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殺しも鯖もMで始まる

新書
未だデビュー作にお目にかかっていない、ここ最近の気になる作家「グレさん」(通称)。
 ↑
(初版が少なすぎ、しかもまだ文庫化していない)
どちらかというと、ミステリよりメタ・ファンタジーやハードボイルド寄りの作風だったが、今回は文三(※1)、最大の地雷企画「密室本」(※2)で密室ミステリに初挑戦! ……だったのだが。(注釈は一番下に記載しました)

相変わらず地味だが抜群のトリップ感で、すらすら読める。
だが、実に「変なミステリ」。
別にダイイングメッセージが「サバ」、「ミソ」だからじゃないけど。<本当にそうなんだよ

殺しも出てくる密室もある、名探偵も謎解きもある。
でも、読後にあるのは「爽快感」じゃなくて「浮遊感」。
綺麗にオチもつくし、多少強引なトリックではあるものの、許容範囲であることは確か。

そうして身構えて、固い木の床に足を踏み出したつもりで、実はその床がゼリー状にグニャグニャしていたかのような驚きに満ちた一冊です。
分かりにくくてすまん。
本編を読むのが一番手っ取り早い、ということで。<逃げ


※1.講談社文芸図書第三出版部の略。文芸史上最も玉石混合な受賞作を乱発する「メフィスト賞」の生みの親。諸悪の根元。又は類い希なる目利き集団。

※2.講談社ノベルス20周年企画。小説の本文自体が「袋とじ」(つまり密室)となっており、これにちなんでメフィスト賞受賞者たちが「密室」をテーマにした作品を刊行。
この袋とじに「応募券」が付いており、それを5枚集めると、メフィスト賞選出の際、編集者たちが作品について論じた座談会をまとめた本がもらえる。
……もちろん私は5冊買ったよ(死)

ガンスリンガー・ガール

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻
■1巻
うっわ、この絵でこの設定、そりゃエグイでしょ。
ってのが読後の第一印象。
絵はすっごくかわいい。「萌え」人口にすごく受けそうなタッチ。
でも、このどっちかと言えばあっさり風味の絵で、こんな嫌な設定の話を描くか、普通。
だって、
「国中から集めた『障害者』に機械の体を与え、『洗脳』を施して、政府の汚れ仕事をさせる」
って、あたりまえの倫理観を持っている人間なら、眉をひそめないか。

このミスマッチのアンバランスさが、この作品の恐ろしさと言いようのない虚無感を引き立てている。
黒くはない。だけど、限りなく暗い灰色の中でもがいているような閉塞感。
(ここから先、超ネタバレのため反転)

先天性の全身麻痺患者だった少女が、機械の「義体」を与えられ、毎朝自分の体が思い通りに動くことに喜びを覚えるのは当然だ。
そして、親からも愛を与えられなかった彼女が、たまたま知り合いになった男の子に好意を寄せられ、「もし私なんかを好いてくれる人がいたら幸せだな」と感じるのも分かる。
でも、「仕事」の際に彼に現場を見られ、彼女は悪意のかけらもない、一片の曇りもない笑顔を浮かべながら、「ごめんね」の一言と共に彼を射殺する。
翌日。彼を射殺したことをまったく悔いも、思い起こしもせず、彼女はいつも通りに自分の体がちゃんと動くことを確認して安堵を覚え、満足する。

単純に「萌え」対象としてこの作品を捉えることは簡単だけど、この作品の持ついびつさに気づいておかないと、後でものすごいしっぺ返しを喰らわされるような気がする。
今後の動向を要チェック。
「電撃大王」を侮ってたよ。今、あの雑誌でこれだけ力のある話を描ける作家なんていないと高をくくってたので。(失礼)


■2巻
恐! アニメ化。
それはそうとクラエスぅぅぅー!! あんた何て哀しい子なんだ(⊃дT)

2巻目に入り、ほぼ義体の子が全員出揃ったのかな?
10人近くいるはずだけど、他の子は片鱗も出てこないし。
このまま行くんだろうか。

いよいよ物語がカタストロフに向かってゆっくりと進み出しているような。
この話、きっとハッピーエンドはありえない。
衝撃のラスト、ってのでもないだろうけど、きっと読む者が沈鬱な気分に陥るような、ざらついた終わりを迎えるような気がしてならない。
そして、読者サイドもそれを望んでいるような。(私だけか?)

一つのエピソードが綺麗に、明るくオチればオチるほど身構えなければいけない気分にさせる、静かな迫力に満ちた作風は大変に好み。
この先、どんな展開を迎えるのかは想像の余地もないけれど、ガッチガチに防御を固めておかないと、あっという間にノックダウンさせられる予感。
常につきまとうこの不安感は決して不快ではなく、じんわりとした快感ですらあるのだけれど。

……って私ゃマゾかい!!

ちなみに私はトリエラが一番好き。かわいい

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