マジカルチェイス
実に驚異的な、ファンタジックな世界観の隠れた名作STG。
私がSTG? と思う諸氏もいるかもしれないが、たまにはそういうことだってあるのです。
実際、私はシューティングはアクションよりもド下手クソで、クリアできるのはPCエンジン版R-TYPEI(容量の関係で4面までしか収録されていない)か、FCの「スターソルジャー」くらいであるというヘッポコぶり。
(だからシューターに対する憧れが強いのです)
それはそうと、このソフトは凄すぎる。
バックグラウンドを1枚しか持てないPCエンジンで、できるはずのない影付き多重スクロールを見せつけたり、
BGMと同期して出現する敵や、回転縮小、ラスタスクロールと高速スクロールを駆使した演出、
STGに不可欠の華やかなエフェクトを施しながらも処理落ちをまったく感じさせない画面、
SFCかと見まごうほど驚異的書き込みのグラフィックに、どう聞いても音源の限界を超えている素晴らしいサウンド、
と、当時、そのあまりの技術力の高さにソフト開発者間で噂になったらしい。
しかし、何よりも胸を打つのは、
当時、各サードパーティーがCD-ROM作品にシフトしていく中、あえてHuカードで作品を出す侠気、おまけに、コナミ参入第一弾であった鳴り物入りの新作「グラディウス」と発売日がかぶってしまい、さらに発売本数が少なかったもんだから、ユーザー間でほとんど話題に上らなかった運の悪さ。
そして、このソフトを最後に、発売元が潔く倒産してしまった悲劇性かもしれない。
が、そのあまりの出来ゆえ、ネットなんて普及してなかった当時でも口コミで評価は急上昇、当然ソフト価格が高騰、ファンの熱望も手伝って、PCエンジンFAN誌上で限定受注生産の通信販売が行われる等、ありとあらゆる意味でPCエンジン史上の伝説ソフトの名をほしいままにしている感が強い。
(状況が「メタルスレイダーグローリー」(※1)に酷似しているような気も……)
こういうのが歳を取っていて良かった、と思う(数少ない)瞬間かも。
当時、その「伝説」が作られていく様をリアルタイムで見てこられた恩恵を感じることができるので。
ゲームの方は、評価のご多分に漏れず素晴らしい出来。
ライフ性を導入したゲームシステムで、かわいらしいグラフィックをしておきながら意外と手強い難易度、だが要所要所に設けられたショップに立ち寄って、強力な武器を買ったり、ライフの補填をできたりするユーザビリティの高さ。
また、ありがたいことにコンティニュー回数が無限であり、私のようなヘタレゲーマーにはとても助かる。
もちろんハードシューターには、「アイテムを買わなければ高得点」等の制限も設けられており、やり込みがいのある絶妙のゲームバランスを誇っている。
ポップなキャラは見た目にも楽しげで、BGMのイントロ終了と同時に中ボス出現がしたり、と演出面にも凝っており、プレイしていてとても楽しいSTG。
万が一死んでしまっても、「もう一回! もう一回チャレンジしよう」と思わせる力がある。
万人が楽しい、実に優良なゲーム。
現在はPC版やGBC版が出ているので、一時期の高騰プレミアがついた時期よりはお手軽に体験できるかも。
本当は、このソフトがPCエンジンのHuカードで出た、ということに価値があるんだけどね。
(※1)FC末期の傑作AVG。近未来SF的世界観を持つ練られたストーリーと、目パチ口パク、サブウインドウの表情変化、ちらつきのないスプライト、とFCとは思えない美麗なグラフィックでカルト的人気を呼んだ。
が、これらの演出のため特殊チップを搭載し、発売元であるHAL研究所の社運をかけていたにも関わらず、膨大なデータを処理するためディスクシステム→ROMへの媒体変更があったり、開発期間が4年2ヶ月もの長期に及んだこともあり、その間に時代はSFCへシフトし、HAL研の資金難もあって出荷数が少なかった。
おかげさまでマニアの間ではプレミア化し、一時期中古価格3万円もの値が付いたらしい。
近年、ニンテンドウパワーで復刻し、事態は沈静化の方向へ向かっている。(たぶん……)
ちなみにHAL研はこのソフトの完成度が認められ、現在は任天堂傘下で頑張ってソフト作ってます。