家族計画
| シナリオ | 絵 | 音楽 | 演出 | システム | 総合評価 | オススメ度 |
| 7 | 7 | 8 | 7 | 8 | 70 | ★★ |
下で毒を吐くために、サクサクとシナリオ以外について論評してまいります。
絵。かわいいけれど、可もなく不可もなく。少し塗りが荒い。
物語の尺のわりにCGがかなり少なめなのと、重要なサブキャラに立ち絵がないのが残念。
音楽。安定以外の何者でもないI'veサウンド。が、これも可もなく不可もなく。
全編シーンにマッチはしてるけど、取り立てて「これが名曲!」と言うべき曲もなし。
ボイス無いのがかなり助かった。この長さで声なんぞ出されたら死ぬ。(どうせ切るけどな)
CD-DAなのは構わないのだが、曲が終わってループするときにもたつきがあるのが気になった。
システム。オートクリック、既読スキップ、ホイールバックログ完備、セーブ数もそこそこ。
AVGプレイする上では十分及第点。とりたてて手酷いバグもないようだが、CDレス起動できないのが難点。
演出。平々凡々。ストーリーで魅せるタイプのゲームだし仕方がない。
そしてやってまいりましたシナリオ。
注! ここより以下、猛毒地帯となりますので、このゲームのファンの方はお願いですからお戻り下さい。 俺はマゾだぜ! って方なら臨死体験でイケるレベルで突っ走らせていただきます。
あー、まあ何というか。
期待しすぎた私がバカでした、と言わざるをえません。
同メーカー・同ライターの「加奈~いもうと~」が力作であったのと、世評が相当に高かったのでものごっつー勇んでプレイしたのですが。
開始後10分してすでに諦めムードが蔓延。
とにかく無駄の多い冗長なテキスト。
いちいち面白くもないギャグを挟んだテンポの悪い会話。
「俺は○○をした(次ページへ)」「次に○○をした(次ページへ)」と、一文ごとに次へ送らねばならず、早々とオートクリックに登場いただく羽目に。
どうして真面目な会話をしているときに、非常識なギャグで場を混ぜっ返す必要があるのか極めて謎。
山田一氏ってこんなに文章下手だったっけ?
それぞれ各ヒロイン+主人公に突きつけられる事実は重いものの、そこから展開する論理が稚拙すぎて、テーマに至極真面目に取り組んでいるのは分かるのだが、描き出そうとする人と人との軋轢に重みが感じられない。
ある程度年齢のいった人なら、その青臭さにほほえましくなったり、懐かしさを覚えたりするよりも、このガキ、甘えてんじゃねぇ! とうっとうしさや苛立ちが先に立つ。
現代物をやるときには、フィクションであることをどれだけ観客に意識させずにいられるかが鍵になるが、ものすごく都合のよいドリームで世界が構成されており、しょっぱなから興醒めしてしまう。
現実は常に無慈悲で残酷、ゆえに世界に平等であるのに、この世界は中途半端に現実的で、あとはずいぶんとファンタジー。
主人公の造形も鼻につく。被害者意識が強すぎてまるで共感できないし、同じ過ちを何度も犯す。
自分の目が開いてないのを棚に上げて幼稚な主張を振りかざすし、挙げ句の果てにその過ちに気付いてからは一転、どうしようもない局面に立たされてまで独り相撲をとり続けるという成長のなさぶり。
成人過ぎて、しかも普通よりもずっとハードな生き方を強いられてきているわりには意志も弱いし、人格の研ぎ澄まされ方が鈍いとしか言いようがない。
おまけに登場人物が皆子供。姿形こそ年齢相応だけど、考え方が幼稚園児と同等のメンタリティしかないため、何かつらいことがあるたびにすぐにくじけるし逃げる。
このアホンダラが! 逃げてカタつく現実などこの世にはありゃしないのじゃあ! 泣いて済むなら警察いらんわボケ!
と張り倒したくなることたびたび。
先に進むための回り道ならともかく、言動が堂々巡りすることばかりで、お前は山手線か! とツッコミたくなる。
(乗ったことありませんが)
やたらと他者に依存するキャラ、人の顔色ばかり伺うキャラ、社会性がなく傲慢以外の何物でもないキャラ等々、とにかく出てくる攻略対象キャラのほとんどが理由はあれども社会不適合者ばかりで、それを免罪符のごとく振りかざして、「私、不幸なの。だから面倒見てね」と不本意な状況を押しつけられるもんだから、個別ルートに入る前からげんなり。
せっかくプレイヤーの同情に足る設定を持っていても、肝心のキャラの肉付けがこんなだから、「仕方ねーだろ。自業自得だよ」、という気分になってしまう。
テメエのケツをテメエで拭けない奴には自己主張する権利などありません。
被害者ヅラしているのに、他者を傷つけることには(やむを得ない事情をもっていたとしても)無頓着なのも問題。
突き放される、無視される悲しみを知っているはずなのに、自分もそれをやりますか?
自己犠牲で一人悦に入って、同じドジ踏むのは許されますか?
自分の事情のためには麻薬も売りますか? 相手の体を慮った言葉の一つも吐けば、犯罪行為は無に帰せますか?
売春なら傷つくのも損するのも自分一人で済むが、薬を売るのは他者を傷つける行為なのでは?
誰よりも痛みを知っているはずの各々のキャラたちがそれをやりますか? とツッコミどころ満載。
スタートラインが他者と違うのは仕方がないこと。
自分では選べないのだし、大なり小なりどんな人間だって違って当たり前。
そこからいかに生きるかが重要なのであって、環境のせいにして自省を怠り、進歩しようとしない人間は大嫌いです。
ついでにこの世の中、家族がすべてじゃありません。
血の繋がりがナンボのもんですか。直系だって他人より薄い関係なんてその辺にゴロゴロしてます。
人は所詮一人で立つしかない。
それは間違いじゃないし私の持論でもあるけれど、そのために他者を排斥するのではなく、だからこそ良好な人間関係を築かなければならないのでは?
そこに生まれた真に信頼に値する人間を大事にするべきなのでは?
そして、自らも他者の信頼に足る人間として生きねばならないのでは?(性悪説みたいだな)
そういった、至極当然の事実に物語のキャラたちが気付くのはゲームの後半。
そこに至るまでに垂れ流された、暴力的なまでにどうしようもないグダグダ論理ですでにプレイヤーの我慢は沸点寸前。
だから、いかに後半の展開で巻き返しを図ろうとも、一度はバラバラになった「家族」が、再び高屋敷家に集う大団円を迎えようとも、「ふーんあっそ。良かったね」で終わってしまい、何の感動も得られない。
そもそも、再三「家族の絆」と訴えてはいるが、それらしい結束を見せたことなんてゲーム中、ほとんどないのでは?
一緒に住んでメシ食って、それぞれ勝手に暮らしてるだけで、そこに暖かさも団結力も欠片も見出せなかった私の心が摩滅しているのですか?
結局、各ルートを終了しても、メンバーのその後はさらりと触れられるだけで、「え? 家族になったんでしょ?」と拍子抜けさせられる。
物語中でそこまで固執していたのに、一人とデキちまったら後は適当ですか? ずいぶんとクールですな。
「家族愛」物としては説得力に欠けるし、恋愛ゲーとしてはさらに大味。
各ヒロインの個別ルートが少なく、物語のほとんどは共通ルートで展開する。
そのため、とにかく初回プレイが地獄だが、これを乗り切ってさえしまえばあとは既読スキップ併用で何とかなる。
ただし、初回6~10時間、各ヒロイン2~3時間と計算し、人によっては数十時間になるであろう貴重な時間をこのゲームで浪費していいのか、という質問には残念ながらNOと言わざるをえない。
人生は短く、読める本もプレイできるゲームも限られてるんです。
悪いことは言わないから、超ピュアな感性でも持っていない限り、このゲームには近づかない方が無難。
……あ、ロリ属性のある人は結構いいかも。末莉なんてかなりソソる(だろうと思われる)キャラだったので。
私? もちろん罵殺したくなりましたよ(スマイル全開)