この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
92★★★★

一番長時間プレイした18禁ソフトであり、PC-98でプレイした最後のソフト
攻略まったくなしで、メモも取らず、達成率100%になるまでに費やした時間は70時間オーバー。
かつて一体、どこにそんな余裕があったんだろうかと、我が身を疑いたくなってしまう。(若くて学生だったから)

しかも、予備知識もなかったので、(ネタバレ危険!→)超ドクソ長い異世界編があるなんて知らず、マップを完成させた時点で「今日のうちに終わらせよう」と甘い考えを起こした結果。

深夜1時頃から始め、全てが終わった時点ですでに早朝

となっていた、という非常に苦い思い出のあるソフトだったりする。(自分が悪い)
もちろん次の日は平日で、半分意識を失いながら登校した。

まあ、そんないわく付きのソフトなのだが、裏を返せば途中で止められなかった、ということだ。

圧倒的な世界観、執念すら感じさせるほどの緻密な設定。
多少の矛盾や理屈なんて吹っ飛ばしてしまうパワーがこれにはある。
知っている人は知っているとおり、作者の剣乃ゆきひろ氏(現:菅野ひろゆき氏)のゲームには、根底にあるテーマが流れている。
今更語るべくもないが、それは「極限の愛の形」だ(と私は思っている)。

ゲームによって状況は様々に違うが、YU-NOのそれは、とても静かだ。
その静謐に満ちたエンディングを終え、タイトルの「この世の果て」の意味を理解したとき、完全に私は圧倒され、そして戦慄した。

私は激しいもの、強いものが好きだ。
音楽だって、耳に優しいスローテンポよりは攻撃的なリズムの方が好きだし、どちらかというと弱肉強食的な価値観を持っている。
だから、他人をうち倒すほどの激しい感情や価値観に触れるのも、実は嫌いじゃない。
むしろ、弱いヤツには虫酸が走るというある種ジャイアン的(いわゆるジャイアニズム)なところがある。
だからこそ、静寂が時に何よりも激しく、深く語りかけてくることに強烈なまでの衝撃を受けたのだ。

YU-NOは実はタブーの物語でもある。
ユーノ・神奈とは親子だし、神奈の母親、義母である亜由美、巫女であるセーレスとも関係する。
が、ゲーム中で、「そりゃヤバイだろ」と思ったことは全然なかった。
私に倫理観が欠如しているからだけではなく(だと思う)、そういうことは「些末な問題」にしか思わせないシナリオの力が確かにある。

作者剣乃氏のもう一つのテーマ、「タブーへの挑戦」。

私は個人的に、

「表現者がそれから生ずる責任をとるのなら、表現方法にタブーがあってはならない」

という考えなので、彼のような姿勢は特に評価したい。
実際、タブーになると途端に逃げ腰になるクリエイターが多い中で、敢然とそれに取り組み、かつ結実しているこのゲームは本当に素晴らしいと思う。
(しかし、サターン版ではどうなっていたのか全然分からん)

手放しで誉めてきたが、このゲーム、実は問題点がないわけではない。
ゲームシステムが一見複雑なのと、シナリオがあまりに長大なため、中盤一時期中だるみすること、フラグの立つ条件が一昔前のAVGにありがちなコマンド総当たりであること。
これらが、シナリオのテンポを若干落としてしまっている。

まあ、リフレクターの使い方に関しては、1,2回やってみればすぐ慣れるし、中だるみに関しては、イラつくながらも先に進みたいがために自分のスピードがアップするくらいで、特に問題はない。
時間を掛ける手間さえ惜しまなければ、決してやってみて損はないゲームだと思う。

スケールの大きい壮大な物語だけが持つ、重厚で圧倒的なカタルシス。
終えた後に、思わずため息をついてしまう感覚を味わいたい人はぜひ。

私は、ゲームでこんなに衝撃を受けたのはDQ3以来でした。
実は、あの衝撃のラストが理解できる人とそうでない人に別れるらしいが、絶対に一見の価値あり。
貴方も(貴女も)「この世の果て」を確かめてみてください。

追記……余談だが、おまけディスクの「それいけセーレス」がメモリ不足のためできなかった私。ううっ。
当時のうちのマシンは、YU-NOを入れただけでお腹いっぱいになるという超ヘボマシンだったのだ。
あのマシンも今ではすっかり現役を終え(当然だ)、2001年末の大掃除の際、とうとう部屋から撤去された。
さらにFDドライブも逝かれていたので、YU-NO(と遺作と同級生2)のコンプリートデータをよせることもできなかった。
私の70時間(プラス数十時間)を返せ。
が、そのマシンのあった場所が今ではPCゲーム置き場になっていることは内緒だ。

kanon

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
75★★★

世間の評価と私の評価がかみ合わない第2弾。

これを書いたら、世のKanon信者から刺されるかもしれないが、あえて書きます。

このゲーム、そんなに面白い?

確かに、綺麗な話、綺麗な演出、綺麗な音楽。でもそれだけなのが辛い。
みんな「泣くぞ」って言うんだけど、そうですか?
確かに私は涙腺不感症気味だけど、あの程度のシナリオで泣け、というのはちょっと無理だと思うのですが、どうよ?
見るべき所はそれなりにあるゲームなんだけど。

たとえば、情景の描写なんかはとても美しいし、相変わらず感情の機微に関しては、相当に力を入れていることが分かる。音楽のレベルも高いし、時折印象的なセリフも入ってる。
が、各ポイント平均80点なんだけど、トータルでは75点、といった感じのゲームだという印象を受けました。

第一、このシナリオ、全編18禁の意味がない
どうせなら、最初から年齢制限なしで出してくれりゃ(私の)減点対象にはならなかったものを。
「純愛」を謳うならHシーンなんて全面カットした方が説得力があるし、18禁だから、とあんなおざなりなHをさせて、シナリオの出来を損なうような真似を防げたのでは。

あと、ハッピーエンドにしすぎ。
私は物語の美しい収束のためなら、人の一人や二人殺してしまえ、というタイプなので、ここまでハッピーエンドばかり見せつけられると、かえって興ざめします。

少なくとも、栞と真琴は絶対アンハッピーの方が美しい。
より別の結末を迎えた方が、物語としてのカタルシスを感じられると思うんだけど。
安易に生き返ったりするから、「奇跡」が嘘臭く思えて感動できない。

「起きないから奇跡、って言うんですよ」じゃないのか?

このセリフの時には、思わず「ああ、いいセリフだなぁ」と感心したものだったが。
奇跡起きちゃったじゃん。
ラストで、おいちょっと待て。と思わずにはいられなかった。
生き返らせないで、でも確実に「奇跡」は起こったと思える余韻を残すシナリオにできると思うんだけどなぁ。
要するにこのゲーム、全部が「そんなに悪くない」印象なんだけど、決して「良い」ではないのがミソ。

異論はあるだろうが、良くも悪くもプレイする人の場数の違い、なんだと思う。
ストーリー性のあるゲーム、本、映画、そういったものからどれだけ経験値を得ているか、という点で、多分にこのシナリオに対する評価は違ってくる。

例えば、栞やあゆ、真琴的展開をみせるストーリーだったら、少女マンガの世界には、10年以上前から一山100円のバーゲンセール並にあります。
18禁ゲームをやる人と、少女マンガを読む人とではフィールドが違いすぎて分からないのかもしれないが、少なくとも、18禁ゲームの世界では、シナリオのレベル自体が他のメディアより遅れている、と痛感せざるをえない(目的がはっきりしてる分、閉じた世界だからね……)
そりゃ、たまには斬新な設定や世界観はあるけれど、成熟してるとはとても言い難い。
その分、今後の発展が未知数な部分もあるわけだけど。

だが、残念ながら、Kanonは舞以外のシナリオのオリジナリティが希薄で、それ故、パンチ力が格段に落ちていると思う。
今までこういうゲームをやったことがない、普通の人がやる分にはそれなりに楽しめるという点は評価できるけど、それ以外では過大評価されすぎなんじゃないのか、と私が思ってしまう所以なのです。

やるのなら、「評判になってたけど、Kanonとはどういうゲームか全然予備知識ありませーん」という方とか、「今までギャルゲーやったことないんですけど」という方にオススメ。
逆に、本も映画もゲームも大好きだぁ! 我こそはストーリー魔人なり、という方は期待値マイナス30ポイントあたりから始めた方がよろしいかと思います。

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
1094

私的18禁ゲームランキング第1位。現時点で考え得る最高傑作。
(長年守った王座だったが、2002年末にとうとう「月姫」に明け渡した)

シナリオ、キャラ造形、音楽、演出、すべてにおいて、100パーセントに最も近いゲーム。
何で100をつけないかというと、一部のシナリオが弱いのと、ここで100を付けちゃったら、この先ゲームをやる意義を見失いそうだったから。
それくらい、見事にツボにはまったゲームでした。

特にシナリオが絶妙。神懸かり的に冴えわたってると言っても、過言でない。

千鶴の、「あなたを殺します」で死んだ人は数知れず
(私も死んだよ……)

バッドエンドがかくも美しく印象的なのも特徴か。絶対ハッピーエンドよりレベルが高い。
さらに、何と言っても、日本の美を感じさせる描写とシナリオ、そして、音楽
和物に弱い私としては、それだけでもうオッケーな気もするのですが。

柏木四姉妹のエピソードは、それぞれどれも印象的ではあるんだけど、残念ながら、梓がやや弱い。
これが100点にならない第一の原因。
が、しょうがない、これは。他の3人のシナリオが立ちすぎなんだから。


  • 記のセリフ&ラストシーンで陥落率No.1の千鶴

  • 転生入ってて無口だけどひたむき、ツボ抑え率No.1の楓

  • 純粋でけなげで守ってあげたくなる率No.1の初音


この隙のまったくない布陣のどこに梓の食い込む余地が?(梓ファンの方、すいません)

だが、導入部の事件にきちんとした解決を与えなくてはシナリオとして成立しないし、あの4人の中で誰がその役を果たすか、となると、やはり梓としか考えられない。
キャラ造形的に見て、彼女が一番現実的で、非日常をあまり感じさせないキャラだからだろう。
そういう計算も兼ねて、現実をより際だたせる「料理上手」とか、「行動的」な性格を与えた、と考えるのは穿ちすぎかな?

このゲーム、べらぼうにキャラが立ちまくってはいるけれど、実はそんなにセリフが多いわけではない。
なのに、このキャラの存在感。これはひとえに演出の妙だろう。完成度高すぎ
無駄がないゲームってのは本当に優れている。

さらに、ゲームとしてのスタンスも進化している。
前作の「雫」は、そのシナリオの毒電波ぶりに、とても万人向けとは言い難かった。
それが一部の熱狂的ファンを生み出す要因にもなったわけだが。
普通ならここで、もっとどぎつく、扇情的なものが生み出されてくるか、一般受けを狙って、妙にソフトになるかのどちらかなのだろうが、「痕」は違った。

「雫」の長所で短所でもある(私は長所だと思っているが)、先鋭的な部分を丸くして、結果的にシナリオの妙を損なうような愚行はせず、さらに魅力的なシナリオを用意した上で、突出した部分を上手くカムフラージュさせ、その実切れ味は増している、という希有なゲームなのだ。

シリーズが進化する、というのは、実はなかなか大変なことなのだ、
という持論を持つ私としては、この点は大きく評価したい。