1  |  2  | All pages

ラッシュライフ

単行本 文庫
うわぁ、どうしよう、この作品。
すごく感想書きたいのに、何を書いてもネタバレになる。
というわけで、反転させていただきます。
未読の方で読破予定の方はくれぐれも見ちゃダメよ。

実にシャープな切れ味の、スマートな群像劇。
それぞれ5人の人物から成る独立したストーリーが、いったいいつクロスオーバーするんだろうと考えた時点で、すでに読者は手遅れ。
むしろ、「あ、これはあっちと繋がってるな」とわざと読み取れるような記述がそこかしこにあり、ミステリ初心者ならそれを鵜呑みに、上級者なら「ミスリードだろ」と懸命に作者の目論みを看破しようとすればするほど、巧緻に張り巡らされた罠のドツボにはまっていく。
作品中、全編に渡ってものすごく巧みな叙述トリックが駆使されており、一ミステリファンとして単純に騙されて悔しいのと、その素晴らしさに感銘を受けたのと半々の複雑な気持ちです。

そうして物語が進めば進むほど、「あれ?」と思うことが多くなり、読者はとうとう気づいてしまう。
同時進行だと思っていた5つの物語すべてが、意図的に時系列を入れ換えて配置されていたことに。
それぞれの物語の収束(だと思っていた記述)が、この先もずっと連環していくであろう別の物語を発生させる様は、どんなに登っても登りきれない、まさに冒頭のエッシャーの騙し絵のようだ。

そして、いくつもの意味に取れる「ラッシュライフ」という言葉をタイトルに据えるセンスの良さ。
この実に心憎い演出や、小説の利点を最大限に生かした巧妙なテクニックに、決して騙されないよう気をつけていたはずだったのに、まんまとそれに引っかかり、、思わず「やられたっ!」と膝を打つことうけあい。

これは、私が初めて読んだ伊坂作品である「陽気なギャングが地球を廻す」のときも感じたのだが、良い意味で読後感にヘビーさがないのがこの作家の持ち味なのかも。
たぶん意図的なものだと思うが、随所に施された寓話的な設定が効果的。
現実がんじがらめでどうしようもない閉塞感に彩られることの多い現代物に、少量のファンタジーを加えることで、実は結構ハードな各登場人物のストーリーが、必要以上に重たくなるのを防いでいる。

また、映画的なセリフ回しも気が利いていて、そこからくるフィクションっぽさが妙にはまっている。
世界観にどっぷりつかることはないけれど、一歩引いた視点で、俯瞰で物語を眺められる気持ちよさ、というのはまた格別。
さらっとしていて、ユーモラスで軽妙洒脱、それでいて奇妙に満足した気分にさせられるのは、この「神」視点が実に効果的に演出されているからだと思う。

全編にゆるやかなスピード感があって、後半それが一気に加速し収束(または拡散)していく様は圧巻の一言。
とにかく伏線が鮮やか。この罠にはまるのが、一度は煙に巻かれて、それがまた晴れるのが最高に気持ちイイ。
読破2冊目にして「作家買い」(←その作者の作品は問答無用ですべて買うこと)認定。
すごいぞ、伊坂幸太郎。

LUNO

いい……んだけど、ページ数足りないよ、これ。
ラストが少々急ぎすぎなような。
もう少し血の臭いっつーか、陰惨な雰囲気を出してくれてもよかった。
でも、この手のゴシックホラー系な話もなかなか。設定はいいです。続編期待大。
しかしこの人、「影」の似合う作風だなぁ。そこが好きなんだけど。

LOVELESS

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻

■2巻
この人の描く「変態」はサイコーです。
たとえ絵が劇的に変わっても、作品に当たり外れが大きくなってきても、やっぱり私は「高河ゆん」が好きだ。

 1  |  2  | All pages