MinDeaD BlooD~支配者の為の狂死曲~ DVD Special Edition
| シナリオ | 絵 | 音楽 | 演出 | システム | 総合評価 | オススメ度 |
| 8 | 8 | 7 | 8 | 8 | 85 | ★★★ |
今までプレイしてなくてすみませんでした。猛省。
何で発売当時にチェックしてなかったんだ。バカバカバカ。私のバカ。死んじゃえ!(無理言うな)
というわけで、「お前のようなド腐れ頭のプレイヤーにはピッタリだからやっておけ」……と言われたわけではないが、複数の方からお勧めをいただいた本作。
自分よりも他人の方が、私の趣味を理解してるってどうなのよ。
ボリューム・内容ともに高レベルのバランスでまとまっており、過激なエログロ描写に耐性がある人になら安心してお勧めできる力作。
実は正直、ここまで真っ当なシナリオを盛り込んだ作品だと思ってませんでした。どうせエロメインの、取って付けたようなシナリオなんだろうと高をくくってました。
くくらなきゃいけなかったのは私の首だ。
絵はかなりのボリューム。特に差分はハンパでなく多い。
一つのシチュエーションに対し差分が10枚以上あることもザラ。最高40枚。しかも拷問シーン。ありえない。
エロCGに関しては頑張りすぎるくらいに頑張っている。
塗りも丁寧に仕上げられているし、キャラの描き分けもしっかりしていて安心して楽しめる。
ただ、立ち絵に関しては、所々CGと差があったのが残念。
最初に「エログロ描写」と書いたが、本作のグロ描写はハンパでない。質量共にやばい。
全CG中、6割がエロCGだとすれば、その中の4割はグロを伴うものだ。
多少の流血・触手程度ならともかく、限界まで精液を飲まされた挙げ句の吐瀉物や糞尿なんかも平気で描かれているし、硫酸浣腸だの人体破壊だの、ナイフをブッ刺してそこへ挿入、当然内臓はみ出しといった、過激というよりは酸鼻を極めるものまで。
この手の描写に弱い人なら2,30回は余裕で気絶できるのでくれぐれもご注意。
反対に、この手の過激かつアブノーマルなエロが好きな人にはたまらないだろうというくらいの膨大なシチュエーション。
当然、純愛(?)的ルートにもこの手のシーンは登場するので、本作をクリアするのに避けては通れない道。
音楽は重厚で物々しく、特筆するほどのレベルではないが雰囲気はまずまず。
単調な音楽に比べてSEの奮いっぷりは素晴らしい。牙やナイフを突き立てる音、銃撃の音、頭の潰れる音、拷問時の効果音等、主に「そっちはあまりリアルに頑張らなくてもいい」と言われる方面が充実している。
また、主題歌の出来が大変良く、作品世界を大いに盛り上げるのに一役買っている。
正直、電気式華憐音楽集団は歌唱力がアレなのでそこは少々気になるのだが、ちょっとつたない感じの歌い方と雰囲気、ハードなナンバーがやけにハマっていて、この作品にはこの曲じゃないとダメだと思わせるベストマッチぶり。
私がプレイしたのはDVD版のため、CD版をプレイしたファンの願いだったフルボイスが実装。
フルボイスの名に恥じず、名もない通行人やザコキャラにもきちんと声が付いている。
キャスティングも総じてミスはなく、特に男性陣は安定していた。
ただ、キャラによって音声ボリュームに差があったように思う。もう少し平準化してくれるとありがたかったのだが。
それにしても、今まで色々な作品をプレイしてきたが、こんなに悲鳴だの哀願の声が多いものはなかったよ。
演出はかなり派手め。
元が2004年の作品であるので実は大して期待していなかったが、ここまでバリバリに動くとは思っていなかった。
また、その動かし方・エフェクトのかけ方も巧みで、戦闘の臨場感や印象的なシーンの盛り上げに大いに貢献している。
カメラアングルもセンス良く、また、くどいほどの演出でもなく、絶妙のさじ加減と言ったところ。
しかし、拡大縮小で動きを付ける場合はできれば専用のCGに差し替えてほしかった。贅沢な要求ではあるのだが。
どうしても元の絵を拡大したものでは、ラインのギザギザが気になってしまう。
ゲームシステムは最近はあまり見なくなったマップ移動方式のAVGだが、あまりにも難しすぎる。
作中、ヒントやTIPSがまったくと言っていいほど提示されず、おまけにルート判定条件がものすごく厳しい。
それが本作最大の問題点であると思う。つまり、ルートフラグを立てることに失敗すると、各マップで起こるイベントだけに終始せざるをえなくなる。シナリオの連続性がなくなってしまうのだ。
結果、攻略の難しさも相まって、いつまで経っても単発エピソードを集めるだけの単調なゲームになりかねない。
一周目、ご多分に漏れずデッドエンドを迎えた私は、おとなしくヘタレのチキンに成り下がることに。
涙目でDVD版の特典に付いてきた完全攻略ガイドを見てみたら。
できるかボケェェェ!
と叫んだことは言うまでもない。
フラグを一つ一つ潰すことに快感を覚える攻略マニアならいざ知らず、普通のプレイヤーにはハードルが高すぎる。
プレイには攻略チャート必須であると断言する。見ないでプレイは軽く無謀。マゾのすることだ。
ところで、ルートクリア後にゲーム内容とは全く関係のないミニゲームが2本楽しめる。
なかなか面白く、こちらは手応えもちょうどよいので攻略に疲れたらお試しあれ。
システムは基本的な機能を備えていて過不足なしだが、ホイールでメッセージを送れればもっとよかった。
ログの読み返しはホイール対応しているので、メッセージ送りも当然、と思っていたらできなかったのが残念。
スキップももっと高速だとよかったのだが、最悪の場合F5で次の選択肢までカッ飛ぶ(未読既読構わず。サポート対象外)のでギリギリ許容範囲内か。
シーンの他にOP・EDの回想モードがあるのはかなりうれしい。
メインとなるシナリオは3本。
吸血鬼としての生き方を模索する「Vampire Hunter」、吸血鬼となるまでの過去を思い出し、それを踏まえた上での選択をする「過去への贖罪」、過去も現在の業も背負って踏み出す「未来への旅立ち」。
一つエンドを終えれば次のルートがオープンになるのだが、そのたびにオープニングが変わったりタイトル画面が変わったりと非常に凝っている。
吸血鬼としての体と人間としての心を持つゆえの苦悩や、敵対する立場にありながら惹かれ合う焦燥感・もどかしさが丁寧に、じっくりと描かれている点も好印象。
かと思うと、要所要所で戦闘などの動きのあるシーンが入り、途中で飽きさせるということがない。
そこから導き出されるEDはどれも王道・予定調和と言える展開ではあるのだが、それゆえの抜群の安定感がある。
特に、「過去への贖罪」「未来への旅立ち」はラストの扱いが非常に巧みで、決して諸手をあげてのハッピーエンドではないそれらが、単に面白いだけではない深い余韻を味わわせてくれる。
物語の骨子とテキストが実にしっかりとしていて、頭の悪いギャグに走ったり、日和見的なあれもこれも詰め込み型のシナリオでない、書きたいことをきちんと見極めた実直な仕事ぶりは賞賛に値する。
各ルート以外のエピソードもかなり高レベルで仕上げられており、特に田上と東の扱いについては、18禁であるからこそできるはっちゃけた作り。
相当にエログロと狂気の描写が強く、「吸血鬼」という存在に対しての恐怖心や嫌悪感を大いに煽り、サイドからメインルートを盛り上げることに成功している。
本作はどのシナリオもだが、展開上、エロを避けて通れないものとしてきちんと包含しているのが素晴らしい。
年齢制限なくしてこのシナリオはありえない。
ただ、惜しむらくはエピソードにあと一押しが足りないこと。あまりにも語られなさすぎるのだ。
シン然り、マスターの正体とその娘の行方然り。
本来ならメインルートができそうな麻由と麻奈ですら、いまいち影が薄い。
麻奈なんて相当怪物性の強い側面がある。それをもっともっと見てみたい。
それに、どうせ吸血鬼となったのなら自分が支配者として君臨してみたい。
そういった、おそらく多数のプレイヤーが望むであろう点がことごとく抜け落ちてしまっていて、良作にあと一歩手が届かない歯がゆさがある。
メインルートの出来は問題ないのだが、全体的には力作というレベルで落ち着いてしまう。
上に挙げた点は多くがファンディスクで補完されているのだが、どうせDVD版を出すのなら、これらを本編へと盛り込んだリニューアル版としてくれればよかったと思う。
(CD版ユーザーには迷惑だろうが)
エロもグロも物語性も盛り込み、エンターテインメントとしての面目は充分。
ただ、どうしてもこのグロと難易度がある限り、メジャー路線に躍り出ることはないかと思う。
でもそれでいい。年齢制限を課された作品とはかくあるべき。
私はこの作風を大いに気に入った。以降、メーカー買い決定。
吸血鬼ネタが好きで、陰惨な狂気・エログロに耐性のある方。ぜひプレイすることをお勧めします。
そして鼻血が出るほどの難易度に涙するといいのだわ。