってますので、皆様騙されませんよう。(私はちょっと騙された)

    逆に、人間関係のプロセスをすごく大事にしているので、恋愛物としては一流半。
    このボリュームを最大限に生かし、4枚分のエピソードを積み重ねていくにしたがって徐々に変化していく関係をじっくり丁寧に描写しているのには好感が持てた。伊達にボブゲのパイオニアではないということか。
    エロゲの純愛物にありがちな、「出会って恋に落ちた→大したエピソードもなくすぐエッチ」というアホウな恋愛模様よりはずっとやきもきできるし、葛藤や逡巡もきちんと描かれてます。
    なぜか、男同士ということに関しての葛藤はほとんどないのDEATHがね。

    1・2作目では物語がまったく動かず、半死半生でプレイする羽目になるのだが、3作目で急転直下、4作目で大団円とボリュームに相応しい展開を見せたのも評価。じゃないと、これを全作買ったユーザーが浮かばれない。
    逆に、1・2作目だけで止めてしまった人がいるのなら、ぜひ3・4作目はやってみてほしい。
    私も最初の2枚までは危うくクソゲーの評価を下しそうになりましたが、最後までやってみたら意外にも持ち直し。
    案外まともな作品だったんだ、と今なら思えます。

    女性皆無のBL的世界観に違和感のない人、ご都合展開や伏線なんて気にしないぜ、という漢気のある人、腐女子レベルが高く、キャラ萌えだけでご飯3杯はいける、という人にかなりオススメです。
    キャラ立ちだけはめちゃくちゃしっかりしてますので。萌え狂う腐女子の気持ちがちょっぴり分かりました。
    甘甘エンドは正直どうでもよかったのだが、鬼畜、もしくは壊れ系エンドにはなかなか良いものが多かったので、甘いだけのラヴでは満足できない大人な貴女にもオススメ。
    やはり、名の通った作品にはそれ相応の力があるもんなのだなぁと感心しました。

    ……でもやっぱり、自分は真性のエロゲーマーなのだと痛感。
    帰りたい、あのフィールドへ帰りたいよママン!!
    脱ぐのはやっぱ女じゃなきゃ嫌だい! 乳とケツが拝みたいんだい!
    というわけで、しばらくはボブゲはお腹一杯です。ゲフゥ。(4作もやったから当たり前だが)

    リアライズ

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    様々な疑問に彩られた、ある意味すごい問題作。
    第一の疑問は、「これって純粋に完結してる作品?」
    率直に申し上げて、かつての名ライター高橋氏も「とうとうやっちまった」感が強い。
    「俺たちの戦いは始まったばかりだ!」
    とまるでジャ○プで10週打ち切りを喰らった連載作品のように唐突に訪れるエンド。残りまくる謎と伏線。
    当然首をかしげるプレイヤー。

    聞くところによると、実はあれは、

    主人公を通して八重の視点から見た物語であり、彼女が破滅した時点で物語は終わる

    から、ああいう展開になったのだとか。
    (電撃姫インタビューより)

    確かに、業界で一、二を争う文章巧者である高橋氏なのに、作中よく一人称と三人称が乱れてはいたが、これを意図的なものとして捉えると納得いく点もある。
    が、そういう手法を取っている、ということは本来作中で気付かせるべきであり、しかもその後に未解決の伏線を残してしまうのはどう考えても下策。
    途中の物語の盛り上がりぶりを考えると、尻すぼみをする以前にぶっつりと途切れてしまうこの展開は、とてもプレイヤーの納得に足るものではない。
    個々に考えさせる余地のあるラスト、というよりは時間切れにつき丸投げした、という消化不良の感が否めない。
    事情を知る春秋に後日談を語らせるなどして、物語に一応の決着を見せてほしかった。

    また、言ってることが「世の中すべてを幸せで満たしたい」とかなりグローバルなわりに、実際に出る行動は、自分の力が直接及ぶ範囲の1Km以内の花火客に対してのみ。
    そういった、矛盾を通り越した誇大妄想が気になる。
    他者を自由にできる力を持っているのなら、世論を左右する力を持っている人間を操り、その輪をじわじわと広げていって、長期的には「世の中すべて」を変えうることすら可能なはず。
    東日本「最強の」力を持ち、思慮的で大人びた人間として描かれている八重が、そんなことにすら思い至らないほど浅はかで短慮な人間だったことに幻滅。
    物語後半までずっと正体が見えず、なおかつ底知れぬ影響力を持つ人間として圧倒的な存在感を持っていたのに、実際はその姿を現したとたんに物語のテンションがガクッと下がってしまう。

    どんなに綺麗事を述べても、結局は他者のエゴを自分のエゴで打ち倒すという醜悪な関係になるのだが、それに気付いていながらもその道を曲げようとはしない者、懊悩する者、利用する者と多種多様な人物像が織りなす関係は、とても興味深かった。
    だからこそ、その先に待つのは破滅なのか祝福なのか、衰退なのか繁栄なのか、何の暗示も提示されずにぶっつりと途切れてしまったこの作品に対する無念の思いはかなり深い。
    八重の破滅は自明の理。だが、他の能力者たちはどうなのだろう。彼女とは立場も思考もまるで違う。
    そういった各々のキャラクター達に、納得に足る結末を与えてほしかった。
    最悪、「世界は滅びましたさよならビッグバーン!!」でも私は気にしませんが。(それじゃ駄作だろう)

    作品全体の雰囲気は決して悪くない。
    バトルものでありながら不気味なほど静かに淡々と進む独特のテンポも印象的だし、深い謎に彩られ、次へ次へと前に進ませる力を持つテキストは相変わらず抜群の読みやすさ。
    丁寧なCGや職人集団「草薙」の手による美しい背景も見事。
    大物がゲスト参加したBGMも耳障りの良い、シーンにマッチしたものばかりだし、本当に惜しむらくはこのシナリオ。
    そして、微妙に使いづらいシステム。

    バックログや既読スキップ等、必要なものは普通に揃ってるのだが、そこへ至るまでは一度右クリックでシステム画面を介さないといけないというのはゲームの体感速度を大幅に削る行為だと思うので、こういうAVGではマイナス要因にしかならないと思う。
    VA系のいつものシステムと言えばそれまでだが、足回りは常に快適にしておきたいもの。
    特に、エロゲーマーは常に色んな作品に触れて、要求がどんどん進化する。
    もう少し、研究を重ねた方がいいのではないだろうか。

    そして第二の疑問だが。
    これは、はっきり言って、今作中で最大の問題点でもある。

    ……あの。いつからこれってホモゲーになったんでしょうか。
    パッケージには一切そんなこと書かれてませんが。

    ってくらい、主人公と親友である修二の仲が怪しすぎ

    女性陣だって皆かわいいし、好感の持てるキャラ造形であるのに、修二の影に隠れてまったく精彩を欠いている有様。
    全シナリオ中、この二人の会話シーンが大部分じゃないかと思われるくらい二人セットの印象が強く、あるエンディングでは、(ネタバレ危険→)精神を侵され眠り続ける修二の側にずっと付き添う主人公、という、いわば究極の「修二エンド」があり、

    お前らそれは「親友」の範疇を超えてるんじゃー!!

    と激しくツッコミ入れたい気分です。

    その修二関連のエピソードにしても、なぜ彼が他のプレイヤーを狩る側に回ったのか、本来なら反目するような人物と手を組むようになったのか、肝心の謎の部分が放置されており、あらゆる面で中途半端な印象が強い。

    とにかく、今作は意表を突こうと試みた趣向が、すべて裏目に出てしまっているという悲しい結果に。
    新規ブランド第1作目だったのだから、もっと冒険を避けて、手堅くまとめた方がよかったのではないだろうか。
    というわけで、これは心からのお願いです。

    コンシューマーに移植する前に完全版発売して下さい。
    このままだと、寝覚めが悪くて仕方ありません。(ぐーすか寝てますが)

    家族計画

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    70★★

    下で毒を吐くために、サクサクとシナリオ以外について論評してまいります。
    絵。かわいいけれど、可もなく不可もなく。少し塗りが荒い。
    物語の尺のわりにCGがかなり少なめなのと、重要なサブキャラに立ち絵がないのが残念。

    音楽。安定以外の何者でもないI'veサウンド。が、これも可もなく不可もなく。
    全編シーンにマッチはしてるけど、取り立てて「これが名曲!」と言うべき曲もなし。
    ボイス無いのがかなり助かった。この長さで声なんぞ出されたら死ぬ。(どうせ切るけどな)
    CD-DAなのは構わないのだが、曲が終わってループするときにもたつきがあるのが気になった。

    システム。オートクリック、既読スキップ、ホイールバックログ完備、セーブ数もそこそこ。
    AVGプレイする上では十分及第点。とりたてて手酷いバグもないようだが、CDレス起動できないのが難点。

    演出。平々凡々。ストーリーで魅せるタイプのゲームだし仕方がない。

    そしてやってまいりましたシナリオ。


    注! ここより以下、猛毒地帯となりますので、このゲームのファンの方はお願いですからお戻り下さい。 俺はマゾだぜ! って方なら臨死体験でイケるレベルで突っ走らせていただきます。

    あー、まあ何というか。

    期待しすぎた私がバカでした、と言わざるをえません。

    同メーカー・同ライターの「加奈~いもうと~」が力作であったのと、世評が相当に高かったのでものごっつー勇んでプレイしたのですが。
    開始後10分してすでに諦めムードが蔓延。

    とにかく無駄の多い冗長なテキスト。
    いちいち面白くもないギャグを挟んだテンポの悪い会話。
    「俺は○○をした(次ページへ)」「次に○○をした(次ページへ)」と、一文ごとに次へ送らねばならず、早々とオートクリックに登場いただく羽目に。
    どうして真面目な会話をしているときに、非常識なギャグで場を混ぜっ返す必要があるのか極めて謎。
    山田一氏ってこんなに文章下手だったっけ?

    それぞれ各ヒロイン+主人公に突きつけられる事実は重いものの、そこから展開する論理が稚拙すぎて、テーマに至極真面目に取り組んでいるのは分かるのだが、描き出そうとする人と人との軋轢に重みが感じられない。
    ある程度年齢のいった人なら、その青臭さにほほえましくなったり、懐かしさを覚えたりするよりも、このガキ、甘えてんじゃねぇ! とうっとうしさや苛立ちが先に立つ。

    現代物をやるときには、フィクションであることをどれだけ観客に意識させずにいられるかが鍵になるが、ものすごく都合のよいドリームで世界が構成されており、しょっぱなから興醒めしてしまう。
    現実は常に無慈悲で残酷、ゆえに世界に平等であるのに、この世界は中途半端に現実的で、あとはずいぶんとファンタジー。

    主人公の造形も鼻につく。被害者意識が強すぎてまるで共感できないし、同じ過ちを何度も犯す。
    自分の目が開いてないのを棚に上げて幼稚な主張を振りかざすし、挙げ句の果てにその過ちに気付いてからは一転、どうしようもない局面に立たされてまで独り相撲をとり続けるという成長のなさぶり。
    成人過ぎて、しかも普通よりもずっとハードな生き方を強いられてきているわりには意志も弱いし、人格の研ぎ澄まされ方が鈍いとしか言いようがない。

    おまけに登場人物が皆子供。姿形こそ年齢相応だけど、考え方が幼稚園児と同等のメンタリティしかないため、何かつらいことがあるたびにすぐにくじけるし逃げる。

    このアホンダラが! 逃げてカタつく現実などこの世にはありゃしないのじゃあ! 泣いて済むなら警察いらんわボケ!
    と張り倒したくなることたびたび。
    先に進むための回り道ならともかく、言動が堂々巡りすることばかりで、お前は山手線か! とツッコミたくなる。
    (乗ったことありませんが)

    やたらと他者に依存するキャラ、人の顔色ばかり伺うキャラ、社会性がなく傲慢以外の何物でもないキャラ等々、とにかく出てくる攻略対象キャラのほとんどが理由はあれども社会不適合者ばかりで、それを免罪符のごとく振りかざして、「私、不幸なの。だから面倒見てね」と不本意な状況を押しつけられるもんだから、個別ルートに入る前からげんなり。
    せっかくプレイヤーの同情に足る設定を持っていても、肝心のキャラの肉付けがこんなだから、「仕方ねーだろ。自業自得だよ」、という気分になってしまう。

    テメエのケツをテメエで拭けない奴には自己主張する権利などありません

    被害者ヅラしているのに、他者を傷つけることには(やむを得ない事情をもっていたとしても)無頓着なのも問題。
    突き放される、無視される悲しみを知っているはずなのに、自分もそれをやりますか?
    自己犠牲で一人悦に入って、同じドジ踏むのは許されますか?
    自分の事情のためには麻薬も売りますか? 相手の体を慮った言葉の一つも吐けば、犯罪行為は無に帰せますか?
    売春なら傷つくのも損するのも自分一人で済むが、薬を売るのは他者を傷つける行為なのでは?
    誰よりも痛みを知っているはずの各々のキャラたちがそれをやりますか? とツッコミどころ満載。

    スタートラインが他者と違うのは仕方がないこと。
    自分では選べないのだし、大なり小なりどんな人間だって違って当たり前。
    そこからいかに生きるかが重要なのであって、環境のせいにして自省を怠り、進歩しようとしない人間は大嫌いです。

    ついでにこの世の中、家族がすべてじゃありません。
    血の繋がりがナンボのもんですか。直系だって他人より薄い関係なんてその辺にゴロゴロしてます。

    人は所詮一人で立つしかない。

    それは間違いじゃないし私の持論でもあるけれど、そのために他者を排斥するのではなく、だからこそ良好な人間関係を築かなければならないのでは?
    そこに生まれた真に信頼に値する人間を大事にするべきなのでは?
    そして、自らも他者の信頼に足る人間として生きねばならないのでは?(性悪説みたいだな)

    そういった、至極当然の事実に物語のキャラたちが気付くのはゲームの後半。
    そこに至るまでに垂れ流された、暴力的なまでにどうしようもないグダグダ論理ですでにプレイヤーの我慢は沸点寸前。
    だから、いかに後半の展開で巻き返しを図ろうとも、一度はバラバラになった「家族」が、再び高屋敷家に集う大団円を迎えようとも、「ふーんあっそ。良かったね」で終わってしまい、何の感動も得られない。

    そもそも、再三「家族の絆」と訴えてはいるが、それらしい結束を見せたことなんてゲーム中、ほとんどないのでは?
    一緒に住んでメシ食って、それぞれ勝手に暮らしてるだけで、そこに暖かさも団結力も欠片も見出せなかった私の心が摩滅しているのですか?
    結局、各ルートを終了しても、メンバーのその後はさらりと触れられるだけで、「え? 家族になったんでしょ?」と拍子抜けさせられる。
    物語中でそこまで固執していたのに、一人とデキちまったら後は適当ですか? ずいぶんとクールですな。

    「家族愛」物としては説得力に欠けるし、恋愛ゲーとしてはさらに大味。
    各ヒロインの個別ルートが少なく、物語のほとんどは共通ルートで展開する。
    そのため、とにかく初回プレイが地獄だが、これを乗り切ってさえしまえばあとは既読スキップ併用で何とかなる。
    ただし、初回6~10時間、各ヒロイン2~3時間と計算し、人によっては数十時間になるであろう貴重な時間をこのゲームで浪費していいのか、という質問には残念ながらNOと言わざるをえない。

    人生は短く、読める本もプレイできるゲームも限られてるんです。
    悪いことは言わないから、超ピュアな感性でも持っていない限り、このゲームには近づかない方が無難。
    ……あ、ロリ属性のある人は結構いいかも。末莉なんてかなりソソる(だろうと思われる)キャラだったので。

    私? もちろん罵殺したくなりましたよ(スマイル全開)

    新・御神楽少女探偵団

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    79★★★

    コンシューマーから18禁へとプラットフォームを変えた作品。なのだが。
    あいたー。これは18禁にしてはいけないゲームの典型になっちまいました。
    PS版ではぼかしてあったエログロの表現を遠慮なく盛り込んでしまったことで、コンシューマー版にあった魅力が損なわれてしまったという稀有な例。
    そして、何よりも爽快感の薄いシナリオ。

    とかくひどかったPS版の絵に関しては、さすがに老舗のエルフが手がけただけあって、原画・塗りともに隙のない高レベルなものに進化しているものの。
    キャスティングも見直しが計られ、PS版で「アンタ本当にプロ?」と疑いたくなる演技をかましていた某お嬢様等、ボイス面でも大幅に改善が見られたものの。

    残念ながら、キャラ立てと18禁というフィールドが噛み合っていない
    前作はパッと見は「3人娘で探偵団? ウヒウヒ、エロゲな予感」な雰囲気なのだが、同梱されている移植版をプレイすると分かる通り、見た目とはうって変わった硬派の、清潔感あるAVGなのだ。
    が、せっかく生き生きとした個性を持ち合わせていた3人が、「色恋沙汰」を最終目的として盛り込まれてしまったため、凡百の小娘に大変身。
    おまけにそのHシーンもかなり薄く、シチュエーションも強引で、「とにかくエロを盛り込まなきゃ」という意志が空回りしている印象を受ける。
    せめて、3人の個別のエピソードをもっと設け、時人との心の交流を丹念に描くべきだったと思う。
    最後の最後にきて、「私、先生が好きです→いきなりH」という展開はどうにも腑に落ちないのだ。

    また、肝心の快刀乱麻を断つべき探偵の時人が今作ではヘタレなのも問題。
    確かに推理力においてかつての冴えを衰えさせてはいないものの、いきなりジャンキーで廃人寸前、というのはこれから推理ゲームを解くぞ! という意気込みをしていたプレイヤーを脱力させるに十分すぎる。
    おまけに、目はうつろで頬は痩け、よだれと不精髭にまみれた、見るからに汚らしいグラフィックまできちんと用意してくれやがってる徹底ぶり。いったい誰がそんな名探偵像を拝みたいものだろうか。
    普通、プレイヤーにショックを与えるのは奮起を促すための演出じゃないのか。これでは萎える一方だ。

    そういった、「推理」以外の部分のシナリオにはかなり粗が目立つが、軸となるこちらはさすがの出来映え。
    意外性の高さや複雑に絡み合う伏線、プレイヤーにほんの少しの違和感を提示するテクニックも見事だし、謎解きも時折荒唐無稽な点はあるが、納得に足るレベル。
    さらに18禁ということで遠慮なくやれるようになった猟奇的エピソードと残酷描写がてんこ盛り。
    人によっては目を背けたくなるグラフィックや吐き気を催すであろうシチュエーションがこれでもか、と大量に盛り込まれているので、おどろおどろしい推理物に目がない人ならかなり楽しめるはずだ。
    だからこそ上記の2点が惜しすぎるのだが。

    読むだけでないシステムとして「推理トリガー」を盛り込んであるので、ゲームとしてはかなり好感触。
    自分で能動的に介入しないと解けないようになっているので、ダレがちな長編AVGによい緊張感を与えてくれるし、そうして謎が解けたときの爽快感もひとしお。

    ただ、推理ゲームとしてはバックログを読めることが必須だと思うのだが、これがなぜかできない。
    この辺のシステム周りは少々片手落ち感が否めない。
    セーブもチャプターごとにしかできないので、別の選択肢をしてみたいときが面倒。
    ゲームの性質上、どこでもセーブ、というわけにはいかないだろうが、尺の長いゲームでもあるので、その辺もう少し融通を利かせてくれると良かったと思う。

    本格推理物、ゲーム性のあるエロゲーを求める方にお勧め。
    ただし、残酷描写にお気を付けて。シャレじゃなくかなりキッツイのがありますので。

    SNOW

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    72(kanon&AIR体験済)★★
    (kanon&AIR未体験)
    ★★★★

    (今回はゲーム内容の都合上、「Kanon」「AIR」ネタバレを多大に含んでいるのでご注意!!)

    ハァ~。ある意味最もレビューしにくい作品だと思う、コレ。
    作品成立に至るまでのの付加情報をまったくオフにして考えれば、かなりの力作ではある。
    が、付加情報に耳を貸さないということは、今作の場合圧倒的に問題がありすぎるのだ。

    今作を一言で表現するならば、よく言えば、奇跡の起きないkanon。破壊力のないAIR。
    ぶっちゃけて言ってしまえば、kanon&AIRところどころONEのコラージュカラーコピー。パソコンプリンタレベル。

    そう言われても仕方がないほどまでに、演出もストーリーも似通りすぎている。
    開発陣自らが「似せた」とゲーム情報誌で公言している通り、「オマージュ」の域を通り越してしまっている、ある意味見事なパクリっぷり。
    「パクリ」という言葉を軽々しく使うのは気が引けるのだが、そう言われても仕方がないだけの罪業をすでに背負ってしまっているのが如何ともしがたい。
    せめてもの救いは、決して「デッドコピー」ではないということか。

    この際、美点から挙げよう。

    木々を覆い隠す雪や、冬の光の柔らかさ、暖かさを十二分に表現しきっている素晴らしい背景。
    ちょっと微妙な表現かもしれないが、(みつみ美里+甘露樹)÷樋上いたる(各氏敬称略)な雰囲気を持つCG。
    塗りはものすごく丁寧だし、何より、人物に降り積もった雪の質感がリアルで素晴らしい。

    昨今の風潮に逆らうかのようにボイス無しではあるものの、それを補って余りあるレベルの高いSE。
    (ちなみに私はボイス嫌いなので↑これはうれしい)
    水のせせらぎ、吹き荒れる風の音、降り積もる雪、それを踏みしめる音、そういった自然の発する何でもない音を、まったく不自然のないレベルで再現している。
    そして、相変わらず類いまれな表現力を持つI'veサウンド。
    今回もその実力を遺憾なく発揮し、作品世界を大いに盛り上げている。

    ……だけど。だけどね。

    肝心の演出とシナリオがこうも上記二作品に似ているのでは、判断のしようがないのですよ。
    テンポの悪い会話、冗長な日常生活、構成すらほぼ同じ。

    メインヒロインクリア → 過去編出現 → 全ルート補完 → 最終ルート出現 → 終幕

    の展開は……それってAIR。
    さらにヒロインは、

  • 澄乃――メインヒロイン。Keyキャラ伝統の白痴。口癖「えう~、だよ~」。ラストが観鈴(C)AIR。

  • 旭―――人外で萎え。シナリオ重要度薄し。まんま真琴(C)kanon。

  • しぐれ―せっかく積み上げたシナリオ&設定、自らぶっ壊すストーリー展開に脱帽。ある意味舞(C)ONE。

  • 桜花――ガキはもうお腹一杯。泣きゲーのキーパーソンに子供使うの禁止。(C)AIR美凪編のクソガキ。
  • すごいよメビウス! 4人も取り揃えておきながら、真っ当にオリジナリティのあるキャラが一人もいないなんて!

    それはそうとして、この作品の一番弱いところは、すべてにおいてあざといまでにきれいすぎること。
    kanonのいびつさも、AIRの難解さも持ち合わせず、ただ両者を教本として極めて手堅くまとめてあることが失敗なんだと思う。
    丸すぎる。突出した部分がない。

    人を涙させる悲劇的な展開も、深い感慨に導く印象性も薄く、すべてが片付きすぎ、しかも整合性なさすぎ
    あの、AIRの「鳥の詩」が流れてきただけで脳内にゲーム画面がフラッシュバックするほどのインパクトがない。
    代表的なエピソードが、AIRのSUMMER編にあたるLegend編において白桜を殺してしまったこと。

    SUMMERでは、神奈は運命の輪に囚われてしまったが、柳也はそこであえて死を選ばずに生を全うした。
    当然、この場では生き抜くことの方が辛く、厳しい道であることがプレイヤーには分かっているから、だからこそ最後の、輪から解き放たれた神奈と柳也の姿を見て滂沱することができるわけで、そこがAIRの演出力の高さでもある。

    が、Legendではそれがない。さらに、ヒロインである菊花が極めて脳天気で身勝手な性格であるため、いかに天罰を受けようとも、プレイヤーとしては「ふーん、あっそ。でも当然だよね」としか思えないのだ。
    おまけに、白桜が生きてりゃ全然問題なかったものを、まったく意味もなく自殺させている。

    ここでだいたいのプレイヤーは「へ? 何で死ぬの?」と(゚Д゚)ポカーン状態になることが予測される。
    だって、肝心の両者が死んでしまったらそこで天罰完遂じゃないのか。輪廻に囚われる必然性がないし。
    関係者の処罰だって、鳳仙もしぐれもいずれ死ぬんだから、放っておけばすべて丸く収まる。
    自ら望んでこの過ぎてしまった事態をやり直す必要などどこにもないのに、ご丁寧にもやってしまってるのだ、この作品は。

    おまけにLegendを終えて、最終ルートに入ると設定がおかしいことに誰でも気づいてしまう罠。
    同軸上にあるはずのすべてのヒロインのルートが、実は同軸上にはあらず、何でこんなに唐突にパラレルワールド突入?
    と思わざるをえない。
    そして、それに関しては一切の説明がなされない
    いつからここは並列世界(C)YU-NOになったんだ??? と首をかしげることしきり。
    伏線を回収しよう、という意気込みが強すぎて、極めて基本的な足下が見えてないというのがよく分かる。

    そして、最後のルートも終わって戻ったタイトル画面。画像変わってる。

    ここまでAIRかよ!

    ……ある意味徹底してます。

    運命から解き放たれようとして、でも結局天の罰を最後まで享受した最終ルートのエンディングといい、この作品自体が、結局kanonとAIRの呪縛から解き放たれずに終わっている。
    すべてにおいて亜流でしかない、でも一流の亜流ではあるという、残念至極な作品。

    はっきり言って、あの「悪夢」のスタジオメビウスがここまで真っ当な作品を作れるなんて全然思っていなかっただけに、私には惜しすぎる作品だった。
    クリエイターとしての矜持を持った、誰にはばかることのない、完全オリジナルの作品を次作に望みます。
    本来なら、いくら同系列会社であろうとも、いや、だからこそ恥ずかしいと思って然るべき行為のはずなので。

    kanon、AIRの下敷きがあったから、とうしろ指を指されることのない。
    本気でやればできるんじゃん、と素直に褒め称えられる作品を見てみたい。それだけです。

    ところで、そんな評を書いてるわりに本家より点数が高いじゃねーか。とお思いの諸氏へ。
    これは、今作がAIRよりはテンポがマシで、白痴度が低いからです。
    観鈴はマジで耐えられないくらい低脳だったので。

    あとさ……私のマシンスペックが低すぎるのが悪いのは分かってるんだけどさ。
    総インストール1.8Gはやりすぎなんじゃ?
    そのわりにメディアレスにはならないし、右クリックメニューや自動文章送りなんかもないし。
    細かいところの気配りが抜けてるような気がするので、これも次作への宿題。

    参考までに強引にCD使わない方法を。(ただし、私は責任取らないので各自自己責任で願います)

    (1)ゲームディスク内のBGMフォルダを、HDDのルートフォルダにコピー
    (2)同じく、BGM以外の全ファイル(フォルダ含む)を、ルート以下の適当な任意フォルダにコピー
    (3)コピー後、install.exeから起動すればウハウハ
    (4)デスクトップに↑これのショートカットでも置いとけば、なおウハウハ

    ……だって、この方法使わないとCDアクセスが頻繁すぎて、私のマシンじゃ一向に進まなかったんだよ(⊃дT)

    そして魂の叫びを。

    芽依子を攻略できんのは、絵里(C)臭作を攻略できないよりも納得できん!!

    "Hello,world."

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    72★★★

    (メーカー)は、全ニトロファンの忍耐を試しているのに違いない。

    だってそうとしか思えないんだよ。私だってこんな点数付けたくないよ。
    「ファントム Phantom of Inferno」が90点、「吸血殲鬼ヴェドゴニア」が84点、「鬼哭街」が83点と、常に高アベレージを叩き出し、安心して遊べるメーカーだと信じてきたニトロが、まさかこんなどうしようもなくアイタタタな作品作っちまうとは。

    とりあえずプレイ開始後10分でやる気をなくしたゲームは久しぶりです。
    ものすごくダルい。異常な説明の多さ。
    たとえそれが、主人公がこれから人間社会の常識を身につけていくことを前提としたロボットだという演出を差し引いても。
    前半、どうやってもちっとも進まないストーリー。魂が抜けかけるような冗漫な毎日の繰り返し。

    私がプレイ中密かに気になったのは、どうもアージュ臭さが漂っていたこと。
    学生の仲良しグループ、身近などうでもいい事件の積み重ね、キャラ同士のつまらない掛け合い漫才。
    主人公と奈都美、薫、圭介の関係なんて、まんま「君が望む永遠」じゃん。
    いくらメーカー同士が仲が良くても、いらんところまで参考にしなくてもよいわ。
    ニトロにはニトロの、他メーカーには出せないカラーがあって、そこが好きだったのに。

    率直に言って、今回はシステムしか評価できない。
    ニトロ作品とやたらに相性の悪かった私のマシンでも今回はかなり安定していたし、サウンドやエフェクト、その他細かいところまで自分のいいようにカスタマイズできる仕組みになっている。
    バックログの読み込みや、そこからの復帰がやや時間がかかるような気がするが、それ以外はセーブ数も多いし、セーブ時のコメントや選択肢に戻る機能も備え、AVGとして必要なシステムを網羅しており、十二分に合格点。でもそれだけ。

    3DCGはかなり良い出来映えなのだが、肝心のキャラ絵は好みじゃないし(時折変な人体になってるし)、シナリオもテンポ激悪。演出は平凡。
    キャラの肉付けに至っては涙を流して「勘弁してください」と土下座したくなるくらい最低。
    あまりにひどかったので列挙します。

  • 奈都美――メインヒロイン。鈍くさい。頼むからもうストーリーに絡んでくるな。

  • 薫――――足手まとい。敵地潜入して「気を付けろ」と言われてるのに、次の瞬間突撃かましてんじゃねぇ。

  • 千絵梨――お嬢うざい。テメーは金があるだけマシだ。わがまま言うな。もみあげがしめ縄。

  • 深佳―――お子様はすっこんでろ。

  • 若佳菜――エロ担当。いちいち泣いたり愚痴ったりうるさい。大人は大人らしくしろ。

  • 遥香―――このゲームのオアシスその1。でも座ってるときのCG、胸垂れてるのが気になったよ。

  • 純子―――オアシスその2。なのに何でエンディングないの? 彼女のシナリオこそやりたいのに。
  • こんな各ステキヒロインのシナリオ攻略に、8~10時間以上(スキップ併用・常人平均値)かかるのはいかがなものか。
    さらに、そこまで長時間縛り付けておいて、どうしてトゥルーエンドが全員同じなのか。
    よくぞ耐え抜いた、私。

    それもこれも、
    「次の瞬間には、きっとあっと驚く『ニトロ仕掛け』が飛び出すに違いない」
    と信じていたから。(そして裏切られた)
    泣くに泣けません。

    ファーストプレイではスキップが使えないため、おそらくプレイ時間が20時間近くかかると思われるのだが、それでもストーリー上の盛り上がりは大きく分けて3回しかない。
    しかも、それがすべて中盤以降の後半に集中している。
    これだけでシナリオのバランスが悪いことを露呈しているのに、その展開自体がトホホなもんだから、プレイヤーは脳死を起こします。

    今どき無機物から派生した破滅主義ロボットの人間性の発露なんて流行りません。テーマが遅すぎ&古すぎ。
    しかも、それを肉付けも味付けもしてないもんだから、実に陳腐な勧善懲悪自己犠牲物に仕上がっている。
    つまらん! 実につまらん! そんなの18禁ゲーじゃ意味ないやい!

    今回は、メーカーが「萌え」を意識したらしいが、意識しすぎて空回りしたという印象が拭えない。
    モーラ(※「吸血殲鬼ヴェドゴニア」のヒロイン)にならいくらでも萌えられるが、奈都美に萌えろというのは逆立ちして一回転しても無理。
    むしろ、ニトロの銃火器類になら萌えられますが、ヒロインに萌えることは不可能。
    萌えを意識していない方が、ずっとずっと萌え&燃えられる展開を巻き起こしていたニトロに戻ってくれ、頼む。

    メーカーへの愛ゆえにこっぴどくこき下ろしたが、このプレイ中ずっと苦行に耐えているような気がしていたので。
    「楽しむ」ためにゲームやってんのに、それをほとんど味わえることなく苦痛な数週間を過ごしてしまったので。
    これなら総プレイ時間3時間の「鬼哭街」の方が、ずっとコストパフォーマンスに優れているような気すら。

    次回作「斬魔大聖デモンベイン」に期待します。シナリオ担当の鋼屋ジン氏の文章や展開は結構好きなんで。
    ……とりあえず最後に。

    こんなのニトロ作品じゃないやい!!
    (夕陽に向かって猛ダッシュしつつ涙を拭きながら)

    野々村病院の人々

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    73★★★

    わりとやりがいのあるAVG。ただ、主人公の性格がクセが強いので、嫌いな人は辛いかも。
    ちなみに私は辛かった。だってコイツ、身勝手で自信過剰な嫌なヤツだったので。

    謎解き自体は良くできており、複数の事件が絡み合って一つの事件の様相を呈しているのはなかなか面白かった。
    変なバッドエンドも多く、ゲーム開始後3分で終わってしまうパターンもあり、私の妹はそれに陥った。
    探偵なのに依頼の電話取らなきゃ、そりゃ終わるよね……。

    ドラゴンナイト2

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    67★★

    古いね、私も(笑)
    どってことない、ご褒美CGがHなだけの普通の3DダンジョンRPG。
    MがPCエンジン版をプレイした際、壁をすり抜けてマップ外の場所にはみ出たのにはまいりました。
    ……翌月、裏技としてゲーム雑誌に載っておりました。

    DESIRE 完全版

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    76★★★★

    マイフェイバリットゲームデザイナー、剣乃ゆきひろ氏の作品。ですが。

    ……しまった。できれば、「完全版」じゃないのをプレイしたかった。

    この「完全版」でメーカーによって付け加えられたというラストが「完全」に蛇足
    製作者サイドが、シナリオライターの意図を全然酌めてないってことがよく分かる。

    このシナリオは、螺旋を断ち切ろうとして、それでもその螺旋に囚われ続けてしまうことにキモがあるのですが。

    ハッピーエンドじゃダメなんだよ! 「To be continued Forever」なんだよ!
    そこに儚いまでに美しい切なさを見出せないようじゃ、この話を理解してないも同然なんだよ。
    うわぁぁん、シーズウェアのバカ! おかげで高得点付けられないじゃないかよ。

    今ではもう完全版の方が手に入れやすいので仕方がないが、これからプレイする人は、(ネタバレ危険!→)マルチナ編」が終わったらそこでストップした方がいい。
    その方が、ゲーム終了後の余韻が断然違うから。

    ちなみにシステムは剣乃ゲーム伝統の「コマンド総当たり方式」なので、いささか面倒くさいです。

    臭作

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    途中までは鬼畜陵辱ゲー。
    最後にいきなりエロゲーとしてのアイデンティティを自ら覆す大どんでん返し。

    このオチって要するに(以下反転)、
    お前、何でモニターの前で暗~くエロゲーなんてやってんだよ! やーい引っかかっただろ、バーカバーカ!
    と言われてるのと同じなのですが(苦笑)

    ラストまでやれば、激怒する人となぜか感動する人、萎える人、苦笑する人に大別することができるかと思われます。
    私は笑うしかなかったなぁ。最初エンディングを見たときは、「へ? 何じゃこりゃ?」と思ったし。
    冷静に考えてからは、「ああ、『書を捨てよ。街へ出よう』ってメッセージなのね」と解釈しましたが何か?

    臭作の言動が意外におちゃめなのが微妙にウケたので、個人的には満足です。

    加奈~いもうと~

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    79★★★

    ありそうでなかったところをピンポイントで突いてきた、ある意味究極の泣きゲー。
    ただ、ネタ自体が「病気」というあざとさのため、この時点で涙腺が凍結した人が多いのも確か。
    しかし、エロゲーというフィールドでありながら、真っ当にテーマを捉え、最期まできちんと描ききろうとした姿勢は賞賛に価する。
    何と言ってもゲーム舞台は現実世界という設定上、(ネタバレ危険!→)奇跡なんて当然起きず、重度の病に冒された妹は死んでしまうのが良し。
    (もちろん、助かるエンドもあるんだけどさ……)
    音楽のレベルが高ければ、もっと涙腺を刺激できたと思うので、そこが残念。
    ちなみに、このゲームの真面目で丁寧な作り込みには敬意を表しますが、その後、キャラグッズを乱発すんのはどうかと思う。

    エンドレスセレナーデ

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    73★★★

    大して期待してなかったのだが、意外に出来が良くてお得感のあったソフト。
    (失礼千万ですな……)
    急激に二転三転するメインシナリオは結構読ませるし、サブヒロインの扱い方もなかなか。
    ただし、既読スキップが判定をスルーすることが多々あり、再プレイが面倒。

    結構力作を出して頑張ってるじゃん、と思ったら、いつの間にかメーカーが無くなってました。南無。

    水夏

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    「バッドエンドがすごい」という話を聞き、勇んでやったソフト。(ぉ
    確かにバッドエンドは面白かった。いきなり終わるわ救いはないわダークな展開だわ。
    だが、いまいち点数が振るわないのは、最初はよかったのに、最後の方が尻すぼみになってしまったから。

    1~3章までの「黒い」ノリを持続してくれたらもっと評価は高かったのだが、4章では突然感動物に日和見してしまい、かなり失望。
    私は3章が一番好きだ。何てったってドロドロぐちゃぐちゃの人間関係で最後がコワーイ愛憎劇だから。

    しかし、どの章にも言えることだが、シナリオが安直で文章下手すぎ。
    一つの段落に何度も同じ表現、統一されていない漢字に派手な誤字脱字。

    ノベルタイプのAVGは文章が主役。

    なのにその扱いがこうもお粗末では手に負えない。これでかなり興ざめしてしまう。
    それに、どのシナリオも、途中でほとんどオチが見えてしまう展開。
    むしろ、ハッピーエンドに持っていかず、完全にホラー仕立てにした方がインパクトがあって良かったような気がする。
    ぶっちゃけて言えばこのストーリー、ハッピーエンドが似合わない物語だから。

    私としては、1章の死人返りや2章の冬虫夏草のエピソード、3章の「真の黒幕」なんかは、ホラーとしてかなりいい味出してると思ったんだが。
    1章なんて、展開によっては腰抜けるほど恐い話にできたと思うし。
    最終の4章は、悪くはないけどありがちな味付け。愛憎劇が人情劇に急降下。だるい。

    18禁という限られた場でしかできない表現方法を求めてエロゲーやってんのに、そういうフィールドですら、

    「失われゆく命との絆」とか、
    「離れていたor忘れていた時を取り戻す」とか、

    ゴールデンタイムに視聴者からお涙頂戴するような、陳腐なドラマを見せられてたまるか。
    そんなのはやらせがお得意のテレビにでも任せておけばよし。

    私はこのフィールドに、18歳以上でなければアイデンティティが崩壊するような衝撃を求めている。
    だからこその年齢制限だ。

    「エロいから18禁」なのじゃなくて、「18歳以上じゃなければ危険」だから。
    「エロ」も「グロ」も「暴力」もあるけれど、それすら上回る圧倒的な力感と熱量。
    そういった力を併せ持つ作品にはなかなかお目にかかれない現実。
    「水夏」はやりようによってはいい爆弾になると思ったので残念。

    「水夏」の一番の弱点は、各ヒロインに個性が全然感じられないこと。
    引き合いに出して悪いが、Keyやleaf系の「痛すぎる個性」にも行き着けないし、確信犯的な狙いにも至らない。
    結果、「このあり余る感情をどうしたらいいんだーっ!!」ってことにならない。
    (それを「萌え」と言うのでは?)
    これって、エロゲーでは致命的なことだ。私が萌えないだけで、他のプレイヤーは萌えてるのかもしれんが。
    その辺、どーなんですかね? キャラ萌え事情には明るくないもんで。

    色々書いたけど、多少主題がボケている点を除けば、及第点のゲームだと思います。
    DC版はどんなオチになっているのか気になる。
    いや、ED改変してるって聞いたんで。

    闘神都市II

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    75★★★

    かなり古いゲームだが、名作の誉れ高かったので、初めてエロゲーのRPGをプレイしてみました。
    が……

    レベルアップが超!!!!! めんどくせえ!!

    何せ、私はRPGは好きだが、レベルアップ面倒くさがり魔人だったりする。
    おかげでRPGはいつもアンダーレベルクリアで、ラスボス付近では毎度手痛い思いをしている。
    (そしてちっとも懲りず、毎度泣きを見る)
    エンカウントもかなり多めなので、短気魔人でもある私、今回はちょっとばかり小狡い手を使うことにした。
    (どんな小狡い手を使ったかは、あえて内緒にしておこう)

    階層構造型のダンジョンは探索がかなり楽しい。オートマッピングで地図が埋まっていくのも楽しいし、アイテム集めもなかなか。
    一つの階もさほど長いわけではなく、長時間ゲームをやり続けられなくても切りどころがいい。
    ゲームバランス自体はさほど悪いわけではないと思う。

    さて、肝心のシナリオの方だが。
    序盤では「闘神都市」という設定がアホっぽいな~、などとボケッとゲームを進めていると、いきなり中盤以降からどんでん返し食らわされます。
    まさか、そんな意味があるなんて思っても見なかった、というわけで。

    「天使食い」の設定も面白い。
    強くなるためには天使を食わなければならず(別に直接咀嚼して食うわけじゃないよ、念のため)、されど天使を食えば罪が蓄積され、プレーヤーには罪悪感が生まれる……こういうの好きです。
    まー、遠慮なく食わして頂きましたが。(罪悪感はどこへ?)

    このゲーム、こういう二律背反的立場に立たされることが多い。
    強くなったが故の虜囚になってしまうゲーム後半。
    生きるためには飲まなければならない薬、しかしそれを飲めば理性のタガが外れてしまう設定、等々。
    設定やストーリー展開に意外と容赦がないのがいい。協力者があっさり死んだりするし。

    が、個人的には、ラスボスの背景が不透明なのが気になる。
    昔のゲームなので容量の関係か、この辺の掘り下げがちょっと浅い

    なぜアプロスは堕天使になったのか。
    デラスはアプロスとどこで出会い、どうして「天使食い」にされたのか。

    この二人は互いを「半身」と呼び合うほどに強い結びつきがあるのに、その辺がプレイヤーにはあまり伝わらないのが残念。
    何でこいつらこんなに求めあってんの? という印象を受ける。
    この辺をもっときっちり書き込めば、ラストにもうちょっと深みが出るかと思ったんだが。

    基本的にはRPG王道の勧善懲悪モノで、作り込みもしっかりしているので、やっても損はない。
    というか、RPG部分があまりにもしっかりしているので、かえって驚きました。(←失礼)
    さすが「ゲーム」であることのアイデンティティをきっちり守るアリスソフトと言うべきか。
    PSあたりのクソRPGよりは、ずっと手応えが楽しめるかと思います。

    kanon

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    75★★★

    世間の評価と私の評価がかみ合わない第2弾。

    これを書いたら、世のKanon信者から刺されるかもしれないが、あえて書きます。

    このゲーム、そんなに面白い?

    確かに、綺麗な話、綺麗な演出、綺麗な音楽。でもそれだけなのが辛い。
    みんな「泣くぞ」って言うんだけど、そうですか?
    確かに私は涙腺不感症気味だけど、あの程度のシナリオで泣け、というのはちょっと無理だと思うのですが、どうよ?
    見るべき所はそれなりにあるゲームなんだけど。

    たとえば、情景の描写なんかはとても美しいし、相変わらず感情の機微に関しては、相当に力を入れていることが分かる。音楽のレベルも高いし、時折印象的なセリフも入ってる。
    が、各ポイント平均80点なんだけど、トータルでは75点、といった感じのゲームだという印象を受けました。

    第一、このシナリオ、全編18禁の意味がない
    どうせなら、最初から年齢制限なしで出してくれりゃ(私の)減点対象にはならなかったものを。
    「純愛」を謳うならHシーンなんて全面カットした方が説得力があるし、18禁だから、とあんなおざなりなHをさせて、シナリオの出来を損なうような真似を防げたのでは。

    あと、ハッピーエンドにしすぎ。
    私は物語の美しい収束のためなら、人の一人や二人殺してしまえ、というタイプなので、ここまでハッピーエンドばかり見せつけられると、かえって興ざめします。

    少なくとも、栞と真琴は絶対アンハッピーの方が美しい。
    より別の結末を迎えた方が、物語としてのカタルシスを感じられると思うんだけど。
    安易に生き返ったりするから、「奇跡」が嘘臭く思えて感動できない。

    「起きないから奇跡、って言うんですよ」じゃないのか?

    このセリフの時には、思わず「ああ、いいセリフだなぁ」と感心したものだったが。
    奇跡起きちゃったじゃん。
    ラストで、おいちょっと待て。と思わずにはいられなかった。
    生き返らせないで、でも確実に「奇跡」は起こったと思える余韻を残すシナリオにできると思うんだけどなぁ。
    要するにこのゲーム、全部が「そんなに悪くない」印象なんだけど、決して「良い」ではないのがミソ。

    異論はあるだろうが、良くも悪くもプレイする人の場数の違い、なんだと思う。
    ストーリー性のあるゲーム、本、映画、そういったものからどれだけ経験値を得ているか、という点で、多分にこのシナリオに対する評価は違ってくる。

    例えば、栞やあゆ、真琴的展開をみせるストーリーだったら、少女マンガの世界には、10年以上前から一山100円のバーゲンセール並にあります。
    18禁ゲームをやる人と、少女マンガを読む人とではフィールドが違いすぎて分からないのかもしれないが、少なくとも、18禁ゲームの世界では、シナリオのレベル自体が他のメディアより遅れている、と痛感せざるをえない(目的がはっきりしてる分、閉じた世界だからね……)
    そりゃ、たまには斬新な設定や世界観はあるけれど、成熟してるとはとても言い難い。
    その分、今後の発展が未知数な部分もあるわけだけど。

    だが、残念ながら、Kanonは舞以外のシナリオのオリジナリティが希薄で、それ故、パンチ力が格段に落ちていると思う。
    今までこういうゲームをやったことがない、普通の人がやる分にはそれなりに楽しめるという点は評価できるけど、それ以外では過大評価されすぎなんじゃないのか、と私が思ってしまう所以なのです。

    やるのなら、「評判になってたけど、Kanonとはどういうゲームか全然予備知識ありませーん」という方とか、「今までギャルゲーやったことないんですけど」という方にオススメ。
    逆に、本も映画もゲームも大好きだぁ! 我こそはストーリー魔人なり、という方は期待値マイナス30ポイントあたりから始めた方がよろしいかと思います。

    MOON.RENEWAL

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    76★★★

    注! この作品はTacticsブランドですが、Keyの主立ったスタッフが製作したことをふまえ、Keyに分類してあります。

    これ、受け入れられる人と、そうでない人の差が異常に激しいゲームなんじゃないだろうか。
    ひとえにシナリオの痛さと難解さのためなんだけど。
    私はわりと好きだ。これでもか、と精神に訴える痛さ加減がなかなかよい。(マゾではない。念のため)

    やや荒削りだが、話が進むに連れて深まる謎、押し寄せる狂気、緊迫感ある展開、盛り上がる音楽、とツボを心得ている。
    が、この種の、ある意味18禁にあらざる分かりにくさ(つまり簡単に抜けるか、ってこと)を放棄してるゲームってのは、好き嫌いが別れるだろうなと思う。
    またまた一部でかなりの信者を生んだらしいが。

    私は基本的に、18禁ゲームが18禁であるための理由を持っていない、というのが嫌なので、この手の「18禁でなければ意味がないシナリオ」を持つゲームってのは積極的に評価したい。

    あと、この先のシリーズ展開にも通じるけれど、このメーカー、精神描写が非常に緻密です。
    これは一読の価値あり。

     1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  | All pages