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つくとり

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
56★★

たかだか10時間もあればクリアできそうな今作を、長々と1週間以上かけて半死半生でクリアした。
最初こそ興味深くプレイしていたのだが、あまりにもツッコむところが多すぎ、途中からメモを取るのも面倒に。
かと言って笑いに転化できるほどの突き抜け感もなく、ひたすら襲い来る睡魔と倦怠感とに立ち向かった1週間。
途中で何度、「もう、ゴールしてもいいよね」(C)AIR と諦めかけたことか。
今作を説明するなら、「Win98が全盛の頃に、ラノベの新人賞一次審査で落ちた小説を元に作ったエロゲー」。
無駄と稚拙がよくない相乗効果を生み出し、今どきこれはないだろう、という古くさいパターンのゲームを作り上げている。

今作は選択肢がなく、序章後、前後編に分けられたシナリオをすべて読み終えると最終編が発生する仕組み。
個人的には、どうせ選択肢をなくすのであればノベル形式にしてほしかった。
数行しか表示されないテキストを延々とクリックし続けるのは苦行でしかない。
それに、ゲーム最大の魅力であるインタラクティブ性を犠牲にするのであれば、それにふさわしいだけの盛り上がりを見せてくれなくては。
なまじ高い金を払って、「電脳紙芝居」形式の作品を買うからには、相応の満足感くらいほしいと願ってもバチは当たらないと思うが。
とにかく作品全体が非常に安っぽく、あらかじめワゴンセール用に作られた粗製品のような印象を受けた。

さて、まずは絵。
私は基本的に絵はさほど重視しないタイプなのだが、さすがにこれは破滅的にダメだ。
シナリオとキャラクターデザインがあまりにも合っていなさすぎる。
原画は、「ブギーポップは笑わない」の挿画で有名な緒方剛志氏だが、他作品の絵と今作との間には暗くて深い溝がある。
どのキャラ絵・一枚絵にもやる気がまったく感じられず、ボリューム的にもずいぶんと寂しいのだ。
本当にシナリオ読んだ? と尋ねたくなるほどミスマッチで死んでいるキャラたち。
当然、そんな原画に意気など感じられないだろう塗りも冴えないまま。
だから、大した枚数もないそれが表示されても、まったく心を動かされることなどない。むしろ悲しくなる。

おまけに立ち絵もほとんどない。今どき、ここまで立ち絵を簡略化する作品など見たことがない。
おかげで、シナリオと整合性のない、またはミスマッチなシーンが多発し、これだけでげんなりさせられる。
背景にも乏しく、しかも質もあまり高くないとあっては、原画と立ち絵のまずさをフォローしようもない。
結果として、ビジュアル面の不備のせいでシナリオに水を差すことが多かった。
決してこの点は重視していなかったはずなのに、まさか足を引っ張られることになるとは。
やはり作品とは総合力だ。

音楽は可もなく不可もなく。OPはさすがに多少は良かったが、他は有象無象のレベル。
無音の箇所が多いのが気になるが、そもそも、楽曲のレベル自体は大したことがないのでさほどマイナスにはならない。
むしろCVがまずい。これはかなり大きい減点要素。
ここ最近、こうまで外したキャストを繰り出してくる作品に当たったことがなかったので、全力で椅子からずり落ちた。
ルルが犯罪級にダメだ。棒読み丸出し。素人臭すぎる。
他のザコキャラにならともかく、キーパーソンにこんなキャスティングをしてしまったのは予算の都合ですか?
しかも、一部主要女性キャラのみがボイス有りという仕様になっていて、彼女らに引けを取らない他のキーパーソンにすら声がないのが残念。
いっそのこと、こんな失敗したキャストなら、中途半端にボイスなど付けなければよかったとさえ思える。

演出とシステムには突出したところはない。
淡々と提示されたルートを辿るだけの作品なので、高度なシステムなど必要ないのは確かなのだが。
だが、かゆいところにはまったく手が届かない、愚直なだけの作りであることは否めない。
読むだけのシステムであるのに、まさかホイールによるメッセージ送りができないとは思わなかった。
今どきホイール付いてないマウス使ってる人、ほとんどいないと思うよ?
エンジンは椎名里緒だし、同エンジンを搭載している他作品(cx.あやかしびと)では普通に機能しているのになぜ?
どうもこの作品、各ポイントのあらゆる難が、どれもこれもシナリオへの集中を妨げようとしているように思えてならないのですが。

さて、肝心のシナリオだが。
正直言って、非常に肩すかしでがっかりした。OHPやパッケージから連想される正統派の和風サスペンス、狂気と戦慄で彩られる陰惨な物語を楽しみにしていたのに、いざ蓋を開けてみたら、しくじったライトノベルとしか言えない出来。
しかも、ストーリーの合間合間に、決して少なくはない量のギャグが入ってくる。
それだって笑えるならまだいい。笑えないギャグなど、飲食店のゴキブリほどに始末に負えない。

シナリオがダメである理由は数多くあるのだが、何と言っても設定・展開に無理がありすぎること。
今作のような、常軌を逸した閉鎖空間を演出するには、どんなエピソードを用いても許されると勘違いしている節がある。
プレイヤーがフィクションであることを忘れるくらいゾッとしたり驚いたりするには、ある程度のリアリティが絶対に必要。
それがどんなに荒唐無稽なSFやファンタジーであろうとも。
その、物語を展開するにあたって最低限必要なはずのリアリティがなさすぎて、興ざめすることが多い。

たまたま電車で乗り合わせた氏素性も分からない人間を、警察官が公務に同行させるものか。おい、守秘義務は?
そういう設定の小説やマンガは確かに多いが、それらは少しでも受け手が納得に足る裏付けをしているからであって、いきなり冒頭からそんな立場(しかも理由などない)を押しつけられたプレイヤーは呆気にとられるしかない。
そもそも、そんな無理強いをしてくる上に、口を開けば初対面の相手にくだらないギャグばかり連発する刑事キャラを、主人公がきちんとした警官として認識し、信用する方がどうかしてる。
この時点で、主人公の知能ランクは低能であると認定。それに伴い、この先の苦痛もある程度予測できる羽目に。

また、会うキャラ会うキャラが次から次へと同じボケをかまし、もはやツッコむ気すら失せる。
この村には、ツッコミを要しない人間は住んでいないのですか。全員、何かしらギャグに走らないとダメですか。
思ったよりもずっと明るくて楽しげな村デスね。もっと陰惨な雰囲気を期待していましたよ。そりゃもう、横溝ばりの。

うわー、水の中でしゃべれるなんて人外決定ですね。さすがつくとり様は違うわぁ。
あれ? じゃあ主人公はどうしてしゃべれるの?
物語の終盤、本来なら最高に盛り上がるであろう箇所で、頭から冷水を浴びせるような真似しないでください。

そういった、笑うに笑えない「地に足のついてなさ」が先へ進めば進むほどにボロボロと出現し、脳内は、起きてしまった事象を無理矢理納得するので精一杯。
物語にのめり込むだの集中だのできるレベルじゃない。
それに、エピソード自体が風呂敷をあまりにも広げすぎたせいで、それを扱いきれずにもがいている様がみっともない。
畳みきれない風呂敷を隠すために、その上からさらに大きい風呂敷で包もうとするのだが……の連続。
当然、物語がインフレを起こし、閉鎖空間で濃密に展開するはずだった因習と連続殺人の物語は、国をも揺るがす大ドタバタ劇へと変貌。
山の民や謎の宗教集団など、いかにもサブカル好みの設定を持ってきたまではよかったが、説明力もない上に「取って付けた」感が漂い、その消化不良っぷりが無惨。
結局、ライター自身が的を絞りきれていなかったせいで、数撃った矢が全部外れるという最悪の現象に。
いっそのこと、この手の設定をばっさりカットし、純粋に町内でのみ展開する物語にしてくれれば、もう少し据わりがよくなったはずだ。
多くのクローズドサークル物がきれいに着地できるのは、そうやって、人と場所を絞るからこそ。
全員が全員とも関係者、誰しもに裏の事情があるなんて設定、扱いきれるほどこのライターは敏腕ではない。

もう一つ。物語の展開もまずいが、日本語がまずい。あの伝説のPPのライター並みだ。
誤字脱字が異常に多く、表現もズレている。「焦げ臭い」を「据えた匂い」と表現する人、初めてですよ。
「掘の深い顔」ってどんな顔ですか。「満身創意」ってすごいね。超クリエイティブ。のっぽさん?
「検討ハズレ」って言い得て妙ですね。主人公の推理に対するライター自身のツッコミなんですか?
「弱みに漬け込む」ってどんな味の糠床?
何より、死体に対して「可愛そう」はないだろ。そもそも、「可愛そう」は造語だ。なぜ普通にひらがなで書かぬ?
それくらい、文筆業を生業とする者なら常識として身に付いているはずのものだろうが。

無頓着。文章を書くということに対してとにかく無頓着。無自覚。無責任。
単なる変換ミスはデバッグが足りなかったで済むだろうが(それだって作品としてはダメだ)、ここまでくると、明らかに書いたものを推敲もせず垂れ流しているとしか思えない。
少なくとも、「こんばんは」を「こんばんわ」と書く誤用を平気で繰り出してくるライターを、私は認めない。
「てにをは」も満足に使えませんか。小学校からやり直せ。
金を取って文章を読ませてるんだから、ある程度のレベルを求めるのは当然だ。
それがエロゲであろうがラノベであろうが純文学であろうが。
媒体など関係ない。それが文筆業のプライドというものじゃないのか。

一般的にはそこそこの高評価を得ているようだったので、期待を持って臨んだ結果、あえなく玉砕する羽目に。
そもそも評点の各ポイント全部がイマイチな上、ダメな部分が絶妙に合わさり、実にトホホな合体事故が発生。
一言で表現するなら、「安っぽい」。これに尽きる。
制作者の熱量がまるで伝わってこない。絵もシナリオもその他も。
「この手のジャンルは必ず釣られるファンも多いし、とりあえず狙っとけー」みたいなやっつけ仕事臭がして、稚拙だけれども魂込めて作った! という気合いがまるで感じられなかった。
(よく比較対象にされる「ひぐらしのなく頃に」には、それがひしひしと感じられる)
OHPには、「大変な困難を経て完成した」とあったのだが、それが何なのかは我々一般ユーザーには知るべくもない。
ただ、失礼を承知で言わせてもらえば、「本当なの?」と疑いたくもなるのですよ。
水中で会話が成り立つ超人類が横行する、現代日本を舞台にしたはずの超物語を読まされた身としては。
こういうトンデモ作品が、ユーザーのジャンル離れを起こす一因になっているということに気付いてほしい。

ミステリが好きだから。サスペンスが好きだから。伝奇が好きだから。和風テイストが好きだから。
そう胸を張って言えるユーザーがまだいるのです。そういう人間から、これ以上、足場を削り取らないでください。
そしてそういうネタを扱いたいと思っているクリエイターの方々。
その手に持っているのは、足場を補強する釘か、ぶった切るノコギリかをちゃんと見極めて作品を出してください。
それだけが、私の望みです。

咎狗の血 デスクトップアクセサリ

イベント合わせのお遊びディスク。店頭売りはしていないはずなので、お求めはニトロプラスダイレクトから。
普通のアクセサリーキットならまず買わないのだが、多くの腐女子を爆笑とポカーンの渦に巻き込んだタイピングゲームが収録されているとあっては、発注ボタンをポチッとな、しかあるまい。

ソフトの中身はその名の通り、壁紙やデスクトップクロック、ウインドウストラップといったカスタマイズアイテム集。
私? マシンはパワー&スピード命。壁紙は見づらいからいらぬ。時計はツールバー内のもので充分だし、ディスプレイは
液晶だから、スクリーンセーバもまったく必要なしッ!
という、その辺の会社で使われているPCなんぞよりも、格段に色気のない仕様にて稼動中なので、残念ながら、今後も収録アイテムが使用される見込みはないかと。
でも、この中身自体はなかなかにゴージャスで、それぞれ出来も良く、こういったものがお好きな人なら満足できるレベルだと思われます。

さて、ディスクのメインであるタイピングゲームだが。
一つ忠告。おふざけシナリオがダメな人、世界観を大事にしたい人は、近寄らない方が無難。
公式サイトのエイプリルフール企画に代表されるギャグのノリが好きな人なら、ぜひやるとよろしい。
プレイヤーはニトロキラルの広報キャラである「キラルくん」。
実は彼は、ENEDの別ラインプロジェクトから生み出された、まったく新しい戦闘兵器、その名も「愛のエキスパート」。
(ちなみにエマ曰く、「別名:ラブ・エキスパート」とのこと。変わってねーよ)
相手の懐深くへと入り込み、戦意を喪失させる能力を持つキラルくんが、「骨のある者を骨抜きにする(原文まま)」という
任務を負ってトシマに赴く、という、極めてバカ丸出しの設定。(※褒めてます)

骨抜きにするには、タイピングによる会話を成立させるわけだが、中にはキャラが嫌う会話もあるので、それを打つと好感度が下がってしまう。
当然、ネタバレ気味のものもあり、キャラの設定を理解していないと会話自体の意味も不明なので、本編クリアは大前提
また、誤答の出現率はかなり高く、マイナス幅も大きいので注意が必要。
とは言っても、基本的にミニゲームなので、クリア自体はごく簡単にできる。

打ち込んだ会話に対してのキャラのリアクションがやたらと面白く、立ち絵もスチルも全部使い回しなのに、シナリオと演出(と一部効果音)によって、こうも違う作品になってしまうのかと驚かされた。
特にアルビトロ様は必見。元々狂言回し的なキャラだが、確実に今作の主役は彼だ。
ライターの筆もノリまくっているのがよく分かる、絶妙のバカ加減。笑いすぎて手元がおろそかにならないように注意。
お値段はそこそこ安いので、パロディが平気な人、アルビトロ様が好きで好きでたまらない人はぜひ。

天使ノ二挺拳銃 -Angelos Armas-

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
67★★

ニトロやっちまいました。ブランド名(火薬)に引火して、アチチチ助けて119番、な状態です。
この、とてもニトロ作品とは思えない点数を叩き出したすべての根元は、システムの大失敗
これじゃなくて、通常のAVGかノベルスタイルだったら、たぶん点数はニ割増しだったと思う。
(それでも80点台は付けられませんが)

悪い点が多すぎるので、とりあえず良い点から。
絵、音楽に関してはもう安定の一言。抑えた色調の中央東口氏の絵は、終末感漂うこの作品にベストマッチしている。
ニトロの他の絵師では、とてもこの雰囲気を出せないだろう。
相変わらず、チンピラ・オヤジ・化物のニトロ三大必須キャラが群を抜いてお上手であらせられます。大好きだー!
萌え絵ばかりが綺麗であとはお粗末、という作品に比べて、格段に物語に厚みを与えている。
皺や髭を付け足しただけであとは若者と一緒、という絵を描いてしまう絵師が増えてきた中で、この描き分けの達者さはかなり貴重なものだと思う。
(言っておくが女性も上手だ。というかものすごい進歩を遂げた)

音楽はおなじみ、ZIZZ STUDIO。もうコツが分かっているというか、そぐわないというBGMがほとんどないので安心して聞いていられる。
毎回質の高いボーカル曲を出してくるが、今回のEDテーマも相当に良かった。ED自体はアレだがな。

さて。さてさてさて。今回のメインぶった切られ悪役(市中引き回しの上、磔獄門)であるシステム。
いったい今までの作品の蓄積は何だったのか、と頭を抱えたくなるほどにまるでなってない。
普通、作品数が増えれば増えるほどに、システム周りは洗練されていくものじゃないの?
そもそも、セーブデータをロードするのに10秒近く待たせられるエロゲなんてプレイしたことがありません。
これはPSのゲームですか? それとも記録媒体がテープレコーダだったころのアレ?
(若いプレイヤーは知らないだろうが、パソコンにはそういう時代があったのです。しかし私はそこまで歳取ってないよ)

1G以上もフルインストさせておいて、ディスクレスにならないこと、レスポンスが激悪なことも納得いかない。
何かするたびに必ずワンテンポ遅れるし、今回初搭載のうざったらしいエフェクトも切れない。
念のため書き添えるが、私のマシンは05年8月の現時点でも比較的高スペックな方です。
なので、マシンが原因という可能性はかなり薄いはず。

一番最悪なのは、AVGでありながら既読スキップがないこと。
ぶっちゃけ、最初と最後だけ読めば、中盤はどうでもいいシナリオなのDEATHがね。
それだって、既読スキップなんて搭載されて当たり前の機能、なぜあえて外してしまったのか問い詰めたい。
小一時間問い詰めたい。
おかげでこっちは、画面眺めたままの高速スキップ併用というアホな作業を繰り返すことに。

これでただでさえイライラが募るのに、このシステム、異常に不安定で何かの拍子にいきなり落ちます。
私なんぞ、あと2,3回画面送ればエンディング、という箇所でいきなり落ちた。
当然やる気は下降線。むしろマイナス。そんな状態が幾度かあり、既読スキップもないのだから、途中、セーブしないで延々とプレイしてると確実に泣きを見ます。(ホント泣けたよ……)
私のマシンだけかと思ったが、他にもそういう事例が多々あるようなので、間違いなくバグと言えよう。

頼むよー、こんなボリュームの少ない作品でそんな致命的なミス犯すなよー。
普段のニトロなら考えられないのだが、今回は、AVGとしてのシステムを一から構築したせいで仕方ないのだろう。
だが、新しいものを導入するときは、それに見合った保守を。安全性はシステムの最根幹を担う要素だ。

そして、よりバリエーションに豊んだ演出を表現しようとして採用されたであろうこのシステム、はっきり言ってウザいだけなのは私だけですか?
マンガのようにセリフや説明が吹き出しで表現され、一枚絵の背景にそれを喋るキャラがカットインで挿入される、という手法なのだが、ただでさえ説明が多く、難解で重いテーマがある設定であるのに、それを白抜きの吹き出しで小出しにポコポコ表示されるような真似をされちゃったら、読みづらいことこの上ない。
おまけにその吹き出しの出現位置が定まらないので、視線をあちこちに動かさねばならず、文との一体感、スピード感が全然味わえないのだ。
マンガなら右から左、ノベルタイプなら左から右、といった日本人共通のお約束をいとも簡単に飛び越えられてしまい、普通のゲームスタイルに慣れていればいるほど、こちらのリズムを簡単に狂わせられてしまう。
この点、もしノベルタイプだったら、文章のリズムを崩すことなく、違和感なく世界観に入っていけたと思われるのがまず失敗の一点。

さらに、これだけどシリアスな物語をこの手法でやっちゃったら、どんなに気を付けても

下手なアメコミみたいな三文芝居

にしかなりえないということ。
カットインのタイミングや絵、画面効果などは本当に見事なのだが、すべてに吹き出しが表示されるせいで、どう好意的に見ても陳腐なデジコミとしか思えないのだ。
おかげで、世界観に入りこむ前に作品に対する熱が氷点下まで下がってしまい、物語を楽しむどころではなくなる。

何でこの作品でこの手法取っちゃったんだろう。これは、もっと甘酸っぱ~いメルヘンラヴな世界か、この手法の効果すらギャグとして笑えるようなコメディ作品にしか通用しないのでは。
少なくとも、私は演出方法とシナリオとの間に深い溝を感じた。
もともと大したシナリオでもないのに、演出によってさらにその魅力が半減。こんなゲーム初めてだ。
(普通は、シナリオはいいのに演出は、とかその逆が多数を占める)

カットインのセンスには並々ならぬものを感じたので演出に8点を付けたが、吹き出しだけなら3点クラス。
もう二度と使わないでほしい。頼む。本当頼む。これ以上やられたら、ディスク叩き割りたくなる。
どうしても使いたいのなら、吹き出しかノベル式か選べるようにしてくれ。じゃないと忍耐が保たない。

そして、その最悪の演出とイヤな相乗効果を生み出してしまったシナリオ。
残念ながら、このテーマを扱うには、現時点では決定的に力量不足。
同社内に虚淵玄という卓越しすぎたライターがいるもんだから、その点をかわいそうには思うし、ある程度情状酌量の余地はあるのだが、どうしても比べざるをえない。
同じライターでも、いっそのこと鋼屋ジン氏(デモンベインのライター)のように、全然違う角度から切りこめばよかったのだろうが、終末という閉塞した世界観、異形の種、狂気の愛、ポン刀銃器カーチェイス祭り、どれもこれも虚淵氏の得意フィールドばかり。
となれば、あとは地力の差が出てしまうに決まっている。

案の定、最近流行りの「アンチハッピーエンド」に仕上げてしまったのだが、それがまず間違いの始まり。

安易なハッピーエンドには罵声を。下手くそなエンドには制裁を。

アンチハッピーエンドってのはものすごーく難しいのです。受け手に衝撃を与えつつ、それでも納得に足る結末を与えなければならないのだから。
そこのところを無視して、ざらつきだけを残すようなエンドってのは、そのときは確かに強烈に印象に残っても、結局は不快感しか残っていないもの。
むしろ、最後まで右往左往してるようなおバカちんが主人公の今作では、
「お前がグズで腑抜けだからこうなっちまったんだ、ボケ!」
としか言われないのが関の山かと。

さらに、黒幕の行動原理がもうすっっっっっっっっっごくチープ

今どき、

「女にフラレた(そもそも、好かれてると勘違いしてた)」→「誰も理解してくれない」→「ボク寂しんぼ」

くらいで世界を滅ぼそうとする短絡思考の悪役がいたんですね。思わず生ぬるい微笑を浮かべてしまいました。
火曜サスペンス劇場だって、もうちょっと気のきいた動機を思いつくぞ。
どうせ鬱を狙うなら、もっと救いがなく、もっとどす黒い、魂が汚濁されるかのような理由を。
おまけに君たち天使なのに、輪廻を信じるんですか。天使はブディストだなんて初めて知りました。

とにかく、一生懸命資料に当たって勉強はしたんだろう。それは感じられるものの、付け焼刃感が強すぎて、結果的に一つのストーリーとしてまとまりがなくなっている。
風子ルートでペーターが語った嘘の定義が、実はエンディングの伏線であるなど端々に光るエピソードも結構あったし、後半のアクションシーンはスピード感も出てきてよかったのだが、いかんせん途中のダラダラした展開が長すぎて、後半に入る頃には「もういいから早く終わってくれ」と祈るしかなくなる。
こういう話なら、各人の心理描写が重要になってくるのに、それがおろそかで状況説明ばかりがくどくどしく入るため、とにかく「うざい」という印象しか持てない。

今作に新人を起用したのは大きなミステイク。メーカーとライター、双方にとって不幸な結末しか生んでないし、実験作では新人の力を測れない。
シナリオ自体、確かに力量不足の感は否めないけれど、たぶん、ノベルタイプだったらもうほんのちょっとは高評価できたであろうので、演出に邪魔されたことを差し引いて、あと1,2作は様子を見たい。
過度の期待はしないが、成長の余地はかなりある。基本的には悪くないものを持っているとは思うので、正統派のゲームスタイルで、きちんとした監修の付いたものをプレイしてみたい。
「」内に句点を付けてしまうような凡ミスに気を付けて、精進してくれることを切に願う。
(↑私はこれが許せない。今作に限らず、結構間違ってる作品多々あり。日本語勉強し直してくれ)

メーカーとしては、これ以上私を苦しませないでほしい。この演出は、個人的に再度の使用を禁止します。
ファンディスク等のギャグ系作品じゃない限り、これを搭載したら私は買わない。徹底回避させていただきます。
それにしてもウロブッチー、ホモゲーのディレクションしてる場合じゃないっすよ! 屋台骨の危機っすよ!
ここらで一発、ガツンとメインシナリオかましてください!
こんな状態が続いたら、私はきっと死ぬ。_| ̄|○~0

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