フレームアウト

第27回メフィスト賞受賞作。
挑戦的な帯やメフィスト誌上の座談会での激賞を見て読むつもりの人。
信じるな。「メフィスト」を。
信じさえしなければ、貴方はまともな「ミステリ」と出逢うだろう。
言っておくがこの作品、出来自体はそう悪くない。構成も取り組み方も真面目だし、仕掛けもそこそこ練られてる。
(相応の経験値を積んだ読者じゃないと、看破&納得は難しいかも…)
この作品のキモである映画へのスタンスや、それに関する蘊蓄が嫌でなければ、それなりに楽しめるであろう作品であることは想像に難くない。
ただ文章が翻訳調で読みづらいのと、展開がずいぶん地味なのがいただけない。
読後、印象に残らないのだ。
地味というと、私は浅暮三文や太田忠司などを思い浮かべるのだが(両氏、申し訳ない)独特のトリップ感があって、新作のたびに新境地を開拓する浅暮氏や、根底に重いテーマを抱え、それを破綻させることなく端正な筆致で描ききる太田氏と比べ、あまりにも文章から受けるインパクトが希薄すぎる。
あの、ミステリを読んだ後の独特の「うぉぉ!そうだったのか!!」という感じがない。
仕掛けを重視するあまり登場人物の存在も希薄で、しかも展開に反復行動が多いため、一昔前の「コマンド総当たり型アドベンチャーゲーム」をやっているかのような「フラグ立て」的錯覚を受ける。
そのため、「ふー、やっと読んだ、さ、寝よ」とあっさり記憶の彼方に追いやられてしまう程度の読後感しか得られないのが最大の欠点。
それともこれは、映画に対して全然思い入れのない私ゆえの感想なんだろうか。
もっとちゃんとした映画好きの人が読めば、それなりに違うのかも。
というわけで、自他共に認める映画好きのYさん、ご一読お願いします。