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続・殺戮のジャンゴ -地獄の賞金首-

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
84虚淵玄ファン:★★★★
普通の人:★★★

ゲームシナリオとしては4年ぶりとなる虚淵玄氏の新作。
全ニトロファンの期待を背負い、制作発表がなされたのが今年(07年)の3月。
そして提示されたジャンル、「SF+マカロニウエスタン」、しかも主人公は女。しかも悪女。
これは、ヤバイ。
極めつき・重度のニトロファンである私でさえそう思った。
SFもウエスタンも非常にマニア嗜好の強いジャンルだし、何より、主人公が男でないエロゲというのは、通常のプレイヤーには感情移入しにくい。
特に、脳天パーで精神年齢小学生以下な、目だけがやたらとデカくて、ブローくらいしろよとツッコミたくなるほど髪の毛の収まりが悪い美少女と、どーでもいい日常をダラダラ過ごすのがエロゲーと勘違いしてる輩にとっては。
こりゃたぶん売れないだろうな。私は買うけど。
そう覚悟を決めた今年の春。

案の定、「ニトロ史上、最悪の予約率」(クリア後に見れるライナーノーツより)だったらしく。
うわー、業界のユーザー層ってのは分かりやすいもんだな、と思わず苦笑したものだ。
だが、あえて言おう。

虚淵玄は天才だと。

私が購入したのは「皆殺しパック」(定価9,240円 公式通販割引で8,180円)だったのだが、正直、このコストパフォーマンスの悪さはありえない。
総プレイ時間、5時間。1時間あたりの単価、1,636円。映画より高いよ。
それでもあえて言おう。

虚淵ファンならプレイ必至だと。

もうね、全編匂いまくりなのです。虚淵節が。
悪業に悪びれない。悪党であることに何の気負いもない。
「腹が減ったら奪えばいい。ムカつく野郎は殺ればいい」で、「ないモンは、ある所からかっぱらってくればいいんだよ」(いずれも作品本文より引用)という、実に分かりやすいキャラたちの人生哲学。
ゲーム序盤から、徒党を組んでいた仲間がバッタバッタと撃ち殺されます。そこには何の悲哀もなく、ただ事実があるだけ。
人間が死ぬことに関して、ウザったい逡巡も、殴りつけたくなる堂々巡りも一切なし。殺すか、殺されるかのみ。
殺られたら殺りかえせ。犯られたら犯りかえせ。盗られたら盗りかえせ。
この殺伐とした、けれどシンプルであっけらかんとした世界観を、実に魅力的に、何も考えることなく、ただ純粋に楽しませてくれる
こんな芸当、虚淵玄以外に誰ができるか。

絵はメーカーから独立し、フリーとなったお馴染みNiθ氏。
肉体の描写やキャラの描き分け、人外キャラにも定評がある氏だが、今作のコンセプトには、特にベストマッチ。
悪女は皆ムチムチのボイーン、衣装はこれでもかとボディラインを強調し、相変わらずのにし~皺も健在。扇情的なことこの上ない。
男キャラの筋肉っぷりもナイス。一歩間違えばクリーチャーになりかねない亜人(馬頭とか豚頭とか獅子頭とか触手とか)のキャラデザも相当奮っている。
グラフィックチームの仕事はもう言うに及ばずで、完璧。
ただ、モブシーンが32ビット機のポリゴンみたいなどうでもいいキャラだったのはちょっと減点。
たぶん、「わざとらしいB級くささ」を出すための演出だというのは理解できるが、どうしても安っぽさが否めない。
せっかく高レベルのグラフィッカーを多数要しているのだから、モブくらい描いてもいいのではと思ってしまう。
それ以外では、武器や蒸気機関車、建物等、お得意の3Dとの融合もバッチリ。世界観に華を添えている。

演出はもうハンパでないくらいよく動く。
動きすぎて、スペックの低いマシンだとおそらく相当つらいことになると思われる。
作中、銃撃戦になる箇所では、マウス連打(実は押しっぱなしでもOK)によって、3Dグラフィックで描かれた建物内を探索することになるのだが、これなど、ロースペックマシンだと下手すりゃフリーズする危険性大なのでは。
とにかく、砂埃が舞い上がったり、拡大縮小したりと、動きのないシーンの方が少ないんじゃないかと思えるくらいだ。
ド派手な演出が、このどこまでもB級くさい(※褒め言葉)世界観を大いに盛り上げていると思う。

システムは毎度同じのニトロ仕様。
相変わらず、過不足はないのだが、今一つ使いづらい。
ロード時に若干間があるし、起動時に毎回ディスクを要するのも手間だ。初回起動時だけにならないものか。
今作は短かったからいいものの、長時間プレイを強いられる作品では、もはやこのレベルのシステムでは我慢しがたいと思う。
次作までに切なる改善を望む。

音楽担当も毎度のZIZZ。
しかしこの集団、実に幅が広い。
またもや、こんな特異な舞台設定をしてくるニトロに、しっかりと合ったものを用意してくる。
また、主題歌を担当するワタナベカズヒロ氏の声と、西部劇の曲調とが絶妙にマッチ。
劇中の、いとうかなこ氏が歌うカントリー風の歌も素晴らしい。
ことニトロに関しては、音楽の失敗というのは考え難いかも。

さて、虚淵玄ですよ、お客さん。
鬼哭街沙耶の唄白貌の伝道師Fate-Zeroと、「どシリアス救いなしエンド」ロードを爆進してきた氏だが、こんな作品も書けるんだと、その器用さには舌を巻かずにはいられない。
たかだか総プレイ5~6時間の間に、状況はめまぐるしく変化し、さっきの敵は今の友、とも言うべき凄まじい立ち位置の変化が何度も訪れる。
今の今まで殺し合いをしていた相手と、次の瞬間には共闘するのだから、その変化がスリリングで目が離せない。
逆を返せば、すぐにでも寝首をかかれるということもあるわけだから、キャラたちの腹の読み合いにドキドキしっぱなし。
復讐と裏切りはマカロニウエスタンの醍醐味であるから、当然の展開ではあるのだが、その忠実な再現っぷりがもう楽しくて思わずニヤニヤしてしまう。

いつもの、無駄を省いた硬質の文体ながら、今までにはなかった下品なギャグや、絶妙なバカさ加減、苦手と言われていたエロシーンをあえて笑いに転化してしまう手法も面白い。
バッドエンド後に示される、「ガンマン十戒」などのシャレも気が利いていて非常に笑える。(しかもちゃんと10個ある)
かと思えば、もちろん震えるほどに格好いい燃える話も用意されており、もはやこのライターには死角はないのかと思ってしまう。
強盗にレイプ、大量殺人に騙し合い、そんな悪行のオンパレードだが、どれもこれもうまい具合に陰湿さを取っ払ってあり、それを魅力的に、とっておきのフィクションとして昇華しているので、罪悪感や不快感といったものがない。
実に良質のピカレスク・ロマンであり、娯楽作品としてこれ以上の評価があるだろうか。

電子機器の使用ができず、レトロな銃器に頼るしかない舞台設定に、思いっきりSFな設定を盛り込んでいるのだが、それに関してこの先どうなるのか、そして、銀河連盟や軍部との関係はどう転がっていくのか、もうこの続きはないのだと分かっていても、夢想せずにはいられない。
ただ、革命物やマカロニウエスタンのスタイルを踏襲するならば、この先に待ち受けるのは決してハッピーエンドではないことだけは分かっているのが、虚淵玄の意地の悪いところ。
考えれば考えるほど、いつも通りの救いなしラストに突入してしまうことはもはや明白(※1)なのだが、そこをあえて描かず、すっきりと爽やかなエンドに見せかけているあたりが巧妙で、ほくそ笑んでしまう。
(※1:なぜかと思う人は、(ネタバレ危険→)スイートウォーターにはレアメタルが眠っていること、銀河連盟に属する財団はその存在を知っていること、軍の上層部もそれを知っていると思われることを考えると明白。
採掘するにはプロトゾアンを滅しなければならないが、もしプロトゾアンと戦えば、地表生物は生存不可のダメージを食らうだろうということは作中明言されている。
ついでに、プロトゾアンと共存しようとする革命軍の命など、おそらくレアメタルより軽いと思われるので、銀河連盟が電子機器を持って介入してくれば革命軍の壊滅は必至

正直言って、あまりにもコストパフォーマンスが悪すぎ、そしてあまりにもネタが特異すぎるので、とても一般エロゲーマーにはお勧めできかねる。
普通のニトロファンにすら勧めづらいくらいだ。
これはもう、筋金入りの虚淵ファン、もしくはこの全編に漂うB級くささにトキメキを覚える、お脳をやられてそうな人向け。
私はもう大好きです。こういうのを平気で出してきちゃったりするのがニトロのニトロたる所以。
例え売れなかろうが、好きなことを好きなようにやっちゃえるのがこの業界のいいところだよ。
利益は他の作品で出せばいい、という大手メーカーならではの体力と自信、それでも作品の作り込みはきっちりとする姿勢に漢を見た。

「さすがニトロ! 他のメーカーができないことを平然とやってのけるッ! そこに痺れる憧れるゥ!」

この精神を失わない限り、私は買い続けます。たぶん。

蠅声の王

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
82★★★

かつて隆盛を誇ったゲームブックを、あえてもう一度デジタルメディアを使って再現しようと試みた意欲作。
新ブランドならではの試みや、ゲームブックという媒体への愛が感じられて、私は非常に楽しめた。
ただし、ものすごくプレイヤーを選ぶ作品です。最近の、インストールさえしてしまえば、あとは手放しでクリア可能なような至れり尽くせりのシステムを良とする人には向きません。
複数のページに指を挟みまくり、手元にはメモ、鉛筆、消しゴム、さらには電卓をも用意して、ダイスと紙と文字が織りなす
冒険に敢然と立ち向かった人、もしくはこれから立ち向かおうとする人向け。
能動的にゲームを楽しもうとする姿勢がなければ、このゲームの面白さのキモは分からないと思うので。

新規参入なだけあって、まだまだマンパワーが不足しているらしく、絵と音楽、プログラムは外注。
だが、どれも非常に良いバランスでまとまっており、雰囲気はバッチリ。
特に絵は、どちらかというと硬質の文体のため、色気が不足しがちな今作において、それを補って余りあるエロさがあり、女性原画家にありがちな、ヒョロヒョロの体つきをした男もいないし、とても良い出来。
差分CGもかなりの数が用意されており、質量ともに充分。視覚的な満足度はかなり高かった。

音楽は、実にバラエティに富んだ作り。
喰屍鬼(グール)が跋扈する不気味な城の中では、いつ襲われるか分からないドキドキを煽るような緊迫感たっぷりの曲を。
戦闘時には迷宮の探索による鬱屈を晴らすかのような、ビートの利いたアップテンポの曲を。
全体的に抑えた曲調が多いのだが、どれもシーンにはマッチしており、納得のいく仕上がり。
ただ一つ不満なのは、これだけのボーカリストが参加しておきながら、ボーカル曲らしいボーカル曲が少ないこと。
EDと挿入歌の数曲だけ。しかもその挿入歌は歌詞が造語で、確かに雰囲気は出ているのだが、歌と言うよりはコーラスの
雰囲気が近いため、何だか肩すかしな感じを受けた。
宣伝材料にもボーカリストの名前は上がっているし、皆、すでに固定ファンがついているようなメジャーな歌い手だ。
作品の方向性を考えると、その選択は決して間違っていないのだが、惜しかったなぁと思う。

さて、プレイヤーによっては賛否両論があるであろうシステム。
とりあえず、足回りは標準的。もたつきもないし、落ちたりバグったりすることもない。
環境によっては落ちるらしいが、すでにパッチが配布されているので問題はないだろう。
では、何が賛否の対象になるのかというと、自由度がありすぎる、実に漢気溢れるゲームシステム。

ゲームブックというものをまったく知らない人のために説明すると、通常、プレイヤーはダイスを振ることによって、その値が指し示す次のシーンへと移動する。
これは戦闘も同様で、ダイスの目によって与えられるダメージが決まっており、その管理は基本的にプレイヤー任せ。
だが、アナログメディアであればこそのズルはし放題。
戦闘には問答無用で勝ったことにしちゃったり、先のシーンをちょろっと覗いて、危ないところがないか確認してみたり。
まさかデジタルメディアではそこまで再現するわけなかろう、ハッハッハ。なーんて思わなきよう。

このゲーム、(プレイヤーが)やりたい放題ですから。

確かにダイスは振れる。でも、その値に従わなくとも、何のペナルティもない。
ついでに、他のシーンには飛べないようになっていたり、そういう制限を設けているところもない。
極端な例を出せば、序盤でうろちょろしていたのに、次の瞬間にはEDシーンを拝むことも可能。
戦闘だって、振ったダイスの値が自動的に記録されたりすることもない。だから、たとえクソ目が出たとしても、脳内でなかったことにすることが可能。それどころか、「勝利した場合」の次シーンへ移動も可能。
公式ルールに則って、ダイスを振り続けるもよし。
ズルしてとにかく先に進むもよし。
自分ルールで好きなように遊べる無茶苦茶な自由度。デジタルメディアでありながら、つまり、そういう制約をプレイヤーに課すことが可能でありながら、あえてそれを行わない潔さ
「ゲームブックの面白さ」というものを信じていなければできない、大胆な選択だと思う。

そういう選択をしたことに、古のゲームブックファンである私としては賛辞を送りたいのだが、反面、ダイスの値やパラメータの変化が記録される、「管理モード」のようなものがあってもよかったのでは、と思う。
おそらく、それをやると、戦闘になかなか勝てない、迷宮から全然抜け出せないという、ゲームとしての難易度(&ダルさ)が飛躍的に向上してしまうから付けなかったのだろうが、せめて、パラメータの自動記録ぐらいはしてほしかった。
-7-2-3+5とか羅列してある、他人から見たら何の暗号かと思われるメモを片手に我に返ったとき、ちょっぴり、「ふー……」と己を振り返りたくなりましたので。

シナリオは、今作の特徴上、さほどボリュームがあるわけではないが、かなり魅力的な設定、キャラとなっている。
反面、その設定をフルに生かしきれているとは言い難く、そこが引っかかる。
せっかくの設定が説明されず、そこをもっと掘り下げると、AVGとしても相当楽しめるものになったのではないかと思うだけに残念でならない。
「ゲームブックの再現」という形にチャレンジした今作だからこそ仕方のない点でもあるのだろうが、舞台が限定されてしまっていて、あれ? もう終わり? という感が否めないのだ。
各キャラがそれぞれ所属する組織へ戻ってみるとか、最初は別の事件を解決するところから始まり、外から「蠅声の王」の恐怖や強大さをもっと浮き彫りにするとか、色々風呂敷を広げる手法はあるだろうと、ド素人が考えに至るくらい、色々なやりようのある深さを持つ設定だけに、もっともっとこのキャラたちと付き合いたかったというのが正直な感想。

反面、謎解きの手応えはかなりいいものを感じる。まさに往年のゲームブックレベル。
考えるのが面倒な人、ヌルゲーにどっぷり浸かった人には向かない難易度で、解けたときの爽快感はなかなか。
ヒネリの効いた問題も多く、それにはきちんと相応の報酬もあるのだから、思わずムキになって取り組んでしまう。
序盤~中盤は、廃村から城内の探索がメインであるだけに、ともすれば単調になりがちなのだが、随所に笑いの要素があったり、どこがデストラップに繋がるか分からない緊迫感があるだけに、なかなか飽きさせない。
(油断してると即死亡。「014へ行け」にそれこそ死ぬほど遭遇する羽目になる。この辺、まさにゲームブック)
また、中盤~後半は燃えるバトルや前述の謎解きも歯ごたえを増し、たたみかけるようにラストへとなだれ込む。
この辺のさじ加減は絶妙で、止めどころに困るほどに魅力的な展開であり、一気にプレイしてしまった。

以上、ゲームブック好きは思わず涙するほどしっかりとまとまっていて、この試みは一見の価値あり。
ただ、評価はするが、正直値段は高すぎる。これは、新ブランドで資金力がないだろうから仕方がないとは思うが、他メーカーなら4~5千円ラインに乗せてくる作品だ。
その方が、結果的にはもっと多くのプレイヤーに触れてもらえるような気がしただけに、販売戦略の練り直しが必要では、と思った。
余計なお世話だとは思うが。
フルボイスなわけでもないし、別にメディアがDVDでなくたってかまわなかったのでは。
CDだろうがDVDだろうが、面白い作品には容量やメディアの垣根はないので。
(マイベストエロゲーの月姫はCD、次点のYU-NOに至ってはFDだぞ)
ぶっちゃけ、特典はどれもいらないので、その分安くしてほしかった。鉛筆とかいったいどうすれば。
(私はメーカー直販で購入した)

とにかくシナリオだけを追いたい、エロだけを楽しみたいという人には不向きな作品。
そういう人はプレイしない方が、ユーザー、メーカー、双方にとって幸せであると断言する。
往年のゲームブックファンはぜひともおやんなさい。その忠実な再現ぶりに、思わず感嘆できることでしょう。

サバト鍋

作品シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
ニトロウォーズ82★★★
竜†恋84★★★
戒厳聖都83★★★

※これはアミューズメントディスクです。STGとAVG、RPGの3本の作品が収録されているので、それぞれについて書いてあります。


■ニトロウォーズ(STG)

歴代のニトロキャラがザクザク登場する、横スクロール型STG。ニトロ版パロディウスと言えば分かりやすいか。
特殊弾を使って、キャラを仲間にすることができる。(最大4人)
この、デフォルメされたドットキャラたちのリアクションは、それぞれの設定に合った攻撃パターンで、見ているだけでもかなり楽しいのだが、敵の攻撃もシビアなため、のんきにそんなことをしている余裕があまりないのがつらい。
(STG苦手なのですよ。すいません)

難易度は使用武器によってガラリと変わる。
ぶっちゃけ、レーザーさえあれば、仲間は弾除けorボム要員でしかない。
気軽な「お遊び」を前提に作られているため、コンティニューの無制限や、ステージセレクトも可能となっており、全体的な難易度はそう高くはないのだが、(私がクリアできるくらいだから)それにしたってこれはバランス悪い。
自機は大きいが、当たり判定はそう大きくはない。ただ、敵の弾なのかアイテムなのか判別がつきにくく、突っ込んで玉砕することもザラ。
基本的におふざけシナリオなので、そういうのに耐性がある人だけ。

ちなみに私同様、STGを苦手とする人へのアドバイス。

  • カーソルキーなんてナンセンス。何はなくともパッドは必須。ただ、Z・X・Cを各ボタンに割り振るのを忘れると、弾が出なくて泣きを見る。(そんなアホウは私だけだ)

  • 武器は完全ランダムだが、レーザー以外は必要なし。レーザー3段階になったら勝機は我にあり。

  • 仲間はボス戦の最中でも現れるので、道中、避けきれないと思ったら、素直にボムを使おう。

  • やられても何度でも立ち上がれ。地形と敵出現パターンさえ読みきれば何とかなる。


■「竜†恋」(AVG)

「斬魔大聖デモンベイン」のライター、鋼屋ジン氏の新作AVG。
アミューズメントディスク収録の短編、ということで、総プレイ時間1時間ちょっと、とボリュームはかなり少なめだが、ギャグあり、シリアスあり、典型的なボーイミーツガールでありながら、実は殺愛、と芯の部分はやっぱりニトロな作風で、気軽に楽しめるけれど、抜群の安定感を誇る一本。
「天使の二挺拳銃」出しちゃうような、迷走中の最近のニトロ作品群の中では、純粋な楽しさでは1,2を争う出来。

ボイスもボリュームもない、キャラに名前すらないのに、プロットは断然光っている。
ここまで非常識な設定を使って、それでも王道で正統派なストーリーに仕上げる手腕は、さすがデモベのライターの面目躍如というところか。(でもニトロ臭プンプンなのがイカス)
これは完全に短編向きの設定であって、まさにアイディアの勝利。
学校や街を壊しまくっているのにも関わらず、後のことや余計な心配のいらない短編という前提があるので、飛ばし放題、はっちゃけ放題のテンション高めギャグだが、尺が短いため、飽きたりげんなりしたりする前に楽しいままで終われる。
その突き抜けっぷりのおかげで、小気味よいテンポが生まれているので、これはこれでよし。
さらに圧巻なのは、メーカーが持てるリソースを最大限に生かした、ボーカル曲5曲もの投入。
このサイズの作品にそこまでやるか? というニトロイズムを感じて大変によろしい。
「萌えて進め!」は全オタク必聴の一曲です。♪萌え! 萌え! 萌え萌え萌え!
というわけで、鋼屋氏の作風が好きな人なら、まず間違いなく楽しめる、良質の短編。


■「戒厳聖都」(RPG)

賛否両論巻き起こした、「刃鳴散らす」収録の外伝、「戒厳の野望」の続編にあたるRPG。
よくもまぁ、このニトロのシステムをそのまま使ってRPG作ったもんだ、と半ば感心しました。
ただし、基本的にAVG用に作られたシステムを流用してるわけで、移動や装備といった、RPGお馴染みのコマンドに対するインターフェースやレスポンスは、当然ながら激悪。
ニトロのシステムと相性の悪いマシンだと、たぶん相当つらいことになるはず。

さらに、ゲームバランスもめちゃくちゃに厳しい。レベルが1つ違うだけで、ザコにすら瞬殺される。
それなのに、回復アイテム入手すらもバトル勝利が前提となっていたり、HPを回復させるために休憩していても、高確率で襲われたり、と、とにかく鬼のような作りに血涙すること必至。
よって、推奨レベル以下でのプレイは自殺行為。むしろほぼ不可能。(ちなみに安全地帯などは当然ない)
そんなわけで、レベルアップがすべての鍵を握る、実に地味かつストイックなRPG。
これが武人というものか……!(違)

序盤は、まるでジャンケンのような面倒くさい戦闘システムに慣れていないのと、シナリオの制約上、何だか自分が不安定な立ち位置で右往左往することになるため、はっきり言ってかなりダルい。
おそらく、ここで投げる人が多数。
だが、早まることなかれ。シナリオ3あたりから俄然燃える展開になってきて、多少のつらさは我慢できるようになる。
大ラスにはある仕掛けも施されており、シナリオはかなり読ませる。やばいなぁ、私、このライター大好きかも。
アミューズメントディスクにしては、プレイヤーを限定しすぎているのが難点だが、「刃鳴散らす」を楽しめた人なら、一読の価値があるものに仕上がっているため、ぜひ、忍耐力を総動員して挑んでほしい。
余談だが、移動できる街中の背景は今までの作品の流用なので、ニトロコンプリーターならニヤリとできることうけあい。
まさか、「咎狗の血」からも持ってきてるとは思いませんでした。
今にもビトロ様が出てくるかと思って、ドキドキビクビクしちゃったよ。

塵骸魔京

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

かなり重度のニトロファンである私から見ても、凡作としか評価しようのない出来。
ABC段階ならBマイナスといったところか。

いつもながら、絵や音楽、演出なんかはかなりのハイレベル。
主人公がちと不気味(肌が土気色だし!)なのを除けば、原画も塗りも安定しているし、背景はもちろん、お得意の3DCGだってバッチリ。
画面のレイアウトやデザインなども、雰囲気を壊さない、統一感のある仕上がり。

ただ、OPは無理にアニメを入れなくてもよかったな、と思う。公式サイトで多用されているフラッシュや、作中の演出を見ても分かる通り、静止画でも充分にセンス良く、見ごたえのあるものを作っているのだから、何でもかんでも動かせばいいってもんじゃない。
原画の持ち味を生かすには、ベターッとしたアニメ塗りは不要。これでちょっと気が削がれました。
それに、ムービー部分はブロックノイズが多すぎ。どうせならもっと高画質で圧縮してくれ。

音楽には文句のつけようなどございません。さすがZIZZ。
いとうかなこ嬢のソウルフルなボーカルと、オリエンタルな楽曲とが非常に良くマッチしており、単品で聞いても、かなりのレベルを感じさせる。
むしろ、シナリオがいまいち盛り上がらないのを、音楽が奮闘してギリギリの線を支えている気すら。

システムはニトロのいつもの。設定は細かく変更でき、ショートカットも充実。
バックログの音声再生にも対応しており、過不足のない実直な作り。無問題。

このように、シナリオ以外は実によくまとまった、非常にハイレベルな出来なのだが、悲しいかな、私が評価の際に、一番重要視するのはシナリオなのですよ。

とにかくもう、決定的に説明不足。重要な伏線や、サブエピソードのほとんどが尻切れで終わってしまう。
ライターの脳内では既知の設定なのだろうが、それが本文中では説明されず、エンドロールを過ぎても、「……で? だからどうなったんだよォォ!」という状態になってしまう。
しかも、その伏線の方が、本筋よりもずっと面白そうなのだから始末が悪い。
結果的に、一つの作品を終えた、という達成感、爽快感に乏しい。それが第一の敗因。

第二の敗因は、主人公の設定ミス。
何でもない会話シーンにも、いちいち理屈っぽい論理展開がなされるもんだから、一度は面白くても、二度目以降は飽きるし、いい加減うんざりしてくる。
種々の薀蓄を含んだその理屈は、それぞれに興味深く、面白くもあるのだけれど、そっちに気を取られていると、「ところで、本編どうなってたっけ?」という弊害が起きる。
おかげでこのシナリオ、妙に間延びした印象を受けるのだが、展開は決して遅くなく、冗長なわけでもない。
ヒロインごとにストーリーも別れており、共通パートもさほど多くない、と、本来ならば長所になるべき数々の点が、まったく生かされていないのだ。

個々の設定やキャラは結構面白く、魅力的でもあるのだが、それが一つになったとたん、何だかうすらぼやけた味に。
まるで、出汁の入っていない湯にそのまま具材だけ突っ込んで、煮えすぎた鍋みたいだ。
決してつまらないわけじゃない。ただ、面白くはない。
確かに、盛り込まれている雑多な知識は相当のものだし、それを話に絡めてくる手腕も認めよう。
ただし、学者が文豪であるとは限らないように、知識だけでは面白い物語にはならない
このライター、そこのところを決定的に踏み誤ってしまったのでは。

同じ異界・人外のものを扱った同メーカーの作品に「斬魔大聖デモンベイン」があるが、あちらは、どうにかしてユーザーを楽しませてやろうという気概、異形のものを魅力的に書きたい、そういう作品が好きでたまらないというライターの魂を感じられた。
だが、今作にはそれがない。異界もある、異形もある、バトルもある、漢の友情も、エロも(一応)ある。
でも、そんないつものスタイルを盛っておきながら、結局何がしたかったのかがまるではっきりしない。
一番印象に残ったのと言えば、音楽の良さと、しつこいくらいに垂れ流された理屈ばかり。
メインディッシュよりも付け合せの方が美味な料理って、成功なの、失敗なの?

たぶん、別のライターがこの設定を使って書いたらば、ひょっとしたら、最近低迷気味のニトロにとって、起死回生の一発になったかもしれないことが非常に悔やまれる。
そろそろ本腰入れて建て直しをしないと、非常にまずいと思います。すでにユーザー離れは進んでいるぞ!

ニトロ作品コンプリーターを自認する人、積みゲーは一切なく、超ヒマで何でもいいからやりたい人はどうぞ。
でも、あえてプレイするほどの作品じゃありません。
発売したそばから忘れられていく、大量生産の一環でしかない、そんな作品でした。

SchoolDays

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
77★★★

途中からの展開のあまりの凄まじさに、「すごい鬱ゲー」として新聞沙汰(東スポですが)にまでなった問題作がとうとう当レビューにも登場。
はっきり言って、ぱっと見は全編フルアニメであるだけが売りの普通の学園物に見えたので、まったくのノーチェックだったのですが。
プレイした方たちの地獄絵図な叫びと、ネットでの大評判を聞きつけ、慌ててレビュー対象作品にした次第です。

このゲーム、一言で言うならまさにアレ。「寝取られる 殺る やるドラ」。
豊富な選択肢とED、極めて限定された舞台と関係を軸に、じっくりと濃密な展開が繰り広げられる。
30分アニメ70話分という驚異的なボリュームは、総インストール約8Gという他に類を見ないふざけた数字にも表れているが、せめてパッケージには書いといてくれや。
私は公式サイトで初めて知って、目が飛び出ましたよ。

そして、度重なるパッチの嵐。
確かに、これだけの分岐を管理し、かつあらゆる種類のPCに標準化させるのは骨の折れる作業だろうが、それにしたってもう少しテストを重ねるべきなんじゃないのか。
とにかくシステム周りが雑。高スペックを要求してくるわりに安定とはほど遠く、よく落ちる。
パッチを当てないことには攻略すら不可能だし、フラグ管理もかなり甘い。
そのルートでは起きてないイベントが、翌日には起こったものとして話が進められていたり、作中で齟齬が生じるケースが多すぎ。
フルアニメという性質上、やむをえない点もあるが、それでもこれだけボリュームある作品で、既読スキップがないのもいただけない。(4倍速再生はできる)
分岐条件がいまいちファジーで攻略が難しく、それなのに十数種類の多彩なEDを備え、再プレイ必至である今作では、シーンスキップ機能を実装するべきであるのに、プレイを重ねるたびに繰り返し同じシーンを見せられ、いい加減うんざりしてくる。
次にはいったいどんな鬱展開が待ち受けているのかだけが楽しみで、ひたすら我慢の一手でプレイしたが、それでもこれは大きなマイナス要因でした。

音楽やボイスはかなり豪華。この業界なら誰もが名前を知っている歌い手や声優が、もうインフレ気味なくらいにわんさか登場し、売りのわりにいまいちな出来のアニメに華を添えている。
各話ごとに挿入されるOP・ED、最終話でのEDテーマは内容に沿って少しずつ違っており、かなり手の込んだ作り。
だが、本当の売りであるはずのアニメ自体の出来は、実は大したものではなく、よくあるエロゲのOVA化作品レベル。
止め絵になることもままあるし、口パクのない箇所もザラ。
わざとロングカットにして動きの少なさをカバーしようとしている箇所もかなり多い。
正直、他作品で見られるような、要所要所で挿入される高品質なアニメのレベルには到底至らない。
おそらく確信犯として質より量を取ったのであろう、1ルートにつき1話30分×6話の構成は。
それをすべて動かすというのは並大抵の作業量ではないだろうし、そのボリュームから考えると全体的にはまずまずの出来。
アップ以外は最初から大した作画レベルじゃないので、崩れても大差ないという皮肉に満ちた結果ではありますが。
むしろ、肌つやが良すぎたり、髪の影が顔に落ちすぎなことの方が気になったよ。
いったいどんな分厚い髪の毛ですか。全員ナチュラルマープ?

声優陣はミスキャストはないのだが、妙に演技が間延びして聞こえるのは気のせいか。
これは、アニメに合わせて再生速度を落としただけか?
基本的に物語のペースが鈍重なので、私はほぼ2倍速でプレイしましたが、それでも普通にセリフ聞き取れました。
間を読めない奴ですいません。だってのろすぎるんだもん。

そんな感じで、基本的には普通の作品なのだが、この作品を異質たらしめているのは、何と言ってもそのシナリオ。
甘酸っぱい学園物でちょっと三角関係、最後は切ないけれどハッピーな純愛物語をくれぐれも期待してはいけません。
後々、きっと心の傷となって、夜毎うなされる羽目になるでしょう。
それぐらいインパクトのある各EDをご用意してございます。

主な登場人物は3名。プレイヤーである主人公と、クラスメートで密かに主人公に想いを寄せる世界(人名だよ)、主人公が電車の中でこっそり憧れているだけだった、隣のクラスの美少女、言葉(これも人名。「ことのは」です)。
なんだ、普通じゃん、と思ってはいけない。この3人のうち、2人がエロゲ史上類のないキャラ造詣なのだ。

まず主人公。こいつは、かのヘタレで名高い「君望」の主人公をも凌駕する、まさにエロゲ史上最低のヘタレ男。
最後の最後まで態度が煮えきらず、二人のヒロインの間で揺れ動き悩むふりをしながら、寄ってくる女は片っ端から食いまくり。(エロゲだから仕方ないが)
プレイヤーの意志とは裏腹に、下半身の状況に従って勝手に行動を決められるもんだから、おいおい、私が今までせっせと上げた好感度メーターって何だったの? と(゚Д゚)ポカーン状態になることもしばしば。
これじゃこのメーターシステムいらないじゃん。むしろ、チ○コメーターでも付けた方がよかったのでは。

そんな脳と下半身が直結している男が、なぜか校内ではモテ系。誰も彼もが奴に好意を持ってます。
この学校、よっぽど男のレベル低いですか? むしろ、世界の男性の半分は死滅してるような有様とか?
私が知らないだけで、ひょっとしてこれってSF作品だったりしますか?
主人公の友人も、主人公に輪を掛けた最低野郎なので、私にそう思われても仕方がありません。

そして言葉。こいつは、私が今までプレイしたエロゲの中で最凶のブチギレヒロイン認定。
ホラーでもサスペンスでも伝奇でもないのに、ここまで血しぶきを撒き散らし、刃物を持ち出すヒロインっていなかったよ。

よく考えてみりゃ、恋愛で刃傷沙汰になるケースってのは現実では溢れてるのに、エロゲでは少なかったな、と。
あてつけがましく自傷行為に走る奴もたくさんいるのに、そんな真似してみせるヒロインもいなかったな、と。
それが、結局は「従順でかわいい女の子」を心の底で欲しているメルヘン心理の現れなわけだが、このヒロイン、そんな兄さんたちの願いを、いとも簡単に蹴り飛ばしてくれちゃいます。

血と脳漿撒き散らして死んでみせるヒロインが初めてなら、
EDでヒロインの墓参りをさせられる恋愛物も初めてです。

しかも、パッケージにも宣伝材料にも、一言も「これは鬱ゲーです」なんて書いてないもんだから、何の情報もなく、無邪気にこの作品に足を踏み入れた人たちがパニックに陥るのも容易に想像できて気の毒になったり。
そりゃ、話題にもなるわな。

もう一人のヒロインも決して負けてはおらず、別の女とガキまで作ったヤリチンの主人公をブッ刺してみたり、こっそりと友達使ってライバルをいじめたり。

あのね。
これじゃ、あまりにリアルすぎて、現実に耐性のない真性のオタクはドン引きするから。

自分を傷つけない優しい世界で、無条件に慕ってくれる頭の弱いヒロインとひとときの夢を楽しみたいオタクが、こんな女のドロドロした部分がど真ん中直球にくる恋愛話、受け入れられるはずがなかろう。
「鬱だ」と言われる要因は、その辺にもあるのでは。

言っておくが、女はこれくらいのこと普通にやります。
そりゃ、刃物持ち出したり、飛び降りたりするのは最終手段だけど、そこまでの思考には簡単に行き着けちゃう生き物なのですよ。
友達使って裏工作? OKOK、そんなの今どき中学生でもやるわ。
カップル喧嘩中に付け込む? OKOK、付け込まれる隙を作る方が悪いんだよ。
「女の情念」と言うように、古来より、男が絡むと女は豹変する生き物なのだ。

それが分かってるから、私は「エロゲもとうとうここまで描くようになったか」とは思ったけれど、別段ひどいとは思わなかった。
ただ、何てことをするんだとは思ったが。メーカーが自ら「エロゲファンタジー」の掟を破っていいのか。
そういう点で、私はライターのしたたかな悪意を感じた。
「ほーら、これに耐えられるか、お前たち?」みたいな。
「どうせお約束の学園物だと思ってたんだろ? だが見事に騙してやったぜ、どうだ?」みたいな。
この叫びを聞きたかったのだろうなぁ、と思うと、その思惑は完全に成功したとしか言いようがないのですよ。

鬱展開を誇張するあまり、それを通り越して笑うしかない話になっちゃってたり、登場人物全員が学生のくせに、いとも簡単にガキを生む決心をしてたり、突っ込むべき点は正直ありすぎる。
一応のハッピーエンドはあるものの、むしろこのEDの2,3日後には、誰かが血を見る羽目になるだろそりゃ、というレベルのおざなりな解決しか見せない。確実にバッドEDの方が強烈だし、きちんとオチてる。
そういう点では全体的にまとまりがなく、結局何がしたかったの? と問われるような今作ですが。

ただ、この話をアニメでやったのは正解だとは思う。
ゲーム世界を俯瞰で見ることによって、臨場感がものすごく伝わってくる場面がいくつもある。
これは、リアルタイムで映像と音があるからこその演出。言葉が勝手に主人公の家に上がりこんでいるのに、それを知らない主人公と世界がHしちゃってる状況とかね。
表現方法を最大限に活用した点は大いに評価。世の中には「アニメ(やムービー)にする意味あんの?」と問いたくなる作品で溢れてますので。
業界に確実に一石を投じたことは確か。作品の全体的な質よりも、その作品性によって。
そういう意味では、怪作という表現がぴったりだと思います。

壊れるヒロインに耐性のある人、ドロドロなんてへっちゃらさ、という人、アニメが嫌じゃない人はどうぞ。
内気で繊細、現実の女性に夢を持っている、典型的なオタク像そのものな人はやっちゃだめよ。

……泣きたいなら、止めはしませんがね。

好きなものは好きだからしょうがない!!

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
74★★★

※注! この作品はボーイズラブ、しかも4部作です。従ってレビュー内容が4作全部にわたっており、未プレイ作品がある方はネタバレにくれぐれもご注意。

ボブゲ界のパイオニア的ソフト。BLを扱った作品では初の18禁であることもさることながら、その世界観やキャラに熱狂的なファンが多数おり、ボブゲ初心者としてはやはりプレイしておくべきだろう、と勇んで特攻したのはよかったが。

愛さえあれば、白いものすら黒と言い切れる腐女子のパワーを見くびっておりました。

何じゃあ、このまるでPC98時代のエロゲのように行き届いていないシステムは!!
製作にあたって、コンシューマーのAVGや最も近いフィールドであるエロゲのシステムを全然参考にしなかったのか!?
そもそも、ゲームを起ち上げると同時にいきなりフルスクリーンモードに切り替わる。
昨今のゲームはどうもフルスクリーンでやらせたいらしく、最初からそれがデフォルトになっている場合が多い。
ちなみに私は古参エロゲプレイヤーなので、どうもそれに馴染めず、未だにウインドウ派。
仕方がないので、さっそくコンフィグを開く。

……ない。
ウインドウモードへの変更がない。
(1作目のみ。2作目からはできます。が、表示位置の記憶ができません。タイトルコールのたびに画面中央に戻ります)

おまけに調整できるのはメッセージスピード(しかも3段階)とサウンドの有無のみ。
SFCのゲームだって、これよりカスタマイズできたと思うのだが如何。
「いじる必要がない」とチュンソフトのように究極のインターフェイスを追求しているならともかく、到底快適とは言いがたい手触り。
メッセージスキップはさすがに実装しているのだが、それもいちいち画面上部のコンパネを開かないと実行できないし、選択肢以降で解除になってしまうのも問題。
その選択肢がかなり多めで、多様なルートに分岐するのは評価に値するのだが、そのたびにこんな手間をかけていてはフルコンプへの気力がどんどん削がれていく。
おまけにセーブ数が10。とにかく選択肢が多く、CG回収にも手間取る作りなのに、何が何でも私に最初からやり直せと。
あんた鬼ですか!(血涙)

これはレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲーレトロゲー(以下10回繰り返し)

と無理矢理自己暗示をかけてゲームを進める羽目に。

とにかく全体的に質が甘すぎる
シナリオの伏線や展開、文章、背景、立ち絵、イベントCGに至るまで、ありとあらゆるところに粗が見受けられ、一度でもエロゲーのトップメーカーの作品をやったことがある人ならぶっ倒れること確実。
特に塗りに関しては叫びたくなるほどひどく、「外注の手を借りない」といえば聞こえはいいが、「おっと大変、明日提出の水彩画の宿題をやってなかったぜ」といわんばかりの突貫工事的な背景は目に余る。
私のような素人目にすら、ほとんど一発書きの下絵(もちろん鉛筆画)をスキャンして慌てて色をつけた、としか見えないのは、「作風です」と言い切れないレベルのものだと思うのだが、どうか。

キャラ絵にしても、いわゆる「アタリ」をとるためにいくつもの線が引かれている状態をそのまま取りこんでいるのだから、間違いなく下絵だと思うが、イベントCGですらこのありさま。
せめてこちらには力が入っているならば話はまだ分かるのだが、一枚丸々キャラのアップ、というものですら顔の輪郭線が複数ある状態。
最高に緊迫感のある場面でこれがドーンと出てきたときには、脱力を通り越して泣きたくなってしまった。

では、いったい何に力を注いでいるのかと問われると、これは萌え音痴の私でも容易に分かりました。
製作者自らが、並々ならぬ愛情と自キャラ萌えを持っていることに。
とにかくもう、腐女子のための萌え要素がてんこ盛り

  • 「女と見まごうかわいらしさ」(腐女子の好物その1)の幼なじみ(しかも生き別れ)

  • 全幅の信頼をおける「金髪碧眼の美形ハーフ」(腐女子の好物その2。しかし遺伝の法則を知らんのか)の親友

  • 面倒見が良くて頼りになる、でも「実は二重人格で鬼畜」(腐女子の好物その3)な兄貴分

  • 兄貴分の相棒で女房役の、家事の達人で甘やかし上手・実は暗い過去持ち(腐女子の好物その4)な癒し系存在

  • 誘い受の小悪魔系で好きな人に対しては一途(腐女子の好物その5)

  • エロテクは一流で自信家。皮肉屋だが実は優しい(腐女子の好物その6)←ちなみに私もこれにハマりやすい
  • その他にも、ちょっと変態入った医者(腐女子の好物その7)だの、キザが様になる弁護士(腐女子の好物その8)だの、冷酷眼鏡に白衣に元気系・ぷに系、と実に多彩なキャラが膨大なエピソードを携えてプレイヤーに襲いかかる。
    CD4枚に分けただけあって、その分量は途方もないもの。
    初作こそルートも少なくすぐに終わってしまうのだが、2作目以降は分岐の嵐。
    同じキャラのルートでもバッド・ハッピーと別れる他に、ノーマルやトゥルーにあたるエンドもあったり、
    直接本筋には関わらないまったく別のエピソードに分岐したり、とにかくボリューム(だけ)はたっぷり。

    あと、エロもかなり多め。
    激甘ラヴラヴなストロベリっぷりで砂を吐きそうなシチュエーションから、ほのぼの、鬼畜まで百貨店並みの品揃え。
    正直、パッケージから受ける印象で、「鬼畜ったって、そんなにすごいのはないだろうなぁ」と思ってたので、意外にも頑張っていたのには驚いた。
    最近の、エロが薄めのエロゲ業界よりはずっと頑張ってエロってます。ネクタイ拘束は基本です。

    イベント絵も非常に多く、絵や塗りが雑で安定していないのが気にはなるが、腐女子のやる気を促成するには充分。
    が、差分CGを回収するのに(エプロンの有無とか)かなり前からやり直さなければいけないというのはつらい。
    セーブスロットは10個しかなく、分岐は多いのにこれではあんまり。
    おまけに、ルート確定の選択肢も比較的早めに出てしまうので、必然的に共通部分が多くなり、再プレイが非常に面倒。

    そして、このキャラ造形。
    ……一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。

    この世界にはオカマホモと変態、子供しかおらぬのDEATHか?

    ロン毛禁止! 長髪が似合う男(特に日本人)なんて現実では砂粒の中のダイヤモンドほどしかいないんだよ。
    触覚も禁止! その不自然な髪の毛には絶対神経が通ってるに違いない。いくら何でも重力に逆らいすぎだ貴様ら。

    それなのに、受キャラは基本的にロン毛だし、骨格も女にしか見えない華奢さ。
    おまけにエロCGでは心なしか胸まであるし、ケツも丸くて肉付きよすぎ。
    実は私、こういう「やってることは少女マンガなんだけど、相手とりあえず男にしてみました」的なBLが一番苦手。
    そんなの、ホモの意味ないのでは。
    案の定、主人公と幼なじみがくっついちゃったことを知った親友は、ちょっとはびっくりするものの、あっさり「おめでとう」とか言ってるし。
    そこ! 「男同士だろ」とかツッコミはなしですか。自分の親友を非生産的な不毛な道に歩ませていいんですか。
    あまつさえ祝ってる場合ですか!
    同性同士だからこその苦悩とか迫害とか逡巡とかないんですか。
    そんなことを考えていてはむしろボブゲやる資格はないのですか。

    さらに、学校は男子校、教師も男、友人も男、周囲の関係者もみな男、とものの見事なメンズワールドが展開され、ストーリーにこれっぽっちもまったくカケラも女性が出てこない。
    そのため、もンのすンごく香ばしいファンタジー臭が漂う疑似世界が展開されてしまい、現代を舞台にした作品では、たとえ荒唐無稽であってもある程度のリアリティを重要視する私としては、「あは、あはははは……」と乾いた笑いしか浮かばなくなってきていたり。
    女がいなけりゃ、ホモのお前たちだって誰も生まれてこれないのに、そんなことお構いなしですか。
    敵の幹部、もしくは自分たちの協力者など、たった一人か二人でもいいから、ちょっと印象的な役にでも女性キャラを設定しておけば、この嘘くささだって相当緩和されたはずなのに。
    まぁ、腐女子ってのは、自分たちだって女性なのにストーリーに絡まれるのは嫌らしいですが。何で?

    そういったいびつな世界観を持っているため、最初はそれに馴染めずへこたれ気味でプレイすることになるのに、
    シナリオの日本語が壊滅的。顔文字((><)←こんなの)が普通に出てきたとき、私の心境はΣ( ̄△ ̄|||)でした。
    そんなAVGなんて、私のむやみに長いゲーマー人生の中でも初めてです。
    これだけでもまず萎えなのに、とにかく勢いで書きなぐった、といわんばかりのセンスの感じられない文章の数々。
    一人称なのはまぁしょうがない。本当は相当に巧い人がやらないとアイタタタな結果になってしまう手法だが、とりあえず、元気がよくてちょっとおバカ、かわいカッコイイ系な主人公の雰囲気はよく出ている。
    ……でも、バカすぎてときどき泣きたくなったんDEATHけどね。

    シナリオ自体はライトで明るい学園コメディを装っておきつつも、要所はきっちりシリアス。
    なのでこの文章が余計に痛いのだが、ありがち設定を駆使しつつも、感動的・または心に痛いエピソードを惜しげもなく投入し、飽きさせる、ということはない。
    展開自体はかなり先が読めるのだが、キャラに慣れてさえしまえば、「しょーがねーなー」と諦めもつき、苦笑して物語を楽しむか、という気になってくる。

    でも、悪の親玉の行動原理とか組織の資金源とか、バックグラウンドがとにかくいい加減で、設定自体に説得力が皆無。
    よって物語としては三流
    パッケージや宣伝資料に「学園なんでも屋」という単語が頻出するので、ひょっとして学園アクションコメディか? なんて期待してプレイすると、肩すかしを食らったうえに勢い余って一回転(ひねり入り)してしまうくらい、そんなのどうでもいい設定となってますので、皆様騙されませんよう。(私はちょっと騙された)

    逆に、人間関係のプロセスをすごく大事にしているので、恋愛物としては一流半。
    このボリュームを最大限に生かし、4枚分のエピソードを積み重ねていくにしたがって徐々に変化していく関係をじっくり丁寧に描写しているのには好感が持てた。伊達にボブゲのパイオニアではないということか。
    エロゲの純愛物にありがちな、「出会って恋に落ちた→大したエピソードもなくすぐエッチ」というアホウな恋愛模様よりはずっとやきもきできるし、葛藤や逡巡もきちんと描かれてます。
    なぜか、男同士ということに関しての葛藤はほとんどないのDEATHがね。

    1・2作目では物語がまったく動かず、半死半生でプレイする羽目になるのだが、3作目で急転直下、4作目で大団円とボリュームに相応しい展開を見せたのも評価。じゃないと、これを全作買ったユーザーが浮かばれない。
    逆に、1・2作目だけで止めてしまった人がいるのなら、ぜひ3・4作目はやってみてほしい。
    私も最初の2枚までは危うくクソゲーの評価を下しそうになりましたが、最後までやってみたら意外にも持ち直し。
    案外まともな作品だったんだ、と今なら思えます。

    女性皆無のBL的世界観に違和感のない人、ご都合展開や伏線なんて気にしないぜ、という漢気のある人、腐女子レベルが高く、キャラ萌えだけでご飯3杯はいける、という人にかなりオススメです。
    キャラ立ちだけはめちゃくちゃしっかりしてますので。萌え狂う腐女子の気持ちがちょっぴり分かりました。
    甘甘エンドは正直どうでもよかったのだが、鬼畜、もしくは壊れ系エンドにはなかなか良いものが多かったので、甘いだけのラヴでは満足できない大人な貴女にもオススメ。
    やはり、名の通った作品にはそれ相応の力があるもんなのだなぁと感心しました。

    ……でもやっぱり、自分は真性のエロゲーマーなのだと痛感。
    帰りたい、あのフィールドへ帰りたいよママン!!
    脱ぐのはやっぱ女じゃなきゃ嫌だい! 乳とケツが拝みたいんだい!
    というわけで、しばらくはボブゲはお腹一杯です。ゲフゥ。(4作もやったから当たり前だが)

    新・御神楽少女探偵団

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    79★★★

    コンシューマーから18禁へとプラットフォームを変えた作品。なのだが。
    あいたー。これは18禁にしてはいけないゲームの典型になっちまいました。
    PS版ではぼかしてあったエログロの表現を遠慮なく盛り込んでしまったことで、コンシューマー版にあった魅力が損なわれてしまったという稀有な例。
    そして、何よりも爽快感の薄いシナリオ。

    とかくひどかったPS版の絵に関しては、さすがに老舗のエルフが手がけただけあって、原画・塗りともに隙のない高レベルなものに進化しているものの。
    キャスティングも見直しが計られ、PS版で「アンタ本当にプロ?」と疑いたくなる演技をかましていた某お嬢様等、ボイス面でも大幅に改善が見られたものの。

    残念ながら、キャラ立てと18禁というフィールドが噛み合っていない
    前作はパッと見は「3人娘で探偵団? ウヒウヒ、エロゲな予感」な雰囲気なのだが、同梱されている移植版をプレイすると分かる通り、見た目とはうって変わった硬派の、清潔感あるAVGなのだ。
    が、せっかく生き生きとした個性を持ち合わせていた3人が、「色恋沙汰」を最終目的として盛り込まれてしまったため、凡百の小娘に大変身。
    おまけにそのHシーンもかなり薄く、シチュエーションも強引で、「とにかくエロを盛り込まなきゃ」という意志が空回りしている印象を受ける。
    せめて、3人の個別のエピソードをもっと設け、時人との心の交流を丹念に描くべきだったと思う。
    最後の最後にきて、「私、先生が好きです→いきなりH」という展開はどうにも腑に落ちないのだ。

    また、肝心の快刀乱麻を断つべき探偵の時人が今作ではヘタレなのも問題。
    確かに推理力においてかつての冴えを衰えさせてはいないものの、いきなりジャンキーで廃人寸前、というのはこれから推理ゲームを解くぞ! という意気込みをしていたプレイヤーを脱力させるに十分すぎる。
    おまけに、目はうつろで頬は痩け、よだれと不精髭にまみれた、見るからに汚らしいグラフィックまできちんと用意してくれやがってる徹底ぶり。いったい誰がそんな名探偵像を拝みたいものだろうか。
    普通、プレイヤーにショックを与えるのは奮起を促すための演出じゃないのか。これでは萎える一方だ。

    そういった、「推理」以外の部分のシナリオにはかなり粗が目立つが、軸となるこちらはさすがの出来映え。
    意外性の高さや複雑に絡み合う伏線、プレイヤーにほんの少しの違和感を提示するテクニックも見事だし、謎解きも時折荒唐無稽な点はあるが、納得に足るレベル。
    さらに18禁ということで遠慮なくやれるようになった猟奇的エピソードと残酷描写がてんこ盛り。
    人によっては目を背けたくなるグラフィックや吐き気を催すであろうシチュエーションがこれでもか、と大量に盛り込まれているので、おどろおどろしい推理物に目がない人ならかなり楽しめるはずだ。
    だからこそ上記の2点が惜しすぎるのだが。

    読むだけでないシステムとして「推理トリガー」を盛り込んであるので、ゲームとしてはかなり好感触。
    自分で能動的に介入しないと解けないようになっているので、ダレがちな長編AVGによい緊張感を与えてくれるし、そうして謎が解けたときの爽快感もひとしお。

    ただ、推理ゲームとしてはバックログを読めることが必須だと思うのだが、これがなぜかできない。
    この辺のシステム周りは少々片手落ち感が否めない。
    セーブもチャプターごとにしかできないので、別の選択肢をしてみたいときが面倒。
    ゲームの性質上、どこでもセーブ、というわけにはいかないだろうが、尺の長いゲームでもあるので、その辺もう少し融通を利かせてくれると良かったと思う。

    本格推理物、ゲーム性のあるエロゲーを求める方にお勧め。
    ただし、残酷描写にお気を付けて。シャレじゃなくかなりキッツイのがありますので。

    斬魔大聖デモンベイン

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    83★★★

    これは好き嫌いが別れるであろう、ある意味問題作。
    「"Hello,world."」ほどの明らかな失敗作でもないし、総じて手堅くまとまっている。
    が、往年の虚淵玄節に慣れてしまったニトロファンには、受け入れられるテキストかどうか、というのが非常に重くのしかかってくるのだ。
    あちらがコクもキレも鋭い、重厚な円熟味を感じる安定した古酒の味わいなら、こちらは若さとパンチ力に満ちた新酒といった趣。

    とにかく勢いはある。だが、対象を違う言葉で何度も繰り返して表現する手法が多用されており、ともすればしつこすぎるきらいがあるため、マシンガントークが上滑りしている印象を受ける。
    虚淵氏が極力無駄を書かないことで物語のテーマや輪郭をくっきりと浮かび上がらせているのとは対照的に、訴えたいことをあらゆる方面から何度も畳みかける、この絨毯爆撃的な手法はある種諸刃の剣。
    好きな人なら気にならないだろうが、一度鼻についてしまうとうっとうしさがまとわりつく。
    特に、ゲーム・漫画・アニメのパロディ的なネタも多く、多少ならお遊びとして許容できるのだが、これまた相当多用されている上に、かなりシリアスな場面にも登場するのは少々やりすぎの感が否めない。
    良くも悪くもライトノベル臭が強く、この手のテキストに慣れていない人はつらいかもしれない。
    今回のシナリオライターは鋼屋ジン氏だが、私が以前読んだSSとはだいぶスタイルが変わっているような。
    ゲームのシナリオと小説とは形態が違うので、あえてこの手の形式にしたのかもしれない。

    だが、そういったテキストの方向性に目をつぶれば、ストーリー的にはかなり読ませる力作。
    ニトロプラスのゲームであることを十二分に念頭に置いた、熱く、スピード感に溢れ、時には切ない各エピソードが、これだけのボリュームを持ちながら、伏線を破綻させずにきちんと収束していく様は圧巻。
    ルートごとにヒロインが変わるのはもちろんのこと、それに合わせて最後の敵すらも変わってしまう。
    もちろんエンディングも世界の秘密をしっかり提示し、据わりが良く、納得に足る出来であるため、死ぬほど長い苦痛を延々と与えられた挙げ句、ヒロイン全員のエンドが同じという同メーカーの超ボリュームを誇る某ゲーム(相当心の傷)とは満足度が雲泥の差。
    さらに、エンディングの扱い方が相当に巧い。長大なボリューム、クトゥルー神話というネタの設定を最大限に生かし、かつ後味に爽快感を伴うという、ニトロ作品には珍しい一本となっている。

    音楽は臨場感たっぷりで、ボリュームあるゲームにふさわしく曲数も多め。
    曲のタイトルも奮ってるし相変わらず良い仕事をする音屋さんたちです。
    テーマソングは生沢佑一氏。静かなイントロから壮大なサビへと情感たっぷりでOPにふさわしい、熱い盛り上がりを予感させる良い仕上がり。
    一方音声は、せっかくの超豪華声優陣なのに、しゃべる場所が全体量から見てかなり少なめ。
    尺の長い物語なので仕方がないと言えばそれまでなのだが、残念な感は否めない。
    PS版はフルボイスらしいので(しかも我が愛する矢尾一樹氏や若本規夫氏、中田譲治氏という豪華っぷり!!)、ぜひこのキャストをPC版で……と嘆き悲しんでいる次第。

    システムは微妙に使いづらい。私は大丈夫だったが、プロテクトの誤爆が多発しているらしいし、バックログがホイールで見られないのが致命的。
    システム周りは直感的なインターフェースで操作できることが大前提で、細かい設定などは二の次だと思うのだが、今作はそれが逆になってしまっているのが残念。
    大作とも呼べるボリュームのゲームなだけに、やはり気持ち良い操作感は必須だと痛感した。

    シナリオは真っ向勝負の力技。
    小手先のテクニックに頼らない、逃げも裏技もない愚直なまでの正面突破
    虚渕氏に比べれば確かに青臭く、つたない点もあるけれど、それは個人の好みの問題だと思う。
    とにかく複雑きわまるクトゥルー神話体系を題材に取りながら、これだけ綺麗かつ納得に足る帰着を見せたという点。
    これだけでも、他の些末な問題点には目をつぶってもいいくらい高く評価できる。

    大方の予想通り、私はクトゥルー関連もわりと好きで色々読んではいたが、例のダーレスによって付け加えられた設定を包含しつつ、それを効果的に生かしたストーリーには大いに感心させられた。
    物語ではアルノーマルエンドにあたるエピソードだが、これは鳥肌めいたものを感じるほど印象に残った。

    たった二人の善なる神。
    それは邪神を封じるために永遠なる時を戦い続けるアルと九郎の姿であり、本来なら選ばねばならない道を選べず、彼と共にあることを願ってしまったアルによって顕現した世界。

    誰からも責められる事のない罪。
    故に。
    誰からも赦される事の無い罪。
    (ゲーム本文より、アルの独白)

    たった一つの、ラストの選択肢によってハッピーエンドへと至れることを知っているプレイヤーなら、その切なさに胸をかきむしられるであろう心震えるラストだが、そこで彼らを善なる神として扱うことで、「邪神群を封じる旧神」を存在させたダーレスの設定を見事に説明できている。
    それは、なぜ「旧支配者同士の対立」が存在するのか、という疑問への答えにもなっているという周到さ。
    希望などない、邪神に支配された世界に生まれたたった一筋の光。
    それがアルと九郎であり、「選ぶべき選択肢」を選ばなかったが故にハッピーエンドへ至れなかったプレイヤーに残された次への希望でもある。

    ゲーム自体のボリュームと寄り道表記の多さのため、実はプレイ途中で結構中だるみしてしまったのだが、罪の意識に苛まれながらも己の幸せを貫き、痛みを伴う幸福を得るこのラストは大変に私好みのため、評価はかなり高い。
    哀しくも美しいこの手の味わいのラストは、覇道瑠璃のルートでも味わうことができる。

    いつ終わるともしれない、その「いつか」のために戦い続ける物語。
    決して己の想いを口にすることはできず、たった一人の少女を護るために何度敗れようとも立ち上がり、回り続ける物語。
    それが切なく、毅然とした印象であるがゆえに、そのループが破れたときに訪れる優しいエンディングの感動は大きい。

    と、ここまで書いておいてなんだが、どうでもいいことが気になったので一つ。
    瑠璃は財閥のお嬢様のくせに下着ダサすぎ
    オーバドゥやラ・ペルラくらい着てろや、と思わずツッコミを入れたくなりました。
    エメラルドクリーンと白のストライプはないだろう、今どき。(しかもあれは絶対綿パンツだ)
    あれで超萎えたのは私だけではないはずだ……と思っていたら、ネットでは萌えてる人多数ですげぇビックリ。
    やはり、オタク層には受ける記号だったのですか、エメラルドクリーンと白のストライプ綿パンは!
    私が男なら、脱がした時点でその場で回れ右して帰りたくなるくらい萎えたのですが。

    あと、九郎がデカすぎ。(何が? ナニが)
    絶対入らねぇ。むしろ裂ける。間違いなく。しかも相手はロリだし。痛いっつーの!!
    男は大きさよりテクです。これ絶対。
    大きいのは痛いだけ。良くも何ともありません。これ真実。
    こちとら、正真正銘の女が言うんだから間違いない。
    (いや中には「大きくなきゃイヤ~ン」という方がいるかもしれないが。つーか下品ですいません)

    というわけで、熱い物語、ロボット物、絶望的な状況からの逆転劇、人外ロリ、クトゥルーなどのキーワードに敏感に反応してしまう方にお勧め。

    あ、ライカルートについて書き忘れた。が、ボスが違うだけで普通。特筆すべきとこはないです。私にとっては。
    リューガとの殺し愛は結構ツボだったのですが。
    仮面ラ●ダー的な懊悩する主人公が好きな人ならいいかもね。

    沙耶の唄

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    82★★★

    ニトロの屋台骨、虚淵玄+中央東口コンビの最新作。
    業界の各情報誌に、
    「過去の作風である『漢祭り・火薬弾薬祭り・日本刀カンフー祭り』を深く反省し、野郎キャラよりも大勢のおなごキャラを出す」
    と、18禁ゲームメーカーとしては至極当たり前なのだが、ニトロファンには驚愕の野心溢るる声明文を発表し、いったいどんな作品に仕上がってくるのかと戦々恐々としていたら。
    ゲーム起動開始と同時に爆笑。

    何せオプションに、「グロ(画像)をそのまま表示」「フォーカスをぼかす」「明度を落とす」なんて選択があるし。
    そうか、そうきたのか、ニトロ。単なるおなご祭りなんてするわけないとは思ってたよ。
    さすが私の愛するメーカーだぜ!( ^ー゚)b

    というわけでこのゲーム、イントロ部からいきなりグロ画像です。
    それも、思いっきりスプラッタでこれでもかというくらいに緻密に描き込まれた臓物様が。
    しかも、描写も微に入り細をうがち、それを引きずる音まで再現しちゃってくれてるので、この手の作風がダメな人はおとなしく回れ右した方が無難。
    最初っからグロ全開でいくためにすぐ見慣れてしまい、慣れるとさほどでもないのだが。

    CGはお馴染み中央東口氏。
    元々異形の生物を描くのが格段に上手かった氏だが、やはり作品を重ねるに従って普通の人間を描くのも相当レベルアップしたのが伺える。
    タイトルにもなっている、キーパーソンである沙耶の無邪気なかわいらしさは文句の付けようのない出来だし、抑えた色調のシックな画風は、作品の雰囲気に抜群にマッチしている。
    また、高レベルな音楽でも知られるニトロだが、今回は突出した楽曲こそないものの、どれもホラー作品に相応しい不安感を煽るような曲調で、画面との相乗効果もきちんと計算されている。
    もちろん、一部に有名キャストを起用したキャラボイスもハマっており、全体的にそつのない作り。

    低価格作品でありながら、常時相当のレベルのものを見せつけるニトロらしく、システムにもまったく手を抜いていない。
    特に、ホイールで文章を送れるのがとても便利。
    私のようにものすごい勢いで文章を送る人間にとっては、クリックよりこっちの方が断然楽で早いので、これはかなりありがたい機能だった。
    もちろんバックログもホイールで見れるが、残念ながら音声再生までには対応していない。

    さて、肝心のシナリオ。
    実は、初プレイ時には「面白いけど、虚淵氏だし当たり前。まっこんなもんだよね」と思ってました。
    それがとても失礼な感想であることに気付かずに。
    気付いたのは、ゲームをアンインストールして、レビューに何書こうかなぁと内容を反芻しつつぼんやり考え始めてから。

    確かにプレイ時間が短すぎて食い足りない気持ちが強かったし、伏線が生かしきれなかった部分もある。
    短編よりは中編くらいにすればよかったかなぁとも思う。
    でも、その内容はただのスプラッタホラーじゃなかった。

    あの救いのないラスト、その意図はプレイヤーによって受け取り方が千差万別だとは思うけど。
    あれは、認識障害を抱えている主人公視点だからこそああいう悲しげで綺麗な美しい景色が見えるのであって、それがもし普通の一般人だったら、どんなにおぞましい狂気の世界が見えてくるのか。

    そして、沙耶が異形の生物であることを知ってしまったのにもかかわらず、変わらず沙耶を愛し続ける主人公。
    それは、自らが異常であることを知りつつも彼岸を越えてしまったということだ。
    この一種のパラダイムシフトにプレイ時気付けなかったことが大変悔しく、その破壊力に気付いたときは後の祭り。
    ああもう、これだから私はバカだ。

    そこには、必ず救いが起きてしまう、ご都合主義の感動物に対する強烈なアンチテーゼが感じられる。

    この、誰が見てもハッピーじゃないのに、究極に幸福であるエンド。
    何て絶望的な美しさだろう。
    何て邪悪なメルヘンなんだろう。
    何て醜悪な純愛なんだろう。

    もう、さすが虚淵玄と言うしかない。現時点で間違いなく業界最高レベルのライターの一人。
    下手をすると陳腐そのものになってしまうネタをここまで散りばめておきながら、ホラーの恐怖と萌え、燃え、決して相容れない種との恋愛に起因する悲哀や寂寥を、ここまで絶妙の配置でバランス良く出してくるのは並大抵の手腕ではない。

    ある意味人をかなり選ぶ作品だが、対価効果以上の余韻が残るので、スプラッタに抵抗ない人はぜひ。
    旧作虚淵ファンで未プレイの人も、氏の新境地を味わえるのでぜひ。

    ところで虚淵氏へ。
    次はぜひともまた「漢祭り」の長編を出していただきたいと思ってるのですが。

    SNOW

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    72(kanon&AIR体験済)★★
    (kanon&AIR未体験)
    ★★★★

    (今回はゲーム内容の都合上、「Kanon」「AIR」ネタバレを多大に含んでいるのでご注意!!)

    ハァ~。ある意味最もレビューしにくい作品だと思う、コレ。
    作品成立に至るまでのの付加情報をまったくオフにして考えれば、かなりの力作ではある。
    が、付加情報に耳を貸さないということは、今作の場合圧倒的に問題がありすぎるのだ。

    今作を一言で表現するならば、よく言えば、奇跡の起きないkanon。破壊力のないAIR。
    ぶっちゃけて言ってしまえば、kanon&AIRところどころONEのコラージュカラーコピー。パソコンプリンタレベル。

    そう言われても仕方がないほどまでに、演出もストーリーも似通りすぎている。
    開発陣自らが「似せた」とゲーム情報誌で公言している通り、「オマージュ」の域を通り越してしまっている、ある意味見事なパクリっぷり。
    「パクリ」という言葉を軽々しく使うのは気が引けるのだが、そう言われても仕方がないだけの罪業をすでに背負ってしまっているのが如何ともしがたい。
    せめてもの救いは、決して「デッドコピー」ではないということか。

    この際、美点から挙げよう。

    木々を覆い隠す雪や、冬の光の柔らかさ、暖かさを十二分に表現しきっている素晴らしい背景。
    ちょっと微妙な表現かもしれないが、(みつみ美里+甘露樹)÷樋上いたる(各氏敬称略)な雰囲気を持つCG。
    塗りはものすごく丁寧だし、何より、人物に降り積もった雪の質感がリアルで素晴らしい。

    昨今の風潮に逆らうかのようにボイス無しではあるものの、それを補って余りあるレベルの高いSE。
    (ちなみに私はボイス嫌いなので↑これはうれしい)
    水のせせらぎ、吹き荒れる風の音、降り積もる雪、それを踏みしめる音、そういった自然の発する何でもない音を、まったく不自然のないレベルで再現している。
    そして、相変わらず類いまれな表現力を持つI'veサウンド。
    今回もその実力を遺憾なく発揮し、作品世界を大いに盛り上げている。

    ……だけど。だけどね。

    肝心の演出とシナリオがこうも上記二作品に似ているのでは、判断のしようがないのですよ。
    テンポの悪い会話、冗長な日常生活、構成すらほぼ同じ。

    メインヒロインクリア → 過去編出現 → 全ルート補完 → 最終ルート出現 → 終幕

    の展開は……それってAIR。
    さらにヒロインは、

  • 澄乃――メインヒロイン。Keyキャラ伝統の白痴。口癖「えう~、だよ~」。ラストが観鈴(C)AIR。

  • 旭―――人外で萎え。シナリオ重要度薄し。まんま真琴(C)kanon。

  • しぐれ―せっかく積み上げたシナリオ&設定、自らぶっ壊すストーリー展開に脱帽。ある意味舞(C)ONE。

  • 桜花――ガキはもうお腹一杯。泣きゲーのキーパーソンに子供使うの禁止。(C)AIR美凪編のクソガキ。
  • すごいよメビウス! 4人も取り揃えておきながら、真っ当にオリジナリティのあるキャラが一人もいないなんて!

    それはそうとして、この作品の一番弱いところは、すべてにおいてあざといまでにきれいすぎること。
    kanonのいびつさも、AIRの難解さも持ち合わせず、ただ両者を教本として極めて手堅くまとめてあることが失敗なんだと思う。
    丸すぎる。突出した部分がない。

    人を涙させる悲劇的な展開も、深い感慨に導く印象性も薄く、すべてが片付きすぎ、しかも整合性なさすぎ
    あの、AIRの「鳥の詩」が流れてきただけで脳内にゲーム画面がフラッシュバックするほどのインパクトがない。
    代表的なエピソードが、AIRのSUMMER編にあたるLegend編において白桜を殺してしまったこと。

    SUMMERでは、神奈は運命の輪に囚われてしまったが、柳也はそこであえて死を選ばずに生を全うした。
    当然、この場では生き抜くことの方が辛く、厳しい道であることがプレイヤーには分かっているから、だからこそ最後の、輪から解き放たれた神奈と柳也の姿を見て滂沱することができるわけで、そこがAIRの演出力の高さでもある。

    が、Legendではそれがない。さらに、ヒロインである菊花が極めて脳天気で身勝手な性格であるため、いかに天罰を受けようとも、プレイヤーとしては「ふーん、あっそ。でも当然だよね」としか思えないのだ。
    おまけに、白桜が生きてりゃ全然問題なかったものを、まったく意味もなく自殺させている。

    ここでだいたいのプレイヤーは「へ? 何で死ぬの?」と(゚Д゚)ポカーン状態になることが予測される。
    だって、肝心の両者が死んでしまったらそこで天罰完遂じゃないのか。輪廻に囚われる必然性がないし。
    関係者の処罰だって、鳳仙もしぐれもいずれ死ぬんだから、放っておけばすべて丸く収まる。
    自ら望んでこの過ぎてしまった事態をやり直す必要などどこにもないのに、ご丁寧にもやってしまってるのだ、この作品は。

    おまけにLegendを終えて、最終ルートに入ると設定がおかしいことに誰でも気づいてしまう罠。
    同軸上にあるはずのすべてのヒロインのルートが、実は同軸上にはあらず、何でこんなに唐突にパラレルワールド突入?
    と思わざるをえない。
    そして、それに関しては一切の説明がなされない
    いつからここは並列世界(C)YU-NOになったんだ??? と首をかしげることしきり。
    伏線を回収しよう、という意気込みが強すぎて、極めて基本的な足下が見えてないというのがよく分かる。

    そして、最後のルートも終わって戻ったタイトル画面。画像変わってる。

    ここまでAIRかよ!

    ……ある意味徹底してます。

    運命から解き放たれようとして、でも結局天の罰を最後まで享受した最終ルートのエンディングといい、この作品自体が、結局kanonとAIRの呪縛から解き放たれずに終わっている。
    すべてにおいて亜流でしかない、でも一流の亜流ではあるという、残念至極な作品。

    はっきり言って、あの「悪夢」のスタジオメビウスがここまで真っ当な作品を作れるなんて全然思っていなかっただけに、私には惜しすぎる作品だった。
    クリエイターとしての矜持を持った、誰にはばかることのない、完全オリジナルの作品を次作に望みます。
    本来なら、いくら同系列会社であろうとも、いや、だからこそ恥ずかしいと思って然るべき行為のはずなので。

    kanon、AIRの下敷きがあったから、とうしろ指を指されることのない。
    本気でやればできるんじゃん、と素直に褒め称えられる作品を見てみたい。それだけです。

    ところで、そんな評を書いてるわりに本家より点数が高いじゃねーか。とお思いの諸氏へ。
    これは、今作がAIRよりはテンポがマシで、白痴度が低いからです。
    観鈴はマジで耐えられないくらい低脳だったので。

    あとさ……私のマシンスペックが低すぎるのが悪いのは分かってるんだけどさ。
    総インストール1.8Gはやりすぎなんじゃ?
    そのわりにメディアレスにはならないし、右クリックメニューや自動文章送りなんかもないし。
    細かいところの気配りが抜けてるような気がするので、これも次作への宿題。

    参考までに強引にCD使わない方法を。(ただし、私は責任取らないので各自自己責任で願います)

    (1)ゲームディスク内のBGMフォルダを、HDDのルートフォルダにコピー
    (2)同じく、BGM以外の全ファイル(フォルダ含む)を、ルート以下の適当な任意フォルダにコピー
    (3)コピー後、install.exeから起動すればウハウハ
    (4)デスクトップに↑これのショートカットでも置いとけば、なおウハウハ

    ……だって、この方法使わないとCDアクセスが頻繁すぎて、私のマシンじゃ一向に進まなかったんだよ(⊃дT)

    そして魂の叫びを。

    芽依子を攻略できんのは、絵里(C)臭作を攻略できないよりも納得できん!!

    臭作

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    途中までは鬼畜陵辱ゲー。
    最後にいきなりエロゲーとしてのアイデンティティを自ら覆す大どんでん返し。

    このオチって要するに(以下反転)、
    お前、何でモニターの前で暗~くエロゲーなんてやってんだよ! やーい引っかかっただろ、バーカバーカ!
    と言われてるのと同じなのですが(苦笑)

    ラストまでやれば、激怒する人となぜか感動する人、萎える人、苦笑する人に大別することができるかと思われます。
    私は笑うしかなかったなぁ。最初エンディングを見たときは、「へ? 何じゃこりゃ?」と思ったし。
    冷静に考えてからは、「ああ、『書を捨てよ。街へ出よう』ってメッセージなのね」と解釈しましたが何か?

    臭作の言動が意外におちゃめなのが微妙にウケたので、個人的には満足です。

    水夏

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    78★★★

    「バッドエンドがすごい」という話を聞き、勇んでやったソフト。(ぉ
    確かにバッドエンドは面白かった。いきなり終わるわ救いはないわダークな展開だわ。
    だが、いまいち点数が振るわないのは、最初はよかったのに、最後の方が尻すぼみになってしまったから。

    1~3章までの「黒い」ノリを持続してくれたらもっと評価は高かったのだが、4章では突然感動物に日和見してしまい、かなり失望。
    私は3章が一番好きだ。何てったってドロドロぐちゃぐちゃの人間関係で最後がコワーイ愛憎劇だから。

    しかし、どの章にも言えることだが、シナリオが安直で文章下手すぎ。
    一つの段落に何度も同じ表現、統一されていない漢字に派手な誤字脱字。

    ノベルタイプのAVGは文章が主役。

    なのにその扱いがこうもお粗末では手に負えない。これでかなり興ざめしてしまう。
    それに、どのシナリオも、途中でほとんどオチが見えてしまう展開。
    むしろ、ハッピーエンドに持っていかず、完全にホラー仕立てにした方がインパクトがあって良かったような気がする。
    ぶっちゃけて言えばこのストーリー、ハッピーエンドが似合わない物語だから。

    私としては、1章の死人返りや2章の冬虫夏草のエピソード、3章の「真の黒幕」なんかは、ホラーとしてかなりいい味出してると思ったんだが。
    1章なんて、展開によっては腰抜けるほど恐い話にできたと思うし。
    最終の4章は、悪くはないけどありがちな味付け。愛憎劇が人情劇に急降下。だるい。

    18禁という限られた場でしかできない表現方法を求めてエロゲーやってんのに、そういうフィールドですら、

    「失われゆく命との絆」とか、
    「離れていたor忘れていた時を取り戻す」とか、

    ゴールデンタイムに視聴者からお涙頂戴するような、陳腐なドラマを見せられてたまるか。
    そんなのはやらせがお得意のテレビにでも任せておけばよし。

    私はこのフィールドに、18歳以上でなければアイデンティティが崩壊するような衝撃を求めている。
    だからこその年齢制限だ。

    「エロいから18禁」なのじゃなくて、「18歳以上じゃなければ危険」だから。
    「エロ」も「グロ」も「暴力」もあるけれど、それすら上回る圧倒的な力感と熱量。
    そういった力を併せ持つ作品にはなかなかお目にかかれない現実。
    「水夏」はやりようによってはいい爆弾になると思ったので残念。

    「水夏」の一番の弱点は、各ヒロインに個性が全然感じられないこと。
    引き合いに出して悪いが、Keyやleaf系の「痛すぎる個性」にも行き着けないし、確信犯的な狙いにも至らない。
    結果、「このあり余る感情をどうしたらいいんだーっ!!」ってことにならない。
    (それを「萌え」と言うのでは?)
    これって、エロゲーでは致命的なことだ。私が萌えないだけで、他のプレイヤーは萌えてるのかもしれんが。
    その辺、どーなんですかね? キャラ萌え事情には明るくないもんで。

    色々書いたけど、多少主題がボケている点を除けば、及第点のゲームだと思います。
    DC版はどんなオチになっているのか気になる。
    いや、ED改変してるって聞いたんで。

    シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
    88★★★★

    あのダークな雰囲気が気になって以前からずっとやってみたかったのだが、タイミングよくお勧めもあってプレイすることに。

    初っぱなからキてます。電波ガンガン届いてます。
    キャラ? そんなものは二の次でいいっす。
    コンシューマーになんて移植は絶対不可能。むしろ、したら殺ス。
    18禁であることの強みを最大限に引き出しているシナリオに脱帽。

    ボリューム的には長くない、むしろ昨今のゲームに比べて非常に短いくらいだけれども、それの持つ重みは全然違う。
    そして、一般的に見れば決してハッピーエンドじゃないけれど、一つの物語として、限りなく美しい収束。

    完成されたものが与えるインパクトというのは、こうも大きいのか

    そう思いました。

    あと、音楽が素晴らしいです。特に好きなのが「バッドエンド」と「瑠璃子」。
    ええ、私はそういうキャラです。

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