
世評がだいぶ高くなってきて気になっていたところに、趣味の合うサイト常連様からもオススメをいただいたので、とりあえず自分が一番読みやすい形態であるノベルス作品から、とチョイスの初・伊坂幸太郎作品。
こりゃ面白い。深い余韻や私好みのカタストロフがあるわけではないのだが、とにかくキャラが立っていてちょっとクセがあるくせに、セリフ回しも展開も軽快で実にサクサクと読みやすい。
4人の主人公グループは銀行強盗なのだが、その行動の裏に悲壮な理由や陳腐な政治観とかないのがまた良し。
ぶっちゃけて言えば、倫理観が奇妙に欠落しているのだが、おかげで良い意味でリアリティを感じさせず、「これは物語だから」と非常に割り切った楽しみ方ができる。
強盗なんだから本当は悪事なんだけど、それが痛快だと感じることに対して後ろめたさを覚えることがなく、実に爽快な後味で読み終わることができるのが良。
純粋な娯楽作品として、非常にレベルの高い作風だと思う。
また、伏線の張り方がかなり巧みで感心させられた。
最近は、「そんなこと書いてあったっけ?」というレベルのものが多すぎて、実際作者が後書きで伏線の解説をしちゃってるようなダメ作品すらあるのだが、本来、伏線というのはそんなものがなくても分かって然るべきものだ。
この作品では、後から「うわっ、確かにあそこにそういう記述があった!」と思い至ることができ、しかも瞬時にそのシーンを明確に思い出すことができた。
あまり書くと強烈なネタバレになってしまうので控えるが、それに途中で気付いた人も、ネタを明かされるまで気付けなかった人も同じくニヤリとできる、実にセンスの良い仕掛けです。
どこかとぼけたところがあるけど、おおむねクレバーな人物達が繰り広げる、二転三転の銀行強盗ストーリー。
手軽に楽しい作品を読みたい方にお勧め。
私は……伊坂作品を買い集めねば。(←ハマったらしい)