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ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ

ブラクラファンでこれを読まないのは、あまりにもでかすぎる損失。
原作丸々1冊分をうっかり読み飛ばしてるくらいに損してると断言する。

超お勧め。むしろこれを読まずしてブラクラファンを名乗ることなど誰が許しても私は許さん。
それほどまでに本編と完璧なユニゾンを奏でた、ノベライズを超えた真・ノベライズ。
元々虚淵玄ファンの私の言を差し引いても、誰がこの作品に文句を付けられるというのか。
今まで、数限りなくノベライズというものに目を通しては絶望・諦観してきたが、今作に関してはその心配はまったく不要。
ブラクラ独特のあの空気、翻訳調のセリフ回し、乾いた笑いのセンス、圧倒的な銃撃戦。
全部見事に再現されています。

何よりも素晴らしいのは、本編では触れられていない伏線を、世界観を壊すことなく見事に昇華し、しかもそれを現在続行中の本編へと違和感なく繋げたこと。
バラライカの火傷の理由、原作4巻に出てきたラプチェフとの確執の原因、誰よりも部下を大事にし、その絆を何より重んじるバラライカが(超ネタバレ!→)どうしてかつての同志を自ら葬ったのか、等々、まるで、原作者本人が描いたと思えるほど遜色のないエピソードの数々。
普通、原作者以外が付け足した設定など見苦しいだけなのに、その融合っぷりがあまりに完璧すぎて、ケチを付けるべき隙が見あたらない。
特に、バラライカの行動原理は、本編最新刊である8巻の、張とバラライカが互いのレゾンデートルについて語るシーン(P25~)に絶妙にリンクしていてぞくりとさせられる。
最新刊と今作とを同時に買うファンは多いだろうから、これは非常に小憎らしい演出と言わねばなるまい。

虚淵氏がおそらく大好きなんだろうな、と思わせる張の格好良さは大全開。
その男伊達っぷりの前には、あの強烈な個性を放つラグーン商会の面々ですらも霞む勢い。
今作は、準レギュラーの方によりスポットが当てられているので、外伝的な話が好きな人はより楽しめる。
もっとも、ブラクラの世界では準レギュラーがレギュラーを食ってしまうほど勢いがあるのは誰しも知るところだが。

男の死に際と、残酷で冷徹で熱い物語を書かせたら右に出る者はいない虚淵玄。
今作でもそのパワーを余すことなく生かしきり、この、文章にするにはかなり難しい世界を見事に書ききっている。
300ページ強とボリュームも申し分なく、ブラクラ世界のスピード感も相まって一気に読める。
これで630円は安い。私ならハードカバーでも買う。とにかくお勧め。
あ、レヴィのSM嬢姿を見たい人も必見です。

できることなら第2弾を熱望。個人的な希望としては、次はダッチが大活躍する話を読みたい。
このタイプを虚淵氏が動かしたら絶対に面白くなると思うので。

Fate-Zero

注! この本は18禁PCゲーム「Fate/stay night」の外伝です。
文中にネタバレが大いに含まれますので、未プレイの方は回れ右。


■1巻
今作は絶望が約束された物語だ。
作中、いかに高潔に戦い奮戦しようとも、セイバーはマスターである切嗣自身によって悲願を果たすことを阻まれ、その切嗣
も呪いを受けて死ぬ。
時臣は戦いに破れて帰らぬ人となり、桜は間桐から解放されることはない。
誰がどう書いてもこの結末だけは正伝がある限り崩しようがなく、また、万が一崩してしまおうものなら、それは外典としかなりえない。
その、非常に扱いが難しい素材と、ともすれば原作者以外の作家を認めぬであろう熱狂的なファンをも相手取り、正面きって殴り込みをかけてくる挑戦的な姿勢に相応しいだけの力作であると断言する。
さすが虚淵玄。さすが業界屈指のライターだ。
その筆致は相変わらず淡々としていて、時には冷徹ですらあるのに、抑圧した熱量が一気に噴出したかのような疾走感。
挿絵がなくともビジュアルをいともたやすく想起させる、躍動感溢れる描写。
正伝であれだけのエフェクトと効果音を駆使して実現したそれに、ペン一本でここまで迫れることが驚異的。
正伝に引けを取らぬ、むしろアクの強さだけで言うなら断然上回るであろう登場人物たちも奮っている。
全四巻分の一。まだ全体のうちのそれしかない状態であるのに、すでにその存在感は圧倒的だ。
萌える漢キャラを書かせたら業界随一と言ってよい氏の仕事が光る。

私は正伝である「Fate/stay night」を何度もプレイしている人間だ。第四次聖杯戦争の結末は当然知っている。
それによってもたらされる以降の顛末も、約束された大団円も何度も経験済みだ。
だがそれでも、切嗣が純粋であるが故に自ら歩む道が悲劇に繋がると知ってもなお歩みを止めず、炎に包まれた街の瓦礫の中に士郎を見つけるまでの足跡を、そして、強固な信仰故に空虚へと至ってしまった言峰の虚無を見届けたいと思う。
残酷で無慈悲な絶望と結末を決して咎められない、それが必然である物語。
「ハッピーエンドでなくてはならない」枷を外された虚淵氏が、登場人物たちを最後の慟哭までどのように導いていくのか、これほど続きが楽しみな作品、久しぶりです。
(2007-02-14 18:32:02)


■2巻
虚淵氏、私を萌え殺す気か。
いよいよ本格的なバトルロイヤルに突入し、次から次へと各所で、ド派手で予測のまったくつかないバトルの連続。
それに加え、内面描写の充実も著しく、各キャラの懊悩を織り込まれた物語は、息が詰まるほどの緊張感。
手に汗握る、とはこのこと。
かと言って、息の抜きどころも諸処に用意してある巧みな緩急に、またもや時間を忘れて読んでしまった。
(ぱんつはいてない!)
特に、セイバーのいびつさというものが、他の王2人と対比することによって鮮やかに描き出されており、本編でいまいちしっくりこなかった人も、今作を読めば得心がいくのでは。
これは、本編の対比者が士郎という、自身がいびつで不安定なキャラであったのに対し、今作はいずれもすでに功なり覇を遂げ、王としての確固たる自我を持つキャラが当てられているがゆえの効果。

また、各人の報われぬ思いというものもいよいよ深く掘り出されており、その切なさに胸打つ相変わらずの虚淵節も健在。
ディルムッド、舞弥、雁夜、ソラウ、エルメロイ、そして切嗣にアイリ。
いずれも叶わぬ願いを抱き、そうと知りつつ走り続ける。
破滅に、破局に、失意に、絶望に、そして死に向かって。
まったくの容赦なく、その運命の鎌は次々と振り下ろされ、あらゆる想いを刈り取っていくのだろう。
その消滅までを、しっかりと見届けていきたい。
(2007-04-03 01:34:02)


■3巻
3巻まできておいて今更だが、これは、まぎれもなく最強のコラボレーションであることを実感。
この、絶望的なまでに容赦のかけらもない展開は、虚淵玄というライターの真骨頂であることを断言する。
原案や設定は確かに奈須氏。だから、この作品の魅力は決して虚淵氏一人の力というわけではない。
だが、他の誰が描いても(もちろん奈須氏本人でも)、読者をここまで容赦なく突き落とし、圧倒的に叩きのめすことはできないだろう。
切嗣の「非情な暗殺者」という設定は公式でも何度も露出していたが、それをこれほどまで完璧に表現してみせるとは。
正しき者には正しき末路を。心優しき者には相応の幸せを。
そんなまっとうな読者の願いをいともたやすく吹き飛ばしてしまう、これでもか、とたたみかけられる無情なエピソードの数々。
その筆致は滑ったところなど微塵も感じさせず、冷徹なコントロール下におかれたものだと分かるのが、さらに読者にプレッシャーを与える。
もう目前にまで近づいてきている絶望の足音が、地獄の業火の燃える音が聞こえずにはいられない。

この冬。たった一つの希望を残して、この物語はすべてが終わる。
こんなにも魅力的な生き様を見せつけたあのキャラもこのキャラも、そのほとんどが消滅し、あるいは大きな痛手を抱えてしまうことを「Fate」を経験した我々読者は知っている。
先に待つのは失意と絶望のみとあらかじめ分かりきっているのに、それなのに、どうしてこんなにやるせなくなるんだろう。
それほどまで惜しまれるキャラとエピソードを生みだした虚淵氏の力量に脱帽。そして敬意を。

死がふたりを分かつまで

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻
■1巻
まるで当たりのなかった(←失礼。私にとってはね)ヤングガンガンにようやく注目作登場。
と言っても、原作がたかしげ宙氏なので、ある程度の面白さは保証されて当然か。

蓋を開けてみれば、作画担当のDOUBLE-S氏が大健闘。新人らしからぬシャープで洗練された描線で、非常に読みやすく、かつ高クオリティ。好きなタイプの絵だな、これ。
盲目の凄腕刀使いが、高度な予測能力を持つ少女と、コンピュータの専門家とともに現代の「仕置き人」として暗躍する――という内容は、もうそれだけで「買ったァ!」と声を張り上げたくなるほどツボにはまりまくりの設定。
「仕置き人」だが決して正義じゃない、そのバランスの危うさを理解しているキャラには凄みがあり、その言動はダークヒーローめいていて非常にスリリングで小気味良い。
この先、(原作者の傾向からして)かなりヘビーな展開が待ち受けることが予想できるが、しっかりと最後まで見届けたい注目の一作。

ヨルムンガンド

1巻 2巻 3巻
■1巻
サンデーGX連載中。
同誌ですでに「ブラック・ラグーン」、「ワイルダネス」が連載中であるのに、これ以上ガンアクション物が入る余地があるのかな、と思っていたら、意外や意外、どちらにも重ならないところにすっぽり収まった感が。
銃火器や野戦服よりも剣とローブのファンタジー世界の方が似合いそうな描線だが、不思議な魅力がある。
ただ、「ピカレスク」と銘打っているのに対し、内容は必ずしもそうであるとは言いきれないかも。
武器商人であり、同業者や敵対する者に対しての悪辣さとか無慈悲さも描写されてはいるのだが、世界平和を謳ってみたり、意外に犠牲が少なかったり、あまり「悪」っぽくない。
そこが新しい読み口なのだろうが、これが今後どのように転がっていくのか。以降の展開に期待大。

空の境界

新書版 上 新書版 下 文庫版 上 文庫版 中
読み終えた後、久しぶりにカタルシスを味わえた作品。
なのだが、実はレビューを書くつもりはなかった。
本当に大好きな作品であることは確かなのだが、それをうまく言葉で伝えられる自信がなかったし、何より読み手を選ぶこと、感覚に訴える部分が多すぎて、とてもレビューの書きにくい作品であると思っていたから。
だが、私自身、奈須きのこ氏の大ファンであり、先日行ったアンケートでもかなりの方がレビューを希望していたので、玉砕覚悟で挑もうと思う。
この無謀な試みを笑ってスルーできる方のみ、しばしお付き合いください。

”新伝綺”と銘打たれてはいるが、中身は実に正統的な血脈の流れを汲む伝奇小説。
「痛覚残留」と「矛盾螺旋」はまさにそれを地で行っており、テンポも良く、非常に読みやすい。

だが、「矛盾螺旋」は「空の境界」というストーリー群の中で根幹を担う話でもあり、それまでには小出しにされてきた世界観が、さらに圧倒的な質量を伴って読者に襲いかかる。
この小説の売りの一つでもある緻密な世界観は、どうしても文中では説明的になってしまうきらいがあるが、ゲームや漫画といった、いわゆるオタク文化に慣れている人なら、たぶんさほど苦痛にはならないだろう。
だが、純粋な文芸畑の人が初めて手に取るこの手の本としてはかなり不向き。
どっぷりオタク文化に馴染んだ人間ですら、時に難解な設定に混乱を余儀なくされることしばしば。
まずこの段階で投げ出してしまう人、多数いるんじゃないだろうか。
今レビューは、それでもめげずにエピローグまで読破できた方を対象にしています。

読み始めからしばらくは、膨大な情報量と錯綜する時系列に翻弄されがちなのだが、最終章が佳境に入った頃からエピローグに差し掛かると、もう息が詰まるくらいに加速する切れ味に全身の皮膚が粟立つ。
作中はあくまで静かな場面であるのに、だ。

読者を圧倒せずにはおれない作品が持つオーラというのは、打ち倒されるほど激しい熱風か、まるで鋭利な刃物のような寒波との二通りあると思うのだが、この作品は後者。
吐く息すら凍りつきそうな、冷たく澄み切った空気のただ中に、たった一人で佇んでいるような凛とした厳しさと緊張感がある。
かといって湿っぽさは一切なく、どこまでも無色透明でがらんどうなイメージは、まさにタイトル「空の境界」にふさわしい。

私は、ライトノベル・同人系にありがちな、「自キャラ萌え」や商業発表した自分の作品の同人誌を自分で作るような手前味噌な行為も、度が過ぎれば興ざめしてしまう質だ。
だが、それ以前に、作者が自分の作った世界観を大事に思わず、その作品世界を単なる表現の道具として使い捨てることの方を不快に思う。
(庵○秀○監督とかね。私がエ○ァを高く評価できない理由がこれ)
しかし、奈須氏はこの辺のバランス感覚が非常に優れているクリエーターだと感じた。
同人作家にありがちなこういう傾向や、途中で突拍子もない方向から現れる後付け設定もなく、あくまでも道を見失わずに一つの世界観をきちんと貫き通している。
そして、その冷静な意志の元に閉じられたこの物語にある種の美しささえ感じる。
しかも、その世界観が緻密に強固に編まれているもんだから、一度その固有結界に捕らわれてしまうと、脱出はもはや不可能。
かくして、ドツボにハマった人間の末路がこれ

ラスト、一見幸せな予感に満ちた最終章を終え、エピローグ「空の境界」へと読者は進む。
そして、そこであまりにも切なく、だがある種の爽快感すら覚える喪失を体験する羽目になるに違いない。
(日本語変ですが、本当にそうなんだよ……たぶん)

起源が「普遍性」である黒桐は何も望まない。何も得たがらない。そして何一つ、得られない。
それが、彼が惹かれた少女とようやく邂逅し、そして永遠の別離になるときでも。
式は自分の「虚無」を黒桐を得ることで満たすことができるけれど、何も得ない黒桐は今後も空っぽであり続ける。
そして、その自分に疑問も不満も抱きもしない。その状態は「幸せ」で、彼は何も望まないのだから。
それが、この一文に集約されている。

ああ、それは――。
「なんて、孤独――」

この鮮やかすぎるエピローグに、私は寒気すら覚えた。
誰の幸せも壊していない。でも、この心の隙間は埋められない。
それこそ作中何度も登場する「  」であり、たぶん、多数の読者が分かっていたようで分かりきれなかった感覚だ。
それを、この大ラスで味わわせてくれるとは。
このキレ。構成。破壊力。クセになる人にはたまらない中毒性があることを忠告しておきます。
いやホント、「きのこ中毒」って死に至る病になりえますから。(それは毒きのこだよ……)

ちなみに、「月姫」「Fate/stay night」プレイ済みで今作未読の人。
上記ゲームが気に入ったなら、ぜひ読むことをお勧めします。
オーバーラップする世界観を、別角度からの切り口で味わうことができてとってもお得間違いなし。

妖幻の血

1巻 2巻 3巻 4巻

■3巻
ウホッ! いい展開……
読 ま な い か

……とかバカなネタやってる場合じゃないんです。
(分からない人。私に元ネタを聞くな)

くっくっく。ヘビーな展開になってきたね。私好み。
2巻が少しだけギャグが多めでどうしたの? と思ってたら、あれよあれよと黒い雰囲気へ。
やはり伝奇ホラーはかくあるべしですな。

獣の血に支配され、人としてあろうとしながらも、その実、心すら血に呪縛される一族の苦しみ。
一見それに抗っている様でいて、実は誰よりも強く「獣」であることが垣間見えてきた主人公の暗黒面。

やわやわとした人格を装いつつも、決して「他」の介入を許そうとせず、究極のエゴイストであることを匂わせてきた主人公の秘密が、今後どんな形で明かされていくのか楽しみ。

……これで、その「秘密」がお涙頂戴系だったら萎えるけどね。

創竜伝13 噴火列島

新書版 文庫版
まさか本当に2年足らずで出るとは思ってなかったよ(笑)
もう待たされ慣れてるので、たま~にこういうことがあると「ラッキー」などと思ってしまう自分がちょっぴり悲しいです。ええ。
内容は、まあいつも通り。というより、少々悪ノリのしすぎのような気も。
この作品、第2部に入ってから(5巻以降)は完全に中だるみ気味だと思う。
小早川のなっちゃんが出てきてからは、作品自体のカラーがずいぶん変わってしまったし。

とりあえず、茉理ちゃんと瑶姫の邂逅シーンが省かれてしまっていたのが最大のマイナス。
そんなあっさりした描写があるかよー!!(;´д`)
今巻の「良かったで賞」は、ラスト近くの「石使い」のエピソード。
昔はこういう印象的なシーンがもうちょい多かった……と思うのは年寄りの冷や水ですか。

あと、さっき気づいたんだけど、今回の表紙ってひょっとしておーるぬーどデスか?(ぉ

蒼空のグリフォン

1巻 2巻

■全2巻
ああっ、また打ち切りくらってるッ(泣)
……ま、まぁ今回の話じゃ仕方ないかも。だってこれ、「気の抜けた『エリア88』」なんだもんよー。

この人、描線はシャープでスタイリッシュ、絵はかなり上手い方だとおもうのだが、どうも話作りというか展開が下手。
やっぱり、もっと地に足の着いた身近な学園物とか、突飛じゃない普通の設定の方が生きると思うんだけどなー。
好きな作家だけに、このまま低迷して終わってしまうのは忍びない。

せめて、もっといい原作者が付けば活路が開けるような気もするが。
頼むから「2巻作家」(←打ち切りの作品は大抵2巻で完結)に定着してしまうのだけは避けて。
そうなると、秋田では入荷しなくなっちまう恐れがあるんで。
実際、1,2巻とも本屋5軒以上は回ったぞ。
サンデーコミックスなのに、大手チェーン店にすら入らないなんてありですか!?

塊根の花


超ひっさしぶりに登場のJ&Jシリーズ、続編。
ああもう、この時々垣間見える毒々しさがたまらない。
全編に漂う禍々しさより、少量の毒の方が、効果が劇的だったりするアレですね。
(もちろん、全編はっちゃけてるのも大好きだけど)

今回の作品中では、「妻弾き」と「話しちゃいけない」が双璧かな。
「話しちゃ~」では前巻「仙木の実」からの伏線も消化されていることだし。
絵も相変わらず綺麗な描線だし。荒れてる回ってのがほとんどないのが良。
単行本だから、そこそこ描き直し等入ってるとは思うけれど。
総じてレベルが高く、安定してるいい漫画家です。

これでもうちょっと単行本の値段が安かったら言うことはないんだが……。

D-LIVE!!


■1巻
「ARMS」がやっと終わったかと思ってたら、ほとんど充電期間もなしに始めた新連載で、どうなることかと危惧してましたが、さらっと読めてなかなか面白いです。
「ARMS」ほどは肩に力が入っておらず、「スプリガン」ほどの求心力もないけど、何だかのびのび描いてる感じ。
この作者、実はこういうのやりたかったんじゃないだろうか。
設定も面白いし、今後どういう展開にしていくのかが気になる。
できればこの路線を維持して、変にヘビーな後付け設定を出さないでくれればいいなぁ……とは思うものの、また原作に七月鏡一氏が参加するらしいので、何かヤバイ予感。

あ、絵がちょっと変わったかな?
「ARMS」の絵は実は食傷気味だったんで、この変化は個人的に喜ばしい。
以前より漫画らしい漫画を意識しているような気もする。
たぶん、作者の代表作とはなりえないだろう作品だけど、私は好き。
特殊技能があるけど「普通」の男の子を描くのが巧みな作者のことなので、持ち味を遺憾なく発揮できそうな今作に期待大。

新宿少年探偵団 まぼろし曲馬団の逆襲

新書
「新宿少年探偵団」シリーズ第7作目。
二年八ヶ月待ったわりには、可もなく不可もなくといったところか。
立ち回りのシーンが多いので、テンポは良い。相変わらず脱線や無駄が少ないし。
色々な事実と伏線が明らかにされ、予断を許さない状況になってきた。

初期のシリーズ作に比べ、子供が抱える「闇」や「もどかしさ」みたいなものが薄れてきたのが少々不満。それだけ、各メンバーが「大人」になりつつある、ってことなんだろうけど。
それでも、子供に突きつけるにしてはあまりにヘビーな事実を、端正かつ冷静な筆致で書いて読み手を鬱にする技術は相変わらず大したもの。
さすがに重く苦しく、辛い話を真骨頂とする作家だけあるわ。(誉めてます)

しかし今回の伏線で、どうやってもイヤ~な展開に持ち込まれそうな雰囲気が楽しみではある。
完結まであと二冊。
ラストで私を打ちのめしてくれるよう、気合いを入れて取り組んでほしいもんです。

吸血殲鬼ヴェドゴニア MOON TEARS

吸血殲鬼ヴェドゴニア MOON TEARS
前作「吸血殲鬼ヴェドゴニア WHITE NIGHT」に続く完結編。
力業ですね。よくぞここまでまとめ上げました。ノベライズとしては十分に及第点です。
モーラの出番が少ないのが泣けたが。

すいません、前作もそうだったんだけど、各章題が主題歌とリンクしてんのね。
今気づいた愚かな私。
しかも内容ともマッチしてるし。なかなかのアイディアです。

多少ゲームのシナリオとは変わっているものの、主題は変わっていないし、ラストでリァノーンのエンドを選択したのも手堅い仕事だなぁと。
こういうとき、小説って一つのエンディングしか採れないのが辛い。
ゲームだったら複数用意できて、プレイヤーが一番気に入ったエンドを覚えていればいいわけだから。

ゲーム本編でもそうだったけど、ギーラッハの最期には燃えたよ。騎士はいいねぇ。

HELLSING

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻
■5巻
「ヘルシングはいいねぇ。ヒラコーが生み出した文化の極みだよ」

……と今さらエヴァネタかましつつ皆様こんばんは。
相変わらず禍々しく、エロく、大変よろしい。そしてウォルター燃え(ぉ
この路線をずっと突っ走っていってほしいものです。まあ、この作者にそんな危惧は不要だけどな。

5巻の目玉。
「さあ!! 諸君!! 殺したり殺されたり死んだり死なせたりしよう」

あとカバー裏。毎回そうだが、今回は激ウケ。見てない君は今すぐめくれ!!

KLAN 5 苦闘編

文庫

※注! 分類上、著者を田中芳樹としていますが、実際には原案参加です。

……うわぁ。やっちゃった。
はっきり言って、「黄土の夢」(注1)になっちゃってるよ。
どう考えても田中芳樹案じゃない展開、どっから降って湧いてきたのか知らん後付け設定、隠しきれてないしょうもない伏線、お粗末な脇キャラ扱い、とおおよそ挙げるにいいだけ挙げられる、ダメノベライズの見本みたいな作品。

4巻まで執筆してた、霜越かほる氏はどこへ行ったんですか?
氏がかなりの健闘を見せていたので、わりかし納得して読んでたのに。これじゃ、購買意欲が低迷。
ラストだけは田中氏本人が書く、って以前言っていたけど本当だろうか。

著者が今回の浅野氏に変わってから、キャラの人格が変わってしまったのはいただけない。
おまけに文は下手だし、三点リーダの使い方とかも変だし。
しかも、ライトノベルの悪癖がモロだし。
「とりあえず恋愛話絡ませとけ」な展開で、キャラの人格は薄め、知性も薄め。理性も薄め。
言っておくが、田中作品に複雑な恋愛話は不要。
元々作者が「苦手」って公言してるんだし、読者もそんなの求めとらんわ。

ただラストのためだけにこのシリーズ買ってますが、限界近いです。
頼むから早めにラストにこぎ着けるか、たぶん大量に届いているであろう非難の手紙でも読んで、早々に軌道修正してくれることを望みます。


注1.田中芳樹がまだ絶好調に執筆してた頃、本当に筆が追いつかなくて原案という形で参加した作品。
が、執筆者がとんでもなく力量不足だったため、稀にみるつまらない本となり、全3巻のうち、この生粋の田中信者の私ですら2巻までしか買っていないという、ある意味すごい本。
実際、この作者はこれ以来何の執筆もしておらず、読者からどういう感想が寄せられたのかが伺い知れる。

羊のうた

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻
■7巻
予定調和。
これ以上ないくらい、美しい収束でした。
最初から最後まで作者が意図し、読者の大半が望んだであろう通りのエンディング。
帯に書かれた「終幕」という言葉が全てを表している。
ここまで静謐な世界観を、現代物で描ききったのは賞賛に価すると思います。

吸血殲鬼ヴェドゴニア

吸血殲鬼ヴェドゴニア WHITE NIGHT
あまりにもゲームが面白かったので、うっかり買ってしまったノベライズ。
ま、ライターである虚淵玄氏がノベライズの際も監修してるんだから、間違いないだろうと思っての購入でしたが。
「つづく」って何だー!!

一冊で終わりだと思ってたのに! 聞いてないよ!!
ああああ、確認してから買えばよかった(;´д`)

中身は大変満足。
確かに「小説」としてはライトノベルの域を出られないんですが。
ストーリーはゲームと大筋変わらず安心。
このままだと、たぶん一番好きなエンディングの展開に持っていく……はず。
サウンドやビジュアルがない分、こっちの方がゲームよりも直球勝負かも。
骨太で飽きることのない展開で、この手の吸血鬼物が好きな人にはお勧めです。

ガンスリンガー・ガール

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻
■1巻
うっわ、この絵でこの設定、そりゃエグイでしょ。
ってのが読後の第一印象。
絵はすっごくかわいい。「萌え」人口にすごく受けそうなタッチ。
でも、このどっちかと言えばあっさり風味の絵で、こんな嫌な設定の話を描くか、普通。
だって、
「国中から集めた『障害者』に機械の体を与え、『洗脳』を施して、政府の汚れ仕事をさせる」
って、あたりまえの倫理観を持っている人間なら、眉をひそめないか。

このミスマッチのアンバランスさが、この作品の恐ろしさと言いようのない虚無感を引き立てている。
黒くはない。だけど、限りなく暗い灰色の中でもがいているような閉塞感。
(ここから先、超ネタバレのため反転)

先天性の全身麻痺患者だった少女が、機械の「義体」を与えられ、毎朝自分の体が思い通りに動くことに喜びを覚えるのは当然だ。
そして、親からも愛を与えられなかった彼女が、たまたま知り合いになった男の子に好意を寄せられ、「もし私なんかを好いてくれる人がいたら幸せだな」と感じるのも分かる。
でも、「仕事」の際に彼に現場を見られ、彼女は悪意のかけらもない、一片の曇りもない笑顔を浮かべながら、「ごめんね」の一言と共に彼を射殺する。
翌日。彼を射殺したことをまったく悔いも、思い起こしもせず、彼女はいつも通りに自分の体がちゃんと動くことを確認して安堵を覚え、満足する。

単純に「萌え」対象としてこの作品を捉えることは簡単だけど、この作品の持ついびつさに気づいておかないと、後でものすごいしっぺ返しを喰らわされるような気がする。
今後の動向を要チェック。
「電撃大王」を侮ってたよ。今、あの雑誌でこれだけ力のある話を描ける作家なんていないと高をくくってたので。(失礼)


■2巻
恐! アニメ化。
それはそうとクラエスぅぅぅー!! あんた何て哀しい子なんだ(⊃дT)

2巻目に入り、ほぼ義体の子が全員出揃ったのかな?
10人近くいるはずだけど、他の子は片鱗も出てこないし。
このまま行くんだろうか。

いよいよ物語がカタストロフに向かってゆっくりと進み出しているような。
この話、きっとハッピーエンドはありえない。
衝撃のラスト、ってのでもないだろうけど、きっと読む者が沈鬱な気分に陥るような、ざらついた終わりを迎えるような気がしてならない。
そして、読者サイドもそれを望んでいるような。(私だけか?)

一つのエピソードが綺麗に、明るくオチればオチるほど身構えなければいけない気分にさせる、静かな迫力に満ちた作風は大変に好み。
この先、どんな展開を迎えるのかは想像の余地もないけれど、ガッチガチに防御を固めておかないと、あっという間にノックダウンさせられる予感。
常につきまとうこの不安感は決して不快ではなく、じんわりとした快感ですらあるのだけれど。

……って私ゃマゾかい!!

ちなみに私はトリエラが一番好き。かわいい

BLACK LAGOON

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻
■1巻
作者4年ぶりの新刊。
しばらく見ないうちに、ずいぶん絵のレベルが向上したような気が。
11Pにも渡る銃撃戦の描写とか(これが超爽快でゾクゾクきます)、英語的なセリフ回し、怖~い女性陣(笑)に代表されるアクの強い、一筋縄ではいかないキャラ立ち回りに加え、血と硝煙と暴力にスピード感、と私の秘孔突きまくり。
良作。早く続き読みたい。

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