1  |  2  |  3  |  4  |  5  | All pages

塵骸魔京

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

かなり重度のニトロファンである私から見ても、凡作としか評価しようのない出来。
ABC段階ならBマイナスといったところか。

いつもながら、絵や音楽、演出なんかはかなりのハイレベル。
主人公がちと不気味(肌が土気色だし!)なのを除けば、原画も塗りも安定しているし、背景はもちろん、お得意の3DCGだってバッチリ。
画面のレイアウトやデザインなども、雰囲気を壊さない、統一感のある仕上がり。

ただ、OPは無理にアニメを入れなくてもよかったな、と思う。公式サイトで多用されているフラッシュや、作中の演出を見ても分かる通り、静止画でも充分にセンス良く、見ごたえのあるものを作っているのだから、何でもかんでも動かせばいいってもんじゃない。
原画の持ち味を生かすには、ベターッとしたアニメ塗りは不要。これでちょっと気が削がれました。
それに、ムービー部分はブロックノイズが多すぎ。どうせならもっと高画質で圧縮してくれ。

音楽には文句のつけようなどございません。さすがZIZZ。
いとうかなこ嬢のソウルフルなボーカルと、オリエンタルな楽曲とが非常に良くマッチしており、単品で聞いても、かなりのレベルを感じさせる。
むしろ、シナリオがいまいち盛り上がらないのを、音楽が奮闘してギリギリの線を支えている気すら。

システムはニトロのいつもの。設定は細かく変更でき、ショートカットも充実。
バックログの音声再生にも対応しており、過不足のない実直な作り。無問題。

このように、シナリオ以外は実によくまとまった、非常にハイレベルな出来なのだが、悲しいかな、私が評価の際に、一番重要視するのはシナリオなのですよ。

とにかくもう、決定的に説明不足。重要な伏線や、サブエピソードのほとんどが尻切れで終わってしまう。
ライターの脳内では既知の設定なのだろうが、それが本文中では説明されず、エンドロールを過ぎても、「……で? だからどうなったんだよォォ!」という状態になってしまう。
しかも、その伏線の方が、本筋よりもずっと面白そうなのだから始末が悪い。
結果的に、一つの作品を終えた、という達成感、爽快感に乏しい。それが第一の敗因。

第二の敗因は、主人公の設定ミス。
何でもない会話シーンにも、いちいち理屈っぽい論理展開がなされるもんだから、一度は面白くても、二度目以降は飽きるし、いい加減うんざりしてくる。
種々の薀蓄を含んだその理屈は、それぞれに興味深く、面白くもあるのだけれど、そっちに気を取られていると、「ところで、本編どうなってたっけ?」という弊害が起きる。
おかげでこのシナリオ、妙に間延びした印象を受けるのだが、展開は決して遅くなく、冗長なわけでもない。
ヒロインごとにストーリーも別れており、共通パートもさほど多くない、と、本来ならば長所になるべき数々の点が、まったく生かされていないのだ。

個々の設定やキャラは結構面白く、魅力的でもあるのだが、それが一つになったとたん、何だかうすらぼやけた味に。
まるで、出汁の入っていない湯にそのまま具材だけ突っ込んで、煮えすぎた鍋みたいだ。
決してつまらないわけじゃない。ただ、面白くはない。
確かに、盛り込まれている雑多な知識は相当のものだし、それを話に絡めてくる手腕も認めよう。
ただし、学者が文豪であるとは限らないように、知識だけでは面白い物語にはならない
このライター、そこのところを決定的に踏み誤ってしまったのでは。

同じ異界・人外のものを扱った同メーカーの作品に「斬魔大聖デモンベイン」があるが、あちらは、どうにかしてユーザーを楽しませてやろうという気概、異形のものを魅力的に書きたい、そういう作品が好きでたまらないというライターの魂を感じられた。
だが、今作にはそれがない。異界もある、異形もある、バトルもある、漢の友情も、エロも(一応)ある。
でも、そんないつものスタイルを盛っておきながら、結局何がしたかったのかがまるではっきりしない。
一番印象に残ったのと言えば、音楽の良さと、しつこいくらいに垂れ流された理屈ばかり。
メインディッシュよりも付け合せの方が美味な料理って、成功なの、失敗なの?

たぶん、別のライターがこの設定を使って書いたらば、ひょっとしたら、最近低迷気味のニトロにとって、起死回生の一発になったかもしれないことが非常に悔やまれる。
そろそろ本腰入れて建て直しをしないと、非常にまずいと思います。すでにユーザー離れは進んでいるぞ!

ニトロ作品コンプリーターを自認する人、積みゲーは一切なく、超ヒマで何でもいいからやりたい人はどうぞ。
でも、あえてプレイするほどの作品じゃありません。
発売したそばから忘れられていく、大量生産の一環でしかない、そんな作品でした。

SchoolDays

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
77★★★

途中からの展開のあまりの凄まじさに、「すごい鬱ゲー」として新聞沙汰(東スポですが)にまでなった問題作がとうとう当レビューにも登場。
はっきり言って、ぱっと見は全編フルアニメであるだけが売りの普通の学園物に見えたので、まったくのノーチェックだったのですが。
プレイした方たちの地獄絵図な叫びと、ネットでの大評判を聞きつけ、慌ててレビュー対象作品にした次第です。

このゲーム、一言で言うならまさにアレ。「寝取られる 殺る やるドラ」。
豊富な選択肢とED、極めて限定された舞台と関係を軸に、じっくりと濃密な展開が繰り広げられる。
30分アニメ70話分という驚異的なボリュームは、総インストール約8Gという他に類を見ないふざけた数字にも表れているが、せめてパッケージには書いといてくれや。
私は公式サイトで初めて知って、目が飛び出ましたよ。

そして、度重なるパッチの嵐。
確かに、これだけの分岐を管理し、かつあらゆる種類のPCに標準化させるのは骨の折れる作業だろうが、それにしたってもう少しテストを重ねるべきなんじゃないのか。
とにかくシステム周りが雑。高スペックを要求してくるわりに安定とはほど遠く、よく落ちる。
パッチを当てないことには攻略すら不可能だし、フラグ管理もかなり甘い。
そのルートでは起きてないイベントが、翌日には起こったものとして話が進められていたり、作中で齟齬が生じるケースが多すぎ。
フルアニメという性質上、やむをえない点もあるが、それでもこれだけボリュームある作品で、既読スキップがないのもいただけない。(4倍速再生はできる)
分岐条件がいまいちファジーで攻略が難しく、それなのに十数種類の多彩なEDを備え、再プレイ必至である今作では、シーンスキップ機能を実装するべきであるのに、プレイを重ねるたびに繰り返し同じシーンを見せられ、いい加減うんざりしてくる。
次にはいったいどんな鬱展開が待ち受けているのかだけが楽しみで、ひたすら我慢の一手でプレイしたが、それでもこれは大きなマイナス要因でした。

音楽やボイスはかなり豪華。この業界なら誰もが名前を知っている歌い手や声優が、もうインフレ気味なくらいにわんさか登場し、売りのわりにいまいちな出来のアニメに華を添えている。
各話ごとに挿入されるOP・ED、最終話でのEDテーマは内容に沿って少しずつ違っており、かなり手の込んだ作り。
だが、本当の売りであるはずのアニメ自体の出来は、実は大したものではなく、よくあるエロゲのOVA化作品レベル。
止め絵になることもままあるし、口パクのない箇所もザラ。
わざとロングカットにして動きの少なさをカバーしようとしている箇所もかなり多い。
正直、他作品で見られるような、要所要所で挿入される高品質なアニメのレベルには到底至らない。
おそらく確信犯として質より量を取ったのであろう、1ルートにつき1話30分×6話の構成は。
それをすべて動かすというのは並大抵の作業量ではないだろうし、そのボリュームから考えると全体的にはまずまずの出来。
アップ以外は最初から大した作画レベルじゃないので、崩れても大差ないという皮肉に満ちた結果ではありますが。
むしろ、肌つやが良すぎたり、髪の影が顔に落ちすぎなことの方が気になったよ。
いったいどんな分厚い髪の毛ですか。全員ナチュラルマープ?

声優陣はミスキャストはないのだが、妙に演技が間延びして聞こえるのは気のせいか。
これは、アニメに合わせて再生速度を落としただけか?
基本的に物語のペースが鈍重なので、私はほぼ2倍速でプレイしましたが、それでも普通にセリフ聞き取れました。
間を読めない奴ですいません。だってのろすぎるんだもん。

そんな感じで、基本的には普通の作品なのだが、この作品を異質たらしめているのは、何と言ってもそのシナリオ。
甘酸っぱい学園物でちょっと三角関係、最後は切ないけれどハッピーな純愛物語をくれぐれも期待してはいけません。
後々、きっと心の傷となって、夜毎うなされる羽目になるでしょう。
それぐらいインパクトのある各EDをご用意してございます。

主な登場人物は3名。プレイヤーである主人公と、クラスメートで密かに主人公に想いを寄せる世界(人名だよ)、主人公が電車の中でこっそり憧れているだけだった、隣のクラスの美少女、言葉(これも人名。「ことのは」です)。
なんだ、普通じゃん、と思ってはいけない。この3人のうち、2人がエロゲ史上類のないキャラ造詣なのだ。

まず主人公。こいつは、かのヘタレで名高い「君望」の主人公をも凌駕する、まさにエロゲ史上最低のヘタレ男。
最後の最後まで態度が煮えきらず、二人のヒロインの間で揺れ動き悩むふりをしながら、寄ってくる女は片っ端から食いまくり。(エロゲだから仕方ないが)
プレイヤーの意志とは裏腹に、下半身の状況に従って勝手に行動を決められるもんだから、おいおい、私が今までせっせと上げた好感度メーターって何だったの? と(゚Д゚)ポカーン状態になることもしばしば。
これじゃこのメーターシステムいらないじゃん。むしろ、チ○コメーターでも付けた方がよかったのでは。

そんな脳と下半身が直結している男が、なぜか校内ではモテ系。誰も彼もが奴に好意を持ってます。
この学校、よっぽど男のレベル低いですか? むしろ、世界の男性の半分は死滅してるような有様とか?
私が知らないだけで、ひょっとしてこれってSF作品だったりしますか?
主人公の友人も、主人公に輪を掛けた最低野郎なので、私にそう思われても仕方がありません。

そして言葉。こいつは、私が今までプレイしたエロゲの中で最凶のブチギレヒロイン認定。
ホラーでもサスペンスでも伝奇でもないのに、ここまで血しぶきを撒き散らし、刃物を持ち出すヒロインっていなかったよ。

よく考えてみりゃ、恋愛で刃傷沙汰になるケースってのは現実では溢れてるのに、エロゲでは少なかったな、と。
あてつけがましく自傷行為に走る奴もたくさんいるのに、そんな真似してみせるヒロインもいなかったな、と。
それが、結局は「従順でかわいい女の子」を心の底で欲しているメルヘン心理の現れなわけだが、このヒロイン、そんな兄さんたちの願いを、いとも簡単に蹴り飛ばしてくれちゃいます。

血と脳漿撒き散らして死んでみせるヒロインが初めてなら、
EDでヒロインの墓参りをさせられる恋愛物も初めてです。

しかも、パッケージにも宣伝材料にも、一言も「これは鬱ゲーです」なんて書いてないもんだから、何の情報もなく、無邪気にこの作品に足を踏み入れた人たちがパニックに陥るのも容易に想像できて気の毒になったり。
そりゃ、話題にもなるわな。

もう一人のヒロインも決して負けてはおらず、別の女とガキまで作ったヤリチンの主人公をブッ刺してみたり、こっそりと友達使ってライバルをいじめたり。

あのね。
これじゃ、あまりにリアルすぎて、現実に耐性のない真性のオタクはドン引きするから。

自分を傷つけない優しい世界で、無条件に慕ってくれる頭の弱いヒロインとひとときの夢を楽しみたいオタクが、こんな女のドロドロした部分がど真ん中直球にくる恋愛話、受け入れられるはずがなかろう。
「鬱だ」と言われる要因は、その辺にもあるのでは。

言っておくが、女はこれくらいのこと普通にやります。
そりゃ、刃物持ち出したり、飛び降りたりするのは最終手段だけど、そこまでの思考には簡単に行き着けちゃう生き物なのですよ。
友達使って裏工作? OKOK、そんなの今どき中学生でもやるわ。
カップル喧嘩中に付け込む? OKOK、付け込まれる隙を作る方が悪いんだよ。
「女の情念」と言うように、古来より、男が絡むと女は豹変する生き物なのだ。

それが分かってるから、私は「エロゲもとうとうここまで描くようになったか」とは思ったけれど、別段ひどいとは思わなかった。
ただ、何てことをするんだとは思ったが。メーカーが自ら「エロゲファンタジー」の掟を破っていいのか。
そういう点で、私はライターのしたたかな悪意を感じた。
「ほーら、これに耐えられるか、お前たち?」みたいな。
「どうせお約束の学園物だと思ってたんだろ? だが見事に騙してやったぜ、どうだ?」みたいな。
この叫びを聞きたかったのだろうなぁ、と思うと、その思惑は完全に成功したとしか言いようがないのですよ。

鬱展開を誇張するあまり、それを通り越して笑うしかない話になっちゃってたり、登場人物全員が学生のくせに、いとも簡単にガキを生む決心をしてたり、突っ込むべき点は正直ありすぎる。
一応のハッピーエンドはあるものの、むしろこのEDの2,3日後には、誰かが血を見る羽目になるだろそりゃ、というレベルのおざなりな解決しか見せない。確実にバッドEDの方が強烈だし、きちんとオチてる。
そういう点では全体的にまとまりがなく、結局何がしたかったの? と問われるような今作ですが。

ただ、この話をアニメでやったのは正解だとは思う。
ゲーム世界を俯瞰で見ることによって、臨場感がものすごく伝わってくる場面がいくつもある。
これは、リアルタイムで映像と音があるからこその演出。言葉が勝手に主人公の家に上がりこんでいるのに、それを知らない主人公と世界がHしちゃってる状況とかね。
表現方法を最大限に活用した点は大いに評価。世の中には「アニメ(やムービー)にする意味あんの?」と問いたくなる作品で溢れてますので。
業界に確実に一石を投じたことは確か。作品の全体的な質よりも、その作品性によって。
そういう意味では、怪作という表現がぴったりだと思います。

壊れるヒロインに耐性のある人、ドロドロなんてへっちゃらさ、という人、アニメが嫌じゃない人はどうぞ。
内気で繊細、現実の女性に夢を持っている、典型的なオタク像そのものな人はやっちゃだめよ。

……泣きたいなら、止めはしませんがね。

好きなものは好きだからしょうがない!!

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

※注! この作品はボーイズラブ、しかも4部作です。従ってレビュー内容が4作全部にわたっており、未プレイ作品がある方はネタバレにくれぐれもご注意。

ボブゲ界のパイオニア的ソフト。BLを扱った作品では初の18禁であることもさることながら、その世界観やキャラに熱狂的なファンが多数おり、ボブゲ初心者としてはやはりプレイしておくべきだろう、と勇んで特攻したのはよかったが。

愛さえあれば、白いものすら黒と言い切れる腐女子のパワーを見くびっておりました。

何じゃあ、このまるでPC98時代のエロゲのように行き届いていないシステムは!!
製作にあたって、コンシューマーのAVGや最も近いフィールドであるエロゲのシステムを全然参考にしなかったのか!?
そもそも、ゲームを起ち上げると同時にいきなりフルスクリーンモードに切り替わる。
昨今のゲームはどうもフルスクリーンでやらせたいらしく、最初からそれがデフォルトになっている場合が多い。
ちなみに私は古参エロゲプレイヤーなので、どうもそれに馴染めず、未だにウインドウ派。
仕方がないので、さっそくコンフィグを開く。

……ない。
ウインドウモードへの変更がない。
(1作目のみ。2作目からはできます。が、表示位置の記憶ができません。タイトルコールのたびに画面中央に戻ります)

おまけに調整できるのはメッセージスピード(しかも3段階)とサウンドの有無のみ。
SFCのゲームだって、これよりカスタマイズできたと思うのだが如何。
「いじる必要がない」とチュンソフトのように究極のインターフェイスを追求しているならともかく、到底快適とは言いがたい手触り。
メッセージスキップはさすがに実装しているのだが、それもいちいち画面上部のコンパネを開かないと実行できないし、選択肢以降で解除になってしまうのも問題。
その選択肢がかなり多めで、多様なルートに分岐するのは評価に値するのだが、そのたびにこんな手間をかけていてはフルコンプへの気力がどんどん削がれていく。
おまけにセーブ数が10。とにかく選択肢が多く、CG回収にも手間取る作りなのに、何が何でも私に最初からやり直せと。
あんた鬼ですか!(血涙)

これはレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲー(以下10回繰り返し)

と無理矢理自己暗示をかけてゲームを進める羽目に。

とにかく全体的に質が甘すぎる
シナリオの伏線や展開、文章、背景、立ち絵、イベントCGに至るまで、ありとあらゆるところに粗が見受けられ、一度でもエロゲーのトップメーカーの作品をやったことがある人ならぶっ倒れること確実。
特に塗りに関しては叫びたくなるほどひどく、「外注の手を借りない」といえば聞こえはいいが、「おっと大変、明日提出の水彩画の宿題をやってなかったぜ」といわんばかりの突貫工事的な背景は目に余る。
私のような素人目にすら、ほとんど一発書きの下絵(もちろん鉛筆画)をスキャンして慌てて色をつけた、としか見えないのは、「作風です」と言い切れないレベルのものだと思うのだが、どうか。

キャラ絵にしても、いわゆる「アタリ」をとるためにいくつもの線が引かれている状態をそのまま取りこんでいるのだから、間違いなく下絵だと思うが、イベントCGですらこのありさま。
せめてこちらには力が入っているならば話はまだ分かるのだが、一枚丸々キャラのアップ、というものですら顔の輪郭線が複数ある状態。
最高に緊迫感のある場面でこれがドーンと出てきたときには、脱力を通り越して泣きたくなってしまった。

では、いったい何に力を注いでいるのかと問われると、これは萌え音痴の私でも容易に分かりました。
製作者自らが、並々ならぬ愛情と自キャラ萌えを持っていることに。
とにかくもう、腐女子のための萌え要素がてんこ盛り

  • 「女と見まごうかわいらしさ」(腐女子の好物その1)の幼なじみ(しかも生き別れ)

  • 全幅の信頼をおける「金髪碧眼の美形ハーフ」(腐女子の好物その2。しかし遺伝の法則を知らんのか)の親友

  • 面倒見が良くて頼りになる、でも「実は二重人格で鬼畜」(腐女子の好物その3)な兄貴分

  • 兄貴分の相棒で女房役の、家事の達人で甘やかし上手・実は暗い過去持ち(腐女子の好物その4)な癒し系存在

  • 誘い受の小悪魔系で好きな人に対しては一途(腐女子の好物その5)

  • エロテクは一流で自信家。皮肉屋だが実は優しい(腐女子の好物その6)←ちなみに私もこれにハマりやすい
  • その他にも、ちょっと変態入った医者(腐女子の好物その7)だの、キザが様になる弁護士(腐女子の好物その8)だの、冷酷眼鏡に白衣に元気系・ぷに系、と実に多彩なキャラが膨大なエピソードを携えてプレイヤーに襲いかかる。
    CD4枚に分けただけあって、その分量は途方もないもの。
    初作こそルートも少なくすぐに終わってしまうのだが、2作目以降は分岐の嵐。
    同じキャラのルートでもバッド・ハッピーと別れる他に、ノーマルやトゥルーにあたるエンドもあったり、
    直接本筋には関わらないまったく別のエピソードに分岐したり、とにかくボリューム(だけ)はたっぷり。

    あと、エロもかなり多め。
    激甘ラヴラヴなストロベリっぷりで砂を吐きそうなシチュエーションから、ほのぼの、鬼畜まで百貨店並みの品揃え。
    正直、パッケージから受ける印象で、「鬼畜ったって、そんなにすごいのはないだろうなぁ」と思ってたので、意外にも頑張っていたのには驚いた。
    最近の、エロが薄めのエロゲ業界よりはずっと頑張ってエロってます。ネクタイ拘束は基本です。

    イベント絵も非常に多く、絵や塗りが雑で安定していないのが気にはなるが、腐女子のやる気を促成するには充分。
    が、差分CGを回収するのに(エプロンの有無とか)かなり前からやり直さなければいけないというのはつらい。
    セーブスロットは10個しかなく、分岐は多いのにこれではあんまり。
    おまけに、ルート確定の選択肢も比較的早めに出てしまうので、必然的に共通部分が多くなり、再プレイが非常に面倒。

    そして、このキャラ造形。
    ……一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。

    この世界にはオカマホモと変態、子供しかおらぬのDEATHか?

    ロン毛禁止! 長髪が似合う男(特に日本人)なんて現実では砂粒の中のダイヤモンドほどしかいないんだよ。
    触覚も禁止! その不自然な髪の毛には絶対神経が通ってるに違いない。いくら何でも重力に逆らいすぎだ貴様ら。

    それなのに、受キャラは基本的にロン毛だし、骨格も女にしか見えない華奢さ。
    おまけにエロCGでは心なしか胸まであるし、ケツも丸くて肉付きよすぎ。
    実は私、こういう「やってることは少女マンガなんだけど、相手とりあえず男にしてみました」的なBLが一番苦手。
    そんなの、ホモの意味ないのでは。
    案の定、主人公と幼なじみがくっついちゃったことを知った親友は、ちょっとはびっくりするものの、あっさり「おめでとう」とか言ってるし。
    そこ! 「男同士だろ」とかツッコミはなしですか。自分の親友を非生産的な不毛な道に歩ませていいんですか。
    あまつさえ祝ってる場合ですか!
    同性同士だからこその苦悩とか迫害とか逡巡とかないんですか。
    そんなことを考えていてはむしろボブゲやる資格はないのですか。

    さらに、学校は男子校、教師も男、友人も男、周囲の関係者もみな男、とものの見事なメンズワールドが展開され、ストーリーにこれっぽっちもまったくカケラも女性が出てこない。
    そのため、もンのすンごく香ばしいファンタジー臭が漂う疑似世界が展開されてしまい、現代を舞台にした作品では、たとえ荒唐無稽であってもある程度のリアリティを重要視する私としては、「あは、あはははは……」と乾いた笑いしか浮かばなくなってきていたり。
    女がいなけりゃ、ホモのお前たちだって誰も生まれてこれないのに、そんなことお構いなしですか。
    敵の幹部、もしくは自分たちの協力者など、たった一人か二人でもいいから、ちょっと印象的な役にでも女性キャラを設定しておけば、この嘘くささだって相当緩和されたはずなのに。
    まぁ、腐女子ってのは、自分たちだって女性なのにストーリーに絡まれるのは嫌らしいですが。何で?

    そういったいびつな世界観を持っているため、最初はそれに馴染めずへこたれ気味でプレイすることになるのに、
    シナリオの日本語が壊滅的。顔文字((><)←こんなの)が普通に出てきたとき、私の心境はΣ( ̄△ ̄|||)でした。
    そんなAVGなんて、私のむやみに長いゲーマー人生の中でも初めてです。
    これだけでもまず萎えなのに、とにかく勢いで書きなぐった、といわんばかりのセンスの感じられない文章の数々。
    一人称なのはまぁしょうがない。本当は相当に巧い人がやらないとアイタタタな結果になってしまう手法だが、とりあえず、元気がよくてちょっとおバカ、かわいカッコイイ系な主人公の雰囲気はよく出ている。
    ……でも、バカすぎてときどき泣きたくなったんDEATHけどね。

    シナリオ自体はライトで明るい学園コメディを装っておきつつも、要所はきっちりシリアス。
    なのでこの文章が余計に痛いのだが、ありがち設定を駆使しつつも、感動的・または心に痛いエピソードを惜しげもなく投入し、飽きさせる、ということはない。
    展開自体はかなり先が読めるのだが、キャラに慣れてさえしまえば、「しょーがねーなー」と諦めもつき、苦笑して物語を楽しむか、という気になってくる。

    でも、悪の親玉の行動原理とか組織の資金源とか、バックグラウンドがとにかくいい加減で、設定自体に説得力が皆無。
    よって物語としては三流
    パッケージや宣伝資料に「学園なんでも屋」という単語が頻出するので、ひょっとして学園アクションコメディか? なんて期待してプレイすると、肩すかしを食らったうえに勢い余って一回転(ひねり入り)してしまうくらい、そんなのどうでもいい設定となってますので、皆様騙されませんよう。(私はちょっと騙された)

    逆に、人間関係のプロセスをすごく大事にしているので、恋愛物としては一流半。
    このボリュームを最大限に生かし、4枚分のエピソードを積み重ねていくにしたがって徐々に変化していく関係をじっくり丁寧に描写しているのには好感が持てた。伊達にボブゲのパイオニアではないということか。
    エロゲの純愛物にありがちな、「出会って恋に落ちた→大したエピソードもなくすぐエッチ」というアホウな恋愛模様よりはずっとやきもきできるし、葛藤や逡巡もきちんと描かれてます。
    なぜか、男同士ということに関しての葛藤はほとんどないのDEATHがね。

    1・2作目では物語がまったく動かず、半死半生でプレイする羽目になるのだが、3作目で急転直下、4作目で大団円とボリュームに相応しい展開を見せたのも評価。じゃないと、これを全作買ったユーザーが浮かばれない。
    逆に、1・2作目だけで止めてしまった人がいるのなら、ぜひ3・4作目はやってみてほしい。
    私も最初の2枚までは危うくクソゲーの評価を下しそうになりましたが、最後までやってみたら意外にも持ち直し。
    案外まともな作品だったんだ、と今なら思えます。

    女性皆無のBL的世界観に違和感のない人、ご都合展開や伏線なんて気にしないぜ、という漢気のある人、腐女子レベルが高く、キャラ萌えだけでご飯3杯はいける、という人にかなりオススメです。
    キャラ立ちだけはめちゃくちゃしっかりしてますので。萌え狂う腐女子の気持ちがちょっぴり分かりました。
    甘甘エンドは正直どうでもよかったのだが、鬼畜、もしくは壊れ系エンドにはなかなか良いものが多かったので、甘いだけのラヴでは満足できない大人な貴女にもオススメ。
    やはり、名の通った作品にはそれ相応の力があるもんなのだなぁと感心しました。

    ……でもやっぱり、自分は真性のエロゲーマーなのだと痛感。
    帰りたい、あのフィールドへ帰りたいよママン!!
    脱ぐのはやっぱ女じゃなきゃ嫌だい! 乳とケツが拝みたいんだい!
    というわけで、しばらくはボブゲはお腹一杯です。ゲフゥ。(4作もやったから当たり前だが)

     1  |  2  |  3  |  4  |  5  | All pages