キラル盛

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84キラル好きなら
★★★★

※これはBLゲームブランド、ニトロプラスキラル作品のアミューズメントディスクです。ミニゲームが3本収録されているので、それぞれについて書いてあります。


■猫打(タイピングゲーム)

Lamentoキャラによるタイピングゲーム。
だがお遊びと侮ることなかれ。見た目はものすごくかわいいのだが、難易度は結構高め(らしい)。
私はそこそこタイピングが得意な方なので(7~8打/秒くらい)ノーミスでクリアできたが、他のユーザーのブログやらサイトやらを見て回ったら、あちこちでかなり悲鳴に近い声が。
どうやら通常レベルの速度では、ラストバトル付近はかなり苦しいらしいのでお覚悟を。
と言ってもそこはそれゲームなので、一行分の入力を丸々スキップできる特殊技を実装し、ちゃんとクリアできるようにバランスは取ってあります。
実は攻略中は1回も使わなかったので、効用が全然分からなかったマヌケっぷり。
チュートリアル読んで初めて知ったよ。
ちなみにこのチュートリアル、不親切なことにインストールされたプログラムフォルダ内にあります。これ、知らない人が結構いると思う。
どうしてゲームトップに記載してないのかは謎だが、ご一読を。

ところでこのミニゲーム、真の敵は難易度よりもそのシナリオの笑撃度にあると思う。
淵井鏑氏、ギャグシナリオ超上手すぎ。笑いすぎでキーを打ち損なう危険性の方が高かったよ。
「Lamento」本編を楽しめた人なら、腹抱えて笑えること間違いなし。
よりにもよって帝王・森川智之氏に「にゃー」と言わせるとか、どんな鬼畜の所業か。危うく死にかけたよ。
その他にも、本編では拝めなかったかなりほのぼの系のシナリオも搭載されているのでプレイして損はなし。
「キラル盛」に収録されている3本中、これが真打ちだと思うほど作り込みが細やかで面白かった。超お勧め。

あと、アミューズメントディスクのわりに推奨スペックが異常に高いのはニトロの伝統です。
兄ブランドに慣らされているので私は平気だが、大変にお嘆きのお嬢さん方が多かったようなので。


■クイムス(パズルゲーム)

ちょっとだけ新ルールを加えた、よくある落ち物パズル。
こちらの難易度は「猫打」と違ってやたらと低め。
長丁場になっても落下スピードが大して速くならないので緊張感がなく、いまいち盛り上がりに欠ける。
新録のボイスとゆーぽん氏のちみキャラを楽しむため、と割り切ってゲームにはあまりこだわらない方がいいかも。
また、シナリオというほどのエピソードもなく、基本的にパートナーに誰を選んでも展開はほぼ同じ。
「猫打」ほど特筆するほどのものはなかったのが正直なところ。
ただ、3人全員をクリアすると隠しキャラをパートナーにできるので、それまでは頑張るべし。
それにしても、やはり、「Lamento」だけで2本作るのは少々大変なんじゃ、と思う。
どうせお遊びなら、「Lamento」「咎狗」のクロスオーバーで1本とかにすれば面白かったような気が。


■咎狗ポーカー(カードゲーム)

その名の通り、咎狗キャラ同士で対戦するポーカー。
「必殺技」を使ったイカサマプレイができるが、使用の可否は選べるので、至極真っ当なカードゲームとして遊ぶことも可能。
(と言っても、わざわざオフにする人はさほどいないと思うが)
難易度はこれまた低め。使用キャラによって違うが、必殺技がかなりのイカサマ具合なので。
使いどころのタイミングを間違えず、あと運さえ絶望的に悪くなければ(必殺技は失敗することもある)ほぼ勝てる。
ちなみに最強イカサマ師は処刑人コンビかナノ。この二人を使って負けることはまずありえない。
反対にまったく使えないのが源泉。おいちゃん、CPU相手にその技はマジで使えないよ……!
これにもシナリオと呼ぶほどのものはなく、各キャラのミニエピソード程度。
その代わり、使用可能キャラがかなり多めなのでバラエティには富んでいる。
実際に発売されたグッズである「咎狗の血トランプ」の絵柄をそのまま採用しているので、現物を持っていない人にはそちらも見どころかも。

ところでスタッフクレジットですが。
PS2版で声優名が解禁になったからって、かつて源氏名だった人をそのまま載せちゃっても大丈夫なんですか。
確かに今作は18禁要素はないけど、オラ思わず余計なこと心配しちゃったよ。

MinDeaD BlooD~支配者の為の狂死曲~ DVD Special Edition

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
85★★★

今までプレイしてなくてすみませんでした。猛省。
何で発売当時にチェックしてなかったんだ。バカバカバカ。私のバカ。死んじゃえ!(無理言うな)
というわけで、「お前のようなド腐れ頭のプレイヤーにはピッタリだからやっておけ」……と言われたわけではないが、複数の方からお勧めをいただいた本作。
自分よりも他人の方が、私の趣味を理解してるってどうなのよ。
ボリューム・内容ともに高レベルのバランスでまとまっており、過激なエログロ描写に耐性がある人になら安心してお勧めできる力作。
実は正直、ここまで真っ当なシナリオを盛り込んだ作品だと思ってませんでした。どうせエロメインの、取って付けたようなシナリオなんだろうと高をくくってました。
くくらなきゃいけなかったのは私の首だ。

絵はかなりのボリューム。特に差分はハンパでなく多い
一つのシチュエーションに対し差分が10枚以上あることもザラ。最高40枚。しかも拷問シーン。ありえない。
エロCGに関しては頑張りすぎるくらいに頑張っている。
塗りも丁寧に仕上げられているし、キャラの描き分けもしっかりしていて安心して楽しめる。
ただ、立ち絵に関しては、所々CGと差があったのが残念。
最初に「エログロ描写」と書いたが、本作のグロ描写はハンパでない。質量共にやばい。
全CG中、6割がエロCGだとすれば、その中の4割はグロを伴うものだ。
多少の流血・触手程度ならともかく、限界まで精液を飲まされた挙げ句の吐瀉物や糞尿なんかも平気で描かれているし、硫酸浣腸だの人体破壊だの、ナイフをブッ刺してそこへ挿入、当然内臓はみ出しといった、過激というよりは酸鼻を極めるものまで。
この手の描写に弱い人なら2,30回は余裕で気絶できるのでくれぐれもご注意。
反対に、この手の過激かつアブノーマルなエロが好きな人にはたまらないだろうというくらいの膨大なシチュエーション。
当然、純愛(?)的ルートにもこの手のシーンは登場するので、本作をクリアするのに避けては通れない道。

音楽は重厚で物々しく、特筆するほどのレベルではないが雰囲気はまずまず。
単調な音楽に比べてSEの奮いっぷりは素晴らしい。牙やナイフを突き立てる音、銃撃の音、頭の潰れる音、拷問時の効果音等、主に「そっちはあまりリアルに頑張らなくてもいい」と言われる方面が充実している。
また、主題歌の出来が大変良く、作品世界を大いに盛り上げるのに一役買っている。
正直、電気式華憐音楽集団は歌唱力がアレなのでそこは少々気になるのだが、ちょっとつたない感じの歌い方と雰囲気、ハードなナンバーがやけにハマっていて、この作品にはこの曲じゃないとダメだと思わせるベストマッチぶり。

私がプレイしたのはDVD版のため、CD版をプレイしたファンの願いだったフルボイスが実装。
フルボイスの名に恥じず、名もない通行人やザコキャラにもきちんと声が付いている。
キャスティングも総じてミスはなく、特に男性陣は安定していた。
ただ、キャラによって音声ボリュームに差があったように思う。もう少し平準化してくれるとありがたかったのだが。
それにしても、今まで色々な作品をプレイしてきたが、こんなに悲鳴だの哀願の声が多いものはなかったよ。

演出はかなり派手め。
元が2004年の作品であるので実は大して期待していなかったが、ここまでバリバリに動くとは思っていなかった。
また、その動かし方・エフェクトのかけ方も巧みで、戦闘の臨場感や印象的なシーンの盛り上げに大いに貢献している。
カメラアングルもセンス良く、また、くどいほどの演出でもなく、絶妙のさじ加減と言ったところ。
しかし、拡大縮小で動きを付ける場合はできれば専用のCGに差し替えてほしかった。贅沢な要求ではあるのだが。
どうしても元の絵を拡大したものでは、ラインのギザギザが気になってしまう。

ゲームシステムは最近はあまり見なくなったマップ移動方式のAVGだが、あまりにも難しすぎる
作中、ヒントやTIPSがまったくと言っていいほど提示されず、おまけにルート判定条件がものすごく厳しい。
それが本作最大の問題点であると思う。つまり、ルートフラグを立てることに失敗すると、各マップで起こるイベントだけに終始せざるをえなくなる。シナリオの連続性がなくなってしまうのだ。
結果、攻略の難しさも相まって、いつまで経っても単発エピソードを集めるだけの単調なゲームになりかねない。
一周目、ご多分に漏れずデッドエンドを迎えた私は、おとなしくヘタレのチキンに成り下がることに。
涙目でDVD版の特典に付いてきた完全攻略ガイドを見てみたら。
できるかボケェェェ!
と叫んだことは言うまでもない。
フラグを一つ一つ潰すことに快感を覚える攻略マニアならいざ知らず、普通のプレイヤーにはハードルが高すぎる。
プレイには攻略チャート必須であると断言する。見ないでプレイは軽く無謀。マゾのすることだ。

ところで、ルートクリア後にゲーム内容とは全く関係のないミニゲームが2本楽しめる。
なかなか面白く、こちらは手応えもちょうどよいので攻略に疲れたらお試しあれ。

システムは基本的な機能を備えていて過不足なしだが、ホイールでメッセージを送れればもっとよかった。
ログの読み返しはホイール対応しているので、メッセージ送りも当然、と思っていたらできなかったのが残念。
スキップももっと高速だとよかったのだが、最悪の場合F5で次の選択肢までカッ飛ぶ(未読既読構わず。サポート対象外)のでギリギリ許容範囲内か。
シーンの他にOP・EDの回想モードがあるのはかなりうれしい。

メインとなるシナリオは3本。
吸血鬼としての生き方を模索する「Vampire Hunter」、吸血鬼となるまでの過去を思い出し、それを踏まえた上での選択をする「過去への贖罪」、過去も現在の業も背負って踏み出す「未来への旅立ち」。
一つエンドを終えれば次のルートがオープンになるのだが、そのたびにオープニングが変わったりタイトル画面が変わったりと非常に凝っている。
吸血鬼としての体と人間としての心を持つゆえの苦悩や、敵対する立場にありながら惹かれ合う焦燥感・もどかしさが丁寧に、じっくりと描かれている点も好印象。
かと思うと、要所要所で戦闘などの動きのあるシーンが入り、途中で飽きさせるということがない。
そこから導き出されるEDはどれも王道・予定調和と言える展開ではあるのだが、それゆえの抜群の安定感がある。
特に、「過去への贖罪」「未来への旅立ち」はラストの扱いが非常に巧みで、決して諸手をあげてのハッピーエンドではないそれらが、単に面白いだけではない深い余韻を味わわせてくれる。
物語の骨子とテキストが実にしっかりとしていて、頭の悪いギャグに走ったり、日和見的なあれもこれも詰め込み型のシナリオでない、書きたいことをきちんと見極めた実直な仕事ぶりは賞賛に値する。

各ルート以外のエピソードもかなり高レベルで仕上げられており、特に田上と東の扱いについては、18禁であるからこそできるはっちゃけた作り。
相当にエログロと狂気の描写が強く、「吸血鬼」という存在に対しての恐怖心や嫌悪感を大いに煽り、サイドからメインルートを盛り上げることに成功している。
本作はどのシナリオもだが、展開上、エロを避けて通れないものとしてきちんと包含しているのが素晴らしい。
年齢制限なくしてこのシナリオはありえない。

ただ、惜しむらくはエピソードにあと一押しが足りないこと。あまりにも語られなさすぎるのだ。
シン然り、マスターの正体とその娘の行方然り。
本来ならメインルートができそうな麻由と麻奈ですら、いまいち影が薄い。
麻奈なんて相当怪物性の強い側面がある。それをもっともっと見てみたい。
それに、どうせ吸血鬼となったのなら自分が支配者として君臨してみたい。
そういった、おそらく多数のプレイヤーが望むであろう点がことごとく抜け落ちてしまっていて、良作にあと一歩手が届かない歯がゆさがある。
メインルートの出来は問題ないのだが、全体的には力作というレベルで落ち着いてしまう。
上に挙げた点は多くがファンディスクで補完されているのだが、どうせDVD版を出すのなら、これらを本編へと盛り込んだリニューアル版としてくれればよかったと思う。
(CD版ユーザーには迷惑だろうが)

エロもグロも物語性も盛り込み、エンターテインメントとしての面目は充分。
ただ、どうしてもこのグロと難易度がある限り、メジャー路線に躍り出ることはないかと思う。
でもそれでいい。年齢制限を課された作品とはかくあるべき
私はこの作風を大いに気に入った。以降、メーカー買い決定。
吸血鬼ネタが好きで、陰惨な狂気・エログロに耐性のある方。ぜひプレイすることをお勧めします。
そして鼻血が出るほどの難易度に涙するといいのだわ。

Bullet Butlers

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84前作プレイ済:★★★
前作未プレイ:★★★★

今どき珍しいくらい、実に王道のファンタジーAVG。
そして、「執事」というものにハンパでないこだわりを感じさせる展開で、まさにタイトルに偽りなし。
ちなみにもちろん私は、戦う執事は大好物です。
ただ、良くも悪くも、王道であるがゆえに意外性には欠け、前作「あやかしびと」ほどの高揚感はなかった。
全体的には非常に良くまとまっていて、大抵の人が楽しめるエンターテインメントであるのは間違いないのだが。
どうしても前作の影がちらついてしまい、自分でも意外だが、のめりこむ、というほどではなかったのが残念。

絵は前作と同様、中央東口氏。
以前からは女性キャラの作風が少しだけ変わったようだが、相変わらずイッちゃってる殺人鬼とか抜群に上手い。
(※褒めてます)
また、渋い爺様とか亜人とか、とにかく通常のエロゲでは要しないはずのキャラが大変によろしい。
背景も、世界観を壊さないようきちんと配慮されたもので、好感が持てた。
両方とも塗りも丁寧で、質には問題がなかったのだが、物語の尺の割に使い回しが散見されたことが残念。
特に、戦闘シーンのバリエーションがやや少なく、できれば別の一枚絵を用意してほしかった箇所もあった。

システムは前作より大幅に改善され、大変好印象。ユーザーの声にちゃんと耳を傾けているのだな、と感心した。
何と言ってもボリュームのある作品なので、既読スキップが超強力なのがうれしい。
キー一つで一瞬にして未読部分に飛ぶので、スキップしている間に待たせられるといったイライラもない。
これは今後、主流になるべきシステムだと思う。もちろん、制作側はフラグ管理が大変にはなるだろうが。
バックログにきちんとルビが表示されるのも良い。特に今作はかなりルビを多用しているので、ログを辿ったときにルビがないと何じゃこりゃ、ということになりかねないので。
ただ、戻れる量も多く、音声再生にも対応しているのはいいのだが、表示のされ方が今一つ。
メッセージボックス内に表示されたものがそのままログとして表示されるので、奇妙にスペースが空いていて若干読みにくい。
手間を考えると仕方がないのかもしれないが、文に重きを置くAVGとして、これは改善の余地あり。

音楽は、前作同様可もなく不可もなく。
所々、おっと思わせる曲もあるのだが、無音の箇所も多く、同じような曲も多く、大した印象に残る感じではない。
ただ、SEの出来はなかなか良かった。
キャストは前回同様やりすぎ
声優ファンなら、制作サイドはいったい何を考えてるんだとツッコミたくなるほどの超豪華キャスト。
このキャストを起用して、本当にこの価格で売ってペイするのか疑わしくなるほどだ。
中の人ファンなら、TVよりこっちの方が喋るセリフも時間も長いだけ、お得な気分になれることうけあい。
むしろ、これだけのキャストを用意する番組自体がないよ。
一部、前作とも被ってますが、多くは皆実力派、ビッグネーム揃いで、もちろんキャスティングもばっちり。

演出はこれまたド派手。
アニメはないけれど、カットインやスクロール、拡大縮小と各種エフェクトを存分に駆使しており、迫力ある戦闘シーンの見応えは充分。
また、へたれ絵も用意されているが、今回は舞台が硬質な設定を持つ異世界であるため、少し浮いている印象を受けた。
前作は舞台が日本、そして学園物であったので、そこまでの違和感を感じずに楽しめたのだが。

シナリオはとにかく、「惜しい」の一言。
これだけの魅力的な世界観、広げればもっと広げられたであろう風呂敷を、無理に途中で畳んでしまった印象が否めない。
剣と魔法(と銃)のファンタジーだったら、最後は魔王が復活し、仲間と共に世界の命運を決する戦いに挑む展開に決まってる! と勝手に意気込んでいただけに、壮大な内輪もめで収まってしまい、思わぬ肩すかしを食らった気分だ。
時間がないのか、開発費がないのか、その他諸々の事情によるものかは分からないが、この設定なら、DVD2枚組のボリュームにだって耐えうる仕様であるだけに、残念で仕方がない。
おそらく、東出氏が小説で出してたらもっとボリュームがあったと思う。

私としては、全世界に散る”末裔たる者”とその執事たちが入り乱れてすったもんだという展開を期待していたのですよ。
「バトラーズ」というくらいなのだから。
それに、個人的趣味で申し訳ないが、老獪な初老執事が大活躍しなかったのが悔しくて×100(以下略)
執事と言ったら初老! 片眼鏡! 燕尾服! それが三種の神器なのにウワァァァァ!(バカですいません)

閑話休題。

もちろん今作には、そんな個人的趣味を補って余りある多数の魅力的キャラが存在する。特に男が。
東出氏は本当にキャラ造形とキャラ立てが抜群に巧い。いらないキャラ、どうでもいいキャラというのがおらず、それぞれにきっちりと活躍の場を与え、それを描ききるという点では、希有の才能を持っている。
特に、ガラの格好良さは異常。リザードマンなのに!
私は通常、人外キャラは非常に苦手、もちろん論外なのだが、それでもここまで格好いいと思わせる力がすごい。
もっとも、剣と魔法と銃と、ゴブリンだのドワーフだのエルフだのが普通に文化的生活を過ごしている日常とがミックスされた、とんでもない世界観を、違和感なく描いている時点でかなり非凡なのだが。

シリアスと掛け合いの緩急のつけ方も相変わらず巧みだし、無理矢理笑わされている感じがなくて、自然に楽しめる。
何より、肝心の執事がもうそれはきっちりと執事していて、最近の、「流行だから一応執事ってことにしときましたー」みたいないい加減さが微塵もなく、その徹底ぶりがとてもうれしい。
そういった作品自体の雰囲気は抜群だし、キャラたちが皆魅力的なこともあり、プレイ中、退屈や中だるみすることはないのだが、それでも、傑作であった前作とどうしても比べてしまい、あの破壊力には届かないのだよなあと我に返ってしまうのが残念でならない。

特にバトルが、使えば命を削ると分かっている「悪鬼喰」を多用しすぎている感があり、どうも重みに欠けるのだ。
だから、何も知らない最初と、総力を尽くすラストバトルこそ燃えるものの、中盤はピンチらしいピンチとして受け取ることができず、また、ピンチを気力で乗りきるといった、ある種体育会系的なノリにも辟易。
そりゃ、何の伏線もなしに特殊能力が発動とか、ご都合な展開だとうんざりするが、毎度が毎度、「イヤボーン」ならぬ「ご主人様ボーン」では、最後に勝つのは主人公に決まってる。
これでは、いかなバトルシーンを用意しても緊迫感が薄れてしまうというもの。
もっと、銃撃戦の中にも頭脳戦とか、バリエーションをつけてほしかった。
なまじ、古代竜VS欠落者のドラゴンブレス対決とか、不死者VSドラゴンブレスとか、拳銃使い同士の早撃ち対決とか、ラストバトルの燃え度がハンパでなかっただけに、そこが返す返すも残念。

各エピソードの処理の仕方にはどれもそつがなく、各敵役にきちんとスポットが当てられ、破綻なく着地しているのだが。
全体的にこぢんまりとしすぎていて、突き抜けた爽快感というものが薄い。
予定調和には予定調和なりの美しさや良さがあるのは分かる。コードを守るというのが実は意外に難しいことも分かる。
だが基本、フィクションというのは「何でもあり」だ。プレイヤーを騙し通せるのなら、何をやったって構わない。
だから、もっとひとつの街だけでなく、あらゆるところで暴れまくってほしかった。
これだけ広大な舞台を持ち、それを使える設定なのだから。

だが、各ラストの、負けた敵の扱い方は非常に胸に残った。ある意味、各キャラのエピローグより燃える。
特に(ネタバレ危険→)シドとアルフレッド。虚無から解放された二人が、今度こそ本当の主従の関係を取り戻すというエピソード。
やむをえない事情を背負い、本来ならば戦いたくなかった相手だからこそに許される救い。
トゥルールート、大団円に相応しいエピソードであると思う。

できることなら、追加シナリオやファンディスクを熱望。続編でも可。
それだけ世界観は魅力的だった。キャラ立ちも前作に勝るとも劣らないほど良かった。執事? もう最高だ。
でも、もっと高く飛べるはずだったのに、自らを律しすぎてかえって中空飛行になってしまった。そんな感じ。
もちろん、あらゆる部分で手堅く、決して失敗作でないことは認める。むしろ、かなりなレベルで誰もが楽しめる一作なことは間違いない。
ただ、前作を知らなければ。

よって、どちらも未プレイの方は今作→前作とやるのがいいかもしれない。
きちんとした執事物を求め、ついでにファンタジーの世界観についていける人には大変お勧め。
相当に力量のあるライターであることは事実なので、次作はもっと、いい意味ではっちゃけてくれるとうれしいのだが。