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CLANNAD

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
63★★

注! このゲームは全年齢対象です。ですがKey作品ということで、あえてこちらに分類しました。
さらに注! もうお分かりでしょうが、Keyファンは回れ右。絶対立ち入り禁止区域です。苦情はスルーいたします。

……パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。

「Fate/stay night」と共に、2004年の最高峰との呼び声も高い今作。
製作に3年もの歳月を費やし、満を持して発売されたわけだが、結果は冒頭の通り。
良くも悪くも、徹底的にkey作品。3年前と何一つ変わっていない。
だから、好きな人には堪えられない魅力があるが、私のように基本的にkey風味(特に前作のAIR)に否定的な者からすれば、結局ここからは変われないのか、と残念に思うしかない。
変わらぬテイスト、というのはファンにとって大事なことではあるけれど、進歩がないこととは基本的に違う。

絵はいつも通り、キャラ以外は大変良い。
これは、原画が樋上いたる氏である限りもうどうしようもないことなのだが、デッサンって何ですか? と言わんばかりのありえない人体展と化している。
おまけに老若男女、顔の中身がみな同じ。いたる氏には描き分けという概念は存在しないらしい。

ちょっと腰を曲げて皺をつければ老人。
等身を縮めれば子供。
肩幅を広くして、目を小さくすれば男、それ以外は女。
ついでに言わせてもらえば、キャラ全員、手が小さすぎ。それは人形の手ですか?

……もしもし、それで金もらってるんだよね? ある意味ふざけんなよ?
さらに、時代の趨勢には抗えなかったのか、とうとう触覚付きキャラが。

キシャァァァ! このアホ毛・触覚撲滅委員会(たった今発足)委員長の私は許しませんよ!
目立って異常な髪型(色は除く)を描かないのが、いたる氏の最後の美点だったのに。
そんなこんなでキャラ絵はいつも通り笑うしかないレベルなのだが、それにしたってボリュームの割にイベント絵がやけに少ない。
絵師が一人だから? 理由にならない。同じ一人でも、「カルタグラ」はゲームボリュームは半分以下だが、それでも差分なしで200枚(しかも全部高レベル。ついでに社長兼業)を実装している。
「key系」と言われるほど一大ジャンルを築いたブランドであるのに、その中身はシナリオにおんぶに抱っこな姿勢が未だに抜けていない。
ゲームは総合力。一つだけ飛び抜けていても、他が足を引っ張るようではお話にならない。

次に、key最大の財産である音楽。
正直、AIRほどのインパクトには欠けるが、これはさすがに文句の付けようがないレベル。
綺麗で品良く、時には物悲しく。純愛系の作品にはベストマッチする作風であり、はっきり言ってKeyにはもったいない。
それに、音楽の挿入タイミングが他メーカーのそれよりも図抜けてセンスが良い。
そういった演出面には光るものを持っているだけに、返す返すもシナリオの出来が惜しまれてならない。

ボイスはなしだが、この膨大なアホウワールドをいちいち声付きで再現されたら、演じる声優さんもかわいそうだし、間違いなく殺戮の宴の幕開けとなるので、なくて正解。むしろ、頼むから付けるな。
ご多分に漏れずOPムービーもあるが、その挿入箇所が問題。
演出の一環として、トゥルーエンドの鍵を握るキャラのシナリオ中にのみ流れるのだが、それならばそのキャラ専用のものと
通常バージョンと2種類用意してほしかった。
本来、演出としては見るべきものなのだろうが、肝心のムービーの中身が何だかそぐわないため、気分の盛り上がり方が半端で終わってしまうのだ。
何だか今作は、時間がかかったわりに、どれもこれも中途半端な感が否めない箇所が多々あるような気が。

それでは、皆様お楽しみ(?)のシナリオコーナーへと突入させていただきます。
例によって、かなりネタバレも含まれますので、よろしく。私はこの作品に対する気遣いは捨てました。
だって、バレて困るような斬新なネタなんて、何一つ盛り込まれてなかったので。

3年間のブランクの末がこれですか。
劣化した金型で作られた代物をスルーできるほど、私の目は節穴じゃないと叫びたい気分です。

メインライターである麻枝氏の落とし方というのは、AIRとその他数多の亜流作品に形骸化され尽くされ、もはや新鮮味は完全に失われていると言っていい。
なのに、それを生み出した張本人が気付いているのかいないのか、今作でもそのパターン地獄に自らずっぽりはまってしまっているおかげで、またこの手かよ、もう飽きたよと思わざるをえない。

病気禁止、子供禁止、奇跡禁止、超常現象禁止、白痴レベルのボケも禁止。

これ全部封じるだけで、すでに麻枝作品ではなくなってしまうというカラーの出方、引き出しの浅さはクリエイターとして致命的じゃないですか。
基本設定をちょっといじっただけであとは全部同じ、というシナリオ展開。ONEの頃から何一つ変わっていない。
無気力な主人公に白痴ヒロイン、退屈な日常とそこからの脱却、じわじわと侵食してくる不透明な世界。
食べ物や愛玩物でキャラの肉付けをしたり、掛け合い漫才のネタにする手法も同じ。
自分リスペクトもいい加減にしてくれ、とうんざりするしかないのですが。

はっきり言って、個別で見れば別に大した出来じゃないし、新鮮味も薄いのに、別ライターが担当したシナリオの方が数倍ましだった。
メインシナリオがつまらないって致命傷じゃないのか? エンディングへの到達を妨げようとする嫌がらせなのか?

幼稚で投げやり、優柔不断で思いこみが激しい、とヘタレ要素てんこ盛りの主人公。
取り柄の一つもないくせになぜかモテモテ、とエロゲエッセンスでこれでもかと味付け。いつものパターン。

超レベルの天然で会話にもほとんど脈絡がなく、コミュニケーション能力の欠如が著しいガイキチの各ヒロイン。
主人公の言うことは何でも鵜呑みにしてしまう、真性のキモオタにしか好かれないような造形。これもいつものパターン。
お前たちに知性という概念はないのか。
ギャーギャーとうざい狂言回しの友人は主人公に輪をかけたヘタレ、大人であるはずの周囲の人間はボケ爆弾。

急募! 普通の人間! 明日のkey作品を救うのは君だ!

メインライターの麻枝氏が最高のキチガイ率を誇っているのに対し、他の2名は比較的まとも。
ことみ、椋、杏、どれも基本的には普通の展開だったが、それでも麻枝シナリオに比べたらマシだ。

シナリオ展開以外に目を向けるなら、伊達に3年もの歳月をかけたわけではないらしく、細部まで神経の行き届いた、実にきっちりとした作り。
たった1ヶ所の差分テキストが発生したとしても、その後の共通パートでズレが生じる、ということがまったくない。
途方もないボリュームを持ち、分岐も多様で複雑な発生条件を内包しているのにも係らず、そういうミスが起こらないというのは賞賛に値する。
膨大なフラグを厳密に管理しなければならなかったであろう製作チームの苦労が思いやられ、狙いすぎで白けるお涙頂戴シナリオよりも、ずっと泣けた。
シナリオがすべればすべるほど、その他の点が素晴らしく見えてくるという摩訶不思議な現象が。
ただし、個人的には、日常の読み飛ばしても問題ないようなシーンで既読スキップが解除されてしまうので、賞賛半分、発狂半分といったところなのですが。

複雑ついでに言わせてもらうと、シナリオ重視のAVGとして非常に難しすぎる。

基本個別シナリオクリア → 裏シナリオ → 裏個別シナリオクリア → トゥルーエンド

という演出はシナリオ上、仕方がない。
だが、その個別ルートの発生条件が厳しく分かりにくすぎるのと、どう考えても全然必要ないようなキャラにまで個別ルートが用意されているせいで、このゲームを途中で投げ出した人はかなりいるはずだと断言する。

だって、ダラダラと数時間も面白くもない(むしろムカつく)日常生活が続く各個別ルート、みんなやりたいか?
そんなヒロインでもないような奴の話、外伝でもファンディスクでもないのに読みたいと思うか?

今作のテーマが基本的に、「町と人の物語」であるから、説得力を持たせるために、その町に住まう人をたくさん盛り込んだ方がいいと思ったのだろうが、盛り込まれたのはダルさだけでした。
サブルートとしか思えないようなものも補完しないと、ラストにたどり着けないというのは大きすぎるマイナス。
言っておくが、そんな各ルートが面白ければ何の問題もない。優れた演出だと評価できるだろう。
だが、面白くないんですわ。どれもこれも。

ああ、人間誰しも他人には分からないような悩みや問題を抱えてはいるだろうよ。
だが、それを全部感動のオチで片付けられると思うなよ。
人はな、結局は自分で自分を救わなきゃいけないんだよ。血反吐を吐いて、泥にまみれて生きるもんなんだよ。
倒れたら見知らぬ他人が手を差し伸べてくれる、いい人ばかりの世の中なんてねぇんだよ。
何でもかんでも知障のような主人公の空回りの努力で解決なんてできやしねぇんだよ。
奇跡なんて起こらねぇんだよ。もっと地に足の着いた、まっとうな人間像を描いてみせろやゴルァ!!!

と、プレイ中に何度叫びそうになったことか。

基本的に、物語に「痛み」がない。それを表現しようと頑張ってはいるのだろうが、薄っぺらで嘘くさい。
落として、落として、どん底に叩き落とされて、それで初めて怠惰な生き方をしてきた自分を反省できるのだろうに、そこまでいかずとも優しい誰かが必ず手を差し伸べてくれるため、どうせうまいことなるんだろ、ふーんあっそ、という気分になってしまい、何の感動もない。
おまけに、その感動させようとする手段が、これまたいつも通りの人の生死が関わるパターンが多すぎるため、もう本当にお腹一杯状態。
最終ルートで、自分の子供が死にそうになってるのに、それを抱えて雪の中に走り出して叫ぶ主人公ってバカ?
今、その子供に必要なのは救急車だ。お前の叫びや願いじゃねぇ。
そういう、絵にはなるだろうが現実離れした行動が多すぎて、気分が萎えっ放し。ライターは夢の中で生きてますか?

第一この最終ルート、社会人として歩み出した主人公と某ヒロインの話なのだが、この話がもう薄っペラペラ。
働きだしてたった二ヶ月かそこらで、いきなり現場監督として引き抜かれるに値するような仕事ができる人間になれるわけがない。
普通はまだ研修中のようなガキだぞ。しかも、高校時代を腑抜けで過ごした主人公だぞ。
それをいきなり、「以前とは目が変わった」だの、「お前は計数にも強い」だの、主人公、裏技でも使っていきなりクラスチェンジしましたか。それともこの職場はめくらの集団ですか?
それまでバイトもしたことのないような人間が、たった一日二日で仕事に慣れるか。んなわけねぇだろ。
あまり社会を舐めるなよ。全年齢対象だからって、ふざけたことばかり書いてると、お姉さんおしおきしちゃうよ?

あまりのパターン臭に嫌気が差し、半分眠りながらプレイしていると、とうとう病弱なヒロインと自分との間に子供が。
あーなんかこれはヒロイン死ぬくさいな。子供生んで自分は息絶えるってパターンだな、きっと。

ビンゴ。このシナリオ、ワンダフルバカ?

あー、とうとう子供持っちまったよ。ん? 子持ちで片親? ってことはここから先、それがきっかけで親父とも和解するっぽいな。

またビンゴ。このシナリオ、グレイトフルバカ?

今は元気だけど、子供はきっと母親と同じ病を抱えてるに違いないよ。で、ラストでいつもの奇跡が大安売りで発生して全部解決するんだ、きっと。

またまたビンゴ。このシナリオ、マーベラスバカ?

ありえないでしょ、こんな今どき韓流ドラマも裸足で逃げ出すようなベッタベタの展開。
ゲームシナリオ募集とかの告知に応募したら、真っ先に落選させられそうな勢いの話だよ?
私は最初ふざけてるのかと思った。大マジで作ったのか、これは。3年間、本当にがむしゃらに作った作品なのか?
何でこれで泣けるの、みんな。目を覚ましてよ、頼むよマジで。それともおかしいのは私なの? ここは猿の惑星なの?

Keyがこれを作った、ということよりも、これを受けれ入れる土壌があることの方が私には信じられない。

面白くないゲームはたくさんあれど、腹が立つゲームを作らせたら、マジでKeyは天才的だと思います。
泣く? どうやって? 血の涙を流してか?

普通の感性を持った、普通の人間を自負してる人は間違ってもやってはいけません。ふざけすぎていて死にます。
ちょっとでも「俺、オタクだし反応できそう……?」と不安があるならやってみれ。ただし、責任は持ちません。
空が青くてもポストが赤くても泣ける、という人はぜひおやり下さい。体中の水分が流れ出すぐらい泣けるでしょう。

私? 泣けたよ。マジで。あくび噛み殺してな。

AIR

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
65★★★

「Kanon」で大ブレイクした、Key作品第二弾。が、このメーカー、相変わらず★三つしかつかないなー。
これは完全に私の嗜好のせいもあるのだが。

私は基本的に感動物が嫌いなのだが、それを除いたってこのゲーム、泣きに特化しすぎ。
泣けるシナリオを重視するあまり、文章やテンポ、18禁であるための必然性を犠牲にしているのに気付いてないのか、わざとなのか。
はっきり言ってこのメーカー、これ以上18禁で作品作らない方が得策。

さて、肝心のゲームの方は……ぶっちゃけて言うと、ヤバイ。
シナリオの出来にあまりにも差がありすぎる。
ヒロインが3人しかいないのに、各人が全然平均、拮抗していない。

メインテーマの「AIR」を浮かび上がらせるのに一人は確実に必要。が、後の二人はおまけですか?
以下、今回のシナリオに対するプレイ直後の率直な評価。冷静になれば少しは変わるかも知れないが。

観鈴:60点、佳乃:55点、美凪:30点、過去編(SUMMER):75点、AIR:50点。
総合評価:60点。
厳密に計算すると54点になるのだが、プラス6点は音楽点。

とにかく、音楽は本当に素晴らしい。すげえぜ折戸信治! さすがだ! アンタ天才や!!
各場面場面にこれ以上ないくらいマッチした美しい楽曲。印象的なメロディーライン。

音楽だけになら、90点つけてもいい。

相変わらず、オープニングなんかは本当に出来が良く、かなりの期待を高めてしまう(そしてその後玉砕する)のだが、そのテンションが持続しないのだ。
「田舎」という舞台設定のせいもあるが、とにかく冗漫。だら~っと話が進む。いや、進まない。
中盤の半ば(変な日本語。でもそういう状況)まで、まったく動きのない展開。

だるい、うざい、面倒くさい、の三拍子が見事に揃う

めくるめく展開の好きなスピード狂の私としては、はっきり言って拷問以外の何者でもなかった。

あと、「Kanon」の時にも少し気になってたのだが、キャラかぶってないか? 全員同じ路線だぞ?
つーか、こういうボケ系のキャラしかヒロインとしての存在は許されませんか?
何か、今回は無理矢理キャラ造形をした、って感じがして、ある意味痛々しい。

それにしても、ド素人の勝手な評価とは言え、最高点と最低点のシナリオの差が40点以上ある、ってのはどうかと思う。
外見上、一番私の好みかと思われた美凪のシナリオが、なぜ異常に点が低いかと言うと、考えるまでもない。

キーパーソンがクソガキだからだ。(何度も言うが、私は大変な子供嫌いだ)
そして、シナリオの展開自体が陳腐だからだ。

特に、ハッピーエンドに至る展開。
今どき、あんな使い古されたネタで、しかも小道具のシャボン玉のシーンなんて、毎度殺意を抱くほどうざいくらいに繰り広げておいて(私はここを早送りした)、「それ泣け、今泣け、すぐ泣け」という姿勢が見え見え。
(母親と一緒にメシ食うシーンとかね)
で、最後に「君の妹は空で僕たちを見守ってるよ。だから二人で頑張ろう」なんて腐ったオチだろ、これ。
今どき幼稚園児だって泣かんわ。ユーザーなめんなよ。

天が許しても私が許さん

他は、というと観鈴シナリオは消化不良気味(これには理由があるのだが)だし、佳乃はどうでもいい。
美凪は上記の理由で最低。
つまり、現代編はどれも駄作。
「Kanon」否定派の私でさえ、あれは良作だったんだね、と思わざるをえない。

が、完全におまけだと思っていた「過去編」に一筋の光明はあった。
すべての発端となった、翼人と人との物語。これこれ、こういうのが見たかったのよ。
相変わらず意外性は薄いが、少数に絞ったキャラ設定で、適度に長く、展開も早く、設定もそれなりにおいしく(八百比丘尼だからね)、演出も心得ている。

何でここまでできるのが、あんなお粗末な現代編を作っちゃうんだろう?

という疑問はさておき、このシナリオはとても良かった。
すべての因縁を始めるにふさわしい、悲しく、はかなく、美しい物語。
が、思うにこのメーカー、こういう「大風呂敷広げる系」の壮大な話の組み立てが下手だ。
収束させるまでの展開が、あまりにも長すぎて無駄が多いのだ。
逆に、人の業、精神描写、に関する演出は卓越している。
「呪い」の設定なんて本当に秀逸。それに、現代編の謎が解き明かされる瞬間の快感なんてのは、結構計算されてると思うのだが。
そして、わずかな希望と、次編に余韻を残すラスト。
おお、良い話じゃん!!(過去編だけなら)
が……ここで一瞬でも気分を良くした私は甘かった。「AIR」の悲劇はこれに留まらなかったのだ。

その名もズバリ「AIR」編。頼むから、叫ばせてください。

これを書きたいがためのシナリオだったら、もっと練ってこんかい!!

長い。長すぎる。無駄に長い。面白くない。
とにかく、(ネタバレ危険!→)観鈴が死ぬまでの経過が長すぎる。とっとと逝ってくれ。いや、マジで。
じゃないと、感動できるもんもできない。
家族の絆なんて描いている場合じゃなかろう。1000年前の呪いから解き放たれる、という一番大きい命題があるじゃん。
(だから「the 1000th summer」なんだろう?)

テーマを一つに絞るべきだ。複数やろうとするからややこしくなるし、長くなる。
ただ、このラストシーンはとても好きだ。見る人によっては、バッドともハッピーともつかぬエンディング。
このラスト、私の解釈では、(ネタバレ危険!→)神奈の呪いは解け、柳也と共に転生し、違う時間軸の観鈴と往人に遭遇してることになってるのだが。
(全然違ってたらどうしよう……)

そして、そのとき呟く(ネタバレ危険!→)「僕らには、始まりを」「彼らには、過酷な日々を」このセリフを表示させたセンス、というのは抜きんでており、それはものすごい破壊力を持っている思う。

やりようによっては傑作になりうる可能性を多大に秘めていただけに、あまりにも残念すぎるゲームだ。
まあ、世間の評価はおおむね良好なようなので、これ以上は何も言うまい。
プレイしたばっか、ということで、レビューも無駄に長くなってしまったし。

kanon

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
75★★★

世間の評価と私の評価がかみ合わない第2弾。

これを書いたら、世のKanon信者から刺されるかもしれないが、あえて書きます。

このゲーム、そんなに面白い?

確かに、綺麗な話、綺麗な演出、綺麗な音楽。でもそれだけなのが辛い。
みんな「泣くぞ」って言うんだけど、そうですか?
確かに私は涙腺不感症気味だけど、あの程度のシナリオで泣け、というのはちょっと無理だと思うのですが、どうよ?
見るべき所はそれなりにあるゲームなんだけど。

たとえば、情景の描写なんかはとても美しいし、相変わらず感情の機微に関しては、相当に力を入れていることが分かる。音楽のレベルも高いし、時折印象的なセリフも入ってる。
が、各ポイント平均80点なんだけど、トータルでは75点、といった感じのゲームだという印象を受けました。

第一、このシナリオ、全編18禁の意味がない
どうせなら、最初から年齢制限なしで出してくれりゃ(私の)減点対象にはならなかったものを。
「純愛」を謳うならHシーンなんて全面カットした方が説得力があるし、18禁だから、とあんなおざなりなHをさせて、シナリオの出来を損なうような真似を防げたのでは。

あと、ハッピーエンドにしすぎ。
私は物語の美しい収束のためなら、人の一人や二人殺してしまえ、というタイプなので、ここまでハッピーエンドばかり見せつけられると、かえって興ざめします。

少なくとも、栞と真琴は絶対アンハッピーの方が美しい。
より別の結末を迎えた方が、物語としてのカタルシスを感じられると思うんだけど。
安易に生き返ったりするから、「奇跡」が嘘臭く思えて感動できない。

「起きないから奇跡、って言うんですよ」じゃないのか?

このセリフの時には、思わず「ああ、いいセリフだなぁ」と感心したものだったが。
奇跡起きちゃったじゃん。
ラストで、おいちょっと待て。と思わずにはいられなかった。
生き返らせないで、でも確実に「奇跡」は起こったと思える余韻を残すシナリオにできると思うんだけどなぁ。
要するにこのゲーム、全部が「そんなに悪くない」印象なんだけど、決して「良い」ではないのがミソ。

異論はあるだろうが、良くも悪くもプレイする人の場数の違い、なんだと思う。
ストーリー性のあるゲーム、本、映画、そういったものからどれだけ経験値を得ているか、という点で、多分にこのシナリオに対する評価は違ってくる。

例えば、栞やあゆ、真琴的展開をみせるストーリーだったら、少女マンガの世界には、10年以上前から一山100円のバーゲンセール並にあります。
18禁ゲームをやる人と、少女マンガを読む人とではフィールドが違いすぎて分からないのかもしれないが、少なくとも、18禁ゲームの世界では、シナリオのレベル自体が他のメディアより遅れている、と痛感せざるをえない(目的がはっきりしてる分、閉じた世界だからね……)
そりゃ、たまには斬新な設定や世界観はあるけれど、成熟してるとはとても言い難い。
その分、今後の発展が未知数な部分もあるわけだけど。

だが、残念ながら、Kanonは舞以外のシナリオのオリジナリティが希薄で、それ故、パンチ力が格段に落ちていると思う。
今までこういうゲームをやったことがない、普通の人がやる分にはそれなりに楽しめるという点は評価できるけど、それ以外では過大評価されすぎなんじゃないのか、と私が思ってしまう所以なのです。

やるのなら、「評判になってたけど、Kanonとはどういうゲームか全然予備知識ありませーん」という方とか、「今までギャルゲーやったことないんですけど」という方にオススメ。
逆に、本も映画もゲームも大好きだぁ! 我こそはストーリー魔人なり、という方は期待値マイナス30ポイントあたりから始めた方がよろしいかと思います。

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