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CHAOS;HEAD

シナリオ音楽演出システム総合評価オススメ度
71中高生限定
★★★

主に悪しき意味で、全年齢で出した意味を理解しました。
少なくとも、思春期もモラトリアムも大幅に通り越して一回転くらいしちゃってる私ではついていけません。
大人には向かないよ、これ。
残念ながら、18歳以上の人間の鑑賞に堪えうるだけの質を有した作品ではないので。
コンシューマーギャルゲ界の雄であった元KIDのスタッフが集った5pbと、エロゲ界の異端児であるニトロが組んだ作品なんだから、もう少し質の高い物が出てくるんじゃないかと期待したのですが。
正直、非常にがっかりです。
エロは当然なし、グロは15歳以上推奨レベルのものでしかなく、頼みの綱の音楽も歌以外はそこそこ。
CGや演出は頑張っているんだろうけど、残念ながら突出したものなわけでもない。
燃えもないし、萌えも意図されているほどのものは感じられず。
完全に、コラボが裏目に出ちゃってるとしか思えない。

絵はメモオフシリーズで非常に人気の高いキャラデザ・原画家の方らしいのですが。
(残念ながらメモオフシリーズは未プレイのため、あくまで一般論として↑)
刺されるのを承知で言っていいか。

体のバランス、おかしくない? 頭でかすぎだと思うんだけど。これ何ていたる?

確かに首から上はかわいらしい絵なのだが、その下に付いてるボディとのアンバランスさが気になって、作品世界に集中できないのですよ。
その首から上にしたって、特にオリジナリティがある絵でもないし。(この業界に溢れる亜流323絵に近い)
それに、枚数的にもずいぶんと寂しい気が。人気絵師を登用してるはずなのに、何だこの少なさは。
立ち絵は表情が細かく変わるので満足感があるのだが、肝心のイベント絵が少なすぎる気がする。
塗りはさすがに丁寧で言うことなしですが。
また、背景も、実際の渋谷に相当綿密な取材をしたのであろう細部に渡った作り込みで、建物の名称や広告といった随所に遊びが見られ、小ネタを探すのも楽しい。
(私は先日渋谷に行ったばかりなので、見覚えのある建物が結構あって楽しかった)
あと、主人公の部屋のフィギュア、出典全部分かってすいません。ふひひ。(←ダメ人間)

音楽はいずれのブランドも一家言ある同士なだけにさすがにそつのない作り。
ただし、演出なのかは分からないが、BGMのない箇所がかなりある。
鳴らせばいいってもんじゃないですが、鳴らなさすぎだろうと思うのですよ。
せっかくこの面に関しては、他ブランドよりもアドバンテージを持っているというのに。
OP・ED・挿入歌の出来はどれも非常に良く(5pb×ZIZZなんだからある意味鉄板)、いとうかなこ・榊原ゆい両氏に歌わせる豪華っぷり。
ゆいちゃんってこういう歌も歌えるんだね。ちょっと見直しました。いや、元々結構好きではありますが。
今までは出演作品のせいか、かわいらしいかちょっとはっちゃけ系、またはしっとりめの歌しか聴いたことなかったので。
ただ、一つ言わせていただければ作中のこのバンド、パンクじゃないよね?

キャストの豪華さにはもう文句の付けようがない。
端役に至るまでほぼ全員、第一線級の実力・ネームバリューを持つ声優陣。
特に、主人公のキモオタを完璧に演じ上げた吉野裕行氏は賞賛に値する。ナイスキモオタっぷり。
こういう、格好良くも見どころがあるわけでもない、むしろ難のあるキャラは非常にやりずらいと思うのだが、彼の演技は図抜けて光っていた。
正直、よくここまでオタっぽい喋り方を研究したなぁと余計な感心をしてしまう。
実際、あんな喋り方のオタクは絶滅寸前だと思う(思いたい)のだが、まさに記号化したオタク像そのまんま。
あとは、優愛役のたかはし智秋氏も素晴らしかった。演技って、瞬時にしてああも切り替えられるのですね。
そういう中の人の頑張りに対して、キャラ自体はどれも影が薄く、正直言って主人公以外ほとんど印象に残らない。
このキャストに対して、これはちょいと失礼極まる仕打ちではないかと思うのですよ。

演出は所々にムービーが入り、多彩なエフェクトも駆使した豪華なもの。
また、用語解説も用意されており、オタク業界では基礎知識レベルの用語から、作品世界独自のものまで収録されている。
主人公がいったい何を言ってるのかさっぱり分からん、というオタク初心者のプレイヤーは参考になさるがよいかと。
(しかしそういう人には、この作品のキモの部分を理解できづらいんじゃないだろうか)
システムはニトロスタンダード。過不足はないが、特別使いやすいわけでもない。
また、いつものニトロらしく、プレイするには相応のスペックを要求されるので、推奨スペックは必須かと。
あと、搭載されている「妄想トリガー」というゲームシステムだが、これが曲者。
作中、かなりの頻度で出てくるのだが、既読スキップをかけると、このトリガーもスルーされてしまうという弊害が。
おかげで2周目以降が非常に苦痛。何でスキップ中でも画面に張りついてなければならんのだ。
それに、このシステム自体も、別段特筆するほどのことでもなく、ただの選択肢と変わらない。
余計な真似はしなくていいから、どうして普通のAVGとして出してくれなかったのか、非常に悔やまれる。

さて、シナリオですが。
ニトロのライターでない人が、無理にカラーを合わせようとするとこうなるのかな、という典型的な失敗例。
完全にしくじったラノベです。アイタタタです。オタ歴が長い人・それ相応の年齢を重ねている人には向きません。
全体的に、「あーあーそういう設定あるある」臭が漂いまくり、オリジナリティは皆無。おかげで高揚感も一切なし。
それこそ、完全に中二病設定。しかも、大人が喜べるレベルの中二病じゃなく、本気で子供の戯言レベル。
だから、まだ経験の少ない若いオタクなら楽しめるかもしれず。それがいいか悪いかは分からないけど。

小難しい用語や理論を用いて、いかにもオタ好みの展開を用意したつもりなのだろうが、都合のいい部分だけをあちこち継ぎ接ぎしたような印象だけが強くて説得力に欠ける。
全体的に締まりがなく、散漫で、まるで酩酊感のないメタ小説を延々と読まされている感じ。
そうして導き出された結論が、「僕はここにいてもいいんだよね」的な底の浅い自己肯定。今更自分探しかよ!!
あまりにもこっ恥ずかしい! 大人には恥ずかしすぎて耐えられないよママン!!
……と、赤面した挙げ句に薄ら笑いがこみ上げてくるようなポエムっぷりなのですよ。

おまけに、小ネタなのかマジなのか判断しづらい部分で語られないことが多すぎて、本当にこれで終了なの? とスタッフロールが流れた後でも疑ってしまうほど、未解決の謎が多すぎる。
グラジオールは? 300人委員会は? 人類牧場化計画って何よ? 七海と優愛はどうしてディソード出せたの?
そもそも、一連のニュージェネ事件は、真の目的のために本当に必要なのかすら怪しくないか?
黒幕は、主人公の落書きをいったいどこで手に入れたの?
どうして国を揺るがすほどの大騒ぎをした挙げ句、エピローグも後日談もないの?
重箱の隅をつつくまでもなく、ざっと挙げただけでもこれだけ未回収の伏線がボロボロと出てくるのは、さすがにどうかと思うのですが。

ヒロインは数ばかりいるものの、皆ほとんど電波だし、影も薄くて魅力もない。ぶっちゃけ存在意義皆無。
せめて各ヒロインごとのルートがあれば違ったのだろうが、残念ながら今作は一本道シナリオ。
しかも、その中でも特に見せ場があるわけでもない。
とあっては、本気でこのキャラ達の存在意義を問われても仕方ないかと。

ニトロ臭を出すためか、最後にちょっとだけバトルシーンがあるが、やはり書き慣れてない人が無理をするものではなく、到底燃えることなどできない代物。
たった今思いつきました的な後出しジャンケン風味のバトルのため、全然盛り上がらない。
そもそも、妄想で戦うことができるのなら、剣いらないんじゃね?
そういう、せっかく作った小道具の存在意義を自ら危うくするような設定を持ち出してくるもんだから、その粗が目立ちすぎて物語にまったく集中できなくなる。
元々、求心力のある物語でもないのに、余計なところで気を削がれるのでプレイ中はかなり退屈。
むしろこの設定、18禁でエログロ取り混ぜきっちり作ったら結構面白かったかもしれないな、と残念でなりません。
何が苦手って、お子様の自分探し物語ほど薄ら寒いものはない。

そんなわけで、普段のニトロ作品を期待している人、元KIDファンの人、いずれにもお勧めできかねます。
これは完全に合体事故。できるならなかったことにしてほしい。
むしろ、それぞれが別々に同じ設定で作品を作ったら、どちらもそれなりに評価できるものになった気すら。
俺つい最近オタクになったばっか、ちょっと刺激的で何か面白げなAVGやってみたいぜ、という中高生なら楽しめるかも。
それ以上の年齢になってしまうと、とてもこの恥ずかしいモラトリアムっぷりが耐えられないと思うので。

機神飛翔デモンベイン

このゲームは全年齢対象ですが、作品世界がリンクしている前作が18禁のため、レビューはあえて18禁コーナーに記載しました。
こちらからどうぞ。

ひぐらしのなく頃に

※この作品は同人ゲームです。出題編の「ひぐらしのなく頃に」と、解答編の「ひぐらしのなく頃に解」の二枚があります。

この作品を語るには、まずその特殊な形態から説明しなければならない。
ジャンルとしてはサウンドノベルに該当するが、肝心の選択肢がない。(理由は後述)
それぞれ、基本の世界観を同じくする、「鬼隠し編」「綿流し編」「崇殺し編」「暇潰し編」という、出題編と呼ばれる4本のシナリオが2002年の夏コミから順次発表されており、これの解答編として、「目明し編」「罪滅し編」「皆殺し編」「祭囃し編」の4編がある。
それぞれのシナリオでも単品として成り立つが、作品の根幹の謎というのは、この8本すべてをプレイすることで初めて明らかになる仕組みになっており、8本で「ひぐらしのなく頃に」という1つの作品であるといえる。
だが、読むだけなんだからゲームじゃないだろ、と早とちりすることなかれ。
例えプレイヤーが自ら選ばなくとも、立派に「ゲーム」と言えるだけのインタラクティブ性を兼ね備えている、かなり特殊な作品なのだ。

重ねて言うが、この作品には、まったく選択肢がない。
そして出題編では、当然ながら謎が提示されるのみで、解答は与えられてない。
そればかりか、ラストは必ず凄惨なバッドエンドで、後味の悪いものばかり。
当然、初めてプレイした人は、大混乱に陥るに違いない。
各出題編のラスト、何をすることもできなかったプレイヤーに対し、初めて作中からメッセージが提示される。

「これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。」

最後の最後にようやく与えられるプレイヤーの役割とは、「作中の謎を推理し、真相を見つけ出す」というもの。
つまり、推理する過程をゲームとして楽しむ作品なのだ。
その方法に規制はない。自サイトで考察を展開してもいいし、BBSやチャット、オンラインに限らず、オフで友人同士と議論を交わしてもいい。
タイムテーブルを作り、証拠品を挙げ、巧妙に張られた伏線を解きほどく、そのプロセスをゲームとみなす方法論は、これまでのコンピュータゲームとは一線を画したもので、まさにアイディア勝利。
さらに、この発表のフィールドが同人ソフト界だったというのも重要な要素の一つ。
夏・冬2回のイベントに合わせてシナリオを発表、という、適度なインターバルを空けることによって、各所の考察にも拍車がかかるし、その謎にじっくりと取り組む余裕も生まれる。
何より、商業的なリスクを危惧する必要がない同人業界、当然、こういう実験的で特殊な形態に耐性のあるユーザーが多い。
結果、驚異的な価格の安さも相まって、あっという間に広まったわけだが。

最初は本当にシナリオのインパクトだけで勝負していた感もあったのだが、制作を重ねるごとに演出や音楽のレベルアップが図られ、全体的なクオリティもかなり底上げされている。
特に、シナリオ中の文章はさほどでもないのだが、パッケージや作中でのアオリやキャッチコピーのセンスはかなり良い。
適度にシニカルで、適度に挑戦的。その言葉の選び方が洗練されていて、思わずやってみたい、と思わせる力がある。
もちろん、最大のメインなのはシナリオで、発表当初、しばらくは「正解率1%」を誇っていただけあって、非常に意地が悪く(※褒め言葉)、凶悪な謎の数々。
また、ミスリードや伏線張りが実にさり気なく、巧妙に行われていて、決して容易には解けない仕掛けになっている。

そして、尻が飛び上がるほど怖い。大抵のホラーには耐性がある私だが、この作品は本当に怖かった。
さほど回数は多くないのだが、ここぞという箇所での演出が群を抜いて光っており、嫌が応にも印象付けられるのだ。
しかも、その怖さが、思ってもみなかった方向から突然やってくるため、不意をつかれること数知れず。
今ひょっとしたらくるかも、というドキドキ感より、いきなり背後からワッ、と驚かされる感覚に似ている。
よって、心臓が悪く、怖いのが苦手な人はやめた方がいいかもしれない。部屋の隅でガタガタ震える準備はOK?

よく、未プレイ者から、「あの絵がダメ」と言われるのだが、気持ちは分からなくもない。私も苦手な絵柄だからだ。
だが、極端にデフォルメの効いた、一見シリアスとは無縁の明るさを感じさせるこの絵柄だからこそ、それが歪んだ際の恐怖が助長されるという効用もある。慣れればあまり気にならなくなる上、ストーリーが展開するにしたがって、絵などどうでもよくなっていくので、食わず嫌いせずにぜひお試しを。

ところで、これからプレイされる方に、一つお願いを。
「ひぐらし」の前半は、はっきり言ってクソだるい。初回、私は危うくプレイ序盤でやめるところだった。
初めて1時間近くは、メインのキャラ紹介も兼ねているため、いかにもオタク好みのハイテンションな掛け合いが続く。
さらに、平和でのどかな村の暮らしを強調するため、特筆することもない冗漫な日常がダラダラと繰り返し描写される。
そこには、パッケージに記述されているような陰惨な雰囲気は微塵もない。自分の買った作品、ひょっとして間違った?
と疑いたくなるほどに、謳い文句とのギャップがある。
そうして、まるで出来の悪いギャルゲーのような応酬に辟易し、あと30分やって面白くならなかったらやめよう、と思っていた矢先に、突然足元が崩れて、奈落の底が現れたのです。
その、陰と陽のギャップがあまりにも大きすぎ、気が付いたときには、もうどっぷりゲーム世界にのめりこんでいた始末。
だからどうかお願いです。どんなにダルくても、どんなに眠くても、どんなに飽きても、世界が反転するまでは我慢して。
そこからこそが「ひぐらし」の真骨頂、そして、そこまでプレイして初めて、それまでのダルさは演出だったと気付けるので。

今回は、各エンドがどうこうというネタバレらしきことは書かないし、書く必要もない。
「推理すること、自分なりの回答を見つけて楽しむこと」を前提に作られた作品に対し、それは野暮でしかないので。
ただ一つ、最終シナリオの祭囃し編、「カケラ紡ぎ」のアイディアには、素直に感心した。
すべてバラバラに思えた伏線が、一つの目的へと向かって急速に集約されていく快感。
7つのシナリオで辛酸を舐めてきたプレイヤーが、ようやく反撃に転じることができると分かった際の高揚感。
「鬼隠し編」~「皆殺し編」という、7本もの前段階がなぜ必要だったのか、という根本的な謎に対する、明確な回答。
それを、今まで一切なかった、「ゲーム」らしい手法によって表現する演出。
最終シナリオに相応しい、優れた手法だと思った。

正直、これからプレイする人に対し、羨ましいと思うのが半分、残念だね、と思うのが半分。
最初の羨ましいは、夏、冬の間の新作までのもどかしさを味わわなくて済むから。
後の半分は、新作が出るたびに各所で新たな推察が飛び交った、リアルタイムでの熱気を感じることができないから。
そして、自分がそのムーブメントに少しでも参加できたのをうれしく思う。

諸々のエピソードに関して、多少のツッコミや不満はあれど、それはこの作品自体の味を損なうものではなかった。
値段の安さや、ある程度の素養を持ったゲーマーをターゲットに据えた同人作品という立場を、今までにない方法論で最大限に活用した作品。こんな手法があったのか、と思わず膝を打たずにはいられない。
怖いの平気な未プレイ者は、今すぐ公式サイトへGO。第一エピソードの「鬼隠し編」、丸々一本体験版にてプレイできます。

総ボリュームCD8枚分ものエピソードに加え、思わず誰もが考えずにはいられない謎を提示し、それを夏・冬という短い期間内で、毎回ほぼ狂いなく出してきた生真面目な姿勢。
そして、それを破綻させることなく、見事な大団円へと着地してみせた製作者に拍手と敬意を。

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