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MinDeaD BlooD~支配者の為の狂死曲~ DVD Special Edition

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
85★★★

今までプレイしてなくてすみませんでした。猛省。
何で発売当時にチェックしてなかったんだ。バカバカバカ。私のバカ。死んじゃえ!(無理言うな)
というわけで、「お前のようなド腐れ頭のプレイヤーにはピッタリだからやっておけ」……と言われたわけではないが、複数の方からお勧めをいただいた本作。
自分よりも他人の方が、私の趣味を理解してるってどうなのよ。
ボリューム・内容ともに高レベルのバランスでまとまっており、過激なエログロ描写に耐性がある人になら安心してお勧めできる力作。
実は正直、ここまで真っ当なシナリオを盛り込んだ作品だと思ってませんでした。どうせエロメインの、取って付けたようなシナリオなんだろうと高をくくってました。
くくらなきゃいけなかったのは私の首だ。

絵はかなりのボリューム。特に差分はハンパでなく多い
一つのシチュエーションに対し差分が10枚以上あることもザラ。最高40枚。しかも拷問シーン。ありえない。
エロCGに関しては頑張りすぎるくらいに頑張っている。
塗りも丁寧に仕上げられているし、キャラの描き分けもしっかりしていて安心して楽しめる。
ただ、立ち絵に関しては、所々CGと差があったのが残念。
最初に「エログロ描写」と書いたが、本作のグロ描写はハンパでない。質量共にやばい。
全CG中、6割がエロCGだとすれば、その中の4割はグロを伴うものだ。
多少の流血・触手程度ならともかく、限界まで精液を飲まされた挙げ句の吐瀉物や糞尿なんかも平気で描かれているし、硫酸浣腸だの人体破壊だの、ナイフをブッ刺してそこへ挿入、当然内臓はみ出しといった、過激というよりは酸鼻を極めるものまで。
この手の描写に弱い人なら2,30回は余裕で気絶できるのでくれぐれもご注意。
反対に、この手の過激かつアブノーマルなエロが好きな人にはたまらないだろうというくらいの膨大なシチュエーション。
当然、純愛(?)的ルートにもこの手のシーンは登場するので、本作をクリアするのに避けては通れない道。

音楽は重厚で物々しく、特筆するほどのレベルではないが雰囲気はまずまず。
単調な音楽に比べてSEの奮いっぷりは素晴らしい。牙やナイフを突き立てる音、銃撃の音、頭の潰れる音、拷問時の効果音等、主に「そっちはあまりリアルに頑張らなくてもいい」と言われる方面が充実している。
また、主題歌の出来が大変良く、作品世界を大いに盛り上げるのに一役買っている。
正直、電気式華憐音楽集団は歌唱力がアレなのでそこは少々気になるのだが、ちょっとつたない感じの歌い方と雰囲気、ハードなナンバーがやけにハマっていて、この作品にはこの曲じゃないとダメだと思わせるベストマッチぶり。

私がプレイしたのはDVD版のため、CD版をプレイしたファンの願いだったフルボイスが実装。
フルボイスの名に恥じず、名もない通行人やザコキャラにもきちんと声が付いている。
キャスティングも総じてミスはなく、特に男性陣は安定していた。
ただ、キャラによって音声ボリュームに差があったように思う。もう少し平準化してくれるとありがたかったのだが。
それにしても、今まで色々な作品をプレイしてきたが、こんなに悲鳴だの哀願の声が多いものはなかったよ。

演出はかなり派手め。
元が2004年の作品であるので実は大して期待していなかったが、ここまでバリバリに動くとは思っていなかった。
また、その動かし方・エフェクトのかけ方も巧みで、戦闘の臨場感や印象的なシーンの盛り上げに大いに貢献している。
カメラアングルもセンス良く、また、くどいほどの演出でもなく、絶妙のさじ加減と言ったところ。
しかし、拡大縮小で動きを付ける場合はできれば専用のCGに差し替えてほしかった。贅沢な要求ではあるのだが。
どうしても元の絵を拡大したものでは、ラインのギザギザが気になってしまう。

ゲームシステムは最近はあまり見なくなったマップ移動方式のAVGだが、あまりにも難しすぎる
作中、ヒントやTIPSがまったくと言っていいほど提示されず、おまけにルート判定条件がものすごく厳しい。
それが本作最大の問題点であると思う。つまり、ルートフラグを立てることに失敗すると、各マップで起こるイベントだけに終始せざるをえなくなる。シナリオの連続性がなくなってしまうのだ。
結果、攻略の難しさも相まって、いつまで経っても単発エピソードを集めるだけの単調なゲームになりかねない。
一周目、ご多分に漏れずデッドエンドを迎えた私は、おとなしくヘタレのチキンに成り下がることに。
涙目でDVD版の特典に付いてきた完全攻略ガイドを見てみたら。
できるかボケェェェ!
と叫んだことは言うまでもない。
フラグを一つ一つ潰すことに快感を覚える攻略マニアならいざ知らず、普通のプレイヤーにはハードルが高すぎる。
プレイには攻略チャート必須であると断言する。見ないでプレイは軽く無謀。マゾのすることだ。

ところで、ルートクリア後にゲーム内容とは全く関係のないミニゲームが2本楽しめる。
なかなか面白く、こちらは手応えもちょうどよいので攻略に疲れたらお試しあれ。

システムは基本的な機能を備えていて過不足なしだが、ホイールでメッセージを送れればもっとよかった。
ログの読み返しはホイール対応しているので、メッセージ送りも当然、と思っていたらできなかったのが残念。
スキップももっと高速だとよかったのだが、最悪の場合F5で次の選択肢までカッ飛ぶ(未読既読構わず。サポート対象外)のでギリギリ許容範囲内か。
シーンの他にOP・EDの回想モードがあるのはかなりうれしい。

メインとなるシナリオは3本。
吸血鬼としての生き方を模索する「Vampire Hunter」、吸血鬼となるまでの過去を思い出し、それを踏まえた上での選択をする「過去への贖罪」、過去も現在の業も背負って踏み出す「未来への旅立ち」。
一つエンドを終えれば次のルートがオープンになるのだが、そのたびにオープニングが変わったりタイトル画面が変わったりと非常に凝っている。
吸血鬼としての体と人間としての心を持つゆえの苦悩や、敵対する立場にありながら惹かれ合う焦燥感・もどかしさが丁寧に、じっくりと描かれている点も好印象。
かと思うと、要所要所で戦闘などの動きのあるシーンが入り、途中で飽きさせるということがない。
そこから導き出されるEDはどれも王道・予定調和と言える展開ではあるのだが、それゆえの抜群の安定感がある。
特に、「過去への贖罪」「未来への旅立ち」はラストの扱いが非常に巧みで、決して諸手をあげてのハッピーエンドではないそれらが、単に面白いだけではない深い余韻を味わわせてくれる。
物語の骨子とテキストが実にしっかりとしていて、頭の悪いギャグに走ったり、日和見的なあれもこれも詰め込み型のシナリオでない、書きたいことをきちんと見極めた実直な仕事ぶりは賞賛に値する。

各ルート以外のエピソードもかなり高レベルで仕上げられており、特に田上と東の扱いについては、18禁であるからこそできるはっちゃけた作り。
相当にエログロと狂気の描写が強く、「吸血鬼」という存在に対しての恐怖心や嫌悪感を大いに煽り、サイドからメインルートを盛り上げることに成功している。
本作はどのシナリオもだが、展開上、エロを避けて通れないものとしてきちんと包含しているのが素晴らしい。
年齢制限なくしてこのシナリオはありえない。

ただ、惜しむらくはエピソードにあと一押しが足りないこと。あまりにも語られなさすぎるのだ。
シン然り、マスターの正体とその娘の行方然り。
本来ならメインルートができそうな麻由と麻奈ですら、いまいち影が薄い。
麻奈なんて相当怪物性の強い側面がある。それをもっともっと見てみたい。
それに、どうせ吸血鬼となったのなら自分が支配者として君臨してみたい。
そういった、おそらく多数のプレイヤーが望むであろう点がことごとく抜け落ちてしまっていて、良作にあと一歩手が届かない歯がゆさがある。
メインルートの出来は問題ないのだが、全体的には力作というレベルで落ち着いてしまう。
上に挙げた点は多くがファンディスクで補完されているのだが、どうせDVD版を出すのなら、これらを本編へと盛り込んだリニューアル版としてくれればよかったと思う。
(CD版ユーザーには迷惑だろうが)

エロもグロも物語性も盛り込み、エンターテインメントとしての面目は充分。
ただ、どうしてもこのグロと難易度がある限り、メジャー路線に躍り出ることはないかと思う。
でもそれでいい。年齢制限を課された作品とはかくあるべき
私はこの作風を大いに気に入った。以降、メーカー買い決定。
吸血鬼ネタが好きで、陰惨な狂気・エログロに耐性のある方。ぜひプレイすることをお勧めします。
そして鼻血が出るほどの難易度に涙するといいのだわ。

マブラヴ オルタネイティブ

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
1086★★★★

※注! この作品は、「マブラヴ」の続編です。単品でも遊べますが、内容理解のために、事前プレイを強く推奨。
なお、作品の性質上、「マブラヴ」のネタバレが含まれます。文中での「前作」は、すべて「マブラヴ」を指します。

発売日当日の分割商法発表、「続編ではない」と開き直った公式コメント、挙句の果てに3年、複数回に渡る発売延期。
「人類を無礼るな(なめるな)」というキャッチコピーに対し、「ユーザーをなめるな」とツッコまれるのも無理はない、ネガティブなイメージが先行してしまった本作ですが。

なるほど、と思った。これを作っていたのなら、前作から3年の制作期間を要したのも頷ける。
はっきり言って、その辺の有象無象を作っているメーカーなど、裸足で逃げ出すクオリティだ。
実は私も、プレイ前までは前作が「未完」という、作品として評価以前のレベルだったこと、そもそも全然面白くなかったことも相まって、今作は間違いなく地雷だと思っていた。
素直に撤回しよう。多少の好悪の差といくつかの問題点はあれど、これはある意味、業界で最高レベルの作品だ。
一度プレイしてみても損はない。

今作をプレイすると、前作は本当にプロローグでしかなかったことが分かる。
だからこそ、前作から3年もの歳月が流れてしまったことが悔やまれるのだが。そんなに前にばらまかれた伏線、よっぽどやり込んだユーザー以外、いちいち覚えてるわけがない。
2本同時発売、もしくは、シナリオをもっとシェイプして1本にまとめあげてくれてさえいれば、途方もない破壊力を振るったであろうことが、返す返すも惜しまれてならない。

絵は総じて合格点。この奇異なキャラクターデザインが受け入れられるかどうかによって、だいぶ印象は変わってくるが、CGの出来自体は悪くない。髪の毛痛そうだけどね。尖りすぎだ。
枚数も作品の尺に対してちょうどよい割合だし、とにかくよく動く演出によって、大幅な底上げが図られているため、「見せる」という点に関しての満足度はかなり高い。
ただ、一部ユーザーを恐慌に陥れたグロ画像は確かに存在するので、気になる人は対策パッチを使用する手も。
だが、理由はシナリオのパートで後述するが、これを正面きって受け入れられない人は、この作品自体が受け入れられない可能性がある。

音楽は、マッチングに関しては文句のつけようがない。
私はJAM Projectの大ファンなので、多少のひいき目はあるかもしれないが、作品世界をこれほど体現したテーマソングは、なかなかないと言っていいと思う。
また、挿入歌も名曲で、使いどころがおいしすぎるもんだから、作中、数回しか流れないのに、印象の強さは格別。
だが逆に、BGMは前作からの流用がほとんどで、曲のレベルは悪くないが、ボリューム的には物足りなかった。
プレイ時間が長時間に及ぶため、そう感じるだけかもしれないが。

さて、ageご自慢の演出システム、「AGES-ACS」と、ゲームシステムのrUGP。
この作品の必要性の8割は、このシステムによってもたらされる表現力にある、と断言する。
確実に他のメーカーより頭抜けている。これより上を行くことは、現時点では難しいだろう。
その驚異的な力は、これで静止画の限界かと思われた「Fate/hollow ataraxia」をも上回る。
(ただし、カメラワークやセンスは向こうの方が上)
夕暮れから夜へと刻々と移りゆく背景を、まったく違和感を感じさせずにシームレスで行うシステムなど、今までお目にかかったことがない。
さらに、正面が基本であるAVGにおいて、自分と並んで歩いているキャラが、主人公(プレイヤー)から見て、ちゃんと隣に見える視点移動が可能だとは思わなかった。
二次元の制約上、戦術機の動きなどはどうしても平面っぽく見えてしまうのだが、それでも段違いの迫力。
また、視点がコクピット内に移動すれば戦術機のモニタ画面が現れるのだが、これが実に細かい。データのやりとり、各キャラとの通信をするたびにウインドウが目まぐるしく入れ替わり、挙句、シナリオ内で使用したと記述のある弾薬が、きちんと表示から減っていく。
普通なら、まず間違いなく一枚絵で済ませるところだ。
そういう、ある種、偏執的なまでのこだわりが感じられ、おかげで臨場感はたっぷり。

このように表現力では現行最強レベルのシステムを有しているのだが、環境面では細かい点がいくつか気になった。
とにかく、テキスト周りがかなりひどい。
映画を意識した作りなので、AVGにはお馴染みのメッセージボックスがなく、セリフや説明は字幕のように表示される。
だが、2~3行しか現れず、それなのに細かい設定が多いため、異常に多い説明量。
さらに、全文にセンタリングがかかってしまい、変な箇所で折り返しが入ると、大変に読みにくい。
また、見せ場らしき箇所になると、途端に文章送りを受け付けなくなり、いともたやすくコントロールを奪われてしまう。
最初から、「読ませる」ということは念頭にないようだ。
ゆえに、特殊な読みにルビを振ってあることも一切なし。突撃前衛隊長(ストーム・バンガード・ワン)とか、普通読めないよ。
音声を聞くことが当然と言わんばかりの仕様になっていて、AVGとしてのスタイルはもはや意味を成さない。

「こう遊んでほしい」という、製作側が抱く望ましいスタイルがあるのは分かるし、それは当然だと思う。
だが、その意識があまりに強すぎて、結果的に押し付けがましさを感じてしまい、わずかな不快感を伴う結果となっている。
「ゲーム」として売り出すのなら、ユーザーを長時間モニタ前に縛り付けることに配慮したシステムを構築するべき。
個人的には解像度のワイド化も苦手だ。どうしても、800×600に慣れてしまっているので。

さて、それでは、前作は途中でぶん投げられてしまったシナリオ。
基本的に、シナリオ自体に目新しさはない。
ネタ自体はそもそも、「宇宙からの侵略者に対抗する地球人」という、ありがちすぎてもう誰も使わなくなった素材だし、「並行・ループする世界」に至っては、この業界内に限定したって、太刀打ち不可能な名作がいくつかある。
作中で謎扱いされている脳髄だって、その正体や使われ方を看破するのは難しくもなんともない。

だが、ストーリーを重視する作品には、大きく分けて2タイプある。
一つは、斬新なアイディアで、誰も知らないワクワク感を提供するもの。
もう一つは、結末は誰もが知っている(または予測できる)けれど、それを見届けたいと思わせる勢いを持つもの。
そしてその後者こそが「王道」と呼ばれるものであり、この作品が目指したものだ。

基本的な流れは、どん底とそこからの脱却、希望が見えてまたどん底、の繰り返しなので、精神的な揺さぶりが苦手な人にはきついかもしれない。
特に、持ち上げた後の叩き落し方は、本当に容赦がない。その演出力には空恐ろしいものがある。
もっとも、それが行き過ぎて、グロ画像云々で騒がれる羽目になったのだが。
実際は、画像自体のグロ度は、さほどひどくはないと思う。普通に妖怪とか異生物とかと大して違わないレベルよ?
ただ、その使われ方があまりにも衝撃的なため、度肝を抜かれた人が多かったわけなのだが。
でもそれって演出の勝利なのだから、ユーザーは受け入れるべきだ。

むしろ最大の難所は、どうしてこのメーカーは、ヘタレばかりを主人公に据えるのか、ということなんですが。
とにかくもう、最初から最後まで腰抜け丸出し

悲劇のヒーロー気取りでぐちぐち悩む → 仲間・上官に助けられる。または説教される → ちょっと浮上。俺頑張るよ、今度こそ成長しなきゃ! → どん底に叩き落される → スタートに戻る

と、総プレイが30時間近くかかる作中、延々とこれの繰り返し。およそ、学習するということがない。
これじゃ、ループしてるのは世界じゃなくて主人公の思考だ。
しかもこの状態がラストバトルまで続き、もういい加減にしてくれ、とげんなりしてしまう。

せっかくラストバトルに赴く前に、若本声による超かっこいい演説&かなり高品質の渾身のアニメが入り、ボルテージは最高潮になっていたというのに、そのテンションが主人公のせいで長続きしないという皮肉な結果に。
そもそも、今まで苦楽を共にしてきた肝心の207分隊出身者が、どれもこれも大して魅力がなく、感情移入もできない。
この面々では、中盤以降の立役者だった、他の部隊員が退場させられてからラストまでのシナリオを背負って立つには、あまりにも役者不足。
となると、あとは死亡フラグが立っているのがありありと見てとれて、一気に興ざめ。
サブキャラの方がずっと魅力があったし、そちらのエピソードに良いものが多かった。
(余談だが、孝之がすでに戦死していたのには軽く笑った)

結局、オルタ主世界では一時的な平和を得たにすぎず、ラストバトルの腰砕け具合も相まって、全人類や他世界すら巻き込んだ、やたらと壮大な設定のわりには、カタルシスの薄いシナリオであることは否めない。
さらに、再構築された世界に戻ってからが、途端にテンポが悪く間延びしてしまい、どうして最後の最後でコケるのかと腹立たしくなった。
不幸にも命を落とした人が、皆生きて笑い合ってる心優しい世界。そういうご都合主義的エンドは予想の範疇だったが、主世界の記憶すらも失っているのでは、その世界は、自らが厳しい戦いを勝ち抜いて得たものだという意味がない。
あ、そういえばこれは、「あいとゆうきのおとぎばなし」でしたね。
でも、「めでたしめでたし」にはほど遠いよ、これじゃ。

以上、色々書いたが、これは、良くも悪くもageというメーカーにしか作れない作品。
ユーザーにおもねることをよしとせず、強固に製作側の意思を尊重したその姿勢は、メーカーの基本姿勢なのだろう。
その、ある種傲慢ともとれるスタイルを、体力と品質によって押し通してしまうのがこのメーカーの特異な点であり、正直言って私はあまり好きになれないのだが、業界の中にはそういうところもあっていいと思う。
それだけの品質のものを出していることは確かなのだし。
実力の伴わない他のメーカーが同じことをやったら、失笑と非難にさらされるだけだしな。

メーカーのファン、もしくは前作プレイ者にお勧め。
特に、前作で投げた人は、やってみる価値はある。今作をやることによって、初めて前作の意味が浮き彫りになる仕様なので。
あとは、もっとユーザーを大事にしてください。せっかくの作品も、プレイする人がいてこそ。
作り手が遊び手を選ぶことは許されない。しかしそれこそが、エンターテインメントの供給者のプライドだと思うのだが。

マブラヴ

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
101055

もう知らない人はほとんどいないはずだから、最初から断言する。

このゲーム、完結してません
そして、発売日当日に続編とおぼしき「マブラヴ オルタネイティブ」が発表された、という問題作。

本来なら完結していない作品など評価対象外なのだが、よりにもよってメーカー自身が、

「マブラヴは単独で完結している作品であり、オルタネイティブは続編というわけではなく、別エンドや別ルートのような存在に当たる」

死刑執行書に自らサインをしたも同然の公式発表を出したので、当方もそのつもりで評価させていただきます。

「君が望む永遠」で一躍トップブランドに躍り出、多くのユーザーが心待ちにしていた今作。
「超王道学園恋愛AVG」と銘打ち、鳴り物入りで発売されたまではよかったが。

まず、学園パートの「エクストラ編」。
これが王道だとは片腹痛い。製作者は王道の意味を取り違えてるとしか思えない。
そもそも、王道の面白さというのは骨格がしっかりしてこそ生きてくるものだ。
その、肝心の骨格を形成するべきキャラ造形からして失敗している。

個性的にしようとしていじくり回した挙げ句、結局没個性になってしまった感が拭えないヒロイン達。
確かに一部キャラを除いて、登場人物のほとんどはハイテンション。突き抜けた行動も多く、それを笑いに消化させようとしている思惑も分かる。
が、分かるだけ。それで笑えるかと言えば全然笑えない。
おまけにキャラそれぞれがやたらと自分勝手で、しかも何だかんだと破綻した理屈を押し付けてくるもんだから、当然18歳以上の年齢と経験を兼ね備えている(はずの)プレイヤーとしては、「このガキムカつく」という思いが先に立ってしまい、どうにも乗りきれないのだ。

結果、王道と言うくらいだから、ある程度分かりきったギャグや展開なので笑うことができず、ヒロインが悩んでいても、「どうせ勝手な理屈こねて納得できない方向に行っちゃうんだろう」と半ば諦めつつプレイすることになり、全然世界観に入れ込めないままぼへーっと進行してしまう。
かように、王道物であるべき姿の、先が読めるがゆえの「くるぞ、くるぞ」といった期待感が薄い上に、その上を滑って行ってしまうのだから始末が悪い。

ストーリーはぶっちゃけ「ラブひな」。
今どき「落ち物」(ある日突然主人公と女の子が同居することになる設定の作品の総称)なんて珍しくも何ともないし、だからこその王道、というにはシナリオに力がなさすぎる。
5人もヒロインがいるのに、共通ルートが多すぎて再プレイが面倒だし、しかもヒロインごとの個別ルートにも特に印象深いエピソードが皆無。
学園物らしく主人公との掛け合いに多数のキャラが参加するが、これが賑やかというよりはだんだんうざくなってくる。
いつもガチャガチャゴチャゴチャと騒ぎ立てる芸人が面白くないのと同様に、緩急のテンポがないのだ。

こうした展開のせいで、勢いはあるものの空振りしている感が否めない。
各ヒロインのルートをクリアしても、達成感より徒労感の方がつきまとう。
盛り上がりのない、それなのに長丁場のゲームってのはかなり辛い。(ex.ハロワ

誤解なきように言っておくと、このゲーム、シナリオ以外の出来は本当に素晴らしい。
高スペックマシンに限定されるが、システムは考えられる必要な機能+αをすべて網羅し、かつ安定しているし、そこから繰り出される演出の数々は他に類を見ない出来映え。
システム・演出だけを評価するなら、現在業界トップレベルなんじゃなかろうか。
キャラは所狭しとくるくる動き回り、画面は拡大縮小自在に変化し、登場人物の吐く息まで白い。
見ていて飽きさせない画面効果は圧巻の一言。が、演出効果をオフにできないのは再プレイ時にちょっと困った。

音楽も一部流用があるようだが、ほぼすべてシーン各所にマッチしており、特に主題歌の力の入りようはすごい。
聞いていて耳触りの良い、それでいてゲーム本編の邪魔をしないきっちりした仕事だし、ボイスもはずしたキャスティングがなく、安心して聞いていられるレベル。
CGも、キャラデザインについては各自好みが別れるであろうが、基本的には万人向け。
塗りが雑だったり、手を抜かれていたりするところもなく、多少エロが薄い以外はすべてにおいて丁寧な作り。

だが、ここで当レビューの一番上を見ていただきたい。
絵8、音楽8、システム10、演出10、未だかつてこれほどまで高アベレージの評点を付けたゲームはない。
それでも総合評価が55ってどういうこと!? と疑問に思う諸氏も多いかと思う。
そのほとんどすべての元凶が、以下挙げていく「アンリミテッド編」に集約される。

「超学園恋愛AVG」だったはずの本作に、突如現れたパラレルワールドシナリオ「アンリミテッド編」。
そういう隠し球を持っていたことは別に構わない。そんなゲーム、他にいくらだってある。
問題は、それが、

完結していない&オリジナリティ皆無

だということだ。
多くのレビューサイトで語られていることなので本当に今更だが、はっきり言ってこのシナリオ、

まんま「ガンパレード・マーチ」

人死にも、戦争の生々しさも、まるで救いのない厳然たる現実も持ち合わせない、出来損ないのガンパレだけれども。

エクストラ編とはうって変わってシリアスに、熱く進もうとする本編。
だが、ガンパレが内包していたすべての破壊力をどこかに置いてきてしまったような、こんな気の抜けたシナリオでは、説得力などない、ただのお話に成り下がっている。
それでもいくつかはオリジナルの謎があるので、その解明を求めてラストへ辿り着いたプレイヤーを待つものは。

誰も予測しなかったであろう、まるで打ち切りかのような唐突なエンディング。
しかも、どのヒロインを選んでも、そのエンディングは変わるところなく全員まったく同じ。
もちろん、伏線の回収どころかまともに納得できる解決すら迎えていない。
例えて言うなら、推理小説で「犯人は貴方です」と指摘された場面で、次のページをめくらないと犯人がまだ分からない状態に酷似している。
そして、その次のページは破られていて新たに本を購入しなければ読めないのだ。

こんなバカらしいことってあるだろうか。
そもそもパラレルワールドを持ち出すからには、元の世界との整合性をどう取るかが謎の主軸となってくる。
その解決や何もかもを放ったらかしにしておいて、次作は「続編ではない」と言い切る鉄面皮ぶり。
ユーザーの大半が怒るのも無理はない。

続編でないならそれでもいい。それなら、このエンディングは納得できないので、この点数は変わらない。
いや、やはり続編だったというのなら、あまりユーザーをなめるな、という意味でこの点数は変えられない。

こんな中途半端なルートを作ってしまうのなら、いっそのことこれをばっさりカットし、その分の余力をエクストラ編のブラッシュアップに回した方がずっと良い作品ができたし、次作のためにもなったはずだ。
そうすれば、例え次作が発売日同時発表となっても、非難よりも期待値の方が高まったはずなのに。

すべてにおいて、中途半端と失敗という印象が拭えない、何とも無惨な大作。
未購入の人はもう少し待った方が無難。絶対、次作が出てから全部入った「完全版」とか出そうな気がするから。

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