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咎狗の血

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
83★★★

注! このゲームはボーイズラブゲームです。ホモゲーに免疫ない方は近寄らないように!
注2! 声優・エンディングに関してウルトラレベルのネタバレが含まれます。くれぐれもご注意!

とうとうやらかしてしまいました。初・ボーイズラブ(以下BL)作品。
はっきり言って、読むだけは結構読んでるのでBLという形態に特に抵抗はないのだが、それでも自分で買うというのはかなり二の足を踏んだ。
信じられないかもしれないが、今までそういった作品を1冊も所持していなかったからだ。(本当です!)

なのに何でホモゲーなんて、いきなりレベルAクラスのブツを購入するに至ったかというと、それが私の愛するメーカー、ニトロプラスの姉妹ブランドから出される作品、おまけに監修・ディレクションがあの虚淵玄氏だということで、理性のタガが一瞬にして飛んでしまったからだ。
漢祭りの第一人者がディレクションするBLゲー、これだけで脳内を爛れた妄想が駆け巡ったのは言うまでもない。

正直言って、BLゲーというジャンルはまだまだ若い業界で成熟には至らないし、良作よりも粗悪品の方が多いという評をあちこちで目にしていたので、いったいどんな代物に仕上がってくるかでかなーり不安を抱いてはいたのだが。

すんません。ニトロの底力をナメてました。さすがです。

すでにエロゲーでノウハウを確立しているだけあってシステム周りは完璧。
セーブコメント有、ホイールログ送り・バックログ対応、サウンド・シーン回想・CG鑑賞モードをもちろん兼ね備え、既読スキップや選択肢に戻るコマンドにショートカットも割り当てられていて、AVGを快適にプレイする環境は充分。
もちろんバグもないし、誤字も少ない。
CDレス起動はできないが、イメージ化は可能なのでディスクレスしたい人にも特に問題はない。

CGも、キメどころはきちんとスチルを用意しており、分量も申し分なし。
元々原画の方のセンスが好みなこともあるが、BL作品にありがちなヒョロヒョロした人体もなく、きちんと筋肉の付いた男らしい体つきの各キャラは、死のバトルゲームに参戦する、という設定に違和感のない作風。
背景や武器も、そこは親ブランドがニトロ。隙のないきっちりとした仕事。

お馴染みのZIZZ SUTDIOによる音楽もバッチリハマっていて、ハードなギターサウンドが荒廃した世界観をドラマティックに盛り上げる。
また、場面場面での音楽・SEの使い方や切り替えがかなり巧みで、今作は音楽による演出のレベルが高い。
ぶっちゃけ、今までのニトロ作品の中で、この作品の音楽が一番好きかも。(罠にはまってるぞ、私!)

「音」と言えば、今作で絶対に外されないのが、異常なまでに高レベルな各声優陣の演技。
バラして恐縮ですが、列挙すると、

  アキラ:先割れスプーン(鳥海浩輔)……主人公。パーフェクト受。
 ケイスケ:何武者(杉田智和)……主人公の幼なじみ。穏やかな人格でアキラを慕っている。
   シキ:緑川光……「イグラ」最強と噂される謎の男。超俺様人格。
   リン:鬼龍院隼人(福山潤)……明るいが時折冷たい表情を見せる二面性を持つ。
   源泉:一条和矢……街の情報屋。余裕があり面倒見のよいオヤジ。
アルビトロ:菱勝(岡野浩介)……犯罪組織ヴィスキオの幹部で「イグラ」の審判役。かなり変態。
  キリヲ:富士爆発(小西克幸)……処刑人。いかにもヤヴァイあんちゃん。
  グンジ:杉崎和哉(谷山紀章)……処刑人。気まぐれな殺人狂。
    n:Prof.紫龍(山崎たくみ)……謎の男。物語のキーパーソン。

という、「お前それは反則だろ!!」と言いたくなるような巧すぎる方々を惜しげもなく投入。
この辺がさすがニトロ。「斬魔大聖デモンベイン」で見せつけてくれたキャストの妙を垣間見た気分です。
特にケイスケ役の何武者氏。彼のエロボイスのおかげで、この作品の私的気恥ずかしさ度は300%を超えました。
彼の「アキラァ……」を聞くたびに、とにかく悶絶。
ゲーム前半の善良な人格を完璧に演じていただけあって、反転してからのサディスティックさやエロさが余計に際立ち、マジで鳥肌ものの巧さ。
はっきり言って、大好きです。ファンになりました。(だから罠にはまってるぞ、私!)
他のメンツも、変態は変態らしく、鬼畜は鬼畜らしく、鬼気迫る演技力でゲームの臨場感に一役も二役も買ってます。
(でも、n役のProf.紫龍氏が、同メーカー作品の某マッドサイエンティスト『西博士』と同じ人でビックリ。
役柄は全然違うのに、今にもギターをかき鳴らして超テンションを見せつけられる気がしてシリアスな場面で爆笑しちまいました……すんません)

さて、メインのシナリオ。
正直、設定に斬新さはさほどないものの、腐女子の萌えだけに突っ走ることなく、かといってそれを軽視もせずに手を変え品を変え、ここまでまとめ上げたのは並大抵の苦労ではなかったと思う。
それに、男性プレイヤーを非常に意識した作りだと感じた。
同性同士という異様なシチュエーションを、ハードな世界観と極限状態という非常事態に紛れ込ませ、あえて幸せピンク色のイメージを表に出さなかったのは正解。
おかげで私のようなBLゲー初心者でも非常にプレイしやすかった。

テキストが硬質のしっかりした文体であるのも取っつきやすい理由の一つ。
BL小説などでは、はっきり言って読むに耐えないレベルのものが多数あるが、今作はそれもなく、感情に走ることなく意識的に抑えた筆致が世界観を損なうことなくリアルさを出すのに一役買っている。
通常のAVG群と比較しても遜色ない出来で、安心して読み進められる。

だが、正直言って、ネタの扱い方には甘さが多く見られた。
どうしても女性向け、ということが足枷になるのは仕方がないのだが、世界観が重いわりに展開が淡々としすぎ、そして早すぎる。
描写は丁寧なのだが、何となく重みに欠け、私のように、「死のゲーム」から連想される、魂を打ち倒される鬱展開を期待するプレイヤーはかなり物足りなさを覚えるだろうということ。
むしろゲーム後半、「愛」や「信頼」といった生ぬるい感情論に傾きがちになり、そこが少し興ざめ。
せっかくの、ただ一人の頂点を決める死のバトルゲームという設定なんだから、もっとハードな殺し合い、目を覆いたくなる残酷な事実、燃えバトルなどを期待するのは当然ではないだろうか。
(あれで充分残酷だ、という腐女子の皆様ごめんなさい。殺し合い大好きっ子なもんで)

結局、メインの設定であったはずのバトルゲーム「イグラ」は、詳細なルールの取り決めがあったにもかかわらず、ほとんどその描写がなされない。
これは、シナリオの根幹として(ネタバレ危険!→)「イグラ」は壮大な茶番劇である、という設定があるので仕方がないのだが、それでも表面上は闘うために街に入ったはずなのに、バトル風味がこうも薄くては何だかなぁという気分がぬぐい去れないのだ。
デスマッチ大好きっ子としては、もっと執拗なくらいに(「鬼哭街」なくらいに)バトルシーンを持ってきてもよかったように思う。
そこで段々シナリオの裏が見えてきて……という展開なら、もっと熱くなれたと思うのだが。

また、キャラ別ルートに入ってしまうと、他のキャラの扱いがおざなりになり、基本的なシナリオの謎すら明らかにはされない、といった破綻が発生する。
結局、裏で糸を引いていた人物が唐突に出てきて真相を語り、あとは攻略キャラと脱出・エンディング、といった共通の展開はいかにも駆け足すぎ、おかげでせっかくエンディングを迎えても、何だかすっきりしない消化不良感が残る。
どのルートでも、もう少しエピソードの補完をするべきだったと思う。

これは、世界観の説明も同様だ。
日本を二分するほどの勢力を持つCFCと日興連という組織について、シナリオ中でほとんど触れられていないのはいかがなものかと思う。
公式サイト・雑誌情報などでは説明されているが、こういったものはやはりきちんと作中で解説されるべき
ほとんどのプレイヤーは予備知識など持たないのだから、既知情報として扱われても混乱を招くだけだ。
こうした情報を作中で扱うことによって、世界や人々の精神的な荒廃具合に裏付けと説得力が与えられ、物語世界を一層深いものにできたであろうに惜しいことこの上ない。

思うに、このライター氏、まだ固さが取れていない。だが、経験を積めば大化けする可能性大
潜在的な力量はかなりある。熱意もすごく汲み取れる。何より、殺愛支配愛など、「アナタ私の脳内覗いた?」と聞きたくなるほど、私的萌えシチュエーションを生み出す才能は希有のもの。
私の好み以外にも、大多数の腐女子をほぼフォローできるくらいに多彩なシチュエーションが用意されており、かなり研究したな、とその苦労を労わずにはいられない。
人によっては萌え死ぬ可能性すらある妄想の余地のあるキャラ造形は素晴らしいの一言。
おかげさまでうかつにも今作最大のバッドエンドで萌えてしまった大バカ者がここに。

ちなみにどんなエンドかというと、(ネタバレ危険!↓)

自分に密かな想いを寄せていた、普段穏やかな性格の幼なじみだったケイスケが麻薬によって黒人格へと豹変し、
大雨の中殺し合った挙げ句に恍惚と内臓引きずり出され、それを見ながら意識が遠のく(つーか死ぬ)

というもの。本当にコレ、腐女子ゲームか?(ちなみに私は変態ではない。念のため)

その他にも、とにかく一筋縄ではいかないエンディングばかりあり、BL作品特有の極甘ラブラブエンドを期待している方々には受け入れられない可能性大。(ちなみにそういうエンドもあります)
というわけで、シキエンドは激しく賛否両論らしい。
ちなみに私はシキエンド3(↓ネタバレ危険!)で萌えましたが何か?

麻薬王となったシキと、半ば精神崩壊し、シキの愛玩物と化したアキラ。
その類い希なる受パワーをもってしてシキの留守中に部下を籠絡し、帰ってきたシキの嫉妬心を引き出して二人して愛欲に狂うというバカップルエンド。

以上、新規ブランドだけに詰めの甘いところも多かったが、それでも今現在市場に溢れているBL作品とはいきなりレベルの違うところに突如現れてしまった今作、以降の業界標準となるべき作品なんじゃなかろうか。
ブランド処女作として非常に手堅い作りで、「ニトロの姉妹ブランド」というレッテルを良く生かしたという印象。
その分、冒険はあえて避けたという感じで、ぎらつく野心こそないものの、それでも心に訴えるものがあった。
とにかくこの業界に一石を投じよう、という心意気を感じる。
志、とでも言おうか。腐女子の中の漢たちが作った、とでも言おうか。私は好きです、こういう攻め姿勢。
これならニトロキラル二作目も買おうかなと思える出来だった。
BL未体験だけどやってみたい、という男性プレイヤーにもお勧め。
さほど気持ち悪さは感じない……はずです。たぶん。(ケツ穴痛そうなのは我慢してくれ)

天使のいない12月

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
63★★

Leaf東京開発室を過信したのが私の間違いだった。
もっと率直に言えば、所詮、「こみっくパーティー」のライターだった、ということだ。

とにかく、こんなにやる気が削がれたゲームは久しぶりだ。
何一つ盛り上がるところがなく、すべてが何となく進み、何となく終わる。
が、かといって「静かなゲーム」というわけでもない。それなら深みがあるだろうし、余韻もあるだろう。
まず、全体的にどんより感が漂っていて、結論をプレイヤーに丸投げしていることも相まって、最後まですっきりしない。
一本終えた後、「へんじがない。ただのしかばねのようだ」(C)ドラクエ
になりかねないくらいの倦怠感が襲ってくる。

例えば鬱ゲーならどん底に落ち込む衝撃を。
感動・泣きゲーなら心震える展開を。

そういった、最後に何かを得られるカタルシスに乏しく、「何でこんなゲームプレイしちゃったんだろう」とあまりにも虚しすぎる自己否定の感情すら覚える。
それこそがこのシナリオの主人公と同等のメンタルなわけだが。

人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送っている
(ゲーム煽り文より)

というのが主人公なわけだが、その造形からして何だかピンとこない。
私自身、無意味なポジティブは大嫌いだし、熱血やそういう鬱陶しい感情も御免被るけど、だからといっていきなり超ネガティブに走るような単細胞さは持ち合わせていない。
が、この主人公、高校生にしてすでに生きるも死ぬも面倒くさいと言っているほどの荒廃ぶり。
もしもし、君いったい過去に何があったのですか?

確かにバカだ単純だと言われて久しいけれど、それでも今どき(死語)の高校生が、こんなにも愚かで現実を見つめられないアホ野郎だとは到底思えない。
敢えて言うなら、そういう感覚から遠ざかったいい歳した大人が、世間的な情報だけで「今の若者ってこんな感じ?」と憶測でキャラを造っちゃったような雰囲気。
等身大であろうとして、かえってリアリティに欠ける。

そして、肝心のヒロイン達も、はっきり言って誰一人として魅力的じゃない。
むしろ、未だかつてこれほどまでに電波漂うヒロイン群に遭遇したことがありません、私。
絵は本当に綺麗でかわいく魅力的なのに、このシナリオのせいで、全員がもうどうでもいいキャラに成り下がっている。
そんなヒロイン群に、「本当は優しい子」だの「誠実な人」だの言われてもうれしくないよ俺。つーか迷惑。
と思うのがまっとうな人間だと思うのに、それに対していちいち揺らいでしまう結局冷めきれない主人公。
ひとたび各ヒロインと肉体関係を持ってからは右往左往すること甚だしく、心境の変化が性急すぎる。
その揺らぎっぷりが高校生らしい、といえばそうなのかもしれないけど。

だが、体のつながりだけがすべてだと考え、どこまでも恋愛感情を否定しようと理詰めで考えてしまう主人公。
その行動こそ、お前がすでに恋愛に陥ってる証拠なんだよ、と18歳以上のプレイヤーとしては、徒労感と共にやれやれとため息をつきたくなる。
ガキの独り相撲ほど、大人にとって見苦しいものはない。

そうして、修羅場もなくピンチもない、どうでもいいエピソードを積み重ねた挙げ句、はっきりした結論を提示せず、何だかもやの掛かったような、ぼやけたラストが到来する。
結局は別段鬱になるような展開が待ってるでもなく、開き直って快楽を求めきることもなく、かすかな希望の片鱗さえ見せつけるという、逆説的な人間賛歌で終わってしまうのだけれども。

言いたいことは分からなくもないが、全体的に力量不足。
黙って「こみっくパーティー」みたいなおポンチシナリオ書いてりゃよかったものを、柄にもなくこんな難しいテーマに取り組むものだから、失敗なんてレベルじゃ語れないくらいに消化不良気味。
せっかくのハイレベルなCGや質の高いBGMが、まったく力を発揮できずにぽつねんと取り残されている。
Leafのような大手ゲームメーカーから発売された作品でなければ、誰一人見向きもしないはずだ。
テーマは悪くないので、やる人を選ぶ作品であることは認める。ただ、方向性が間違っているだけだ。

私には大いなる地雷作だった。
確固たる自我をお持ちの方・ポジティブ思考の方にはお勧めできません。
ストーリーはどうでもいい上に、イライラするだけで何一つ得るものがないので。
逆に原画家のファンの方には良い作品かも。
最近のLeafには珍しく、結構頑張ってエロ絵描いてますんで。

ドラゴンナイト2

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
67★★

古いね、私も(笑)
どってことない、ご褒美CGがHなだけの普通の3DダンジョンRPG。
MがPCエンジン版をプレイした際、壁をすり抜けてマップ外の場所にはみ出たのにはまいりました。
……翌月、裏技としてゲーム雑誌に載っておりました。

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