闘神都市II

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
75★★★

かなり古いゲームだが、名作の誉れ高かったので、初めてエロゲーのRPGをプレイしてみました。
が……

レベルアップが超!!!!! めんどくせえ!!

何せ、私はRPGは好きだが、レベルアップ面倒くさがり魔人だったりする。
おかげでRPGはいつもアンダーレベルクリアで、ラスボス付近では毎度手痛い思いをしている。
(そしてちっとも懲りず、毎度泣きを見る)
エンカウントもかなり多めなので、短気魔人でもある私、今回はちょっとばかり小狡い手を使うことにした。
(どんな小狡い手を使ったかは、あえて内緒にしておこう)

階層構造型のダンジョンは探索がかなり楽しい。オートマッピングで地図が埋まっていくのも楽しいし、アイテム集めもなかなか。
一つの階もさほど長いわけではなく、長時間ゲームをやり続けられなくても切りどころがいい。
ゲームバランス自体はさほど悪いわけではないと思う。

さて、肝心のシナリオの方だが。
序盤では「闘神都市」という設定がアホっぽいな~、などとボケッとゲームを進めていると、いきなり中盤以降からどんでん返し食らわされます。
まさか、そんな意味があるなんて思っても見なかった、というわけで。

「天使食い」の設定も面白い。
強くなるためには天使を食わなければならず(別に直接咀嚼して食うわけじゃないよ、念のため)、されど天使を食えば罪が蓄積され、プレーヤーには罪悪感が生まれる……こういうの好きです。
まー、遠慮なく食わして頂きましたが。(罪悪感はどこへ?)

このゲーム、こういう二律背反的立場に立たされることが多い。
強くなったが故の虜囚になってしまうゲーム後半。
生きるためには飲まなければならない薬、しかしそれを飲めば理性のタガが外れてしまう設定、等々。
設定やストーリー展開に意外と容赦がないのがいい。協力者があっさり死んだりするし。

が、個人的には、ラスボスの背景が不透明なのが気になる。
昔のゲームなので容量の関係か、この辺の掘り下げがちょっと浅い

なぜアプロスは堕天使になったのか。
デラスはアプロスとどこで出会い、どうして「天使食い」にされたのか。

この二人は互いを「半身」と呼び合うほどに強い結びつきがあるのに、その辺がプレイヤーにはあまり伝わらないのが残念。
何でこいつらこんなに求めあってんの? という印象を受ける。
この辺をもっときっちり書き込めば、ラストにもうちょっと深みが出るかと思ったんだが。

基本的にはRPG王道の勧善懲悪モノで、作り込みもしっかりしているので、やっても損はない。
というか、RPG部分があまりにもしっかりしているので、かえって驚きました。(←失礼)
さすが「ゲーム」であることのアイデンティティをきっちり守るアリスソフトと言うべきか。
PSあたりのクソRPGよりは、ずっと手応えが楽しめるかと思います。

アトラク=ナクア

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
86★★★★

実は私、数ある昆虫の中で、蜘蛛が一番嫌いです。
まあそれはさておき、ストーリーやモチーフとしての蜘蛛というのは嫌いじゃない。
というより、むしろ好きだ。

蜘蛛というのはその妖しい背斑模様や、予測のつかない動きで人を翻弄するイメージがあると思うのだが、このゲームは、そういった蜘蛛から連想される淫靡な美しさを持ったストーリーで、実際かなり楽しめた。

正体は女郎蜘蛛であり、その禍々しい美しさを体現したかのような初音。
彼女は宿敵、銀を倒すために、いとも簡単に人を殺し食らう。
あるいは気に入った人物を贄として、彼女の永遠のごく一部を共有させる。
それは、ほんのひとときの戯れや慰みにすぎないものだけれども。

閉じた世界で、閉じた人間関係の中、醜いエゴや欲望といった、心の間隙を突かれる人間たち。
そこには今やたらとブームになっている癒しや救い、といった要素は欠片もない。

大好きだぁぁぁぁぁ!!!(取り乱してすいません)

他人から与えられた救済なんてクソ食らえ、という私、もちろん救いのない話は大好きです。

一番救いのないのは、「カナコの章」。
自分を想ってくれる和久が初音に殺されそうになったとき、奏子は初音に懇願する。「殺さないで」と。
しかし、初音が和久を殺さない、というのは、和久を初音の贄にする、ということ。
それは、自由もなく、初音が飽きるまで終わりもない、和久のような人間には最も縁遠い世界。
でも、奏子は心が通じかけた和久を、どうしても死なせたくなかった。
……そして、和久は贄となった。好きな女の、究極の選択は「それでも死なれたくない」だったから。

このエゴ、この痛み、この苦悩。そして、まったく陽の差さない、澱んだ闇の世界
イケてます。ダークです。心行くまで陰惨な物語を堪能できます。

そして、終章での銀との対決。ここで立場はがらりと逆転する。随所で伏線は張ってあったのだが、これが巧妙で、まさに蜘蛛の巣にかかった感じ。
が、今まで「悪」的な立場だった初音が、伏線が明かされ、元凶が銀だと分かってからは、一転人間的な思考になってしまったのが残念。
人を逸脱した考えをすることに何の躊躇もなかった初音が(そしてそこが魅力だった)、幾人かの人間たちと触れあい、徐々に変わっていく、という設定は別にいい。
(本当は変わらない方が好みなんだけど←心底鬼畜)

が、ここでの心情の切り替えが少し早急すぎた。もう少し引っ張ってもいいかな、と思わずにはいられなかった。
これが、このゲームの数少ないマイナス要素。
あとは、ゲーム性が薄いこと(ほとんど一本道)なことくらいか。
音楽のレベルはかなり高い。メインテーマはしばらく頭から離れない。
章ごとの構成で、各人物にもスポットが当てられており、長さもちょうどよい。

ラストも美しく、はかなく、ひっそりと終わる。

永遠を終わらせた銀と初音の静寂を護るかのように。
現実と訣別し、だが心安らかに一人静かに新たな永遠を生み出そうとする奏子と共に。

閉じた世界にふさわしい、閉じた終わりだ。
構成が非常に練られていて、演出も優れている、良質のゲームだと思う。
ダークなシナリオに抵抗のない人はぜひ。