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サバト鍋

作品シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
ニトロウォーズ82★★★
竜†恋84★★★
戒厳聖都83★★★

※これはアミューズメントディスクです。STGとAVG、RPGの3本の作品が収録されているので、それぞれについて書いてあります。


■ニトロウォーズ(STG)

歴代のニトロキャラがザクザク登場する、横スクロール型STG。ニトロ版パロディウスと言えば分かりやすいか。
特殊弾を使って、キャラを仲間にすることができる。(最大4人)
この、デフォルメされたドットキャラたちのリアクションは、それぞれの設定に合った攻撃パターンで、見ているだけでもかなり楽しいのだが、敵の攻撃もシビアなため、のんきにそんなことをしている余裕があまりないのがつらい。
(STG苦手なのですよ。すいません)

難易度は使用武器によってガラリと変わる。
ぶっちゃけ、レーザーさえあれば、仲間は弾除けorボム要員でしかない。
気軽な「お遊び」を前提に作られているため、コンティニューの無制限や、ステージセレクトも可能となっており、全体的な難易度はそう高くはないのだが、(私がクリアできるくらいだから)それにしたってこれはバランス悪い。
自機は大きいが、当たり判定はそう大きくはない。ただ、敵の弾なのかアイテムなのか判別がつきにくく、突っ込んで玉砕することもザラ。
基本的におふざけシナリオなので、そういうのに耐性がある人だけ。

ちなみに私同様、STGを苦手とする人へのアドバイス。

  • カーソルキーなんてナンセンス。何はなくともパッドは必須。ただ、Z・X・Cを各ボタンに割り振るのを忘れると、弾が出なくて泣きを見る。(そんなアホウは私だけだ)

  • 武器は完全ランダムだが、レーザー以外は必要なし。レーザー3段階になったら勝機は我にあり。

  • 仲間はボス戦の最中でも現れるので、道中、避けきれないと思ったら、素直にボムを使おう。

  • やられても何度でも立ち上がれ。地形と敵出現パターンさえ読みきれば何とかなる。


■「竜†恋」(AVG)

「斬魔大聖デモンベイン」のライター、鋼屋ジン氏の新作AVG。
アミューズメントディスク収録の短編、ということで、総プレイ時間1時間ちょっと、とボリュームはかなり少なめだが、ギャグあり、シリアスあり、典型的なボーイミーツガールでありながら、実は殺愛、と芯の部分はやっぱりニトロな作風で、気軽に楽しめるけれど、抜群の安定感を誇る一本。
「天使の二挺拳銃」出しちゃうような、迷走中の最近のニトロ作品群の中では、純粋な楽しさでは1,2を争う出来。

ボイスもボリュームもない、キャラに名前すらないのに、プロットは断然光っている。
ここまで非常識な設定を使って、それでも王道で正統派なストーリーに仕上げる手腕は、さすがデモベのライターの面目躍如というところか。(でもニトロ臭プンプンなのがイカス)
これは完全に短編向きの設定であって、まさにアイディアの勝利。
学校や街を壊しまくっているのにも関わらず、後のことや余計な心配のいらない短編という前提があるので、飛ばし放題、はっちゃけ放題のテンション高めギャグだが、尺が短いため、飽きたりげんなりしたりする前に楽しいままで終われる。
その突き抜けっぷりのおかげで、小気味よいテンポが生まれているので、これはこれでよし。
さらに圧巻なのは、メーカーが持てるリソースを最大限に生かした、ボーカル曲5曲もの投入。
このサイズの作品にそこまでやるか? というニトロイズムを感じて大変によろしい。
「萌えて進め!」は全オタク必聴の一曲です。♪萌え! 萌え! 萌え萌え萌え!
というわけで、鋼屋氏の作風が好きな人なら、まず間違いなく楽しめる、良質の短編。


■「戒厳聖都」(RPG)

賛否両論巻き起こした、「刃鳴散らす」収録の外伝、「戒厳の野望」の続編にあたるRPG。
よくもまぁ、このニトロのシステムをそのまま使ってRPG作ったもんだ、と半ば感心しました。
ただし、基本的にAVG用に作られたシステムを流用してるわけで、移動や装備といった、RPGお馴染みのコマンドに対するインターフェースやレスポンスは、当然ながら激悪。
ニトロのシステムと相性の悪いマシンだと、たぶん相当つらいことになるはず。

さらに、ゲームバランスもめちゃくちゃに厳しい。レベルが1つ違うだけで、ザコにすら瞬殺される。
それなのに、回復アイテム入手すらもバトル勝利が前提となっていたり、HPを回復させるために休憩していても、高確率で襲われたり、と、とにかく鬼のような作りに血涙すること必至。
よって、推奨レベル以下でのプレイは自殺行為。むしろほぼ不可能。(ちなみに安全地帯などは当然ない)
そんなわけで、レベルアップがすべての鍵を握る、実に地味かつストイックなRPG。
これが武人というものか……!(違)

序盤は、まるでジャンケンのような面倒くさい戦闘システムに慣れていないのと、シナリオの制約上、何だか自分が不安定な立ち位置で右往左往することになるため、はっきり言ってかなりダルい。
おそらく、ここで投げる人が多数。
だが、早まることなかれ。シナリオ3あたりから俄然燃える展開になってきて、多少のつらさは我慢できるようになる。
大ラスにはある仕掛けも施されており、シナリオはかなり読ませる。やばいなぁ、私、このライター大好きかも。
アミューズメントディスクにしては、プレイヤーを限定しすぎているのが難点だが、「刃鳴散らす」を楽しめた人なら、一読の価値があるものに仕上がっているため、ぜひ、忍耐力を総動員して挑んでほしい。
余談だが、移動できる街中の背景は今までの作品の流用なので、ニトロコンプリーターならニヤリとできることうけあい。
まさか、「咎狗の血」からも持ってきてるとは思いませんでした。
今にもビトロ様が出てくるかと思って、ドキドキビクビクしちゃったよ。

刃鳴散らす

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
81★★★

「天使の二挺拳銃」「塵骸魔京」と立て続けにスカり、ちょっぴりやさぐれていた上、世評がやけに芳しくなかったので、半ば地雷覚悟で特攻した本作ですが。
何だよ、普通に面白いじゃん。
まぁ、評価がはかばかしくない訳もよおぉぉっく分かりましたが。

私的にはこれはOK。全然問題なし。ある意味、究極にニトロらしいです。
そもそも、BLでもないのに、こんなに女に存在価値のない作品、初めてです。これ、一応エロゲだよね?
ぶっちゃけ、登場人物を全部男に変えても、何一つ違和感ありません。つーか問題なし。モウマンタイ。
そしたら今度は硬派なボブゲとして売り出せそうです。

というわけで、どんな鈍感なプレイヤーでも分かる。
この作品がやりたいのは、斬り合いであって剣戟であってチャンバラなのだと。
それ以外の付加価値など、台風の前の紙くずみたいなもの。ちょっと重要そうに見えるキャラでも、出てきたそばからバッタバッタと退場させられていく。
もうこの作品は、

唯一無二の相手と、ただ一度の、生死を賭けた仕合――死合

を描くためだけのものであり、ニトロ一流のスタッフによって、商業作品としてきちんと昇華されてはいるものの、この、他のすべてをなげうって「やりたいことだけをやりたいようにやっちゃった」感は、むしろ同人誌のマインドに近い。
放った球で打ち取ろうと打たれようと後は知ったことか、俺は何が何でもこの球を投げるんだ、という、微塵もぶれない超剛速球ストレート。他の決め球はなし。ある意味清清しいまでに徹底してます。
低価格ラインの小品だからこそできた冒険であり、私はその気概や良しと評価する。
もちろん、このサービス精神のなさっぷりが気に食わない人も多数いるわけですが。

書きたいことがはっきりしているだけあって、とにかく剣戟に関する描写は異常に多い。
その薀蓄に興味が持てなければ、たぶん5分と保たない。むしろ、最後まで到達不可能。
エロはクリック数回で終わっても、この描写は延々と続きます。
ただ、それを受け入れられる人ならば、ライターは実際にある流派の師範代らしいので、実学に基づいた、一風変わったチャンバラを楽しめる。
この、虚と実の混ざり具合がなかなか楽しい。運足の重要性に触れておきながら、空中で宙返りして相手の後ろに立つ、とかおバカなネタもあって、決して教則本を読んでいるような退屈さはない。

ただ、復讐する者とされる者の間に何が起こったか、とか、同胞であった時代の絆の強さについては、さらっとしか触れられておらず、ここをもっと盛り込めばよかったのに、と思う。
そうでないと、殺す殺されるのせめぎ合いと、お互いの妄執が生きてこない。そこが鬼哭街との違いか。

この殺し合いの果てには、当然ながら何一つ報われるものなどない。だが、それでいい。
(↓ネタバレ危険!)
憎き相手の肉親、と、自らが首を刎ねた人間は実は――。
そして、相手のただ一度だけの魔剣は完成し、復讐はその前に敗れ去る。
復讐者との魂を賭けた果し合いを終えた主人公は、自ら花散らす――。

このライター、よく分かってる。これこそが浪漫です。これこそがカタルシスです。
剣に生きる者は、剣に倒れるが定め。剣を持たずして生きる価値などないのですよ。
この展開に、純真なプレイヤーはマジかよーとげんなりするだろうが、私はニヤリとした。
この、最後まで貫かれた意地が何とも心地よい。

だからこそ、1周目以降のサブシナリオが余計なのですが。
中身は、同メーカーのある作品のセルフパロディ(同じテーマソングまで流れる凝りよう)だが、最初のエンドで、どシリアスな物語を大いに堪能しただけに、思わず(゚Д゚)ポカーンとしてしまった。
私はおふざけや内輪ネタも特に嫌いじゃないけれど、今作に限っては、できれば本編でなく、メニューからサブシナリオを選ぶ形式とか、もうちょっと作品の雰囲気を大事にしてほしかったなぁと思う。
これで怒った人も多いみたいよ。気持ちは分かりますが。
絵・音楽・システム・演出に関しては割愛。いつも通りのニトロです。安定しすぎていて書くことなどありませぬ。

いったい誰に勧めていいのか非常に迷う作風だが、破滅が嫌じゃない、そして守備範囲の広い人、とにかくチャンバラが好きという人、あたりは大丈夫かな?
私は結構楽しめた。「サバト鍋」に収録される「戒厳聖都」も、楽しみに待つとします。

塵骸魔京

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

かなり重度のニトロファンである私から見ても、凡作としか評価しようのない出来。
ABC段階ならBマイナスといったところか。

いつもながら、絵や音楽、演出なんかはかなりのハイレベル。
主人公がちと不気味(肌が土気色だし!)なのを除けば、原画も塗りも安定しているし、背景はもちろん、お得意の3DCGだってバッチリ。
画面のレイアウトやデザインなども、雰囲気を壊さない、統一感のある仕上がり。

ただ、OPは無理にアニメを入れなくてもよかったな、と思う。公式サイトで多用されているフラッシュや、作中の演出を見ても分かる通り、静止画でも充分にセンス良く、見ごたえのあるものを作っているのだから、何でもかんでも動かせばいいってもんじゃない。
原画の持ち味を生かすには、ベターッとしたアニメ塗りは不要。これでちょっと気が削がれました。
それに、ムービー部分はブロックノイズが多すぎ。どうせならもっと高画質で圧縮してくれ。

音楽には文句のつけようなどございません。さすがZIZZ。
いとうかなこ嬢のソウルフルなボーカルと、オリエンタルな楽曲とが非常に良くマッチしており、単品で聞いても、かなりのレベルを感じさせる。
むしろ、シナリオがいまいち盛り上がらないのを、音楽が奮闘してギリギリの線を支えている気すら。

システムはニトロのいつもの。設定は細かく変更でき、ショートカットも充実。
バックログの音声再生にも対応しており、過不足のない実直な作り。無問題。

このように、シナリオ以外は実によくまとまった、非常にハイレベルな出来なのだが、悲しいかな、私が評価の際に、一番重要視するのはシナリオなのですよ。

とにかくもう、決定的に説明不足。重要な伏線や、サブエピソードのほとんどが尻切れで終わってしまう。
ライターの脳内では既知の設定なのだろうが、それが本文中では説明されず、エンドロールを過ぎても、「……で? だからどうなったんだよォォ!」という状態になってしまう。
しかも、その伏線の方が、本筋よりもずっと面白そうなのだから始末が悪い。
結果的に、一つの作品を終えた、という達成感、爽快感に乏しい。それが第一の敗因。

第二の敗因は、主人公の設定ミス。
何でもない会話シーンにも、いちいち理屈っぽい論理展開がなされるもんだから、一度は面白くても、二度目以降は飽きるし、いい加減うんざりしてくる。
種々の薀蓄を含んだその理屈は、それぞれに興味深く、面白くもあるのだけれど、そっちに気を取られていると、「ところで、本編どうなってたっけ?」という弊害が起きる。
おかげでこのシナリオ、妙に間延びした印象を受けるのだが、展開は決して遅くなく、冗長なわけでもない。
ヒロインごとにストーリーも別れており、共通パートもさほど多くない、と、本来ならば長所になるべき数々の点が、まったく生かされていないのだ。

個々の設定やキャラは結構面白く、魅力的でもあるのだが、それが一つになったとたん、何だかうすらぼやけた味に。
まるで、出汁の入っていない湯にそのまま具材だけ突っ込んで、煮えすぎた鍋みたいだ。
決してつまらないわけじゃない。ただ、面白くはない。
確かに、盛り込まれている雑多な知識は相当のものだし、それを話に絡めてくる手腕も認めよう。
ただし、学者が文豪であるとは限らないように、知識だけでは面白い物語にはならない
このライター、そこのところを決定的に踏み誤ってしまったのでは。

同じ異界・人外のものを扱った同メーカーの作品に「斬魔大聖デモンベイン」があるが、あちらは、どうにかしてユーザーを楽しませてやろうという気概、異形のものを魅力的に書きたい、そういう作品が好きでたまらないというライターの魂を感じられた。
だが、今作にはそれがない。異界もある、異形もある、バトルもある、漢の友情も、エロも(一応)ある。
でも、そんないつものスタイルを盛っておきながら、結局何がしたかったのかがまるではっきりしない。
一番印象に残ったのと言えば、音楽の良さと、しつこいくらいに垂れ流された理屈ばかり。
メインディッシュよりも付け合せの方が美味な料理って、成功なの、失敗なの?

たぶん、別のライターがこの設定を使って書いたらば、ひょっとしたら、最近低迷気味のニトロにとって、起死回生の一発になったかもしれないことが非常に悔やまれる。
そろそろ本腰入れて建て直しをしないと、非常にまずいと思います。すでにユーザー離れは進んでいるぞ!

ニトロ作品コンプリーターを自認する人、積みゲーは一切なく、超ヒマで何でもいいからやりたい人はどうぞ。
でも、あえてプレイするほどの作品じゃありません。
発売したそばから忘れられていく、大量生産の一環でしかない、そんな作品でした。

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