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天使のいない12月

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
63★★

Leaf東京開発室を過信したのが私の間違いだった。
もっと率直に言えば、所詮、「こみっくパーティー」のライターだった、ということだ。

とにかく、こんなにやる気が削がれたゲームは久しぶりだ。
何一つ盛り上がるところがなく、すべてが何となく進み、何となく終わる。
が、かといって「静かなゲーム」というわけでもない。それなら深みがあるだろうし、余韻もあるだろう。
まず、全体的にどんより感が漂っていて、結論をプレイヤーに丸投げしていることも相まって、最後まですっきりしない。
一本終えた後、「へんじがない。ただのしかばねのようだ」(C)ドラクエ
になりかねないくらいの倦怠感が襲ってくる。

例えば鬱ゲーならどん底に落ち込む衝撃を。
感動・泣きゲーなら心震える展開を。

そういった、最後に何かを得られるカタルシスに乏しく、「何でこんなゲームプレイしちゃったんだろう」とあまりにも虚しすぎる自己否定の感情すら覚える。
それこそがこのシナリオの主人公と同等のメンタルなわけだが。

人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送っている
(ゲーム煽り文より)

というのが主人公なわけだが、その造形からして何だかピンとこない。
私自身、無意味なポジティブは大嫌いだし、熱血やそういう鬱陶しい感情も御免被るけど、だからといっていきなり超ネガティブに走るような単細胞さは持ち合わせていない。
が、この主人公、高校生にしてすでに生きるも死ぬも面倒くさいと言っているほどの荒廃ぶり。
もしもし、君いったい過去に何があったのですか?

確かにバカだ単純だと言われて久しいけれど、それでも今どき(死語)の高校生が、こんなにも愚かで現実を見つめられないアホ野郎だとは到底思えない。
敢えて言うなら、そういう感覚から遠ざかったいい歳した大人が、世間的な情報だけで「今の若者ってこんな感じ?」と憶測でキャラを造っちゃったような雰囲気。
等身大であろうとして、かえってリアリティに欠ける。

そして、肝心のヒロイン達も、はっきり言って誰一人として魅力的じゃない。
むしろ、未だかつてこれほどまでに電波漂うヒロイン群に遭遇したことがありません、私。
絵は本当に綺麗でかわいく魅力的なのに、このシナリオのせいで、全員がもうどうでもいいキャラに成り下がっている。
そんなヒロイン群に、「本当は優しい子」だの「誠実な人」だの言われてもうれしくないよ俺。つーか迷惑。
と思うのがまっとうな人間だと思うのに、それに対していちいち揺らいでしまう結局冷めきれない主人公。
ひとたび各ヒロインと肉体関係を持ってからは右往左往すること甚だしく、心境の変化が性急すぎる。
その揺らぎっぷりが高校生らしい、といえばそうなのかもしれないけど。

だが、体のつながりだけがすべてだと考え、どこまでも恋愛感情を否定しようと理詰めで考えてしまう主人公。
その行動こそ、お前がすでに恋愛に陥ってる証拠なんだよ、と18歳以上のプレイヤーとしては、徒労感と共にやれやれとため息をつきたくなる。
ガキの独り相撲ほど、大人にとって見苦しいものはない。

そうして、修羅場もなくピンチもない、どうでもいいエピソードを積み重ねた挙げ句、はっきりした結論を提示せず、何だかもやの掛かったような、ぼやけたラストが到来する。
結局は別段鬱になるような展開が待ってるでもなく、開き直って快楽を求めきることもなく、かすかな希望の片鱗さえ見せつけるという、逆説的な人間賛歌で終わってしまうのだけれども。

言いたいことは分からなくもないが、全体的に力量不足。
黙って「こみっくパーティー」みたいなおポンチシナリオ書いてりゃよかったものを、柄にもなくこんな難しいテーマに取り組むものだから、失敗なんてレベルじゃ語れないくらいに消化不良気味。
せっかくのハイレベルなCGや質の高いBGMが、まったく力を発揮できずにぽつねんと取り残されている。
Leafのような大手ゲームメーカーから発売された作品でなければ、誰一人見向きもしないはずだ。
テーマは悪くないので、やる人を選ぶ作品であることは認める。ただ、方向性が間違っているだけだ。

私には大いなる地雷作だった。
確固たる自我をお持ちの方・ポジティブ思考の方にはお勧めできません。
ストーリーはどうでもいい上に、イライラするだけで何一つ得るものがないので。
逆に原画家のファンの方には良い作品かも。
最近のLeafには珍しく、結構頑張ってエロ絵描いてますんで。

Routes

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
80★★★

高橋&水無月コンビ(To heartの立役者)の抜けたLeafなど枯葉」と揶揄され、「誰彼」で本当にたそがれてしまったもう後のないメーカー、Leaf大阪開発室の新作。
とうとう伝家の宝刀「リーフビジュアルノベルシリーズ」を持ち出し、どうなることかと、私を含めた9割以上のユーザーに危惧されていたわけですが。

背水の陣、成功しましたね( ̄ー ̄)ニヤリ

さすがに往時の勢いはないものの、これを地雷呼ばわりするのであれば、ほとんどすべての作品が地雷扱いになるかと。
実にそつなく、手堅くまとめてあります。ツッコミどころもかなり多いけどな。

何はともあれ、一番ツッコミたいのは文章が下手なこと。

助詞がかなり抜けてます。主人公、日本人だよね? と作中、首を傾げることしきり。
「てにをは」をきちんとした、崩れのない日本語を!
過剰な装飾や滑りすぎのギャグ、おまけに変に表現に凝らなくていい。
「二人は無駄口を畳んだ」とか「俺に怖気をふるった」とか書かなくていい。
「飛ぶ鳥落とす篁エネルギー」じゃなく、ちゃんと「飛ぶ鳥を落とす勢いの~」って書いて。お願い。
改行もおかしく、改ページも多すぎ。これじゃ、ノベルじゃなくて普通のAVGです。

文がメインなんだから、読みやすく、クセのない素直な文章が一番。
モノは「ビジュアルノベル」なんですぜ、ダンナ方(←今回、シナリオライターが二人なので複数形)。
これで文章下手くそだったら、ほとんどすべてが台無しでしょう。

シナリオ展開自体は悪くなかったので、これがとても残念。
ノリやテンポを重視しているのだろうが、たぶん「筆が滑ってる」状態なんじゃないかと。
とてもじゃないが、じっくり腰を据えて書かれた文章とは思えない。
ちなみにこの「バカップル」や「掛け合い漫才」度数は私の忍耐限度ギリギリ。
これ以上だったらレッドアラート点滅でした。

ただ、これぐらい筆が滑ってないと今作のテーマである、

真っ正面からの人間賛歌

は書き上げられなかっただろうなぁ、というのもまた然り。
よくもまぁ、エロゲーでここまでこっ恥ずかしいテーマを据えたもんだと感心しながら(注:誉めてます)プレイしてましたが、今のLeafには、やってる方が苦笑してしまうこの青臭さがふさわしいと思う。

序盤は「スプリガン+エイリアンシリーズ(C)菊地秀行」なノリで、これを基軸に一本大きい事件を解決して終わるのかな……と思いきや。
いきなりYU-NOモード発動。その突拍子のなさに唖然。
でも、最後の最後までプレイして分かりました。貴方たちが何を言いたかったのか、了解しました。
「これが、俺たちのルーツさ」
という、とてつもなくこっ恥ずかしさ度MAX限度オーバーなセリフと共に。

80年代のゲーム作りの姿勢に戻る、と見なしてよろしいでしょうか。
イベントのたびに必死こいてフロッピーディスクを入れ替え、それを苦とも思わなかったあの時代に。
FM音源の中に、珠玉の音楽性を感じ取っていたあの頃に。
16色ですら、神業とも言えるCGを見せつけてくれたあの頃に。
表現の限界なんて、全然感じることのなかった、あの頃に。

PC98からの筋金入りのエロゲーマー(恥ずかしいな、おい)としては、心に響くノスタルジックな作品でした。
往年のLeafファンとして、その心意気、しかと受け取りました。

それはそうとして。

あのー、作品中、バレバレの伏線多すぎじゃない?

  • 主人公の名前が那須宗一

  • 序盤で日本史や「源氏と平氏」の話が出る

  • 草薙の剣!?

  • 悪役がご丁寧にも「那須宗一」とか含みたっぷりに発言(もちろん、有名な「那須与一」を彷彿とさせてる)
  • とすれば、椎葉物語キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

    と、数学の証明問題のごとく、明快きわまりない展開を読めてしまうのがちと気になりましてな。
    それでも、後半まではずっと現代物の様相を呈してるので、「気のせいかなぁ」と思ってたら案の定。
    いきなり「平景清」かい。

    今度は「源平討魔伝」キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

    ああもう、何で私のツボを突きやがりますか。
    「ありがたやー」ですか。「おまえのちからはそんなものか」ですか。「ころしてしんぜよう」ですか。
    レトロゲーマーはどうしてこんなところばかりにツッコミ入れてますか。
    (この辺は、分かる人だけ分かってね)

    ま、それはおいといて。

    とにかくこのシナリオ、「今できるものを全部突っ込んじまえ!!」ってヤケクソとも思える開き直りっぷりがいっそのこと小気味いいです。
    いいんじゃないかなぁ。無茶苦茶でもトンデモ設定でも。勢いあるし。伏線は全部回収してるし。これがコケたらマジで後がないわけだし。
    私はわりと楽しめました。どうオチつけるのかな? と興味津々だったし。

    そして腐ってもLeaf、音楽と絵は相変わらず最高レベル
    特に今回は音屋さんたちがいい仕事してます。
    私はボーカル曲があんまり好きではないが、今回の「あなたを想いたい」はかなり気に入ったし、過去の名作群を彷彿とさせるBGMもすべて高レベルで、特にRoots編は素晴らしい。
    このBGMに合わせて、桜の花びらが舞う中、ゆっくりと背景がスクロールしていく演出は、ゲームプレイ中久しぶりに鳥肌立ちました。

    全体的に非常に良くまとまっていて、安心して遊べる&勧められるレベルの力作だとおもいます。

    だがね。このゲームの真価は、おまけシナリオにあるのだよ。
    この、Leafの暗部を自爆ギャグとして無理矢理昇華させようとしてる内輪ウケスレスレのシナリオ。

    もう大好き。

    というより、対象者狭っ!!
    これ、Leafのスタッフや、背景に起こった事件を知ってる人じゃないと、ほとんど面白くないと思う。
    つまり、「重度のLeafファンに向けてのメッセージ」だったわけで。
    「色々ゴタゴタあったけど、今度はちゃんとやるから許して」
    って解釈してよろしいでしょうか。
    私としては、今回の「Routes」と「うたわれるもの」でだいぶ持ち直した感があるので、次回作まで様子見かな、って気もしますが。
    少なくとも、今作では大阪開発室の面目躍如、ってところではあると思います。

    ただ、伝家の宝刀を抜いたにしては、若干攻撃力が弱かった感は否めないけどね。
    「電波届いた?」や「あなたを殺します」クラスの一撃必殺技をかつて味わったことのある身としては、今回の「数撃ちゃ当たる」的シナリオは、今回限りの裏技、ってことで及第点とします。

    WHITE ALBUM

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    82★★★

    浮気ゲー。
    二大ヒロインの壮絶な女の戦いを、「やれやれGOGO!」と思ってプレイしていたのは私だけではないはず。
    (でも私のイチオシはマネージャー)
    修羅場ゲーにも関わらず、どのエンディングもさらっと、切なくはあるものの後味良くまとめている点は感心。
    BGMや挿入歌のレベルが高く、しかもシナリオに巧く絡ませていることもあって、演出力を高めている。
    理奈の歌ったら、しばらく頭から離れませんよ……。
    冬の季節感が出ていて、素直にいいゲームだなぁと思えます。

    がしかし。
    システム最悪。バグ多すぎ。パッチは確実に当てましょう。

    正直、AVGにするより、今まで通りビジュアルノベル形式を取ったほうが良かったと思う。
    その方が、きっとこのシナリオが生きたはずだ。
    ただ、複数のヒロインの間で揺れているわりには「毒気」が薄いストーリーなので、パンチ力は弱い。
    この点、「君望」はね……ふ、ふふふ。

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