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鬼畜眼鏡

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
68★★

注! このゲームはボーイズラブゲームです。ホモゲーに免疫ない方は近寄らないように!

鬼畜→わりと好きです。
眼鏡→死ぬほど好きです。
リーマン→鼻血吹くほど大好物です。

だから、主人公始め登場人物の半数以上がリーマン、おまけに鬼畜+眼鏡となればプレイ前からトキメキ度MAX、とばかりに張り切って挑んだ今作だったが。

あーえーっと、2007年発売作品の中で、多くの姐さん方が年間ベストに挙げているのを承知で申しますが。
まったく萌えない上にちっとも盛り上がりませんでした。あたいのトキメキを返せ! 返せよぅ!!
その理由は色々あるが、一番大きなものとしては、すべての面においてステレオタイプ、お約束に過ぎること。
つまり、安定はしているが特筆すべきところもない。未知の作品に触れたときの驚きや新鮮味がまったくないのだ。
安定ゆえの面白さに繋がる作品も確かにあるが、今作は安定ゆえの単調さを引き起こしてしまっている。
所々プラス面もあるにはあったのだが、それが全体的なマイナスを上回ることはとうとうなかった。

まず絵。原画はわりと好きなタイプの絵だが、塗りが安定していない箇所が散見される。
差分を除いてもかなりの枚数があるのでそれを仕上げるのは大変なのだろうが、その落差があまりにも激しい。
基本的には原画のトーンを生かした淡い色彩がマッチしているのに、一部ではベターっとしたアニメ塗り。
開発が長期に渡ってしまった弊害なのか、絵柄が安定していない箇所もあり、違和感を感じた所も多かった。
立ち絵とCGではキャラが別人に見えるという失態もあり、なまじ絵が好みなだけにそこが非常に残念。
あと、すごーく細かくて申し訳ないが、御堂が休日の自室でもジャケットを羽織っていたりとか、あれっ? と思うようなビジュアルがあるのが惜しい。
受け手にフィクションを楽しませるには、そういう違和感を感じさせてはいけないと思うのですよ。
差分も多いし、キスマーク付きの立ち絵もあったりと、開発期間にふさわしいボリュームはあるので、その点は良いのだが。

システムは可もなく不可もなく。必要なものはだいたい揃っているが、それ以上でも以下でもない。
ただ、セーブの際にコメントが書き入れられないのがマイナス。
全31種類ものエンドを持つ今作、必然的にセーブを活用する回数は多い。
だがその際、コメントを入れられないのでは何が何だか分からなくなってしまう。完全に個人の記憶に頼るしかない。
それに、今どきホイールでの文字送りができないのも大きなマイナス。
一画面に表示される文字数の多いノベルゲーならともかく、細かいセリフごとに文字送りが発生するウィンドウタイプのAVGでは、何度もクリックするのは煩雑で面倒。
(オートモードはどうしてもタイミングが合わないので使用しない)
そういう、必要充分なのだが細かいところにはまったく手が届いていない、奥歯に物が挟まったような気分にさせられるシステム。

ビジュアルアーツ傘下であるので、エンジンはお馴染みのRealLive。実は個人的にはいまいち評価が低い。
今作でも、スキップが遅かったり場面の切り替えがもたついたり、どうももっさりとした印象が否めない。
(推奨スペックは超余裕で凌駕しています。念のため)
ならば表現力が豊かかというとまったくそういうこともなく、正直、一時代前のエンジンという感じ。
エフェクトの派手さがない分、カメラワークやカットイン等で見せ方を工夫するといったフォローもなく、エンジンの力不足に疑問を感じないのだろうな、と寂しくなる。
ゲームのアドバンテージであるべきこういった点を工夫しないのでは、ドラマCDやマンガの方がよっぽど手っ取り早くて安上がりだとしか思えないのですが。

音楽はテーマ曲以外、まったくもって没個性の代物。作品の邪魔をしない代わりに、作品を盛り上げもしない。
当然、耳に残るような名曲もないし、鳴ってるか鳴ってないかすらも気にならないレベル。
代わりにテーマ曲のレベルはハンパなく、さすがVA系、I'veのC.G mix氏を起用。
ダークな世界観の楽曲が、出来の良いOPムービーと共に作品を盛り上げる。
どうせなら、作中のBGMもI'veに発注すれば良かったのに。
声優陣は皆キャスティングも演技もはまっており、特に主人公役の平井達矢氏は大奮闘。
一人二役を、これを本当に同一人物がやっているのかと思えるほどがらりと変えて演じ分けています。すごい。

さて、シナリオですが。
基本的にエロシチュエーションがメインなリーマン系BLコミック、定価600円(税込)という印象です。
正直、今作に税込定価8,190円払うなら、ドラマCD3枚買うかBLコミック10冊くらい買った方がまし。
悪くはない。決して悪くはないけど、別段面白いわけじゃない。おまけにちっとも萌えない。

第一、リーマン物であるはずなのに、仕事エピソードのリアリティがなさすぎる
細かいこと言うなよと言われてもいい。OL歴十数年の私はそこが気になって気になって(×10)しょうがない。
物売る会社にも、開発→製造のラインを持つ工場にも勤めたことがあるが、本作のエピソードに関しては、「そりゃねーだろ」の連続ですがな。
あ、もしや外資だからか? さすがに外資には勤めたことがないから分からないけどne!
ともあれ、このシナリオライター氏は一般的な会社勤めの経験がないと思われますが。
今作のコンセプトに仕事エピソードは不可欠であるはずなのに、ディテールがまるでなってなくてそこでまず失笑。
これでは最初っからハマれるわけがないのですよ。

ユーザーは最初からフィクションだって分かって作品を手に取るのです。
だったらせめて、そこで上手に嘘を付いてほしい。興ざめさせないでほしいのです。
これは他作品のレビューで何度も書いていることだが、フィクションにも最低限のリアリティは必要。特に現代が舞台なら。
それがプレイヤーをうまく世界観に乗せるコツなのでは。

今作ではかなりの数のエンド数が用意されているが、最悪のバッドエンドが全部刺されて終わるケースなのもいただけない。
殺され方・殺し方に一家言持つ殺し愛愛好家としては、痴話ゲンカの末か恨みを買ってブスッ→デッドエンド、では酒のつまみにすらなりゃしません。
他のエンド・エピソードにしてもそうだが、全体的にバリエーションがなさすぎ
31種類もエンドがあるというのに、どれもこれも似たようなシチュエーションで単調。
おまけにエロにも差分があるため、CG回収のためいちいち同じシチュエーションを繰り返さねばならず、飽きて死亡確定。

ただ、鬼畜度合いのバランスは良い。基本的には言葉攻めメインなのもうれしい。
私は肉体的に痛い系・あまりにハードすぎるものは好きではないので、これくらいがちょうどよかった。
鬼畜初心者にも抵抗感なくプレイできるレベルだと思う。

ところで、今作の一番の問題点は。

「鬼畜眼鏡」というタイトルでありながら、鬼畜でも眼鏡でもない主人公受ルートがあるということなのですが。
こんなアホなタイトル(から連想されるシチュエーション)を好んで買うようなユーザーが、そんなルートを喜ぶだろうかということくらい、ちょっと考えれば3分で答えが出ませんか、普通?
攻だろ? このタイトルから連想される内容って主人公攻だろ? リバが最高に苦手&自分が攻じゃないと許せない私が、何のために今作をやったと思ってるんじゃ、spray!!
だいたい、「眼鏡をかける」って選択肢自体が必要ないだろ。「鬼畜眼鏡」なんだから。
それをシナリオの都合で、「かける」「はずす」を選ばなきゃならないって何ですか?
タイトルに騙されたユーザーに対する嫌がらせですか?
おまけに眼鏡かけっぱなしだと、鬼畜ゲージが真っ赤に振り切れるってどういうことですか。
「鬼畜眼鏡」なんだから眼鏡かけるでしょ。かけるべきだ。かけなければならない。
眼鏡を外したらバッドエンドだってならともかく、付けっぱなしはバッドエンド、付けなきゃ受ルートってのはあんまりです。
私にとってはいずれもデッドエンドに等しい所業だったのですが。

そういう、「ユーザーの欲する空気読めてない感」が今作にはあちこちに漂っていて、いちいちやる気が削がれる。
せっかくの直属の上司は無能な上に乙女チックでものの役にも立たない愚鈍な男だし。(それが一番腹が立つ)
同僚は脳みそまで筋肉のアホタレだし。
主人公は主人公で、眼鏡をかけていないと単なるヘタレのグズで蹴飛ばしたくなる性格してるし。
まともかと思われた嫌味なエリートはいきなり肉体関係強要してくる真性ホモだし。

ホモじゃない奴が紆余曲折の末、ホモ道に堕ちるところにこそBLの醍醐味があるんだろうが!(あくまで持論です)
最初っからホモな奴らがお手々繋いでウフフアハハなBLには萌えないんだよボケが!(だからあくまで持論です)

……と、そんな(私にとっては)トンチキキャラが右往左往している様を見ても楽しめるはずがないのです。
システムパートで前述したけれど、特筆するべき演出があるわけでもないし。

正直言って凡百。そもそも、ゲームである必然性が皆無です。
受攻が選べるくらいがせめてもの利点なのか。個人的には受ルートはまったく無用の長物でしかないのだが。
動きもしない、ゲーム性もない、シナリオはテンプレ。音楽は空気。
いいのは声優陣の熱演とテーマ曲、一部CGくらい。
エロゲなら、どこのレビューサイトでも取り上げてすらもらえないレベルでしかない、空気な作品でした。
むしろ、事前のこれだけの話題性に対してこの内容だったら、地雷扱いされても文句は言えないぞ。

BL、特にリーマン物が(たとえ嘘八百でリアリティの欠片がなくとも)好きで好きでたまらない、ついでにちょっぴり鬼畜で眼鏡キャラならなお良し、といった人にならお勧め。
ある意味、キャラ萌えにしか頼っていない、作品としての総合力は二の次でしかない、非常にBLらしいBLと言えるかも。

キラル盛

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84キラル好きなら
★★★★

※これはBLゲームブランド、ニトロプラスキラル作品のアミューズメントディスクです。ミニゲームが3本収録されているので、それぞれについて書いてあります。


■猫打(タイピングゲーム)

Lamentoキャラによるタイピングゲーム。
だがお遊びと侮ることなかれ。見た目はものすごくかわいいのだが、難易度は結構高め(らしい)。
私はそこそこタイピングが得意な方なので(7~8打/秒くらい)ノーミスでクリアできたが、他のユーザーのブログやらサイトやらを見て回ったら、あちこちでかなり悲鳴に近い声が。
どうやら通常レベルの速度では、ラストバトル付近はかなり苦しいらしいのでお覚悟を。
と言ってもそこはそれゲームなので、一行分の入力を丸々スキップできる特殊技を実装し、ちゃんとクリアできるようにバランスは取ってあります。
実は攻略中は1回も使わなかったので、効用が全然分からなかったマヌケっぷり。
チュートリアル読んで初めて知ったよ。
ちなみにこのチュートリアル、不親切なことにインストールされたプログラムフォルダ内にあります。これ、知らない人が結構いると思う。
どうしてゲームトップに記載してないのかは謎だが、ご一読を。

ところでこのミニゲーム、真の敵は難易度よりもそのシナリオの笑撃度にあると思う。
淵井鏑氏、ギャグシナリオ超上手すぎ。笑いすぎでキーを打ち損なう危険性の方が高かったよ。
「Lamento」本編を楽しめた人なら、腹抱えて笑えること間違いなし。
よりにもよって帝王・森川智之氏に「にゃー」と言わせるとか、どんな鬼畜の所業か。危うく死にかけたよ。
その他にも、本編では拝めなかったかなりほのぼの系のシナリオも搭載されているのでプレイして損はなし。
「キラル盛」に収録されている3本中、これが真打ちだと思うほど作り込みが細やかで面白かった。超お勧め。

あと、アミューズメントディスクのわりに推奨スペックが異常に高いのはニトロの伝統です。
兄ブランドに慣らされているので私は平気だが、大変にお嘆きのお嬢さん方が多かったようなので。


■クイムス(パズルゲーム)

ちょっとだけ新ルールを加えた、よくある落ち物パズル。
こちらの難易度は「猫打」と違ってやたらと低め。
長丁場になっても落下スピードが大して速くならないので緊張感がなく、いまいち盛り上がりに欠ける。
新録のボイスとゆーぽん氏のちみキャラを楽しむため、と割り切ってゲームにはあまりこだわらない方がいいかも。
また、シナリオというほどのエピソードもなく、基本的にパートナーに誰を選んでも展開はほぼ同じ。
「猫打」ほど特筆するほどのものはなかったのが正直なところ。
ただ、3人全員をクリアすると隠しキャラをパートナーにできるので、それまでは頑張るべし。
それにしても、やはり、「Lamento」だけで2本作るのは少々大変なんじゃ、と思う。
どうせお遊びなら、「Lamento」「咎狗」のクロスオーバーで1本とかにすれば面白かったような気が。


■咎狗ポーカー(カードゲーム)

その名の通り、咎狗キャラ同士で対戦するポーカー。
「必殺技」を使ったイカサマプレイができるが、使用の可否は選べるので、至極真っ当なカードゲームとして遊ぶことも可能。
(と言っても、わざわざオフにする人はさほどいないと思うが)
難易度はこれまた低め。使用キャラによって違うが、必殺技がかなりのイカサマ具合なので。
使いどころのタイミングを間違えず、あと運さえ絶望的に悪くなければ(必殺技は失敗することもある)ほぼ勝てる。
ちなみに最強イカサマ師は処刑人コンビかナノ。この二人を使って負けることはまずありえない。
反対にまったく使えないのが源泉。おいちゃん、CPU相手にその技はマジで使えないよ……!
これにもシナリオと呼ぶほどのものはなく、各キャラのミニエピソード程度。
その代わり、使用可能キャラがかなり多めなのでバラエティには富んでいる。
実際に発売されたグッズである「咎狗の血トランプ」の絵柄をそのまま採用しているので、現物を持っていない人にはそちらも見どころかも。

ところでスタッフクレジットですが。
PS2版で声優名が解禁になったからって、かつて源氏名だった人をそのまま載せちゃっても大丈夫なんですか。
確かに今作は18禁要素はないけど、オラ思わず余計なこと心配しちゃったよ。

月光のカルネヴァーレ

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
80★★★

購入後、半年以上放置してからようやくプレイ。
それほどまで、ここ最近のニトロ作品には、「是が非でもやりたい」と思わせる力が欠けていたわけですが。
もたもたしていたら「ジャンゴ」が発売してしまい、いくら何でもこれはまずいと焦ってプレイ開始。
で、蓋を開けてみたら、意外や意外、きちんと面白かった。良作とまではないけれど、力作。
むしろ、万事に及第点すぎて、いつもの、
「さすがニトロ! 他のメーカーができないことを平然とやってのけるッ! そこに痺れる憧れるゥ!」
という荒唐無稽さはないものの。
むしろ、ニトロ初心者に勧められるような、ブランドのカラーをきっちりと踏襲した作品であると思う。

絵・音楽・演出は、毎度のことながらどれも実にそつのない作り。
ビジュアル面は、異国情緒溢れる背景と可憐な女性キャラ、渋くて猛々しい男性キャラ、CGと、それぞれが非常にハイレベルな融合を遂げていて、特に彩色は素晴らしく、光の表現がものすごく美しかった。
また、武器や不気味な人形のCGも奮っており、専門の3Dチームの力を存分に発揮している。
枚数自体は物語の尺のわりに若干少なめかとも思うが、それぞれの質が相当のものであるので、特に不満は感じなかった。

ただ、演出に関しては、同時期に開発していたはずの「Lamento」がバリバリに動きのあるものであったため、今作もそうであろうと思っていたら、ごく正統的なAVGスタイルだったのには拍子抜け。
ライターの文章力が高いのならそれでも力押しでどうにかなるだろうが、もはや動的演出の強化は業界の標準だ。
決して全体的に下手というわけではないが、戦闘シーンでは特に間延びした印象が強いため、できればこれを動きで補ってほしかった。

音声は、もはややりすぎだ。
ニトロ作品に出演する声優陣に慣れてしまうと、自分内デフォルト値が上がってしまう恐れがある。
それほどハイレベルなベテラン声優を、とんでもねー役でゴリゴリ起用しちゃってます。よろしよろし。
他も、キャスティングの妙を感じさせる実に巧みな選出で、物語を大いに盛り上げていると思う。
中の人スキーなら、それだけで買っても損はしないかもしれない。全キャラにわたって、かなりセリフが多いので。
あと、保村氏のキレキャラの巧さと、ダヴィデのイッちゃってる演技は異常。
保村氏、「あやかしびと」みたいな影の薄い主人公より、こっちの方が断然合ってるし光ってるよ。
(そういや、「あやかしびと」でもブラック主人公の方が格段に良かった)

音楽はいつものZIZZ。
主題歌は上野洋子氏。てっきり、お馴染みのいとうかなこ氏かワタナベカズヒロ氏がやるもんだとばかり思っていたので思わずビックリ。しかもビッグネームだし。
が、これが大正解。元々、半音移行のコード進行を多用し、エキセントリックで幻想的な曲調を得意とする上野氏と、この世界観とがしっくりくる。
もちろん、エンディングを手がける上記二氏と、挿入歌の小野正利氏のそれぞれの個性に合った歌も素晴らしい。
ただ、今回BGMで一部違和感のあるものが。
BGM自体の質ではなく、Hシーンに日常生活のBGMを持ってきたり、使用箇所に問題があったと思う。
いつもの圧倒的な曲数と選曲センスを誇るニトロらしくない。

システムはいつものニトロ仕様だが、さすがにそろそろ改良の余地があるかも。
一度に見れるバックログがやけに少なかったり、戻るのにわざわざマウスを動かしてEXITを押さなければいけなかったり。
右クリック解除くらいは、別に難しい制御でもなんでもないのでは。
それに、右クリックを押してからメニューが表示されるまで微妙な間があり、とにかくもっさりしている。
何にリソースを使っているのか素人には分からないが、エロゲの世界も日進月歩。
根本的な足回りを見直さなければ、このままでは他メーカーにどんどん水を開けられていくだけだと思う。

さて、「思ったよりは」ずっと面白いし、筋立ても真っ当だったシナリオ。
ニトロお得意の、人と人外と武器とが入り乱れ、複数の思惑が錯綜する群像劇だ。
どの陣営も、目的と立ち位置がはっきりと書かれており、それがブレたり説明不足だったりすることはないので、ストーリーは非常に追いやすい
また、エピソードもバランス良く割り振られてあって、どれかに偏るということもなく、かなり練り込まれていると感じた。
多数のキャラが登場するが、それぞれが作中できちんと役割を果たし、群像劇にありがちな、「このキャラいらない」といった蛇足感もないので、以上の点では極めて優秀な作品であると言える。
むしろ、一番いらないのは主人公だ

こいつたぶん、ニトロの歴代主人公中、最高のヘタレ。
かつてオルマ・ロッサというマフィア組織内で、冷静沈着で最強の暗殺者だったという謳い文句のわりには、さほど強さも感じないし、何をするにもはっきりしない。
恋人を失い、親友に裏切られ、自暴自棄になっているからという設定を差し引いても、物語の主人公はこれじゃダメだ。
少なくとも、ニトロのような、ユーザーが「燃え」を大いに期待するメーカーである以上は。
ストーリーの途中でどん底に落ちるような展開があり、一時的にヘタレになるのはいい。それは演出のうちだ。
だがコイツ、やることなすこと中途半端で、ホントにヒロインたちに惹かれているのかすら疑問に感じるほど感情の起伏にも乏しく、お世辞にもプレイヤーが「格好いい」とは思えないキャラなのだ。

それなのに、やたらと戦闘シーンが多いシナリオ。
その戦い方のパターンも決まりきっており、「銀器を出され大ピンチ→力押し→味方の助けが入るor辛勝」の繰り返しのため、バトルの爽快感は乏しく、むしろ、冗長に感じてしまう。
いっそのこと、要所要所でのボスクラスのキャラとだけの戦闘にした方が、全体的には引き締まったのではないかと思う。
この悪しき戦闘シーンのおかげで、作品全体がスピード感に欠け、おかげで物語に緊迫感がない。
シナリオ自体はかなりよくできた部類で、先を読ませる力もあるのだが、どうも間延びした印象が拭えないのだ。

また、脇を固める男キャラが、皆非常に魅力的なのに対し、肝心の女性キャラは、アンナ以外、今一つ。
この辺の伝統もニトロだから、と言ってしまえば身も蓋もないのだが、どれもこれも決して悪くないキャラ立てのため、あまりにも惜しすぎる。
ルナリアとかレベッカとか、すわ、殺し愛か! と色めき立ってみれば、どれもそこまで突き抜けるでもなく、中途半端なエンドを迎えてしまう。
違うだろ! そこはもっと病まなきゃダメなんだよ!(私は危ない人間ではありません)
殺し愛なら、妹ブランドのメインライター、淵井鏑氏に聞いてこい。氏の殺し愛展開は神レベルだ。
(マジで。この人、絶対私の妄想を具現化してるに違いないってほどツボをついてくる魔人)

今作でのエンディングの順位としては、アンナハッピー>ノエルノーマル>>>越えられない壁>>>ルナリア=レベッカ。
特にルナリアの扱いはもう残念の一言。これはいくら何でもありえない。
本来なら、外見も中身も、間違いなく人気沸騰、話題騒然、業界を席巻することすらできたかもしれないのに。
それが、「ルナリア? ……ああ、かわいいよね」レベルで終わらせてしまうとはどういうことだ。
どうせ壊れるのなら、完膚無きまでに壊れなきゃダメなのよ。病むなら頭がおかしくなるくらい病まなきゃダメなのよ。
(ネタバレ危険!→)シリンダが欠け、記憶を失うエンドはともかく、他の姉妹と一緒にドサ回りをするエンドのどこに幸せを見出せと?
しかもこっちがハッピーエンドだろう。ああ、もったいない、もったいない。
もっと、世界に二人きり、互いが互いしか見ておらず、そしてそれは絶対的な主従というエンドは作れなかったのか。
そもそもこの作品は、人狼と、それを殺すための人形との恋愛物なのだ。
もっとヒリヒリするような殺愛、心かきむしる葛藤を見たいと思って何が悪い。いやそれこそがユーザーの本望。
(私は決して危ない人間ではありません)

それに、全体的にエピソードの扱いが綺麗すぎた。
もっと血みどろ、もっとドロドロ、もっと情念を。
ノエルやレベッカが捉えられたら陵辱を受けて当然だし、ピウスのような非人間的な主人の元では、人形たちだってもっと苛酷な扱いを受けているはず。
ルナリアがダヴィデを毛嫌いする理由も、具体的に陰惨なエピソードを用いれば、後にその呪縛から解放された際のカタルシスをもっと味わえたかもしれないのに。

以上がシナリオで残念だった点。
挙げすぎだと思われるかもしれないが、むしろ、これしかないのだと好意的に見てほしい。
だって、それ以外はほぼ合格点だったんだもの。

とにかく、多数のキャラが絡み合う構図を、プレイヤーが混乱することなく把握できるよう、きっちりと説明しきった力量は確かなものだし、世界観は実に魅力的。
ルートごとにまったく別の展開を用意してあり、キャラのエンディングが全然被らないのも高評価。
エンディング自体も、ご都合主義が薄く、どれも手放しで喜べるようなハッピーではなく、切ないエンドが多いのも高評価。
何と言っても、セリフ回しがかなりこなれていて、ダラダラとつまらないギャグを垂れ流すエロゲが多い中、会話シーンはかなり楽しめた。
特にカルメロ。麻薬中毒のイッちゃってるキャラだが、そのアッパーなセリフの数々ときたら、戦闘シーンで退屈してしまったプレイヤーのやる気を再び起こさせるに充分。(重ねて言うが、保村氏は最高の演技だった)
ジェルマーノとアンナのやりとりも微笑ましく、ペルラの性格破綻者ぶりには戦慄。
そういった、キャラの立たせ方には非常に長けていて、また、ルートによって立ち位置が変わり、多彩な面を見せてくれるのだから、何だかんだ言いつつも、すっかりこのシナリオに魅了はされていたのですよ。
特に男キャラの漢っぷりの良さはさすがのニトロ節であり、これで主人公がもっと格好良ければ、手放しで良作と言えたのに、と返す返すも残念でならない。

全体的に、そつなく、小ぎれいにまとまっている。クラスに一人はいる良い子の典型的見本だ。
往年のニトロの破天荒さこそないものの、実に手堅く、大抵の人は楽しめる作り。
特に、伝奇物はやってみたいけど、あまりにエロがキツかったり、描写がどぎついのは嫌、という人には勧めやすい作品だと思う。
女性でも取っつきやすいエロゲの一つかもしれない。

ここのところずっと下降線だったニトロの、起死回生とまではいかないが、上昇に向けての足がかりになりうる作品。
ただ、ニトロ以外のメーカーだったら大成功に入るのだが、ニトロの魅力は、何と言ってもその突き抜けたパワーと、血がたぎり、圧倒的に燃えたつ戦闘シーンにある。
次作こそは、燃える主人公が、刀振り回したり、銃ぶっ放したり、車で追いつ追われつしたり、死んだり死なせたりする作品をやりたいです。

機神飛翔デモンベイン

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
基本部分 8
ACT部分-2
82★★★

※この作品は非18禁ですが、「斬魔大聖デモンベイン」の続編にあたるため、こちらに分類しました。
ちなみに、前作のプレイは必須。最低でもアルトゥルーEDをクリアしていないと、内容が理解できません。

「斬魔大聖デモンベイン」=「機神咆吼デモンベイン」の続編にあたる今作。
前作のアルトゥルーED後の世界観を継承し、デモンベインをプレイヤーが実際に動かせるということで、鳴り物入りで登場したわけだが。
フルポリンゴンモデルをリアルタイムで動かす作品のため、当然、相当のマシンスペックを要される上、18禁ではなく、一般作品として発売、と判明した時点から、嫌な予感は拭い去れずにいた。
正直言って、ニトロ作品って、メーカー自身が思っているほどには、変わったシステムを搭載した作品の評価は高くないと思っていたので。

案の定、嫌な予感は大当たり。
シナリオに関してはさすがの出来栄え。燃えも萌えも笑いもふんだんに盛り込まれた、前作に恥じないレベルのものを出してきたのに対し、最大の売りであったはずの格闘パートはもうボロボロ。
はっきり言って、格闘要素は全部取り除いて、4~5千円台のファンディスクか外伝として売り出してほしかった。
それならば、手放しで良作と褒められたのに。
とにかく、操作性とレスポンスの悪さが、納得しがたい難易度の高さを引き起こしている。私は最初、ノーマルで始めたが、すぐに断念してイージーにチェンジした。
ノーマルではおそらく、いつまで経ってもクリアできない。

そもそも、基本的なACTとしてのバランスがまるでなっていない。デバッガー陣が異常にACTスキルが高いのか、それとも
一般レベルを誤解しているのかは定かではないが、このバランスでは、慣れる前に嫌になってしまう。
そりゃあ、私はACTはどちらかと言えば苦手分野だ。ただ、ゲーマーとして年季は入っているので、決して上手くはないが、
ド下手クソというわけでもない。
一般的に難易度が高いと言われる作品だって、それなりにクリアしてきている。
だが、そんな経験値などまるで役に立たない、極悪な操作性とバランス。
何より、3D格闘ゲームだというのに、相手との距離感がかなり掴みづらい
おかげで攻撃は当たらないし、回避できたつもりでも、そうでないこともしばしば。
キャラの動き自体は実になめらかで、処理落ちもなく、家庭用PCでこれだけ動かせれば合格というラインを大きく凌駕している。
しかし、肝心のキーレスポンスが鈍く、コマンドもやたらと細かく煩雑に分けられているため、ACTの醍醐味である爽快感を
まるで味わえない。
結果的に、戦闘に負ける→コンティニュー→シナリオが進まない、という、悪しきスパイラルに陥ってしまう。
ゲーム性以外の点では、どの要素もほとんど文句のつけようがないレベルに仕上がっているため、この点が惜しまれてならない。

これは、「ニトロウォーズ」や「戒厳聖都」を遊んでみて感じたのだが(いずれも「サバト鍋」収録)、ひょっとしてこのメーカー、
プレイヤーの忍耐力や能力を過信してるのではと思う。
手触りといい、難易度といい、どれもこれも決して一般向きとは言えないレベルなのに、それを改善するパッチなども出てこないし、これくらいなら普通にクリアできる、と思われているのではないだろうか。
この温度差が、今作にも如実に反映されてしまったため、実に残念な結果に終わってしまったのだが。
(※なお、現在公式サイトでバランス調整パッチ配布中)

先ほども少し書いたが、ゲーム性さえ除けば、他の要素はメーカーの名に恥じないさすがの仕上がり。
グラフィックは質量共に申し分なく、お得意の3DCGも、実に違和感なく溶け込んでいる。
所々挿入されるムービーも高いクオリティを維持しており、特に、格闘パートでの必殺技を決める際の演出は、ド派手で見ごたえも充分。
「デモンベイン」といえば多数のボーカル曲が存在するが、それを要所要所のシーンで惜しみなく投入し、さらにお馴染みの
BGMに加え、雰囲気バッチリの新曲ももちろん登場して、嫌が応にも盛り上がる。
基本的な足回りはいつも通りで、ゲームを進める上で、まったく支障がない。

シナリオは当然、前作に引き続き鋼屋ジン氏。
自ら生み出した作品世界を少しも損なうことなく、さらなる飛躍を感じさせるものであり、大変満足。
ルビを多用した、相変わらずの畳みかけ表記が、やはり人によっては好き嫌いが分かれるだろうが、それでも、ここまで王道的な構造をした物語を、ちっとも飽きさせずに一気呵成にエンディングへと持ち込む手腕はすごい。
また、前作でもそうだったが、広げた風呂敷の畳み方が実に鮮やかで、今作のEDも、「真・デモンベイントゥルーエンド」とでも言うべきものとなっており、前作プレイヤーは必見。
「荒唐無稽」や「ご都合主義」という批判を、物語自体のネタとして取り込んでしまうという力技を駆使し、さらには、メディア
ミックス展開された小説の内容をも包含し、相当無茶をしてるのに無理がない。
続編としての位置付けや展開に、有無を言わせず、疑問を抱かせないのだ。
また今作は、前作ほどの中だるみがなく、かといって性急過ぎることもなく、シナリオ自体は実に無駄のない、スマートで洗練されたものに仕上がっていると思う。

だから、本来なら中編ほどもないこの話を、単品で一作品にしてしまおうという企画自体が無理なのだ。
「デモンベイン」はニトロの代表作の一つであり、メーカーにとってもある程度のペイを見込める貴重な作品のはずだ。
それを、こういう売り方で評判を下げてしまうのは非常にもったいない。
もしコンシューマーに移植するのであれば、格闘パートは最初から見直しを図った方がいいと思う。

前作が非常に良作だったからこそ残念だったし、ここ最近のニトロの低迷ぶりを、「デモベ」なら何とかしてくれるんじゃないだろうかと思っていたから、そして、格闘パート以外は期待以上の出来だったから、余計に惜しいと思う。
「デモンベイン」の世界観がたまらなく好きな人、鋼屋ジン氏のファンにはお勧め。
本当ならこのシナリオ、前作プレイ者には問答無用でやってほしいのだが、格闘パートがそれを阻むため、「短い、高い、
めんどくさい」を克服する覚悟を決めた人のみ。

群青の空を越えて

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
81萌えは無用の方に
★★★★

きっかけは、発売前に公式サイトに掲載されていた制作ウラ話。(今も読めます)

「バカヤロウ、萌えゲーなんかに負けるかよ。ユーザーが萌えるのは正当な楽しみ方だけど、クリエーターが萌えに頼るようになったら単なる無能者の手抜きなんだよ」

いい加減、萌え先導の業界の風潮に倦んでいたところにこの言葉。そんな気炎を上げるクリエイターが、まだいることがすごくうれしくなり、応援も兼ねて勇んで特攻。

ジャンルは「本格未来架空航空戦記ADV」。作者の言葉には「グリペン」を使った話が書きたかった、とあるが、空中でのドッグファイトや戦術的な展開よりも、むしろ戦争という現実に翻弄される人間たちの群像劇がメイン。
作者はかなりの航空機マニアのようだし、ドッグファイトがメインなのかな、と思っていたので、いざプレイしてみたらいささか拍子抜けしたのも確か。
これでも「エリア88」に燃えた世代ですんで。
その代わり、戦略・権謀術数要素はてんこ盛り。目に見えるドンパチよりずっとシリアスで重く、「戦争」、しかも「負け戦」であることを忘れないシビアな展開は、派手さには欠けるが、ずっと心に重くのしかかってくる。
実際、政治・経済問題を多く盛り込み、それをある程度は理解しておかないと面白さが3分の1くらいは減少してしまう困った作りなので、取っつきはかなり悪い
気軽に楽しく浮世の憂さを忘れたいという人には全然向きません。そういうお手軽作品が多く求められ、市場に溢れているこのフィールドにおいて、実に異彩を放つ方向性、はっきり言ってたまりません
第一、負けることがほとんど確定しているんだもの。勝利のカタルシスなんてへったくれもありゃしないのです。
そんなわけで、覚悟を決めた人のみがトライすればよろしいかと思います。

絵は可もなく不可もなく。シリアスな物語にふさわしく、突拍子もないデザインもなく比較的安定しているのだが、テキストとCGで齟齬が生じるケースが多い。
立ち絵では普段着を着ていたはずなのに、同時間上のイベントCGでは制服姿になってたり、文中では長袖のはずがCGでは半袖だったり。
些細な点であるのは承知しているが、一度気になりだすと、とにかく目についてしょうがない。
もう少し、擦り合わせに気を使ってほしかった。
また、物語の尺のわりにはイベントCGが少なめ。私の感覚がズレているのかもしれんが、ここはCGだろう、というところもトランジションでごまかされてしまったり、量的にはあまり満足できなかった。
EDのスタッフロール上で、まだ見ていないルートのネタバレCGが表示されてしまうのも困りもの。
ちゃんと制限かけてください。

売りであるのかは分からんが、場面場面で挿入される飛行シーンのムービーなども、地味だし今ひとつの出来。
ひょっとしたらすごくリアルな動きとか、こだわって作られたものなのかもしれないが、残念ながら当方、航空機に関しては素人で違いがよく分からないし、挿入どころのタイミングも絶妙とは言い難い。
この辺の、細かい演出が平たく言えば「ダサい」のであり、業界では最近、演出にはめざましいものを感じる作品が多いだけに、余計に野暮ったい印象を受けてしまった。

この点は音楽も同様で、このシーンでその曲使うかぁ? というポイントのズレが耳につく。
こういう感想は、本当に個人個人の感性によるものなので、あくまで私見であるが。
ただ、やはりあまり主張しない曲が多く、進行の妨げにこそならないが、盛り上がりには欠ける。
OP・EDは出来が良いのだが、作中でのBGMは曲のバリエーションも少なく、いつも同じ音楽がかかっているような印象を受ける。
せっかくのゲームという媒体、もう少し絵と音が生み出す力、その効果を信じて力を入れてみてもよかったのでは。

対して、フルボイスであるのは大成功と言って差し支えない出来であり、声優陣はかなりの熱演。
あちらこちらで名前を見かける実力派が多く参加しているだけあって、その演技には隙がなく、ミスキャストもないので、いつもはボイスすっ飛ばし派の私も、ついつい聞き入ってしまった。
(おかげでクリア予定時間が大幅に延びた)
普通のゲームやアニメなら登場しないであろう難解な用語が頻出し、おまけに航空用語は英語だし、収録は並大抵の苦労ではなかったに違いない。プロって素晴らしい。
しかし、一部シナリオにもネタとして登場するが、BL系で大人気のあんな人やこんな人を盛り込んで、いったい何をやらす気ですか! モニタ前で吹くかと思ったよ。

システムは普通。ただし、グラボの相性が悪いと悲惨らしいので、パッチを忘れずに。
私も最初、メニューが表示されないという珍現象が起き、このゲームはどうやってスタートするのか? としばらく悩んだ。
実装している機能には過不足なく、各種回想モード、ホイールバックログ・音声再生にも対応しているのだが、どうもいまいちレスポンスが悪く、半テンポ遅れるような気が。(推奨スペックは余裕で凌駕してます)
ボリュームがあり、シナリオに集中したい作品なので、足回りは軽快であってほしい。
また、見せ場と思しき特殊なイベント下では、セリフの表示スピードが支配されてしまうのも難。
ここぞ、と意気込む気持ちは分かるのだが、ユーザーとしては自分のペースを乱されるほうが癪に障る。
むしろ、別の演出によってユーザーの目を釘付けにするべきなのでは。

以上のように、全体的にどうもパッとせず、いまひとつな凡作なのかと思いきや、困ったことに(?)シナリオが全然いまひとつではないんですわ。

さすがに言うだけのことはある。「萌え」をまるで排除し、あくまでも物語の力で勝負しようとした姿勢は潔い。
これだけ各メディアの発達が著しい中で、未だにペンの力を信じたその方法は、愚直なまでに真正面からの挑戦。
大軍の中に一騎突っ込むようなもの。

たった一人の学者の学説とアジテーションが、様々な利権と絡んで、やがて日本分裂と戦争に発展する、という設定は、かなりのトンデモであることは確かなのだが、それを足場とした物語が、疑問を許さぬ勢いで大真面目に展開するもんだから、何だかいつの間にか押し切られてしまうのも確か。
「主人公がグリペンに乗る物語を書きたかった」と製作者自らが語るように、そのためだけにこれだけの大風呂敷を広げたのはいっそ見事でもある。
美辞麗句で愛を語るゲームは数あれど、「女が一番じゃない」と断言してのけるエロゲーは初めてです。
でもちゃんとエロいんだな、これが。

一つの事象を多角的な視点で捉え、それをザッピングというシステムに無理なく置き換えた手法はナイス。
複数の視点が入り乱れることによる混乱を避けるために、メッセージウインドウにキャラチップを表示させたのも気が利いている。
最終ルートではそれまで敵だった側の視点で物語が語られ、単純な二元論に陥るのを防いでいるし、テーマに向き合おうとする姿勢は、とても単なるゲームの一作品とは思えないほど真摯だ。
異世界を舞台にするのではなく、あくまでも日本と諸外国、という身近な場所を設定した勇気も評価。
誰しもが知り尽くした世界の上に、新たな設定を敷くのは並大抵の苦労ではない。
荒唐無稽すぎるからこそ、フィクションとして楽しめるという側面もある。
じゃないと、生々しくてやってられないだろう。

そこでは、人が当然のように死んでいく。すぐ前の場面では重要な役を担っていたキャラですら、次の場面では、ただ「○○が死んだ」とだけ表示され、淡々とした死を余儀なくされるそれは、あまりにもあっけなさすぎて怖い。
だが、そうまでして失いつくし、あがきつくしても、いずれのルートでも待ち受けるのは敗戦(停戦)というのが、このシナリオのすごいところだろうか。

私は、あえてこういう手法にしたことを評価したいと思う。
どんなに誰が泣き叫んでも、残酷な事実は覆しようがない容赦の無さも好きだ。
今まで、多数のパイロットを死地に送り込んできた管制官である若菜が、自分の死に向き合ったとき、決して自分を特別扱いせずに毅然とその事実を受け止める厳しさと強さ。
そういったものが詰め込まれた今作、ゲームとして作りの甘いところは多々あれど、普通のエロゲにはないものを多々持っていることもまた確かであり、それはとても大切なものだと思う。

ラスト、作中に何度も問いかけられた命題を再度提示されて物語は閉じられる。
「自分たちはなぜ戦ってきたのか」、と。
そこに明確な結末を与えなかったのは、プレイヤーそれぞれに想像の余地を残すための手法であるが、あえて言うならば、指揮官すらも傷つき倒れ、防衛線がズタズタになっているであろう激しい戦いの最中、という状況が、決してこの先に待っているのが楽天的で明るい未来、もしくは劇的な状況の好転ではないだろうことは想像に難くない。
どこまでもシビアで容赦のない演出。奇跡などは起こらない。すべては現実に起因し、質量で劣れば負けるし、個々人がどんなに努力してあがいても、より大きな国情や経済の絡んだ思惑からは逃れられない。
その、決して日和見をしない、作品に対する揺るぎない姿勢は賞賛に値する。
もちろん、読み手によっては、すべてが丸く収まったわーいハッピーと夢想することも可能だ。
(作品の本質を理解していないような気はするが)

パイロットとして死ぬことにしか意味を見出せなかった主人公が、その拠りどころである飛行機乗りという手段を奪われる最終ルート。
飛べなくなって、空という逃げ場を失って、そこで初めて真実に辿り着く。
優しい皮肉に満ちた展開は、その代償に得たものを丹念に綴ることで、それは必要だったのだ、と気付かせてくれる。
この作品が、「萌え」(=ある程度の予定できるセールス数)を捨てて得たものがあったように。

やりたいことを好きなようにやる姿勢というのは、簡単なようでいて、それを貫くことはひどく難しい。
なんせ、商業作品である以上、ペイしなきゃ会社が潰れる。同人のように自分一人が泥をかぶればいいわけではなく、社員の家族にまで責任があるわけだから、あまり軽々しい真似はできない。
そして、たいていの場合、製作者が希望する形と、ユーザーの望む形というのは乖離しがちなものだ。
だから、安易な「萌え」に走らず、重厚なドラマを展開しようとした製作サイドの姿勢と、ユーザーの反応が好意的評価として一致した本作は、とても幸運なのだと思う。
もちろん、本作をプレイした人間なら、それがただの偶然やラッキーで生まれたのでないことは重々承知の上だ。
二年もの歳月を費やしたというシナリオは、完成に至るまでどれほどの推敲を重ねただろうか。
その膨大な作業量を思いやるだけで頭が下がるし、一見して受け入れられにくそうな、難解な用語やクセのある舞台、それでも恐れずに新境地を切り開いたその姿勢。
個人の作家性が色濃く残る、小説的なアプローチの異色作だと思う。

好き嫌いが非常に別れる作風なので、軍事、政経、負け戦に耐性のある方のみどうぞ。
善と悪、敵味方、そういうのがはっきりしてないと嫌、という人は避けたほうがよろしいかと思います。
私はお勧め。ゲームとしての総合点は低いけれど、こういう作風って今までになかったし、このシナリオにはそれだけの価値がある。
活字好きならさほど違和感はないと思う。

ちなみに、未プレイの方は、若菜→加奈子→美樹でやった方がよろしいですぞ。
いいですかな。忠告はしましたぞ。これが一番、鬱気分を軽減できる順番だと思うので。
なんせ順番に(ネタバレ危険!→)全滅)→(壊滅)→(敗戦)だからな。
(とんでもねー作品だなオイ)

CLANNAD

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
63★★

注! このゲームは全年齢対象です。ですがKey作品ということで、あえてこちらに分類しました。
さらに注! もうお分かりでしょうが、Keyファンは回れ右。絶対立ち入り禁止区域です。苦情はスルーいたします。

……パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。

「Fate/stay night」と共に、2004年の最高峰との呼び声も高い今作。
製作に3年もの歳月を費やし、満を持して発売されたわけだが、結果は冒頭の通り。
良くも悪くも、徹底的にkey作品。3年前と何一つ変わっていない。
だから、好きな人には堪えられない魅力があるが、私のように基本的にkey風味(特に前作のAIR)に否定的な者からすれば、結局ここからは変われないのか、と残念に思うしかない。
変わらぬテイスト、というのはファンにとって大事なことではあるけれど、進歩がないこととは基本的に違う。

絵はいつも通り、キャラ以外は大変良い。
これは、原画が樋上いたる氏である限りもうどうしようもないことなのだが、デッサンって何ですか? と言わんばかりのありえない人体展と化している。
おまけに老若男女、顔の中身がみな同じ。いたる氏には描き分けという概念は存在しないらしい。

ちょっと腰を曲げて皺をつければ老人。
等身を縮めれば子供。
肩幅を広くして、目を小さくすれば男、それ以外は女。
ついでに言わせてもらえば、キャラ全員、手が小さすぎ。それは人形の手ですか?

……もしもし、それで金もらってるんだよね? ある意味ふざけんなよ?
さらに、時代の趨勢には抗えなかったのか、とうとう触覚付きキャラが。

キシャァァァ! このアホ毛・触覚撲滅委員会(たった今発足)委員長の私は許しませんよ!
目立って異常な髪型(色は除く)を描かないのが、いたる氏の最後の美点だったのに。
そんなこんなでキャラ絵はいつも通り笑うしかないレベルなのだが、それにしたってボリュームの割にイベント絵がやけに少ない。
絵師が一人だから? 理由にならない。同じ一人でも、「カルタグラ」はゲームボリュームは半分以下だが、それでも差分なしで200枚(しかも全部高レベル。ついでに社長兼業)を実装している。
「key系」と言われるほど一大ジャンルを築いたブランドであるのに、その中身はシナリオにおんぶに抱っこな姿勢が未だに抜けていない。
ゲームは総合力。一つだけ飛び抜けていても、他が足を引っ張るようではお話にならない。

次に、key最大の財産である音楽。
正直、AIRほどのインパクトには欠けるが、これはさすがに文句の付けようがないレベル。
綺麗で品良く、時には物悲しく。純愛系の作品にはベストマッチする作風であり、はっきり言ってKeyにはもったいない。
それに、音楽の挿入タイミングが他メーカーのそれよりも図抜けてセンスが良い。
そういった演出面には光るものを持っているだけに、返す返すもシナリオの出来が惜しまれてならない。

ボイスはなしだが、この膨大なアホウワールドをいちいち声付きで再現されたら、演じる声優さんもかわいそうだし、間違いなく殺戮の宴の幕開けとなるので、なくて正解。むしろ、頼むから付けるな。
ご多分に漏れずOPムービーもあるが、その挿入箇所が問題。
演出の一環として、トゥルーエンドの鍵を握るキャラのシナリオ中にのみ流れるのだが、それならばそのキャラ専用のものと
通常バージョンと2種類用意してほしかった。
本来、演出としては見るべきものなのだろうが、肝心のムービーの中身が何だかそぐわないため、気分の盛り上がり方が半端で終わってしまうのだ。
何だか今作は、時間がかかったわりに、どれもこれも中途半端な感が否めない箇所が多々あるような気が。

それでは、皆様お楽しみ(?)のシナリオコーナーへと突入させていただきます。
例によって、かなりネタバレも含まれますので、よろしく。私はこの作品に対する気遣いは捨てました。
だって、バレて困るような斬新なネタなんて、何一つ盛り込まれてなかったので。

3年間のブランクの末がこれですか。
劣化した金型で作られた代物をスルーできるほど、私の目は節穴じゃないと叫びたい気分です。

メインライターである麻枝氏の落とし方というのは、AIRとその他数多の亜流作品に形骸化され尽くされ、もはや新鮮味は完全に失われていると言っていい。
なのに、それを生み出した張本人が気付いているのかいないのか、今作でもそのパターン地獄に自らずっぽりはまってしまっているおかげで、またこの手かよ、もう飽きたよと思わざるをえない。

病気禁止、子供禁止、奇跡禁止、超常現象禁止、白痴レベルのボケも禁止。

これ全部封じるだけで、すでに麻枝作品ではなくなってしまうというカラーの出方、引き出しの浅さはクリエイターとして致命的じゃないですか。
基本設定をちょっといじっただけであとは全部同じ、というシナリオ展開。ONEの頃から何一つ変わっていない。
無気力な主人公に白痴ヒロイン、退屈な日常とそこからの脱却、じわじわと侵食してくる不透明な世界。
食べ物や愛玩物でキャラの肉付けをしたり、掛け合い漫才のネタにする手法も同じ。
自分リスペクトもいい加減にしてくれ、とうんざりするしかないのですが。

はっきり言って、個別で見れば別に大した出来じゃないし、新鮮味も薄いのに、別ライターが担当したシナリオの方が数倍ましだった。
メインシナリオがつまらないって致命傷じゃないのか? エンディングへの到達を妨げようとする嫌がらせなのか?

幼稚で投げやり、優柔不断で思いこみが激しい、とヘタレ要素てんこ盛りの主人公。
取り柄の一つもないくせになぜかモテモテ、とエロゲエッセンスでこれでもかと味付け。いつものパターン。

超レベルの天然で会話にもほとんど脈絡がなく、コミュニケーション能力の欠如が著しいガイキチの各ヒロイン。
主人公の言うことは何でも鵜呑みにしてしまう、真性のキモオタにしか好かれないような造形。これもいつものパターン。
お前たちに知性という概念はないのか。
ギャーギャーとうざい狂言回しの友人は主人公に輪をかけたヘタレ、大人であるはずの周囲の人間はボケ爆弾。

急募! 普通の人間! 明日のkey作品を救うのは君だ!

メインライターの麻枝氏が最高のキチガイ率を誇っているのに対し、他の2名は比較的まとも。
ことみ、椋、杏、どれも基本的には普通の展開だったが、それでも麻枝シナリオに比べたらマシだ。

シナリオ展開以外に目を向けるなら、伊達に3年もの歳月をかけたわけではないらしく、細部まで神経の行き届いた、実にきっちりとした作り。
たった1ヶ所の差分テキストが発生したとしても、その後の共通パートでズレが生じる、ということがまったくない。
途方もないボリュームを持ち、分岐も多様で複雑な発生条件を内包しているのにも係らず、そういうミスが起こらないというのは賞賛に値する。
膨大なフラグを厳密に管理しなければならなかったであろう製作チームの苦労が思いやられ、狙いすぎで白けるお涙頂戴シナリオよりも、ずっと泣けた。
シナリオがすべればすべるほど、その他の点が素晴らしく見えてくるという摩訶不思議な現象が。
ただし、個人的には、日常の読み飛ばしても問題ないようなシーンで既読スキップが解除されてしまうので、賞賛半分、発狂半分といったところなのですが。

複雑ついでに言わせてもらうと、シナリオ重視のAVGとして非常に難しすぎる。

基本個別シナリオクリア → 裏シナリオ → 裏個別シナリオクリア → トゥルーエンド

という演出はシナリオ上、仕方がない。
だが、その個別ルートの発生条件が厳しく分かりにくすぎるのと、どう考えても全然必要ないようなキャラにまで個別ルートが用意されているせいで、このゲームを途中で投げ出した人はかなりいるはずだと断言する。

だって、ダラダラと数時間も面白くもない(むしろムカつく)日常生活が続く各個別ルート、みんなやりたいか?
そんなヒロインでもないような奴の話、外伝でもファンディスクでもないのに読みたいと思うか?

今作のテーマが基本的に、「町と人の物語」であるから、説得力を持たせるために、その町に住まう人をたくさん盛り込んだ方がいいと思ったのだろうが、盛り込まれたのはダルさだけでした。
サブルートとしか思えないようなものも補完しないと、ラストにたどり着けないというのは大きすぎるマイナス。
言っておくが、そんな各ルートが面白ければ何の問題もない。優れた演出だと評価できるだろう。
だが、面白くないんですわ。どれもこれも。

ああ、人間誰しも他人には分からないような悩みや問題を抱えてはいるだろうよ。
だが、それを全部感動のオチで片付けられると思うなよ。
人はな、結局は自分で自分を救わなきゃいけないんだよ。血反吐を吐いて、泥にまみれて生きるもんなんだよ。
倒れたら見知らぬ他人が手を差し伸べてくれる、いい人ばかりの世の中なんてねぇんだよ。
何でもかんでも知障のような主人公の空回りの努力で解決なんてできやしねぇんだよ。
奇跡なんて起こらねぇんだよ。もっと地に足の着いた、まっとうな人間像を描いてみせろやゴルァ!!!

と、プレイ中に何度叫びそうになったことか。

基本的に、物語に「痛み」がない。それを表現しようと頑張ってはいるのだろうが、薄っぺらで嘘くさい。
落として、落として、どん底に叩き落とされて、それで初めて怠惰な生き方をしてきた自分を反省できるのだろうに、そこまでいかずとも優しい誰かが必ず手を差し伸べてくれるため、どうせうまいことなるんだろ、ふーんあっそ、という気分になってしまい、何の感動もない。
おまけに、その感動させようとする手段が、これまたいつも通りの人の生死が関わるパターンが多すぎるため、もう本当にお腹一杯状態。
最終ルートで、自分の子供が死にそうになってるのに、それを抱えて雪の中に走り出して叫ぶ主人公ってバカ?
今、その子供に必要なのは救急車だ。お前の叫びや願いじゃねぇ。
そういう、絵にはなるだろうが現実離れした行動が多すぎて、気分が萎えっ放し。ライターは夢の中で生きてますか?

第一この最終ルート、社会人として歩み出した主人公と某ヒロインの話なのだが、この話がもう薄っペラペラ。
働きだしてたった二ヶ月かそこらで、いきなり現場監督として引き抜かれるに値するような仕事ができる人間になれるわけがない。
普通はまだ研修中のようなガキだぞ。しかも、高校時代を腑抜けで過ごした主人公だぞ。
それをいきなり、「以前とは目が変わった」だの、「お前は計数にも強い」だの、主人公、裏技でも使っていきなりクラスチェンジしましたか。それともこの職場はめくらの集団ですか?
それまでバイトもしたことのないような人間が、たった一日二日で仕事に慣れるか。んなわけねぇだろ。
あまり社会を舐めるなよ。全年齢対象だからって、ふざけたことばかり書いてると、お姉さんおしおきしちゃうよ?

あまりのパターン臭に嫌気が差し、半分眠りながらプレイしていると、とうとう病弱なヒロインと自分との間に子供が。
あーなんかこれはヒロイン死ぬくさいな。子供生んで自分は息絶えるってパターンだな、きっと。

ビンゴ。このシナリオ、ワンダフルバカ?

あー、とうとう子供持っちまったよ。ん? 子持ちで片親? ってことはここから先、それがきっかけで親父とも和解するっぽいな。

またビンゴ。このシナリオ、グレイトフルバカ?

今は元気だけど、子供はきっと母親と同じ病を抱えてるに違いないよ。で、ラストでいつもの奇跡が大安売りで発生して全部解決するんだ、きっと。

またまたビンゴ。このシナリオ、マーベラスバカ?

ありえないでしょ、こんな今どき韓流ドラマも裸足で逃げ出すようなベッタベタの展開。
ゲームシナリオ募集とかの告知に応募したら、真っ先に落選させられそうな勢いの話だよ?
私は最初ふざけてるのかと思った。大マジで作ったのか、これは。3年間、本当にがむしゃらに作った作品なのか?
何でこれで泣けるの、みんな。目を覚ましてよ、頼むよマジで。それともおかしいのは私なの? ここは猿の惑星なの?

Keyがこれを作った、ということよりも、これを受けれ入れる土壌があることの方が私には信じられない。

面白くないゲームはたくさんあれど、腹が立つゲームを作らせたら、マジでKeyは天才的だと思います。
泣く? どうやって? 血の涙を流してか?

普通の感性を持った、普通の人間を自負してる人は間違ってもやってはいけません。ふざけすぎていて死にます。
ちょっとでも「俺、オタクだし反応できそう……?」と不安があるならやってみれ。ただし、責任は持ちません。
空が青くてもポストが赤くても泣ける、という人はぜひおやり下さい。体中の水分が流れ出すぐらい泣けるでしょう。

私? 泣けたよ。マジで。あくび噛み殺してな。

CROSS†CHANNEL

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
85★★★★

※注! このゲームはネタバレが致命的な作品です。
そのため、今レビューで設定に言及している箇所は、全部反転させていただきます。どうかご協力を。

もう公然の秘密なので、これについては書いてしまうが、「家族計画」のライター氏の作品。
はっきり言って、私の彼との相性は、この2月にクリアしたばかりの「家族計画」にて激悪なものと化していたので、(レビューを見ていただけると一目瞭然)プレイ前はものすごく気が重かった。
その傷も癒えていなかったのに、同ライターの作品をもう一つ積んでいるなんて地獄の所業としか思えない。(積むなよ)
しかし、これまた世評が相当に高かったのと、公表されている設定がちょっと面白そうだったのも相まって、今回だけはあえて地雷を踏む覚悟で臨んだ。

システム周りは、搭載機能は普通。だが、微妙に使いづらい。
何をするにも画面上部にカーソルを持っていってメニューバーを出す必要があるし、既読スキップをかけるとBGMが聞こえなくなる。
おまけに、オートセーブをONにするとシナリオループが発生して先に進めなくなるという致命的なバグ。
修正ファイル必須です。
余談だが、各章ごとにセーブすることをお勧め。
じゃないと、章タイトルが分かりません。でもこのタイトルが秀逸なので、ぜひ確認するべき。

音楽はなかなか良い。どちらかというと静かな、おとなしめの旋律が多いのだが、シナリオに没頭するタイプの作品なので、
これくらいがその邪魔にならずに雰囲気を盛り上げる役割を果たせると思う。
ちなみに、ある箇所で音楽での大仕掛けがあるのだが、これに関してはシナリオの部分で後述。
主人公以外はフルボイスなのだが、男友達がやけに豪華すぎ。このキャスト、私はビビりました。
たった3人だけど、その誰もが(ボーボボ、犬夜叉、ベジータ)とかなりのビッグネームってどうなのよ!?
これのせいで、逆に女性声優陣が霞んでしまったのがちと悲しい。どうしてもこのビッグ3に比べると演技や印象の点で見劣りしてしまうのが難点と言えば難点か。キャスティング自体は悪くないと思います。

絵に関しては、薄めの色彩で特異なデザインもなく、青を基調とした、あっさりと爽やかな雰囲気。
全体的に綺麗な感じでまとめられており、ベターっとした、変な髪型や服が横行するアニメ絵が苦手なので、むしろこういった画風の方が私には馴染みやすかった。
CG枚数はちと少なめ。これはシナリオの仕掛けのために仕方がない部分もあるのだが、ここぞ、という場面ではきちんとイベント絵が用意されているし、立ち絵のときにたまに入る、イラスト状のカットインも面白い。
どうしてもシナリオのために作られた作品であるので、萌えやその他の要素を追求するのは酷というものだろう。

では、以下よりネタバレゾーンに突入させていただきます。

きた。これはきた。
はっきり言ってプロローグの終盤までは、相変わらずの笑えない上に品のないギャグと、無駄が多くテンポの悪いテキストに、「やはり『家族計画』再びか」とがっかりし、プレイし始めた自分を呪いつつ、数分単位で眠気と闘う苦行を強いられる。
もう何度途中で投げ出したい気分に駆られたことか。
こりゃあもうレビューで、メッタメタのギッタギタに「あらん限りの酷評をしちまうぞコラ」と、どす黒い情熱を燃やしかけたそのとき表示された、プロローグラストのセリフ。

「生きている人、いますか?」

一瞬でざわっとし、背筋が凍った。現時点で理由は分からないけれど、人類は死滅している。ここにいる8人を除いて。
だから。だからだからだから。人の匂いが全然しない。町にも学校にも人がいない。
夏休みだろうと、部活はあるだろうに。日中の町中は喧噪で溢れているだろうに。
BGMはあっても、ざわめきや、夏を演出するのにうってつけのセミの鳴き声のようなSEはない。
そういった、一見背景やサウンド、描写上の手抜きなんじゃないかと思われたすべてが、このたった一言の演出によって
ぴしりと一本に結ばれた鮮やかさに、眠気など吹っ飛んでいってしまった。

背筋を正して、タイトルに戻ることもなくすぐに始まった続きを始める。
最初から、プロローグとほぼ同じ展開。ってことはこれは、ループ物!?
ふふん、私はループ物にはちとうるさいぜ? 何せ、至高の作品が「YU-NO」で「DESIRE」で「腐り姫」だからな。

ごめんなさい。本当に田中ロミオ氏を見くびってました。
まさか、こんな手法を取ってくるなんて思いもよらなかったので。

このゲーム、「青春学園アドベンチャー」と銘打っておきながら、ヒロイン別の攻略ENDがない。
というよりも、EDまでプレイしても、主人公は誰とも結ばれない。
最初から最後のエンドロールが表示されるまで、タイトルに戻ることがなく、あたかも一冊の本を読むような、文字通り初回プレイにすべてをかけた綱渡り作品。
なぜならこのゲームにおいて、再プレイは諸処に張られた伏線の妙に感嘆することはできるが、初回の戦慄だけは絶対に味わえないので。
なんて危険な、そして一回限りの大バクチな仕掛けに出たんだろうと、その潔さに脱帽。
これは、一人のシナリオライターがそのライター人生上で一回しか使えない手法。もう一度やったらただのアホウ。
もちろん、他のライターがやったらただのパクリ。

とにかく設定が巧妙すぎる。ここまでずっぽり罠にはまってしまったのは久しぶりだ。
世界は交差している。まさに†マークのように。
一つは閉じた、もう一つは普通に進む二つの世界を、あたかも一つであるように見せかけていた序盤。
その世界のトリックが段々と明かされる中盤。
見る人によって、まったく解釈の異なる提示をされてしまった終盤。
どうやっても、この物語(というか舞台装置)に関して、考えずにはいられないようになっている。

はっきり言って、最後まで変わることのなかったこのテキストの質は、日本語が壊れすぎていて、決して私の好みとは相容れないものだったのだが、この仕掛けによって目が離せなくなってしまったのが痛し痒しという状況。
どうでもいい電波ギャグや死ぬほどバカな掛け合い漫才の合間に、実にさりげなく設定のヒントが紛れ込んでいるのでまったく気を抜けないし、かといって全部まともに取り合ってたら、忍耐が破滅する。
プレイ中、まるでオシロスコープのように波形が上下動する私の気分。これが、このテキストに乗れる人だったらどんなにシナリオにのめり込めるだろうかと、羨ましく妬ましく思ったことが幾度も。

精神的・肉体的に傷を負った人間ばかりが集まる群青学院。最初のうちは皆、特筆することもない普通の学生。
だが、人がいなくなった世界で、困惑はしても淡々と生きることができる彼らはやはり「普通」じゃないのだろう。
そして、きっちり1週間でループがかかり、それまでの記憶を失って再構成される世界。
そこで徐々に崩壊が始まる人間関係。彼らが学院に集ったのは故なきことではないのだと嫌でも分からされる、
「普通の人」との歪みやズレが表面化していく。
自分たちを爪弾いた優しくない世界と、自分の「群青色」との軋轢に傷つき、他者との関わりあいができない登場人物たち。
それが露呈していく様は、実に醜悪でやがて殺戮にまで発展するドロドロっぷり。

中でも、「普通の人間」としての言動を知覚してはいるが理解できていない主人公の凶悪ぶりは、こんなにプレイヤーの
共感を得られない人間を主人公に据えていいのだろうかと心配になってくるほど。
だが、「多重世界の観測者」としての立場を理解した中盤以降はまさに息をのむ展開で、彼らを補完し、在るべき場所へ
戻してやる主人公。
それによって、もう二度と彼らには会えなくなることを知っていながら。
交差とは、ただ一点。そこを抜け出した友人たちと主人公が交わることは今後一切ない。
ただ、主人公が発信し続けるラジオ放送「CROSS†CHANNEL」を除いて。
それが主人公の今まで失われていた人としてのコミュニケーション手段であり、世界との関わり方であった――。

何だこの、卑怯なまでに鮮やかすぎる幕切れは!

そして、そこでようやく流れるED。歌曲付きであり、ライター自身が作詞したそれは強烈にネタバレを含んでいる。
単品で聞くならわりといいかな、と言うレベルなのだが、このタイミング、この場面で流されるのはもう反則に等しい。
「テーマ曲」でありながらOPですら流れず、今までのどの場面にも流されることのなかったことへの疑問が氷解し、さらに「やられた!」気分が上昇。

それが済むと、今度は実に論議を呼んだ問題のエピローグ。
や、いいんじゃないですか。私は結構好きだな。
これって要するに、「この空がなくなるその日までは……」のその日、ってことじゃないの?

空がなくなる=ループ世界が終わる=世界そのものが滅亡=主人公もなくなる

で、ループ世界で7人を殺してしまった主人公と、その7人の魂(?)のような存在が「お別れだ」と言ってるのにも説明がつくし、「世界が終わる」(分解が始まる)ことによって、元の世界と近くなったからセミの鳴き声が聞こえた、ってことじゃダメですか?
「世界がなくなった」からの、「チャンネルが閉じた」からの突然のブラックアウトじゃないの?
いずれにしても、「みんな助かって救われた、わーいハッピー」なバカエンディングではない……はずだ。

これだけ大がかりな世界で展開されるドラマ自体は意外と安っぽく、キャラにも別段魅力があるわけではない。
テーマの提示の仕方は抜群に上手いのに、そこからの論理展開が安直すぎてやはり好みじゃないし、どうしても説得力に欠ける。
ただ、元はと言えば非常に不安定な精神を持った登場人物たちでもあるので、その点を考慮すれば、普通なら気付いて当たり前の事実を終盤近くまで引っ張ってしまうのも仕方のないところか。
(この点、「家族計画」は普通の人間が気付いて当然の事実に気付いてくれないことが多すぎて私の酷評の対象になった)

どうあってもこれは構成で魅せる物語であり、そのためのストーリー展開でキャラ設定。いわば単なる小道具。
余計なことを考えず、そういう割り切り方をして捉えた方が絶対に楽しめると思う。
面白い、とかつまらない、とかそういう感想には不向き。ただ、できるなら味わってみた方がいい、としか言えない。
完全にプロットの勝利であり、

事前情報まったくなしでこのトリックを見抜くことは、まず不可能

だと断言する。
これでテキストが好みだったら、確実に神の領域に突入していただけに惜しすぎる感はあるが、これ以上ライター買いの作品が増えたら破産間違いなしなので、助かったという気も。
田中ロミオが実に予断のならないシナリオライターであることをひしひしと感じました。
秀作でも力作でもない、ただし意欲作、近来稀にみるほどの
プレイヤーをものすごく選びますので、あとは各自、勘を研ぎ澄ませてご検討を。

カルタグラ~ツキ狂イノ病~

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
78★★★

新ブランド、Innocent Grayの第一弾。
評点を見てもらえば分かるとおり、全部の水準がなかなかの高アベレージであり、安定感は抜群
猟奇サスペンスが平気な人になら、まず勧めてもいいと言えるレベルで仕上がっており、非常に手堅い作り。
だが、その分図抜けてここが素晴らしい、と言える特色もない。
そこそこ面白いのだが、想定範囲内に収まってしまっており、新ブランドが持つがむしゃらなパワーのようなものが感じられないのがやや残念。
とはいえ、シナリオが多少弱い以外は、押し並べて高クオリティを維持しており、早くも次作以降に期待できる。

システムは上々。必要な機能は充分に備えているし、CG・サウンドモードもシーン回想もある。
ホイールバックログでの音声再生も対応、エフェクトのオンオフも3段階で切り替えられて便利。
既選択肢の色が変わるのも分かりやすくて助かる。おかげで補完はかなり楽。

絵はものすごく丁寧。雰囲気も出ているし、何より、物語の尺のわりに差分なしで200枚というかなりの数のCGが用意されていることで視覚的な満足度も高い
背景も手を抜かず、彩度を抑え気味にして、陰鬱な猟奇殺人を扱う物語に相応しい舞台を作り上げている。

音楽も、殺害から立ち回り、哀切溢れるシーンやちょっと笑いの入った箇所まで、様々な場面を盛り上げる、しっかりとした作り。
ただ、一番印象深くあるはずのOP曲のインパクトが薄く、ボーカルの歌唱力にも難があるのが残念。
とか言ってたら、このボーカリスト結構人気ある人だったのね。すいません、無知で。
でもこの曲だけ聞いたら、歌あんまり上手くないと……思うよ?(←弱気)
ちなみに全編フルボイス。キャスティングはまぁまぁ。
が!!! 主人公の元上司で警視庁の辣腕刑事役の方、「嶋和成」氏となってますが、中田譲治氏(マイラヴ)に聞こえるのは私の幻聴ですか?
誰か真相教えて下さい。

良い絵・良い音楽が揃い、演出が問題となってくるが、今作はそれがかなり奮っている。
カットインが多用され、停滞しがちな物語に緩急をつけるのにも一役買っているし、幕間劇で殺人者や他者の視点になった際は、縦書きになるのもいい。
物語後半、犯人側にザッピングする箇所があり、倒叙物の雰囲気を味わえるのも良。
しかも、これらの挿入タイミングが絶妙で、シナリオのテンポの悪さをカバーしている。
また、少ないながらも戦闘シーンもあり、そこでの画面エフェクトもスピードと緊迫感のあるものに仕上がっており、演出に関してはかなり洗練されたものを感じた。
ただし、シーン切替時にかなりの頻度でアイキャッチが入り、これが少々うっとうしい。
エフェクトを切ればすっ飛ばせるが、この点はもう少し見せ方を工夫するべき。

そして、シナリオ。
残念ながら、当方重度のミステリ好きを自認しているため、おおよその事件のからくりが容易に見えてしまい、お手軽感が否めなかった。
それというのも、どれもこれもどこかで見たことのあるようなエピソードばかりで、ほとんどひねりがなく、特別新たなアイディアも盛りこまれていなかったから。

最後の大仕掛けであるはずの(ネタバレ→!!)生者と死者、さらに双子間の二重の入れ替わりは、大昔からそれこそ何度も取り沙汰されてきた手口だし、死体の背中に羽根を生やす・串刺しになって死ぬなんてのも、最近では「多重人格探偵サイコ」が記憶に新しい。
憑き物筋の家系に姉妹、財閥令嬢に全寮制のミッションスクールとくれば、あれあれ、それは京極夏彦では? と、そういったモチーフが透けて見えてしまって乗り切れない上に、事件自体がなかなか進展しないために途中で飽きてしまう。

おまけに、時代背景を昭和初期としているのに、それをまるで無視した台詞回しや行動が多すぎて、かなり鼻に付く。
昭和初期の人間は、普通エッチするとか言わないと思うぞ。女性が「~ッス」なんて言葉遣いもしないと思うぞ。
なのに、地の文にはふりがなを振らないと読めないような難解な言い回しが平気で使われており、そういった文章に対する無頓着さや、大雑把すぎる時代考証が気になって仕方がない。(そんなの私だけか?)
これだけでも、せっかくの舞台の雰囲気が台無しに。

また、主人公が警察を辞めることになった経緯や、過去に携わった事件の顛末等、ストーリーに密接に絡んでくるわりには
語られないことが多すぎて、どうにも消化不良気味。
事件の根幹に関わる由良との関係だって、描写が薄いせいで、「それでそんなに執着されてもなぁ」という気分を払拭できないし、事件を複雑にしすぎようとして失敗したという、中途半端な印象が否めない。

キャラ造形もちと痛い。
勘が鋭く、明敏な探偵であると言われている主人公は狂言回しでしかなく、しかも決定的に鈍臭くて頭も悪い。
肝心の探偵役すら妹(性格に相当難あり。かなり好き嫌いが分かれる。ちなみに実兄妹EDあり)に奪われてしまい、やってることはといえば、あっちの女にフラフラ、今度はこっちの女にフラフラと手を出してばかり。
(エロゲだから仕方ないが)
そのせいで、片っ端から被害者を増やしているという体たらく。はっきり言って、諸悪の根元はこいつだ。
こんなダメ主人公、久しぶりに見ました。「君望」のアホ之以来じゃないか?

このアホウぶりのせいでいっこうに事件が進まず、とにかくスピーディーに先に進みたい諸兄には不向き。
ミステリのスピード感ってものすごく重要なのですよ。
加速して、加速して、最高にスピードに乗り切ったところで崖から突き落とされるくらいの勢いがなければ、衝撃の謎解き、という感覚は得られないので。

ところがこのシナリオ、その最後の謎解きの部分ですら、自分はノータッチで次々と真実が語られていき、つくづく俺の役目っていったい何? と悲しくなる。
一方的に情報開示されるのをボケーっと聞くしかない様は、決定的にミステリの爽快感に欠ける。
その謎が、誰にも解けないような驚きに満ち溢れたものならよいのだが、最初に書いた通り、実にありがちな展開をたどるため、それもない。
せめて論理的に破綻がないようなものを。
事件の第一犯人として、それまで名前すら出てこなかったような人間を突如として挙げるのは反則です。

さらに、メインヒロインが私の「嫌いツボ」をしたたかに刺激する、
「明るく前向きでちょっとドジっ娘、一生懸命で健気」
という最悪の造形。(普通はたぶん好かれるんだと思う……独自偏見路線突っ走ってすんません)
当然、このキャラがトゥルーエンドの鍵を握るため、その脳天気で抜けた言動に辟易しながらプレイする羽目に。
物語が陰惨な展開であるだけに、このキャラの言動に救われるという向きもあるのだろうが、私には邪魔でしかなかった。

暗く、どこまでも暗く深くて光など差さない奈落の底に。
感動はいらん。希望もいらん。嘆きと妄執と呪詛に彩られ、最後には凄惨なカタストロフを。

それこそが猟奇サスペンスの醍醐味だと思うのだが、あっさりとこう救いを用意されてはかなりしょんぼり。
(↑言っておくが私は危ないヤツではない。念のため)
人の妄執をテーマにしているわりに、そういった細部の扱いがずさんなので、心底肝が冷えるということがない。
もっとぞくりとさせてもらいたかった。

例えばラスト。(以下、超ネタバレ。未プレイの人・トゥルーエンド未到達の人は見ちゃダメ!!)
和菜は結局人知れず殺されており、主人公は入れ替わりに気付かず(どうせバカだしな)、プレイヤーのみにだけ包帯の取れた由良のCGを提示して、入れ替わりの事実に気付かせるとか。
その際は憑き物筋らしく、獣目にするとか。瞳の色が違うくらいでは全然ビビれませんわ。
当然、いずれ真実にたどり着く危険性のある妹にはご退場(殺害)願いたい。
その計画を練りながら画面フェードアウト。スタッフロール。

……のような、「救いこれっぽっちもなしED」が見たかったのです。
(↑本当にやったら、たぶん各所レビューで袋叩きに遭うと思うが。私は支持しますよ?)

ちなみに、グロ表現はかなり頑張っている。目玉抉ったり、首手足ちょん切られたり。
もちろんばっちりCGもありますので、嫌いな方はお気を付けて。

全体的にシナリオはとにかくぬるめの印象。詰めが甘いと言ってもよい。
あれもこれもとやりたい気持ちは分かるのだが、一つ一つのエピソードが煮え切らないものが多すぎ、結果的に全部が生煮えという典型的な失敗料理になりかけている。
各ヒロインのEDも、メインヒロイン以外は事件が放ったらかしになってしまうのでラブラブどころじゃないし、ほとんどがバッドエンド。
おまけに、何で出てきたか分からないような必要性のないヒロインも用意されていて、余計に事件が進まない。
シナリオ以外の部分はかなり好印象であるので、作品レベルとしては平均以上なのだが、かえすがえすもこの点が惜しい。

自分の身近な人間も容赦なく死んでしまうので、そういった惨劇に耐えられない人は回れ右。
グロいの嫌い。血なんてもってのほか。切断面なんて見たら倒れちゃいますという人も回れ右。
超本格的なミステリ物を! 破綻なんて容赦しないぜ! という人は走って回れ右。
それ以外の、エログロ猟奇・サスペンスフルなギャルゲーがやりたいな、という人にはオススメ。
過大な期待すらしなければ、そこそこ楽しめると思います。(エロゲにしては)ちょっぴり値段も安めだしね。

家族計画

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
70★★

下で毒を吐くために、サクサクとシナリオ以外について論評してまいります。
絵。かわいいけれど、可もなく不可もなく。少し塗りが荒い。
物語の尺のわりにCGがかなり少なめなのと、重要なサブキャラに立ち絵がないのが残念。

音楽。安定以外の何者でもないI'veサウンド。が、これも可もなく不可もなく。
全編シーンにマッチはしてるけど、取り立てて「これが名曲!」と言うべき曲もなし。
ボイス無いのがかなり助かった。この長さで声なんぞ出されたら死ぬ。(どうせ切るけどな)
CD-DAなのは構わないのだが、曲が終わってループするときにもたつきがあるのが気になった。

システム。オートクリック、既読スキップ、ホイールバックログ完備、セーブ数もそこそこ。
AVGプレイする上では十分及第点。とりたてて手酷いバグもないようだが、CDレス起動できないのが難点。

演出。平々凡々。ストーリーで魅せるタイプのゲームだし仕方がない。

そしてやってまいりましたシナリオ。


注! ここより以下、猛毒地帯となりますので、このゲームのファンの方はお願いですからお戻り下さい。 俺はマゾだぜ! って方なら臨死体験でイケるレベルで突っ走らせていただきます。

あー、まあ何というか。

期待しすぎた私がバカでした、と言わざるをえません。

同メーカー・同ライターの「加奈~いもうと~」が力作であったのと、世評が相当に高かったのでものごっつー勇んでプレイしたのですが。
開始後10分してすでに諦めムードが蔓延。

とにかく無駄の多い冗長なテキスト。
いちいち面白くもないギャグを挟んだテンポの悪い会話。
「俺は○○をした(次ページへ)」「次に○○をした(次ページへ)」と、一文ごとに次へ送らねばならず、早々とオートクリックに登場いただく羽目に。
どうして真面目な会話をしているときに、非常識なギャグで場を混ぜっ返す必要があるのか極めて謎。
山田一氏ってこんなに文章下手だったっけ?

それぞれ各ヒロイン+主人公に突きつけられる事実は重いものの、そこから展開する論理が稚拙すぎて、テーマに至極真面目に取り組んでいるのは分かるのだが、描き出そうとする人と人との軋轢に重みが感じられない。
ある程度年齢のいった人なら、その青臭さにほほえましくなったり、懐かしさを覚えたりするよりも、このガキ、甘えてんじゃねぇ! とうっとうしさや苛立ちが先に立つ。

現代物をやるときには、フィクションであることをどれだけ観客に意識させずにいられるかが鍵になるが、ものすごく都合のよいドリームで世界が構成されており、しょっぱなから興醒めしてしまう。
現実は常に無慈悲で残酷、ゆえに世界に平等であるのに、この世界は中途半端に現実的で、あとはずいぶんとファンタジー。

主人公の造形も鼻につく。被害者意識が強すぎてまるで共感できないし、同じ過ちを何度も犯す。
自分の目が開いてないのを棚に上げて幼稚な主張を振りかざすし、挙げ句の果てにその過ちに気付いてからは一転、どうしようもない局面に立たされてまで独り相撲をとり続けるという成長のなさぶり。
成人過ぎて、しかも普通よりもずっとハードな生き方を強いられてきているわりには意志も弱いし、人格の研ぎ澄まされ方が鈍いとしか言いようがない。

おまけに登場人物が皆子供。姿形こそ年齢相応だけど、考え方が幼稚園児と同等のメンタリティしかないため、何かつらいことがあるたびにすぐにくじけるし逃げる。

このアホンダラが! 逃げてカタつく現実などこの世にはありゃしないのじゃあ! 泣いて済むなら警察いらんわボケ!
と張り倒したくなることたびたび。
先に進むための回り道ならともかく、言動が堂々巡りすることばかりで、お前は山手線か! とツッコミたくなる。
(乗ったことありませんが)

やたらと他者に依存するキャラ、人の顔色ばかり伺うキャラ、社会性がなく傲慢以外の何物でもないキャラ等々、とにかく出てくる攻略対象キャラのほとんどが理由はあれども社会不適合者ばかりで、それを免罪符のごとく振りかざして、「私、不幸なの。だから面倒見てね」と不本意な状況を押しつけられるもんだから、個別ルートに入る前からげんなり。
せっかくプレイヤーの同情に足る設定を持っていても、肝心のキャラの肉付けがこんなだから、「仕方ねーだろ。自業自得だよ」、という気分になってしまう。

テメエのケツをテメエで拭けない奴には自己主張する権利などありません

被害者ヅラしているのに、他者を傷つけることには(やむを得ない事情をもっていたとしても)無頓着なのも問題。
突き放される、無視される悲しみを知っているはずなのに、自分もそれをやりますか?
自己犠牲で一人悦に入って、同じドジ踏むのは許されますか?
自分の事情のためには麻薬も売りますか? 相手の体を慮った言葉の一つも吐けば、犯罪行為は無に帰せますか?
売春なら傷つくのも損するのも自分一人で済むが、薬を売るのは他者を傷つける行為なのでは?
誰よりも痛みを知っているはずの各々のキャラたちがそれをやりますか? とツッコミどころ満載。

スタートラインが他者と違うのは仕方がないこと。
自分では選べないのだし、大なり小なりどんな人間だって違って当たり前。
そこからいかに生きるかが重要なのであって、環境のせいにして自省を怠り、進歩しようとしない人間は大嫌いです。

ついでにこの世の中、家族がすべてじゃありません。
血の繋がりがナンボのもんですか。直系だって他人より薄い関係なんてその辺にゴロゴロしてます。

人は所詮一人で立つしかない。

それは間違いじゃないし私の持論でもあるけれど、そのために他者を排斥するのではなく、だからこそ良好な人間関係を築かなければならないのでは?
そこに生まれた真に信頼に値する人間を大事にするべきなのでは?
そして、自らも他者の信頼に足る人間として生きねばならないのでは?(性悪説みたいだな)

そういった、至極当然の事実に物語のキャラたちが気付くのはゲームの後半。
そこに至るまでに垂れ流された、暴力的なまでにどうしようもないグダグダ論理ですでにプレイヤーの我慢は沸点寸前。
だから、いかに後半の展開で巻き返しを図ろうとも、一度はバラバラになった「家族」が、再び高屋敷家に集う大団円を迎えようとも、「ふーんあっそ。良かったね」で終わってしまい、何の感動も得られない。

そもそも、再三「家族の絆」と訴えてはいるが、それらしい結束を見せたことなんてゲーム中、ほとんどないのでは?
一緒に住んでメシ食って、それぞれ勝手に暮らしてるだけで、そこに暖かさも団結力も欠片も見出せなかった私の心が摩滅しているのですか?
結局、各ルートを終了しても、メンバーのその後はさらりと触れられるだけで、「え? 家族になったんでしょ?」と拍子抜けさせられる。
物語中でそこまで固執していたのに、一人とデキちまったら後は適当ですか? ずいぶんとクールですな。

「家族愛」物としては説得力に欠けるし、恋愛ゲーとしてはさらに大味。
各ヒロインの個別ルートが少なく、物語のほとんどは共通ルートで展開する。
そのため、とにかく初回プレイが地獄だが、これを乗り切ってさえしまえばあとは既読スキップ併用で何とかなる。
ただし、初回6~10時間、各ヒロイン2~3時間と計算し、人によっては数十時間になるであろう貴重な時間をこのゲームで浪費していいのか、という質問には残念ながらNOと言わざるをえない。

人生は短く、読める本もプレイできるゲームも限られてるんです。
悪いことは言わないから、超ピュアな感性でも持っていない限り、このゲームには近づかない方が無難。
……あ、ロリ属性のある人は結構いいかも。末莉なんてかなりソソる(だろうと思われる)キャラだったので。

私? もちろん罵殺したくなりましたよ(スマイル全開)

腐り姫-euthanasia-

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
90★★★★

インモラル・ホラーAVGの名を冠し、その名に恥じない秀作。
エロゲーであることを忘れないエロの高さ、年齢制限を逆手に取ったシナリオ、素晴らしくレベルの高い音楽。
おそらく、この限界MAXな背徳性ゆえにものすごく人を選ぶであろう作品だが、私は最高にツボを突かれた。

鬼畜じゃない、インモラル。
幾度も、幾年月も時を渡る者の孤独。悲哀。葛藤。人を愛するが故の狂気。懊悩。情欲。
ゆるゆると訪れる破滅を予感しながらも、それを食い止めることのできない歯がゆさ。
そして、死すら――あるいは奈落へ墜ちることすら快感に思えてくる毒性の強い物語。

これマジでソフ倫通ったんですか!?

と疑いたくなるような、倫理観ギリギリの設定(←ネタバレ危険! 別窓で開きます)の上で繰り広げられる、
妖しく、美しく、はかなく、恐ろしい物語。

簡潔で読みやすく、4日間を幾度も繰り返すループ構造のゲームでありながらリズムを損なわないテキスト。
ほとんどの文章が一回のウインドウ表示時、きちんと読点で区切られており、句点による次ウインドウへの持ち越しがない。
ボリュームが肥大化しているのにも関わらず、文章に関しては垂れ流しの冗長なゲームが多い昨今で、こういった細やかな気配りはとても好感が持てる。
このため、プレイヤーはほぼストレスを感じることなく世界観にのめり込み、次々と提示され、または明かされてゆく謎に翻弄されつつ、何度でもループを重ねてしまう。
再プレイ時も、選択肢が一つ二つ変わる程度ではなく、がらりとシナリオが変わってしまったり、とにかく飽きさせない。

本作のもう一人の主人公、蔵女――腐り姫の、

「誘おう……何処までも」

のセリフと共に、プレイヤーに提示される、トリップ感抜群の境界線があいまいな世界。
導入部から一回のループまでがまさに目くるめく展開で、何が現実で、何が虚構なのか、気を付けてはいても知らないうちにこの世界観にいともたやすく精神汚染されてしまう。

存在の希薄な自我と、時折蘇る忌まわしい過去に怯える、記憶喪失の主人公。
報われぬ思いを抱える人の心に忍び寄り、それを満たしてやる代わりに肉体と精神を「腐らせて」しまう腐り姫。
主人公にそれぞれ複雑な思惑を抱きつつ、その間隙を突かれて腐っていく周囲の人々。
彼らは次々に「満たされ」、「赤い雪」となって散っていく。
そして、世界には赤い雪――「破滅」が降り積もり、一つのループの幕は下りる。

時にあどけなく、時に妖艶に忍び寄る腐り姫の手練手管に怯え、深まる謎に翻弄されながら墜ちていく恐怖を味わい、赤い雪に包まれて滅びを目の当たりにするループの一つ一つに凄惨な色気がつきまとう。

これぞ18禁のゲーム。これぞ年齢制限。

淫靡で退廃的な、これ以上ないくらい「インモラル」な世界観。
これをさらに盛り上げる、あまりにもレベルの高いBGM。
これは本当に素晴らしい。音楽モードだけで金を取ってもいいくらいの出来映え。
「とがの楔」や「たそがれ月」、「湿原」などのピアノを基調とした、もの悲しく格調高い旋律が、ストーリーだけではどうしようもなくタブー臭の強くなるこの作品に、ある種の「品」を与えている。
音楽が鳴っただけでゾクゾクさせられるゲームは久しぶりだ。
秀逸、と言う他ないだろう。

一部ボイスを起用しており、声優陣のレベルも高い。
特に、蔵女役の方に関してはハンパじゃない巧さを感じた。
この不気味かつ妖艶な、強烈なインパクトを持つキャラを、ここまで演じきることができるとは。
「盲点」やおまけシナリオへもすべて絡んでいるので、まさに八面六臂の活躍ぶりだが、そこでのはっちゃけぶりと、本編とのギャップに唖然となるはず。

キャラ絵に関しては、多分に好き嫌いが分かれると思うタッチだが、これまた世界観にぴったりと合っている。
伝奇ホラーの暗さを保ちつつも、表情豊かに、また塗りは丁寧に仕上げられており、非常に高レベル。
背景も、少しレトロで枯れた画風が「とうかんもり」という寂れた町の設定にマッチしており、最近多い、「暖かく、素朴でのどかな田舎町」という以外の、標準的な廃れゆく田舎町の風情をよく表現できていると思う。

ところで、このゲームの演出で一風変わっているのが、この背景とバストアップCGの組み合わせ。
背景上にキャラのチップが配置され、それを眺めたまま、会話時のバストアップCGが表示される。
これにより、プレイヤーは、キャラたちがどのような位置関係で会話しているのか、容易に知ることができる。
また、このチップは、その会話中でも立ち位置を変えることもあり、会話の臨場感という演出に一役買っている。
今までのAVGと言えば、会話中のキャラは表示されっぱなし、ほとんどすべてが立ち絵というものばかりだったので、この演出はかなり新鮮だった。

さて、このゲームでの数少ない難点。
ゲームシステムが複雑すぎる。
4日間一括りでワンセット、それを幾度も繰り返す、という構造は別に構わない。
だが、一度エンディングを迎えたら、「記憶を消す」を選択しないと別エンドに到達できない、というのはいかがなものか。
シナリオ上の演出もあるとはいえ、この条件が分かりにくいため、攻略に非常に手間がかかる。
さらに、ルート制限(?)が厳しく、一行でも次ルートの文章が表示がされてしまうと、前データをロードしても、その時点に戻ることができず、強制的にそのルートのエンディングを迎えざるをえなくなっている。
このため、今作の「セーブ」という概念は、単なる休憩用か、中途終了のためのしおりでしかない。
通常のAVGと同じ感覚で進めていくと、泣きを見る羽目になるので要注意。

そして、最大の問題点が、設定を語りすぎてしまったこと。
腐り姫の能力や存在意義の説明をするために、明らかに伝奇ホラーとはミスマッチなSF要素を盛り込んでしまい、強引に着地はしているものの、ほんの少しだけ、据わりの悪い物語になってしまっている。
終盤までの閉じた世界観にどっぷりひたっていたのに、突如現れたグローバルな設定にとまどいを覚えたプレイヤーは少なくないと思う。
それほどまでに、この要素は突飛すぎた。

じわじわと確実に追いつめられて、目前にカタストロフが迫っている、という一触即発の緊張感を持った状態においては、あまりに論理的な説明がなされすぎているこの設定で、かえって興ざめしてしまう。
もっと得体の知れない、よく分からないけれど怖い、といったままの存在であってもよかった。
それこそが、「ホラー」の醍醐味であると思うので。

ただ、それを経てもたらされるエンディング3種は、どれも非常に美しい。
特に、トゥルーエンドの余韻の深さは抜きんでており、「リフレェン」というタイトルとも相まって、ものすごい破壊力を持っていると思う。

すべてを忘れ、そしてたどり着いた巡る運命の先に待っていたのは――。

これを、(ネタバレ危険!→)>「リセット」と取るか「循環」と取るかによって、その人の評価は違ってくると思うが。
それは、プレイヤー次第で違っていいと思う。(以下ネタバレ危険!)
「リセット」と取るならほんの少しの希望を、「循環」と取るならやりきれない無限の悲しみと切なさを、それぞれ味わえると思うので。
ちなみに私は「循環」の方が好き。アンハッピーエンド大好きなんで。

このラストにおける、「逃げ」ではない解釈の多様性も、今作品を味わい深くしている点の一つだと思うので、プレイヤーそれぞれの感想を大事にすればいいと思います。

ボリューム的には小品とも言える作品だが、その質においては逸品の一言。
すべてが高アベレージの、完成度の高い良質なAVG。
倫理観にしばし目をつぶれる人、ぜひプレイを。

あとな、ヒントが出る「盲点」モードは、初回プレイ時は絶対にオフにしとけよ、みんな。
オンにすれば、大変なことが起こるから。

……ぱっぱぱぱぱぱぱ、ぱっぱっ、パフ。←体験者だけのお楽しみ

歌月十夜

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
1096

私の「心のゲーム殿堂」への階段を一気に駆け上った「月姫」のお祭りディスク。
自分でも何だか呆れるくらいにこの作品気に入ったんだけど、止まらないです。阿呆です。人間失格です。

そして、またもやられた。脱帽。
正直、「お祭りディスク」にここまでのレベルのものなんて求めてなかったし。
何で難易度がアップしてるのか、とかそういうことはともかく、素晴らしい出来の作品でした。
新キャラのレンもかわいいし、基本はシリアスでありながら、お祭りならではのはっちゃけぶりが垣間見えるシナリオやショートショートも大いに笑わせてもらったし。
妹切草や暗黒翡翠拳ってアンタ……。
月姫本編をやった人なら、ぜひ購入を健闘すべきディスクです。
「お祭り」の名にふさわしく、随所にファンサービスがてんこ盛りで飽きさせず、文句なしに楽しい。
終わってしまうことに一抹の寂しさを覚えるのも「お祭り」ならでは。

ただ、攻略にちと手間がかかるので、私がお世話になった攻略サイトをご紹介。

hossy online(管理人:ほっしーさん)

この複雑なゲーム構造が、非常に見やすく分かりやすい形でまとめられてます。オススメ。

こみっくパーティー

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
62★★

正直、「許してください」と思ったソフト。
Leaf版Piaキャロ at 同人誌。それ以外の何者でもない。
しょうもなくオチもないシナリオ、ほとんど皆無のゲーム性、お気楽なノリ、とぬるーくやるにはいいかもしれんが、Leafというメーカーからこの作品を発表したことの罪は重い
プレイ後、(虚しくて)泣き崩れました。

吸血殲鬼ヴェドゴニア

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84★★★★

吸血鬼ハンターキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
各話ごとにオープニング・エンディングが入るTVドラマ構成。なかなか面白いです。

ダークなだけでなく、永遠を生きる者の悲哀、非日常へと足を踏み入れてく恐ろしさ、なんてのがきちんと描かれてて◎。
ただ、戦闘シーンはテンポを落としてる感が否めない。
武器を選んで出撃するのはいいのだが、どれを選んでも戦い方が画一的で、あまり意味をなしてない。
むしろ、デスモドゥス(バイクの名前)燃え(ぉ

どのエンディングにも余韻があり、ハッピーエンドに頼らない叙情的なシナリオは総じてレベルが高い。
脇役も、ただ出てくるだけでは終わらない見せ場があって、一つの物語としての完成度の高さに花を添えている。
良作です。アクション&バイオレンスと聞いただけで血が奮い立つ人はぜひ。

Campus~桜の舞う中で~

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
60★★

微妙……なゲーム。
妹萌えゲー、なんだろうか。そのわりにこの妹、ウザいだけでかわいくないんだけど。
私の心の妹、唯には遠く及ばず。(←(C)同級生2です。念のため)
ヒロインによってシナリオに落差がありすぎるのが気になる。というより、見るべきシナリオは巫女さんの一つしかない。
オチがどれもありがち。智里なんて登場と共に正体バレバレです。

君が望む永遠

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84★★★

現時点(03/03/18)で、唯一コンプリートしてない心の傷的タイトル。
(私は基本的に一度取りかかった作品はコンプリートするようにしている)
世間では名作の誉れも高いというのになぜか。

主人公のヘタレぶりについていけません
サブヒロインのウザさに耐えられません

あゆとまゆ! お前らさえいなければ、この不名誉(?)からは逃れられたものを。
というわけで、コンプリートしていないゲームをあげつらうのはどうかと思っていたので、今までレビュー書いてなかったのですが。

率直に言わせてくれ。

遙と水月と茜のシナリオだけだったら、間違いなく90点クラスだった

それが、看護婦2人と電波娘1人、さらにクソ同僚が2人も入ってきてるため、ゲームとしての完成度は平均値に。
上記三人ですでにお腹一杯のヘタレぶりと鬱シナリオを味わったので、もう勘弁してつかあさい、と泣き叫びたくなります。

必要ないギャグやテンポを落としているだけのバイトシーンを全面カットし、ただひたすらにこの陰々滅々とした人間関係にスポットをあてていてくれたのなら、とんでもない破壊度を持ったゲームとして評価できただろうことが残念でなりません。

この主人公、こんなにモテるわけないと思うのですが。
慎二の方が全然いいじゃん。

ただ、遙、水月、茜のシナリオだけは並々ならぬ高い完成度を持っていて、これのためだけにやる価値はあるので、オススメは★4つ。
フジ月9連ドラに向きそうな話ではあるが。
アニメ化より実写化の方がいいと思います。

鬼哭街

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
83★★★

いっそのこと、と開き直ってしまった姿勢が潔い、ニトロプラスのストーリーノベル。

選択肢ないです

とにかく話を読め、とばかりに突きつけられた形態、ストーリーノベル。
さすがだニトロ。エロゲーなのにエロとゲームはそっちのけ!
そこに痺れる、憧れるゥゥ!!

とまあ茶化してますが、作品自体は大変高品質です。
レベルの高い音と絵が入ることによって、ドラマチックに展開するシナリオにさらなる波状効果が生まれているし、実はトンデモ設定な話なのに、意外に隙がない仕上がりになっている。
ボリュームも飽きない程度の長さで申し分ないし、このスタイルは大成功だと思う。

実際、つまらん映画を見るより数千倍は面白いかと。
こういうの実写でやられたりすると、変なSFXやCGを見せつけられてげんなりするので。

加奈~いもうと~

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
79★★★

ありそうでなかったところをピンポイントで突いてきた、ある意味究極の泣きゲー。
ただ、ネタ自体が「病気」というあざとさのため、この時点で涙腺が凍結した人が多いのも確か。
しかし、エロゲーというフィールドでありながら、真っ当にテーマを捉え、最期まできちんと描ききろうとした姿勢は賞賛に価する。
何と言ってもゲーム舞台は現実世界という設定上、(ネタバレ危険!→)奇跡なんて当然起きず、重度の病に冒された妹は死んでしまうのが良し。
(もちろん、助かるエンドもあるんだけどさ……)
音楽のレベルが高ければ、もっと涙腺を刺激できたと思うので、そこが残念。
ちなみに、このゲームの真面目で丁寧な作り込みには敬意を表しますが、その後、キャラグッズを乱発すんのはどうかと思う。

グリーングリーン

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
54

断言してもいい。これはバカゲーだ。
これ以上ないくらい脱力感を感じさせる文章、平々凡々な演出、げんなりするキャラ、本当にどうでもいい展開のシナリオ。
はっきり言って、限りなく赤点に近い

私、学園物は嫌いじゃない。だからわりと期待感を込めてプレイしたのがそもそもの間違いでした。
何でエロゲーなのに、ギャルより周囲の野郎の方がキャラ立ってるゲームをやらなきゃならんのですか。
言い換えれば、ヒロインが5人もいるのに、ただの一人も魅力的じゃない。

シナリオは陳腐そのもの。なんのひねりも驚愕の展開も待ち受けてはおらず、ぼへーっと話が進み、唐突に終わる。
そのせいで、ノリノリで学園物の設定を考えたはいいが、そこまででもう飽きちゃった、といった印象が拭えない。
製作サイドの、「学園ドタバタラブコメがやりたい!!」って強烈な意志は感じるのですが。

肝心のラブがないんだよ。ラブが。

恋愛要素皆無。徐々に心が通い合うドキドキ感も、胸が締め付けられる切なさも、ずうぇーんずぅぇーんなし。
まったくなし。これっぽっちもなし。
(ちなみにコメディって書いてますが、シナリオによってはシリアスです。笑えるまでに陳腐だけど)

どいつもこいつも本当に高校生のレベルに達してない知能や恋愛観の持ち主で、セリフ回しは寒い上に不快。
勢いだけでハイテンションを維持しようとしているので、プレイしてる側は逆にどんどん醒めざるをえない。
このゲームを一言で表すなら、「ノリ」。
ノリが合わなければ私のような評価になるだろうし、学園ギャグバカラブコメとして割り切れればそれなりに楽しめる……かもしれない。
ただし、エロゲーや恋愛的要素を期待しているなら、それははまったく用をなさないのでそのおつもりで。

雑記にも書いたが、PC98で人気のあった「晴れのち胸騒ぎ」シリーズのノリが好きなら大丈夫。
あのドタバタぶりが楽しめた人なら、何とかなると思います。
ちなみに私はアレが98エロゲーでプレイした中で最もつまらなかった作品です。はい。

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
92★★★★

一番長時間プレイした18禁ソフトであり、PC-98でプレイした最後のソフト
攻略まったくなしで、メモも取らず、達成率100%になるまでに費やした時間は70時間オーバー。
かつて一体、どこにそんな余裕があったんだろうかと、我が身を疑いたくなってしまう。(若くて学生だったから)

しかも、予備知識もなかったので、(ネタバレ危険!→)超ドクソ長い異世界編があるなんて知らず、マップを完成させた時点で「今日のうちに終わらせよう」と甘い考えを起こした結果。

深夜1時頃から始め、全てが終わった時点ですでに早朝

となっていた、という非常に苦い思い出のあるソフトだったりする。(自分が悪い)
もちろん次の日は平日で、半分意識を失いながら登校した。

まあ、そんないわく付きのソフトなのだが、裏を返せば途中で止められなかった、ということだ。

圧倒的な世界観、執念すら感じさせるほどの緻密な設定。
多少の矛盾や理屈なんて吹っ飛ばしてしまうパワーがこれにはある。
知っている人は知っているとおり、作者の剣乃ゆきひろ氏(現:菅野ひろゆき氏)のゲームには、根底にあるテーマが流れている。
今更語るべくもないが、それは「極限の愛の形」だ(と私は思っている)。

ゲームによって状況は様々に違うが、YU-NOのそれは、とても静かだ。
その静謐に満ちたエンディングを終え、タイトルの「この世の果て」の意味を理解したとき、完全に私は圧倒され、そして戦慄した。

私は激しいもの、強いものが好きだ。
音楽だって、耳に優しいスローテンポよりは攻撃的なリズムの方が好きだし、どちらかというと弱肉強食的な価値観を持っている。
だから、他人をうち倒すほどの激しい感情や価値観に触れるのも、実は嫌いじゃない。
むしろ、弱いヤツには虫酸が走るというある種ジャイアン的(いわゆるジャイアニズム)なところがある。
だからこそ、静寂が時に何よりも激しく、深く語りかけてくることに強烈なまでの衝撃を受けたのだ。

YU-NOは実はタブーの物語でもある。
ユーノ・神奈とは親子だし、神奈の母親、義母である亜由美、巫女であるセーレスとも関係する。
が、ゲーム中で、「そりゃヤバイだろ」と思ったことは全然なかった。
私に倫理観が欠如しているからだけではなく(だと思う)、そういうことは「些末な問題」にしか思わせないシナリオの力が確かにある。

作者剣乃氏のもう一つのテーマ、「タブーへの挑戦」。

私は個人的に、

「表現者がそれから生ずる責任をとるのなら、表現方法にタブーがあってはならない」

という考えなので、彼のような姿勢は特に評価したい。
実際、タブーになると途端に逃げ腰になるクリエイターが多い中で、敢然とそれに取り組み、かつ結実しているこのゲームは本当に素晴らしいと思う。
(しかし、サターン版ではどうなっていたのか全然分からん)

手放しで誉めてきたが、このゲーム、実は問題点がないわけではない。
ゲームシステムが一見複雑なのと、シナリオがあまりに長大なため、中盤一時期中だるみすること、フラグの立つ条件が一昔前のAVGにありがちなコマンド総当たりであること。
これらが、シナリオのテンポを若干落としてしまっている。

まあ、リフレクターの使い方に関しては、1,2回やってみればすぐ慣れるし、中だるみに関しては、イラつくながらも先に進みたいがために自分のスピードがアップするくらいで、特に問題はない。
時間を掛ける手間さえ惜しまなければ、決してやってみて損はないゲームだと思う。

スケールの大きい壮大な物語だけが持つ、重厚で圧倒的なカタルシス。
終えた後に、思わずため息をついてしまう感覚を味わいたい人はぜひ。

私は、ゲームでこんなに衝撃を受けたのはDQ3以来でした。
実は、あの衝撃のラストが理解できる人とそうでない人に別れるらしいが、絶対に一見の価値あり。
貴方も(貴女も)「この世の果て」を確かめてみてください。

追記……余談だが、おまけディスクの「それいけセーレス」がメモリ不足のためできなかった私。ううっ。
当時のうちのマシンは、YU-NOを入れただけでお腹いっぱいになるという超ヘボマシンだったのだ。
あのマシンも今ではすっかり現役を終え(当然だ)、2001年末の大掃除の際、とうとう部屋から撤去された。
さらにFDドライブも逝かれていたので、YU-NO(と遺作と同級生2)のコンプリートデータをよせることもできなかった。
私の70時間(プラス数十時間)を返せ。
が、そのマシンのあった場所が今ではPCゲーム置き場になっていることは内緒だ。

kanon

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
75★★★

世間の評価と私の評価がかみ合わない第2弾。

これを書いたら、世のKanon信者から刺されるかもしれないが、あえて書きます。

このゲーム、そんなに面白い?

確かに、綺麗な話、綺麗な演出、綺麗な音楽。でもそれだけなのが辛い。
みんな「泣くぞ」って言うんだけど、そうですか?
確かに私は涙腺不感症気味だけど、あの程度のシナリオで泣け、というのはちょっと無理だと思うのですが、どうよ?
見るべき所はそれなりにあるゲームなんだけど。

たとえば、情景の描写なんかはとても美しいし、相変わらず感情の機微に関しては、相当に力を入れていることが分かる。音楽のレベルも高いし、時折印象的なセリフも入ってる。
が、各ポイント平均80点なんだけど、トータルでは75点、といった感じのゲームだという印象を受けました。

第一、このシナリオ、全編18禁の意味がない
どうせなら、最初から年齢制限なしで出してくれりゃ(私の)減点対象にはならなかったものを。
「純愛」を謳うならHシーンなんて全面カットした方が説得力があるし、18禁だから、とあんなおざなりなHをさせて、シナリオの出来を損なうような真似を防げたのでは。

あと、ハッピーエンドにしすぎ。
私は物語の美しい収束のためなら、人の一人や二人殺してしまえ、というタイプなので、ここまでハッピーエンドばかり見せつけられると、かえって興ざめします。

少なくとも、栞と真琴は絶対アンハッピーの方が美しい。
より別の結末を迎えた方が、物語としてのカタルシスを感じられると思うんだけど。
安易に生き返ったりするから、「奇跡」が嘘臭く思えて感動できない。

「起きないから奇跡、って言うんですよ」じゃないのか?

このセリフの時には、思わず「ああ、いいセリフだなぁ」と感心したものだったが。
奇跡起きちゃったじゃん。
ラストで、おいちょっと待て。と思わずにはいられなかった。
生き返らせないで、でも確実に「奇跡」は起こったと思える余韻を残すシナリオにできると思うんだけどなぁ。
要するにこのゲーム、全部が「そんなに悪くない」印象なんだけど、決して「良い」ではないのがミソ。

異論はあるだろうが、良くも悪くもプレイする人の場数の違い、なんだと思う。
ストーリー性のあるゲーム、本、映画、そういったものからどれだけ経験値を得ているか、という点で、多分にこのシナリオに対する評価は違ってくる。

例えば、栞やあゆ、真琴的展開をみせるストーリーだったら、少女マンガの世界には、10年以上前から一山100円のバーゲンセール並にあります。
18禁ゲームをやる人と、少女マンガを読む人とではフィールドが違いすぎて分からないのかもしれないが、少なくとも、18禁ゲームの世界では、シナリオのレベル自体が他のメディアより遅れている、と痛感せざるをえない(目的がはっきりしてる分、閉じた世界だからね……)
そりゃ、たまには斬新な設定や世界観はあるけれど、成熟してるとはとても言い難い。
その分、今後の発展が未知数な部分もあるわけだけど。

だが、残念ながら、Kanonは舞以外のシナリオのオリジナリティが希薄で、それ故、パンチ力が格段に落ちていると思う。
今までこういうゲームをやったことがない、普通の人がやる分にはそれなりに楽しめるという点は評価できるけど、それ以外では過大評価されすぎなんじゃないのか、と私が思ってしまう所以なのです。

やるのなら、「評判になってたけど、Kanonとはどういうゲームか全然予備知識ありませーん」という方とか、「今までギャルゲーやったことないんですけど」という方にオススメ。
逆に、本も映画もゲームも大好きだぁ! 我こそはストーリー魔人なり、という方は期待値マイナス30ポイントあたりから始めた方がよろしいかと思います。

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
1094

私的18禁ゲームランキング第1位。現時点で考え得る最高傑作。
(長年守った王座だったが、2002年末にとうとう「月姫」に明け渡した)

シナリオ、キャラ造形、音楽、演出、すべてにおいて、100パーセントに最も近いゲーム。
何で100をつけないかというと、一部のシナリオが弱いのと、ここで100を付けちゃったら、この先ゲームをやる意義を見失いそうだったから。
それくらい、見事にツボにはまったゲームでした。

特にシナリオが絶妙。神懸かり的に冴えわたってると言っても、過言でない。

千鶴の、「あなたを殺します」で死んだ人は数知れず
(私も死んだよ……)

バッドエンドがかくも美しく印象的なのも特徴か。絶対ハッピーエンドよりレベルが高い。
さらに、何と言っても、日本の美を感じさせる描写とシナリオ、そして、音楽
和物に弱い私としては、それだけでもうオッケーな気もするのですが。

柏木四姉妹のエピソードは、それぞれどれも印象的ではあるんだけど、残念ながら、梓がやや弱い。
これが100点にならない第一の原因。
が、しょうがない、これは。他の3人のシナリオが立ちすぎなんだから。


  • 記のセリフ&ラストシーンで陥落率No.1の千鶴

  • 転生入ってて無口だけどひたむき、ツボ抑え率No.1の楓

  • 純粋でけなげで守ってあげたくなる率No.1の初音


この隙のまったくない布陣のどこに梓の食い込む余地が?(梓ファンの方、すいません)

だが、導入部の事件にきちんとした解決を与えなくてはシナリオとして成立しないし、あの4人の中で誰がその役を果たすか、となると、やはり梓としか考えられない。
キャラ造形的に見て、彼女が一番現実的で、非日常をあまり感じさせないキャラだからだろう。
そういう計算も兼ねて、現実をより際だたせる「料理上手」とか、「行動的」な性格を与えた、と考えるのは穿ちすぎかな?

このゲーム、べらぼうにキャラが立ちまくってはいるけれど、実はそんなにセリフが多いわけではない。
なのに、このキャラの存在感。これはひとえに演出の妙だろう。完成度高すぎ
無駄がないゲームってのは本当に優れている。

さらに、ゲームとしてのスタンスも進化している。
前作の「雫」は、そのシナリオの毒電波ぶりに、とても万人向けとは言い難かった。
それが一部の熱狂的ファンを生み出す要因にもなったわけだが。
普通ならここで、もっとどぎつく、扇情的なものが生み出されてくるか、一般受けを狙って、妙にソフトになるかのどちらかなのだろうが、「痕」は違った。

「雫」の長所で短所でもある(私は長所だと思っているが)、先鋭的な部分を丸くして、結果的にシナリオの妙を損なうような愚行はせず、さらに魅力的なシナリオを用意した上で、突出した部分を上手くカムフラージュさせ、その実切れ味は増している、という希有なゲームなのだ。

シリーズが進化する、というのは、実はなかなか大変なことなのだ、
という持論を持つ私としては、この点は大きく評価したい。

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