Lamento -BEYOND THE VOID-
| シナリオ | 絵 | 音楽 | 演出 | システム | 総合評価 | オススメ度 |
| 8 | 8 | 9 | 8 | 6 | 82 | ★★★ |
注! このゲームはボーイズラブゲームです。ホモゲーに免疫ない方は近寄らないように!
処女作、「咎狗の血」によって、一躍BLブランドの雄にのし上がったニトロプラスキラルの二作目。
まぐれと実力の違いがはっきりする運命の二作目、なるほど、こうきたかという気分です。
一作目では総合力を、二作目ではハンパでないキャラ萌えを見せつけてくれるとは。
もちろん、作品としてのクオリティもきちんと追求されている。
今回は起動と進行に関する大きいバグがあり、プレイできないユーザーから、「作品自体がツンデレだ」などと揶揄されたが、それでも、兄ブランドで培った技術を惜しみなく投入した、他の単なる紙芝居AVGとは一線を画す仕上がり。
効果音や一枚絵だけでなく、カットインやエフェクト、スクロールを多用する、最近のエロゲ界では流行の演出をかなり積極的に取り入れているが、付け焼き刃感は全然なく、実に板についたもの。
これが総合力か、と思い知らされる。
だが、その動きの多い演出が、通常のAVGに慣れたユーザーには不評を買ったようなのだが、私は素直に感心した。
まだ二作目、色々なことにチャレンジしないでどうする。真に冒険できるのは今のうちだけだ。
ましてや、それは失敗ではなく、確実に効果を上げているのだから。
(余談だが、兄ブランドは「天使の二挺拳銃」で冒険しすぎて失敗した)
しかし、先ほども書いたが、一部ユーザーが起動できない、進行途中でいきなり落ちるというバグを出したのは大問題。
別に差別なわけではないが、特に女性ユーザーでこういうアクシデントに自力対処できる人はまだまだ少ない。
メーカーPCを買ったままの状態で使っているという人も少なくないはずだし、そこをもっと踏まえて、初心者レベルで優しいシステム構築を。
また、推奨スペックを余裕で上回る私のマシンでも、画面のもたつきやセーブ、ロードの切り替えの遅さが気になった。
コンシューマーじゃないのだし、せっかくHDへフルインストールできる環境、もっと快適なインターフェースという面を考慮しなくては意味がない。
コンフィグは細かく変更できて便利だが、それより一歩前の段階で、もっと見直すべき点があると思う。
さて、今作では、「歌」が重要なファクターとなっているが、それに伴って音楽はかなりの力作揃い。
複数のボーカル曲に加え、どのシーンにも落ち着いて品のある、作品の雰囲気をさらに高める楽曲が使われており、さすが
のZIZZクオリティ。まったく問題なし。むしろサントラは買いだ。
キャスト? 誰が文句を付けられるというのだ。BLの帝王、森川智之氏が満を持しての登場だというのに。
本来なら一作目にこそ持ってくるような人材だから、きっといつかはと思っていたが、まさか「猫」に持ってくるとは。
もう、森川氏の「……馬鹿猫が」に萌えて萌えて萌え狂った身としては、文句などあろうはずがありません。
周りが実力派揃いすぎて、主役が一番イマイチなのだが、前作の先割れスプーン氏と比べるのも酷なので、これはこれで。
初々しさがあるので、運命に翻弄される様はよく表現されていて、それが好きな人も多かろうと思った。
個人的には、フラウドの笹沼晃氏とラゼルの犬野忠輔氏がツボ。サドっぽさのあるエロい声と重低音ボイスに弱いので。
何と言っても犬野氏、先に発表した源氏名がヤバすぎて改名させられたいわく付きだし。
絵は相変わらず非常に好み。たたなかな氏は本当にセンスが良い。
尻尾が付いたり角が付いたりすれば、もうそれだけでバランスが崩れそうなものなのに、まったく違和感なくそれを表現してくるし、個体差がきちんと描き分けられているのにも感心。
人種(?)や年齢によってキャラの体格が違うのは当たり前のことだが、そこを身長差や色分け程度でしか描けていない原画家が多い中で、ちゃんと筋肉の付き方や体格そのものを描き分けられるというのは貴重だと思う。
悪魔のデザインも実に秀逸。フラウドのデザインが発表された当時、公式サイトを見てブッ飛んだよ。
キラルいったい何作ってるんだ!? と本気で心配しました。
正直言って、今回は私が大の苦手とする人外キャラだし、まったく期待していなかったのだが、どうやら私は淵井鏑&たたなかなのコンビをまだまだ侮っていたということに気づかされました。
萌えまくったよ、コンチクショウ。まさか人外に落ちる日がくるとは思わなかったよ。一生ありえないと思ってたのに。
最初は、「ネコミミ? もう次回作は買うのやーめた」と思ってたくらい忌避していたのに。
とにかく設定が非常に巧妙。パケ買い狙いの、単なる記号としての耳や尻尾じゃなく、かなりきっちりと「猫」していて、その徹底ぶりが小気味よい。
急所や身のこなし、毛づくろいといった習性を巧みに用いたエピソードの妙には、またもやしてやられた。
なぜ世界には雄が多いのか、なぜ人外なのか、そういう根本的なことを無視する作品が多い中で、こうした細かい設定のフォローは非常に重要だと思う。
今回は、咎狗のときのように事前設定が語り足りないということもなく、すんなりと世界観を受け入れられるよう、かなり気も配られている。
ただ、構造的に1本のメインエピソードを、攻略対象キャラ3人で共有しているので、それぞれの関係は丁寧に描かれてはいるのだが、どのルートを進んでも、基本的に結果は一つしかない(相手はもちろん違うが)。
10人近くも攻略しろと言われても困る(むしろ嫌だ)が、3人という、最近の作品にしては非常に少ない数だからこそ、もっと大々的にシナリオ自体をがらりと変えてしまってもよかったと思う。
これは咎狗のときも同様の構造だったので、次回作への課題。
1本から派生するのではなく、複数ルートが絡み合って1本となる手法の方が、もっと各エピソードが生きてくるのでは。
今作は、過去との決別や自己と対峙することを軸に成立しているので、キャラの逡巡や苦悩を描くシーンが多く、かなりのもどかしさがある。
また、バトルシーンも、名のある敵との死闘というわけではなく、暗殺者に付きまとわれる類のものなので、燃え成分は薄め。
結果的に爽快感に欠け、人によっては飽きてしまう危険性もある。
作中の謎に関しても、途中で解決をみるものが少なく、先へ先へと延ばされてしまうため、どうしても暗闇の中をそろそろと歩くような不確かさばかりが際立ってしまい、全体的にテンポが鈍く感じてしまう。
スピード狂の私としては、それが非常に残念。
物語の内容からすればこれで正解なのだろうが、一ユーザーのわがままとしては、もっと緩急のテンポ差、時には息詰まるほどの疾走感を味わいたかった。
ところで、この作品を楽しむために、ユーザーに求められる重要なことが一つある。
それは、キャラ萌えできるかということだ。
どんな作品でもそうだが、ハマるキャラがいるのといないのとでは、その作品に対する意識は雲泥の差となってしまう。
この作品は特にその傾向が強く、ハマったキャラのルートは非常に楽しいのだが、それ以外はそこそこ、といった印象になりがち。
物語の展開自体はさほど目新しいこともなく、斬新な驚きという点には期待できないからだ。
ただ、その分を補ってあまりあるキャラの数々。ヒャッホウ眼帯、ヒャッホウ悪魔、もう最高!!
……すいません、取り乱しました。
ともかく、実に多彩な肉付けをされたキャラ立ちの良い面々が、そりゃもう様々なシチュエーションでもって、私のような不感症気味の腐女子魂をも大いに奮い立たせてくれます。
淵井鏑氏は本当にツボを心得ている。(ネタバレ危険!→)闇に囚われたかつての師弟が殺しあうエンドだなんて、もうそれだけでご飯3杯はいけます。(食うなよ)
さらに、狂気に支配されたライとの約束を果たすため、自らの手で殺そうとするエンドだなんて、
もうそれだけでご飯5杯は以下略。(食い過ぎだ)
咎狗と同じく、バッドエンドに出色のものが多いような気がするのは、単に私の好みだからか?
ちなみに、殺愛好きにはもうたまりません。ご飯全部で一升はいけます。
以上、今回が以降のユーザー層を分けたであろう今作、私はこのシナリオ&原画コンビがマジで好きだという結論に達してしまったので、引き続き購入させていただきます。
そもそも人外が大好きだという人は文句なしに買い。悶えるくらいに萌え死ねます。
私のように、他に惹かれる点はあるが、どうしても人外が嫌で躊躇している人。その辺の、ケモノ耳や尻尾が付いただけの「なんちゃって人外」なんて、足元にも及びません。
ましてや、世界観できっちりとその理由が語られているので、違和感はかなり薄め。
思いきってプレイされることをお勧めします。特に中の人が好きならなおさら。帝王バンザイ! 帝王ブラボー!!
近未来バイオレンス、異世界ファンタジーときて、次は学園伝奇物なんてやってみたいが、さてどうなることか。